元勇者提督   作:無し

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再誕

The・World

Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ

倉持海斗

 

海斗「これは…リアルデジタライズ…!」

 

生身の身体をネットの中に取り込まれた

ネットの中で今の何の力もない自分では何もできない

 

海斗(最悪だ、なんでこんな事を…!)

 

Cubia「いつまで立っても君はボクに会いに来なかったからさ、ボクから会いに行ったんだ…君にも見せてあげたかったよ、ブラックローズ達の死に様を…キミの姿で会ったんだ、信じた相手に背中を斬られて…悔しかっただろうねぇ…」

 

目の前の少年の姿をした化け物は可笑しそうにケラケラと笑ってみせる

 

海斗「なんでそんな事を!」

 

Cubia「なんでって…わかりきってるだろう?君たちがボクを殺したんだ!だから復讐されるなんて当たり前だろう!?」

 

海斗「…それは…!」

 

Cubia「ボクは君たちと共に消える反存在じゃない!ボクだって生きてるんだ…!だから、キミは此処で…」

 

海斗「……待って、まさか…」

 

Cubia「今更気づいたのかい?ボクはもう腕輪の反存在じゃない…キミ自身が行使した力の反存在、キミ自身の反存在だ…!」

 

つまり、Cubiaはこの世界を生み出した事で現れた存在…

そして、僕自身の反存在

たとえ腕輪を壊そうと、カイトのPCボディを壊そうと…消えたりしない

 

Cubia「わかりやすいだろう?キミが生きている限りボクは生きていられる、それに…この世界ならキミを一方的に消すこともできる」

 

海斗「…そうか、認知外依存症…」

 

Cubia「ああそうさ、キミが物知りなようにボクも物知りなんだ、例え君がネットの一部になったとして…元からAIであるボクにはなんの影響もないしね…!」

 

海斗「…恨むなら僕だけを恨めば良い、みんなを巻き込む事なんか…」

 

Cubia「いいや?ボクは最初はキミの腕輪の反存在として生まれた、そしてキミはブラックローズにボクを殺させた…キミとブラックローズが、じゃない…キミ達が、全員が許せない」

 

海斗「……」

 

Cubia「ボクは全てを壊すよ、キミ達の帰る場所も、友達も、家族も、全部…それが1番苦痛を与えられるだろう?」

 

海斗「…クビア…!」

 

Cubia「どうしたんだい?カイト、まさか今のキミが何かできるとでも言うのかな、冗談も休み休みにしなよ」

 

海斗「クビアァァァッ!!」

 

生身の身体でクビアに掴みかかる

 

Cubia「ほら、馬鹿だな人間は、だから嫌いなんだ、友情だの愛情だの下らない感情で動く…下らない生き物だ」

 

海斗「ぁが…」

 

身体が、動かない

視線すらも動かせない

まるで石化するような感覚

 

Cubia「簡単に感情を揺さぶれてよかった…簡単にAIDAを感染させられたおかげで、キミはボクの思いのままだ」

 

海斗「…な…!」

 

Cubia「わかるだろう?人間を取り込んだとして、好き勝手するには構成してる物を取り替える必要があるんだ、いくら電子が分子の一部だったとしてもね…つまり、キミは今AIDAで構成されているんだよ」

 

海斗(…ダメだ、もう何もできない…!)

 

Cubia「キミがネットの世界に霧散したらボクだって消えるに決まってるだろう?だからキミをこうやって"固定"する事にしたよ、オブジェクトとしてね…まあ、ボクもこれに力を使いすぎたし…一休みするけど……キミは、永遠にそこで生きてボクを生かすんだ」

 

海斗(そんな、ダメだ、みんなを助けなきゃいけない、帰らなきゃいけない…!)

 

Cubia「女神は時計塔に引き籠ったし、この世界にアクセスできる奴は今はいない…誰もお前を助けには来ないよ」

 

その言葉の通り

抵抗すら許されず、世界に僕は囚われた

 

 

 

 

Cubia「残念だったね、カイト…黄昏の世界を救った英雄さん……っ…少し、僕も力を使いすぎたかな…」

 

 

 

 

 

海斗(…何も感じ取れない、だけど、思考だけはできるのか…)

 

クビアの狙い通りだろうか

臓器まで石化させて万が一殺しては困ると考えたのか…

 

海斗(…なんとか、できないかな…ゲームならこういう時誰かが助けに来るか、抜け出せるアイテムが…)

 

しかし、そうは言ってもまず指先すら動かせないのでは何も始まらない

頼れるのは前者だろうがそれすらも不可能だろう

 

海斗(…アウラなら…いや、それも難しいかな…あれ?)

 

石になった肌に何かが触れる感覚

 

海斗(誰かがいる…!)

