元勇者提督 作:無し
Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域
ロストグラウンド グリーマ・レーヴ大聖堂
拳闘士 ボーロ
ボーロ「……あれ、何で私ここに…」
最後の記憶は、満潮達に看病されて…それで、つきっぱなしのパソコンを見つけて…
ボーロ「…そのままログインした…?にしても、なんか変な感じ…」
聖堂を見渡す
ボーロ「…何、この像」
聖堂の最奥、台座の上に鎮座する一つの石像…
精巧で、綺麗な…
ボーロ(…ああ、確か女神アウラの…でも、このバージョンでは存在しないんじゃ…アプデでも入ったのかな?)
ぼーっと像を眺める
後方から聖堂の扉が開く音がする
天津「あれ、先客がいる…」
ミッチー「本当だ、ロストグラウンドに誰かいるなんて珍しいんじゃない?」
チャットログに視線を落とす
ボーロ(2人か…PKじゃ無さそうだし…まあ、気にしなくてもいいかな…)
ミッチー「ここならみんなで来てみたいかも、朝潮姉さん達も喜ぶかなぁ…」
天津「島風に教えてもらったんだけど、ここでいろんなことがあったらしいの、みんなを連れてくる前に調べてから来てみない?」
ボーロ(…まさか、ウチの泊地の…満潮と…天津って天津風なのかなぁ…声かけたほうがいいかな、よその子なら…うーん…)
ミッチー「…あれ?あの人の名前、ボーロだって…」
天津「それがどうかしたの?」
ミッチー「いや、漣が朧の事ボーロボーロってよく呼んでるから…まあ、まさかねぇ」
天津「聞いてみたら?」
ボーロ(そのまさかだし、聞かれても困るんだよね…AFKのフリしよう)
ミッチー「…おーい、もしもーし?」
ミッチーがすぐそばまで来てから手を振るエモートを繰り返す
ミッチー「無視されてるんだけど!何コイツ…」
天津「無視は酷いんじゃない?」
ボーロ(…あー…AFK知らないのかな…無視してるのは事実だけど…あれ?)
オークラ「多分その子AFKしてるよ」
ミッチー「えーえふけー?」
オークラ「アウェイフロムキーボード、離席って事」
ミッチー「へー、離席かー」
天津「無視じゃなかったわけね」
オークラ「とこらでさ、もしかして艦娘?」
ミッチー「何でわかって…」
オークラ「朝潮とか島風とか、艦名だしね、それに宿毛湾の子達でしょ!」
ミッチー「そこまでわかるの!?」
オークラ「だって私も佐世保だしさ、関わりある子じゃなくても宿毛湾の島風位になると有名じゃん?」
ボーロ(佐世保…オークラ……オータムクラウドで秋雲かな)
天津「そう…島風って凄いんだ…」
オークラ「凄い凄い、そんじょそこらのじゃ束になっても敵わないって」
天津「そ、そうよね!」
ミッチー「ところでアンタは佐世保の誰なの?」
オークラ「秋雲、会ったことないかな、よろしくね」
ボーロ(やっぱ秋雲なんだ…)
ミッチー「満潮よ、よろしく」
天津「天津風、よろしく」
オークラ「うんうん、仲良くしようねぇ…ん?」
聖堂が震えているような感覚…
ミッチー「地震!?」
天津「ゲームでしょ?…まさかリアルで地震!?」
オークラ「…早く落ちたほうがいいよ、2人とも」
ミッチー「そうね!また!」
天津「じゃあね!」
2人分の転送音が聞こえる
オークラ「…巻き込まれたく無いなら早く落ちたほうがいいよ、朧」
ボーロ「ねぇ、コレ何が起きて…」
振り返って最初に見えたのは棺
青い炎に包まれた、宙に浮かんだ棺…
ボーロ(…中のPC…提督のカイト…いや、違う……確か名前は…)
オークラ「三爪痕、または…追跡者、そう呼ばれてる」
ボーロ「追跡者…って追われてるの…?」
オークラ「そう言うこと、じゃー秋雲さんは逃げるか」
オークラが転送エフェクトに包まれると同時に棺が弾け飛ぶ
ボーロ「うわっ!?」
金属が弾け飛び、硬い何かにぶつかる音が響く
蒼い炎が周囲に飛び散り中から三爪痕が聖堂の床に降り立つ
ボーロ(ろ、ログアウトしなきゃ……あ、れ…)
ようやくここで異変に気づいた、リアルの私は何処にいるのか…
ボーロ(…待って、画面の端は?モニターは何処に…)
リアルの手を動かそうとすればゲームの私の手が動く
立ち上がろうとしても私の足腰がガタガタ震えるだけ…
三爪痕が此方を向く
ボーロ「っ…!」
生気のない幽鬼の目に睨まれ思わず尻餅をつく
ボーロ(え…)
肌に伝わる感覚…
脳が異変を伝えてくる
ボーロ(ゆ、床に…触ってる…この感触…間違いなく石でできて…それだけじゃ無い、炎の熱さも感じる…!)
