元勇者提督   作:無し

293 / 625
過去の幻影

Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ

斬刀士 エンデュランス

 

エンデュランス「…随分と、様変わりしてしまったね…いや、戻ったと言うべきなのか…」

 

バージョンアップデートに伴い、このタウンはかつての小船の行き交う小さな水の町から複数の区画に分かれた港町へと変わった

それは数年前に確実にされた変更で、時が巻き戻るなんてことはありえないのに…

 

エンデュランス「君が、コレを?」

 

カイト「…ああ、久しぶりだね、エルク…見てよ、誰もいない、みんなどこに行っちゃったんだろう」

 

カイトの形をした、カイトによく似た何か

PCボディも細部が崩れた様な、どこか違う…

 

エンデュランス(…リアルのカイトは今ログインできないことは確認したし、これは偽物…だけど、あまりにも…)

 

カイト「エルク、どうしたの?黙っちゃって…」

 

エンデュランス「感情に浸るのは…もうやめだ、キミを倒す」

 

カイト「…エルク、どうしたの、何か変だよ?」

 

エンデュランス「…?」

 

エンデュランス(…何、この感じは…)

 

カイト「ああ、そっか、エルクはいつもミアと一緒だったもんね」

 

エンデュランス「…っ!」

 

視界外から軽装に包まれた腕が伸びてくる

隙間から見える紫色の毛並み、そしてその手に握られた猫じゃらし(エノコロ草)

 

エンデュランス「ぁ…うぁ…!」

 

見たく無い、見てはいけない…

見たら二度と…

 

ミア「エルク」

 

エンデュランス「っ…!…これは…悪い、夢だ…!」

 

ミア「酷いな、エルク…ボクはこんなにすぐそばにいるんだよ、ほら、こっちを向いて」

 

エンデュランス「……」

 

振り向けばかつて失った大事な友達がそこにいる、だけどそれはあり得ないことで…

 

カイト「エルク、どうしてミアを無視するの?」

 

エンデュランス「ミアは…消されたんだ…!」

 

目を固く閉じる

 

ミア「…ああ、そうか…可哀想なエルク」

 

頬を革手袋が撫でる感触

僕の目の前に回り込む足音

 

ミア「怖いものなんて何も無い、ほら、目を開けて見てよ」

 

優しく語りかける音の感触が、頬を撫でる手袋の感触が、まるで過去の友が目の前にいると言う様に伝わってくる

 

エンデュランス「ダメだ、キミは…違う…!」

 

ミア「じゃあ何でまだ目を閉じているんだい?それは僕が本物だから…違う?」

 

エンデュランス「違う!」

 

ミア「…悲しいな、エルク…そうだ、良いことを教えてあげよう、ボクは…完全には消えなかったサルベージされたデータなんだ」

 

エンデュランス「っ…!」

 

ミア「だから、ボクを信じて…キミを侵す敵は僕が倒してあげるよ、だから…」

 

エンデュランス「…本当の、ミア…」

 

ミア「そう、ボクにはキミが必要なんだ」

 

エンデュランス「ミアが…僕を…」

 

ミアが僕を必要としてる…

そうだ、ミアは僕の前に戻ってきてくれた…ミアは…

 

朔望「来いやァァァッ!ゴレェェッ!』

 

ミア「っ…」

 

エンデュランス「…何が…!」

 

空気がピリつく

碑文がすぐそばに在る感覚

 

朔望『エン様!絶対に目ェ開けたらあかんで!すぐ終わらしたる!』

 

ミア「助けてエルク!また僕が消されちゃう!」

 

ミアが、また消される…

 

エンデュランス(…嫌だ、それは…嫌なんだ…)

 

エンデュランス「嫌だ…嫌だ…!」

 

朔望(あかん…!このままやとエン様とやり合うことに…!)