 

身体がぐらりと揺れ、後方に倒れる

何かが割れる音ともに身体が急に自由になる

 

海斗「うわっ…!」

 

敷波「……うわ、本当に司令官だ…」

 

海斗「…敷、波…?」

 

ヘルバ「私も居るわよ」

 

海斗「ヘルバ…!2人とも…な、なんでここに…?」

 

敷波「…えっと、死んだから…?」

 

ヘルバ「ハッキングしたからかしら」

 

海斗「…ちょっと待って、順番に…」

 

ヘルバ「まずは私ね、The・World R:Xについては?」

 

海斗「The・Worldの新バージョン、だよね…」

 

ヘルバ「そう、そのワールドデータにアクセスしたの、微弱なAIDA反応が有ったから…それが貴方から…正確には、貴方を覆った石から検出された」

 

ヘルバが持ち上げた石のかけらが砂のように溶けて消える

 

ヘルバ「…良かったわね、カイト、あなたは感染してないようで」

 

海斗「…いや、クビアに感染させられた」

 

ヘルバ「それでも反応は検知できないわ、人間の身体にAIDAを直接感染させるなんて何の媒体もなしには難しいと思うけど」

 

海斗「…じゃあ、あれは…ブラフ…?」

 

ヘルバ「…正確には違うかもしれない、AIDAは人の黒い感情、憎しみや怒りは勿論恐怖や不安すらも増大化させる…貴方がもしその薄暗い感情を寄せ付けなかったなら感染を跳ね除けた可能性もある」

 

海斗「…そう、なのかな…」

 

ヘルバ「…それと、これはバックアップだけど」

 

ヘルバが杖をこちらに向ける

 

敷波「うわ、それどうなってんの…?」

 

ヘルバ「ここはネットよ、このくらい簡単なモノ」

 

カイト「ヘルバ、何をしたの…?」

 

ヘルバ「自分の姿を良く見なさい」

 

カイト「……あ、あれ?これ…ゲームの…」

 

ヘルバ「ゲームの中なら、ゲームの姿をするべきでしょう?」

 

カイト「…ありがとう、ヘルバ」

 

ヘルバ「どういたしまして、さあ、次はそっちの子ね」

 

敷波「…まあ、アタシは…此処が死後の世界だと思ってたっていうか…」

 

カイト「どういう意味?」

 

敷波「……殺されたんだよね、記憶を取り戻した綾姉ぇに…」

 

ヘルバ「綾波に?」

 

カイト「…そう、か…それは…」

 

敷波「あー…あはは、まあ気にしないでよ、それより司令官、遅くなったけどおめでとー」

 

カイト「え?」

 

敷波「作戦の成功、あれ司令官のやつなんでしょ?」

 

カイト「…そっか、成功したんだ…良かった」

 

きっと、誰か犠牲になることも無かったはずだ

 

敷波「…あれ?なんで司令官…待って、成功した事知らなかった…?」

 

カイト「え、うん…」

 

敷波「…司令官、作戦…終わってからもう2週間経ってるよ…」

 

カイト「…え?」

 

ヘルバ「…どうやら、問題はまだ増えるみたいね」

 

あの作戦の日から、もう2週間が…つまり、僕は2週間も石の中で…

 

カイト「……待って、今の僕はどうなってるの?」

 

敷波「どうって…ネットの中に…」

 

カイト「そうじゃない、リアルで僕は…」

 

ヘルバ「行方不明にはなっていない…最前線で指揮をしてる事になるんじゃないかしら」

 

カイト(曙達がうまくやってくれてる…のかな…)

 

ヘルバ「…あの子達には私が伝えられるように手配するわ、だから…」

 

敷波「うわっ!?」

 

敷波が急に現れた空間の裂け目に引き摺り込まれる

 

カイト「敷波!」

 

敷波を吸い込んだ瞬間、その裂け目が閉じる

 

駆逐棲姫「ん〜…ちゃんと殺したつもりだったのになぁ…」

 

カイト「…綾波…」

 

ヘルバ「…随分と姿が変わったのね」

 

駆逐棲姫「あはァ…お久しぶりですねぇ…」

 

カイト「敷波に…何をしたの…」

 

駆逐棲姫「さぁ?私もこの世界を好きに操れるわけじゃないですから、でも見つけたら一応ね…」

 

カイト「…これ以上やるなら、僕はキミを止めなきゃならない」

 

双剣を構える

 

駆逐棲姫「そうですか、じゃあ私はこれで…だって此処は私のテリトリーじゃありませんから」

 

ヘルバ「……貴方もなのね」

 

駆逐棲姫「リアルデジタライズ学とやらは…正直使い道がありそうですね、それでは」

 

綾波がエフェクト共に消える

 

カイト「……」

 

ヘルバ「…カイト、次会った時は迷いなく戦いなさい」

 

カイト「できれば、そうしたくはないけどね」

 

ヘルバ「…再び、The・Worldに勇者が帰ってきた」

 

カイト「……今の僕に、何ができるのかな」

 

 

 

 

 

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