三爪痕「……」
コツ、コツと三爪痕が此方に歩み寄る
ボーロ(前の世界じゃ敵じゃなかった、だけど…どうなって…まさか殺されるんじゃ…今の状態で殺されたら…どうなるの…?)
三爪痕の右手首が明滅する
ボーロ(腕輪…!まさか、データドレイン…)
予想は正しかったのか、三爪痕の右腕は持ち上がり、此方をしっかりと捉える
ボーロ(…やだ、嫌だ…!)
三爪痕「っ……!」
派手な光のエフェクトともに三爪痕の体が揺れる
カイト「朧!こっちだ!」
聖堂の扉の前のカイトがこちらへと呼びかける
ボーロ「て、提督…?何でここに…」
立ち上がろうとした所を三爪痕が手で制する
三爪痕「…ク……ア"…ア"ァ"…!」
カイト「三爪痕、朧を解放するんだ」
カイトが双剣を取り出し、構える
カイト「隙を見てタウンに逃げるんだ!」
ボーロ(隙を見てって…)
三爪痕はカイトの攻撃を全て片手で受け止め、炎で吹き飛ばす
ボーロ(動いたら巻き込まれかねない…いや、絶対チャンスが…!)
カイト「オラジュゾット!」
聖堂の床を破り木が隆起する
ボーロ「うわっ」
カイト「今だ!」
その声に反応して駆け出す
目指すは聖堂の扉の先、タウンへ繋がるプラットホーム
三爪痕「ダ…メ、ダ…!」
ボーロ(しゃべっ…!?)
三爪痕が周囲の木を全て切り刻み、此方へと飛んでくる
カイト「朧!」
カイトが伸ばした手に私も手を伸ばす
ボーロ(とど…)
伸ばした手を掴まれた感覚…
そして視界一杯に広がる幽鬼の炎
三爪痕「……ヨ…カッ…」
眩い光に意識ごと遮られる
斬刀士 エンデュランス
エンデュランス「これは…!」
AIDAの反応があった場所
グリーマレーヴ大聖堂
聖堂の中には二つの死体と未だ戦っている2人
三爪痕「ク…ビ……ア"…ア"ァ"ァ"!!」
カイト「夢幻操武!!」
二つの蒼い炎がぶつかり合う
エンデュランス(…カイトと三爪痕が何故…この死体…三爪痕の取り巻きの騎士…?)
三爪痕の斬撃でカイトが弾き飛ばされる
三爪痕「…データ…ドレ、イン…!」
エンデュランス(三爪痕が喋って…)
カイト「く…!」
光の矢がカイトを貫く
カイト「あああああああっ!!」
エンデュランス「データドレインを…本当に…?三爪痕は何で…」
わからない、何が起きてるのかわからない…
データドレインを受けたカイトはその場に崩れ落ち、消滅を始める
三爪痕「……」
エンデュランス「三爪痕…キミが、喋れるのなら…なぜこんな事を…」
三爪痕が消えかかったカイトに指を指す
三爪痕「クビ、ア」
エンデュランス「クビア…?クビア、そんな、まさか…」
クビア、反存在
この世界を滅ぼしかねない、最大の敵
それがカイトだった…?
エンデュランス(いや、違う…カイトはこの世界に2人いる…まさか…)
カイトが消滅する
エンデュランス「カイトの事を模したAIDAは…クビアだった…?」
三爪痕「………」
三爪痕が炎に包まれる
エンデュランス「…この世界は、どうなって…っ?」
サーバーエラーのメッセージと共に、ボクのPCは強制ログアウトさせられた
管理者ルーム
数見
カイト「あー…しっ……した」
カイトのPCボディはどろどろに溶けたように
そして露出した面からは真っ黒な姿が覗いている
数見「どうやら音声データが欠落しているらしいですね
カイト「そ…く…る?」
数見「…いいでしょう」
再誕の因子を手渡す
Cubia「……」
カイトの姿が完全に消え失せ、藍色の衣装の双剣士となる
Cubia「なかなか悪く無い…」
数見「コレで協力してくれると言う事で」
Cubia「元から協力するって話だったじゃ無いか、だけど、残念だったなぁ…せっかく自力でダミー因子を手に入れるチャンスだったのに」
数見「……」
Cubia「女神の騎士の方もヤバい強さになってるし…このままじゃちょっとばかり苦しいかもしれない、時間までは逃げ続けるよ」
数見「RA計画には間に合わせてください」
Cubia「わかってる、第四相のダミー因子は?」
数見「ここに」
Cubia「1人で2つ?欲張りだなぁ」
数見「……女神アウラは…我々の財産です、先日のミサイルの件も含め、あの寝惚けた女神をこの世界に呼び戻し、我々の物とする…」
Cubia「それがRA計画…成る程」
数見「必ず、成功させる」
艦娘PC名リスト
ボーロ→朧
ミッチー→満潮
天津→天津風
オークラ→秋雲