 

朔望『こうなったら…しゃーないわなぁ!とりゃぁぁぁ!』

 

ミア「シャボン玉…?」

 

 

 

 

 

 

Θサーバー 蒼穹都市 ドル・ドナ

 

朔望「…っはぁ!…はぁ…あかん、危なかった…エン様!無事ですか!」

 

エンデュランス「……ここ、ドル・ドナ…?…ミアは…」

 

朔望「アレはAIDAです!AIDAが作り出した幻影です!」

 

エンデュランス「…キミは…朔…なんで…」

 

朔望「…なんや望の様子が最近おかしいなーおもて、ちょっと…少し調べたらまたThe・Worldがおかしぃになってんのがわかりましたわ…」

 

エンデュランス「……」

 

朔望「エン様、今何考えとりますか、まさかあのAIDAの事ですか」

 

エンデュランス「…放っておいて…構わないで」

 

朔望「構います!エン様のことやから!…あいつはAIDAです、近寄ったらあかん…!」

 

エンデュランス「…キミは、見たの」

 

朔望「…まあ、そりゃあ…」

 

エンデュランス「どんなキャラだった?」

 

朔望「…全身紫色で、黄色くて鋭い目で…ウサギみたいな耳した…女の獣人やと思いますけど…」

 

エンデュランス「…ミアだ、ミアなんだ…!アレは…」

 

朔望「ど阿呆!エン様話聞いてました!?アレはAIDAです!」

 

エンデュランス「だとしても…!」

 

朔望「エン様はあの獣人女と…えーと…ハセヲ!ハセヲとやったらどっちのが大切なんやっちゅー話です!もいっこいえば相手はAIDA!」

 

エンデュランス「…ハセヲは大事、だけど…」

 

朔望「…ハセヲはエン様のこと、一生懸命になって助けてくれた、エン様もハセヲには心開いたのに…今更出てきた猫にそんな簡単に心変わりするんか…」

 

エンデュランス「……」

 

朔望「エン様、あの変なキャラのことはウチらが調べます、エン様はしばらくログインせんといてください」

 

エンデュランス「…まさか、キミにそんなこと言われるなんてね」

 

朔望「…ウチは、折角納得したのに…それを引っ掻き回されたく無いだけです」

 

エンデュランス「わかった、今日はログアウトするよ…」

 

朔望「…また会えるの楽しみにしとります、それじゃあ…」

 

 

 

 

 

 

剣士(ブレイドユーザー) ミア

 

ミア「あーあ、行っちゃった…」

 

カイト「良かったの?何もしなくて」

 

ミア「エルクはもう僕を思い出した、例えそばに居なくても…それは変わらない、エルクのそばにはずっと僕の影がチラつく…他のことなんて何も考えられないくらい…そうだな、キミの腕輪みたいなものさ」

 

カイトの右腕を持ち上げて眺める

 

ミア「キミにはこの素敵な腕輪が見えないの?まあ、見えてなくてもそこにあるとわかっていれば…見えているのと同じだけどね」

 

 

 

 

 

 

 

Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス

重槍士 青葉

 

天津「青葉さんのスキルって確か最上位のやつでしょ?やり込んでるんだ…」

 

青葉「あ、あはは…その…司令官達について行くために…ちょっとだけ」

 

feb.「うーん、このゲーム、難しいのね…」

 

ミッチー「私、合ってないかも…」

 

青葉「私も最初はそんな感じでした…でも、やってたら綺麗な景色とかも合って、そういうのを探すのも楽しかったです…ほら、これ、シロタエギクの花…」

 

ミッチー「…確かに、可愛いかも」

 

天津(ゲームの花…あんまり私は興味湧かないな…)

 

青葉「たまに酷いプレイヤーもいたりしますけど、いい人もたくさんいるし…その、折角今日こうやって仲良くなれたんですし、続けて欲しいなって…」

 

ミッチー「…うん、また誘ってくれたらやりたい」

 

feb.「そうね、また…」

 

天津「じゃあ終わろうかな…」

 

青葉「お疲れ様でした」

 

3人がエフェクトに包まれてログアウトする

 

青葉「…私も…」

 

ωライス「聞きましたか?またキーオブザトワイライトを探す酔狂な人がいるらしいですよ」

 

青葉(キーオブザトワイライト?)

