元勇者提督   作:無し

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女神の像

Σサーバー 双天都市 ブレグ・エポナ

双剣士 カイト

 

空中に浮いた近代的な魔法都市、ブレグ・エポナ

 

楚良「んー…中々綺麗だし?良い感じの場所じゃな〜い?デートスポットにも向いてるかも、そう思わないかなぁ、勇者サマ」

 

カイト「…僕に、何の用があってここに呼び出したのか、早く教えて欲しいんですけど」

 

楚良「トレード」

 

カイト「…トレード…?」

 

ゲームのアイテムトレード画面が開き、次々にアイテムを放り込まれる

 

カイト「ま、待って、僕何も持ってない…」

 

楚良「持ってるじゃん、ほら、その初期装備のセット…早くトレードに応じて」

 

最低限のアイテムを詰め込む

 

カイト「こ、これしか…」

 

楚良「はい、成立〜…と」

 

カイト「こんなことのために…?」

 

楚良「本質を見ようとしましょう、貴方はそれを求められる立場にある」

 

カイト(…本質を見る?)

 

渡されたアイテムは装備品や回復アイテム、種類に決まりのない様々なアイテム…

 

カイト(…僕が見ることのできる本質、それは…)

 

今まで試したことのなかった手段

 

カイト「データドレイン」

 

アイテムへのデータドレイン

 

受け取ったアイテムをドレインで改変していく

 

楚良「アタリ」

 

カイト(…アイテム全部がデータを改変されてる…バグアイテム…いや、違う、コレ全部、何かの資料…それと、ネットスラムの…)

 

データを変換していく

 

楚良「行きますよ」

 

カイト「…わかった」

 

 

 

 

ネットスラム

 

楚良「ようこそ、と言うか何回も来てたかー…ここには」

 

カイト「…そうだね、何度も来てる…でも、こんな遠回しな…」

 

楚良「こうしないといけないんですよ」

 

カイト「キミは、春雨さん…なんだよね」

 

楚良「…ま、それでいいです…でも、楚良って呼んでください、私はこの世界では楚良なんですよ」

 

カイト「楚良、か…」

 

楚良「あ、名前の由来知りたいですか?松尾芭蕉の弟子、河合曾良が元ネタです、ちなみに…えっと…楚良じゃなくて……三崎司令官だ、三崎司令官のキャラは松尾芭蕉の下の名前をはせをと読んでハセヲ」 

 

カイト「……」

 

楚良「あーはいはい、本題ですね…さっき送ったデータもちゃんと確認してくださいね…あ、はい、どうぞコレ」

 

カイト「ありがとう」

 

艦娘システムの使用者の身体はどんどんAIDAへと置き換わっていく

それはより過酷な戦闘を強いられれば強いられるほどそうなる

 

カイト「…コレを調べたのは…」

 

楚良「今はお答えできません」

 

カイト「……」

 

楚良「グリーマレーヴ大聖堂、今あそこには失われた女神の像があります」

 

カイト「…失われた女神の像…アウラの像が?」

 

楚良「R:2に変わる時に消失したアウラが戻ってきた…と考えるか…それともあれは誰かが残したメッセージか」

 

カイト「……」

 

楚良「このAIDAの蔓延る世界、必要なのは神か、勇者か…どう思います?そこの不可視モード使った侵入者さん」

 

「…っ…」

 

楚良の両手の籠手から刃が飛び出し双剣になる

 

楚良「…この武器、実は超のつくイリーガル品…もしキルされたらリアルにも影響ある…カ、モ?」

 

何も無い空間に転送エフェクトが現れる

 

楚良「警告はしたって言うのに」

 

楚良が空間を斬りつける

 

「がああっ!」

 

全身が真っ黒の細身のキャラクターが現れ、斃れる

 

カイト「さっきの転送音は…ブラフ?」

 

楚良「そゆこと、まあ会話はほとんど聞かれてないので御心配なく…システム管理者のようですが、何ともまあお粗末な」

 

カイト「…何でいるのが…」

 

欅「此処はネットスラム、そしてネットスラムは…The・WorldであってThe・Worldではない、The・Worldの中なら通用する手段が此処では通用しません」

 

カイト「…ヘルバ?」

 

欅「欅って呼んでくださいね、カイトさん!」

 

欅の頭から生えたツノが顔に突き刺さるほど近づいてくる

 

カイト「わ…わかった…」

 

楚良「確かに、一見完全に姿が隠れているようには見えましたよ…でも、実はそうじゃ無い…こちらの欅さんがリアルタイムな情報を送ってくれてましたから」

 

欅「ネットスラムに居る以上、僕の目は誤魔化せませんから!」

 

楚良「アイテムの中身、ちゃ〜んと確認しておくように!」

 

カイト(…渡されたアイテムを変換したらエリアワードや艦娘システムについての資料が出てきた、これはリアルで書類にしておこう)

 

カイト「…あ」

 

青葉[Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域でお待ちしています]

 

青葉からのショートメールが画面に表示される

 

欅「どうかしましたか?」

 

カイト「…行かなきゃいけない場所ができた、また来るよ」

 

楚良「バイバーイ」

 

欅「またきてくださいね」

 

 

 

 

 

Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域 

ロストグラウンド グリーマ・レーヴ大聖堂

 

聖堂の扉を開け、中に入る

 

青葉「お待ちしてました」

 

女神像の前に佇む槍を携えた重槍士

 

カイト「青葉、君は今どこに…」

 

青葉「…言えません、私の手は…いえ、もうこのくらいまで…両手が白く染まってるんです」

 

手首を押さえる仕草を見せる

 

カイト「…ヘルバ達を頼ることができればきっと…それに僕のデータドレインでも…!」

 

青葉「……」

 

カイト「青葉、話を聞いてよ…」

 

青葉「私、今すごく寂しいです、辛くて、苦しくて…」

 

カイト「君を助けるために来たんだ」

 

青葉「今の私は誰にも助けられません」

 

カイト「そんな事…まだ試してもないのに」

 

青葉「試したって、失敗して辛くなるだけなんですよ…」

 

聖堂の扉が音を立てて開く

 

アルビレオ「…居たな、そこの重槍士と双剣士、聞きたい事がある」

 

色黒の青年の重槍士…

だけど違和感が…

 

カイト「…R:1の、キャラ…?」

 

アルビレオ「…カイト…そのエディット…どうやら本物らしいな、そして青葉…成る程、宿毛湾の方か」

 

青葉「いきなり出てきて、何を…」

 

アルビレオ「お前に聞きたいことがある、秋雲に何があったのか、そして何故お前は意識不明になっていないのか」

 

青葉「…何で、そのことを…」

 

海斗(この声、それに秋雲…そうか、この人は度会さんだ…)

 

アルビレオ「そして、あの場にいた全員をキルしたカイト、お前にも聞きたい事がある」

 

槍の先がこちらに向く

 

カイト「それは、誤解です…」

 

アルビレオ「なら、何があったのか教えてもらおう」

 

カイト「確かに事件の時に青葉やぴろし3をキルしたのはカイトだけど、それは僕じゃ無い、カイトというキャラクターが他にいるんです」

 

アルビレオ「何を言っている…仕様上同じ名前のキャラクターは作成できない、そんな言い訳が通用すると思うか」

 

カイト「…どう言えば…」

 

青葉「私が説明します」

 

アルビレオ「…そうしてもらおう、被害者の意見の方がまだ信用できる」

 

青葉「まず、私が意識不明にならなかった理由ですが…私はAIDAによる汚染が軽度のものだったからです」

 

カイト(軽度…?)

 

青葉「AIDAにも種類があります、私たち艦娘は戦闘を重ねれば重ねるほどAIDAによる汚染が酷くなる…私は戦えない状態に陥った事や他の人に比べて出撃が少なかったお陰でAIDAの侵食がそこまで酷くなかったんです」

 

アルビレオ「だから助かった?」

 

青葉「ええ、でも別のAIDAに今は苦しめられています…いえ、話が逸れました、次に2人のカイトについてです」

 

アルビレオ「本当に別の存在なのか」

 

青葉「AIDAには擬態する能力があります…司令官、お気付きですか、自信がAIDA感染者である事に」

 

カイト「…うん、でも僕はもうデータドレインで…」

 

青葉「なら…きっと消滅したでしょう、司令官の中にあるAIDAは僅かな欠片しか残ってなかったんだと思います」

 

カイト「…じゃあ、本体はあのカイト…」

 

青葉「はい、本体を移して、このThe・Worldで暴れているカイトが本体だと思います…」

 

アルビレオ「…成る程な、どうやら本当に別の存在ということか……秋雲を救う手段はわかるか」

 

青葉「…その本体を消す事ができれば…それか、キーオブザトワイライトを…」

 

カイト「青葉、君はキーオブザトワイライトを探したいって言ってたよね…それはどうして?」

 

青葉「…深海棲艦も、艦娘も…みんなが苦しむ理由はAIDAです、何でも願いが叶うなら…そんなもの全て消して欲しい…」

 

カイト「青葉…」

 

青葉「私の身体はどんどん白く染まっていきます、深海棲艦とは違うのに、深海棲艦になっていきます…私はもう戻れないんです!」

 

アルビレオ「深海棲艦になる、とは…どういう意味だ」

 

青葉「…原因は一切不明ですけど…私は身体に特殊なAIDAを埋め込まれました…今まで体に残っていたAIDAは消滅した代わりに別のAIDAに感染したんです」

 

カイト「…そのAIDAと今までのAIDAは何が違うのか、わかる?」

 

青葉「…わかりません、リアルにこんなに影響が出るなんて…」

 

カイト「ヘルバに調べてもらおう、そうすれば…」

 

青葉「もし私が暴走してヘルバさんに危害を加えたら?」

 

カイト「そんなことを言っても何も始まらないよ…」

 

青葉「司令官、ぴろし3という方は目を覚ますことが出来ました…でも、次も、という保証はありません」

 

カイト「…だけどこのままじゃ君は…」

 

青葉「…私は、心配ありませんから…誰かに迷惑をかけたくないんです…」

 

カイト「今の君にとって1人で居るよりみんなでいた方が…!」

 

青葉「司令官、もう私の状態はバレてるんです、加賀さんを通して」

 

カイト「…それ、は…」

 

青葉「司令官、貴方は宿毛湾泊地を預かる人です、私1人に構っていてはいけないんですよ」

 

カイト「…だとしても、誰かを見捨てるようなやり方は…」

 

青葉「必要であるなら、そうすべきなんです…でも、もし勝手な事をした私を許してくれるなら…また私と一緒にゲームをしてくださいね」

 

カイト「…それが、君を助ける事になるのなら」

 

青葉「司令官、今日私が司令官を此処に呼んだのは、この像を見て欲しかったからです」

 

赤い三角形の傷痕が残る台座に鎮座する女神の像

もう消える事を許さないとばかりにその像に絡みつく鎖

 

カイト(…アウラ)

 

青葉「この像は最近までこの台座から消失していたんです、でも、何故か戻ってきた…その理由は誰も知らないそうです」

 

カイト「……」

 

青葉「女神様は、私を助けてくれるでしょうか?」

 

カイト「…わからない」

 

アルビレオ「助けを求めてるのは…かつての勇者か、女神の方か」

 

カイト(もし、アウラが助けを求めていても…僕は君の役に立てるのかな…)

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