 

ωライス「なんでもハルって双剣士で、凄腕のPKもあっさり倒したとか」

 

柿大将「そうか、また虚言癖が出たか尻ライス」

 

ωライス「だ、か、ら!オムライスだって言ってるじゃ無いですかぁぁぁ!」

 

柿大将「尻ライスとしか読めん」

 

青葉(…キーオブザトワイライトを探してるハル…気になるかもしれない…)

 

ωライス「何でもブレグ・エポナでよく見かけられたそうですよ」

 

青葉「…行ってみよう」

 

 

 

 

Σサーバー 双天都市 ブレグ・エポナ

 

青葉「…誰かキーオブザトワイライトの事わかりそうな人…居ないかな」

 

ウィズ★ランディ「キミの問い掛けに応えよう、ネロ」

 

青葉「ね、ネロ?だ、誰?どこ?」

 

声はするのに姿は見えない…どこに…

 

ウィズ★ランディ「前を向く事、見上げることはいい事だネロ、しかし時には下を向く事で新たな発見もあるかもしれない…ネロよ」

 

その声に従い視線を下に送る

 

青葉「わっ!?」

 

二足で立つ小さなケモノ…

まんまるなフォルム、ウマみたいな鼻、そして瓶底メガネ…

 

青葉(ふしぎ可愛い…?というか…NPCだよね…?)

 

ウィズ★ランディ「そんなに見られては照れる、視界を太陽の方に向けることをお勧めするネロ」

 

青葉「そ、それより…キーオブザトワイライトって…」

 

八咫「The・Worldに眠る最大の謎、そしてどんな願いも叶う幻の鍵」

 

青葉「ひぃっ!?」

 

背後からの声に驚き飛びのく

 

色黒のインドあたりの僧呂のような男…

 

八咫「失礼、良ければキミの探し物について話があるのだが」

 

青葉「…へ?」

 

 

 

 

ギルド@ホーム レイヴン

 

八咫「あまり人前であの言葉を発さない方がいい」

 

青葉「…キーオブザトワイライト…」

 

八咫「悪目立ちし、笑われるだけだ」

 

青葉(…そっか、普通に考えれば御伽噺だもんね…)

 

八咫「キミが本当に知りたいのはハルというPCについて、だと考えているが」

 

青葉「!」

 

八咫「何故それを知っている…と言う顔をしているな」

 

リアルの顔に手が触れる

 

八咫「モニター越しでも想像がつく…すまない、言って見たかっただけだ、深く気にしないでくれ」

 

青葉「…あの、貴方は…」

 

八咫「情報通、と思っておいてくれ…ハルというプレイヤーだが、彼女自体は通常のプレイヤーだ、だがキーオブザトワイライトに強い執着を見せている」

 

青葉「……」

 

八咫「の理由は不明だがな…さて、キミに聞きたい事がある」

 

 

 

 

 

Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス

 

青葉「もし、キーオブザトワイライトを手に入れたら…かぁ」

 

青葉(キーオブザトワイライトが手に入ったら…深海棲艦のいない、平和な世界に…それでまたみんなと…)

 

桜草「よっ、こんなとこで会うなんて奇遇じゃねーの」

 

青葉「あ、えーと…サクラソウさん」

 

桜草「相変わらずしけたつらしてんなー、で?お前もアリーナか?」

 

青葉「いえ、私は…もう落ちるところで…」

 

桜草「ちぇっ、つまんねぇな…まあ良いや、またな!」

 

青葉「はい」

 

青葉(…またみんなで…でも、その"また"を望む人は何人いるんでしょうか…望んで無い人がいるのかもしれない…少なくとも、あの人が摩耶さんなら…どうなんだろう)




名前一覧
feb.→如月
ミッチー→満潮
天津→天津風
青葉→青葉
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。