元勇者提督   作:無し

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横暴

フランス ディジョン

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「んー、この煮込み、美味しいですねぇ…ワインによく合う…とても素敵です♪」

 

口内の咀嚼物をワインで流し込み、あたりを見渡す

 

駆逐棲姫「…ふふ、絶景ですねぇ…どうですか?貴方もそうは思いませんか?」

 

リシュリュー「……外道…!」

 

駆逐棲姫「貴方達のシステムは完全に掌握しました、そもそも…私が作ったもので私と戦おうなんて、本当に頭が悪いですよ?」

 

リシュリュー「…すぐにEUの連合国が…ここを攻撃するわ!」

 

駆逐棲姫「…もしかして、あれのこと言ってます?」

 

上空に見える複数の飛翔物

性懲りも無くまたミサイルを打ったらしい

 

リシュリュー「貴方は私ごとここで…!」

 

駆逐棲姫「あーはいはい、そういうのいいですから」

 

ミサイルが空中で全て爆散する

 

リシュリュー「そんな…」

 

駆逐棲姫「…んー……風で料理に埃が舞いましたね、不衛生なものは食べたくないんですよ」

 

皿を床にひっくり返す

 

駆逐棲姫「で?貴方は私ごとここで?なんですか?」

 

リシュリュー「っ……」

 

駆逐棲姫「…おや…あれはトーネードですか?それともラファール?」

 

東の空から飛来する戦闘機…おそらくドイツのトーネードか

 

駆逐棲姫「うーん…」

 

航空機が急降下し墜落する

 

駆逐棲姫「トーネードだったみたいですねぇ…」

 

リシュリュー「…こんな…事って…」

 

駆逐棲姫「ま、陸地だからって…たった1人に舐めてかかった方が悪いんですよ…私はただ食事に来ただけなんですから…」

 

改めてあたりを見渡す

兵士の死体、炎上した戦車や装甲車

航空機が突っ込み崩れた建物

 

駆逐棲姫「害意は無かったのに…ねぇ?」

 

リシュリュー「どこが…!」

 

駆逐棲姫「先に仕掛けたのは貴方達じゃないですか、私は食事をして、お金も払って帰るつもりだったのに…貴方達のせいでこのお店の人達まで犠牲になってしまった…まあ、撃ったのは軍人さんであって私じゃないですけどね?」

 

席を立ち、リシュリューの前に立つ

 

駆逐棲姫「ああ、なんて不幸な私…そして、それに巻き込まれた方々はもっと不幸だ…貴方のせいで」

 

リシュリュー「…違う…!」

 

駆逐棲姫「何も違いませんよ、そしてそんな貴方には…これをプレゼント」

 

リシュリューの頭に触れる

 

リシュリュー「ぁ…?」

 

駆逐棲姫「……うーん…きっと気に入ってくれると思いますよ…ふふっ」

 

財布からユーロを取り出して机に置く

 

駆逐棲姫「では、au revoir」

 

 

 

 

 

 

東京

戦艦 レ級

 

レ級「…ま、人探しなんて無茶よね」

 

朧「曽我部隆二…リアルデジタライズについてドイツの大学で研究してた記録はあるけど、そこをやめてからの記録が一切ない…」

 

レ級「ついでに見つけて帰れればと思ったけど…流石に無理ね、どうする?」

 

朧「…ここで帰るのは簡単だけど…」

 

朧(曽我部隆二って人を見つければ、きっと提督を助けられる、だけど…最後に居たとされる場所はドイツ、そこからの足取りは一切不明…どうすれば良いんだろう)

 

レ級「見つけるのは無理に近いわね、帰りましょうか」

 

朧「……そうだね、やらなきゃいけない事多すぎるし」

 

レ級「…ねぇ、朧」

 

朧「何?」

 

レ級「……私は、この力を失くしたくない…この先…深海棲艦の力を失わず、人として生きていけるのかしら」

 

朧「曙は周りより少し賢くて、力の使い方もわかってる…それは私は知ってる、だけど…他のみんなは知らないんだよ、自分より強い相手、賢い相手っていうのは…殆どの場合、恐怖の対象でしかない」

 

レ級「……でしょうね、人の心を持った深海棲艦…受け入れられるわけもないか」

 

朧「…アタシは、少なくともアタシ達は、受け入れてる」

 

レ級「……帰りましょう」

 

 

 

 

横須賀鎮守府 応接室

駆逐艦 島風

 

島風「…あれ」

 

秋津洲「どーも」

 

…帰るまでの時間潰しに借りてた部屋なのに、それに何故佐世保の人間がここに…

 

島風「……どうも」

 

秋津洲「スイッチ、壊れたかも?」

 

島風「…うん、でも、もう要らない…私は、あんなものに頼らない」

 

秋津洲(思ってたより依存してなかった…?精神力が強いのか、それともやはりスイッチの効果が弱かった?)

 

秋津洲「…まあ、今日はスイッチなんてなんでもいいかも」

 

手首を掴まれる

 

島風「え…」

 

秋津洲「…あげる、使いたい時に使えば良い…かも」

 

島風「こ、これ…!あの籠手…!」

 

秋津洲「……今は動作してない、暴走は引き起こさないかも…でも、望めばそれは真の力を見せる」

 

島風「…っ……私は、こんなものに…!」

 

秋津洲「戦闘ログ、見た…相手を寄せ付けない強さ、それを使えば誰よりも強くなれる」

 

島風「違う!これは守る力じゃない…!」

 

秋津洲「…それは使い方次第かも」

 

島風「っ……」

 

秋津洲「どんなに強い力でも、使い手の気持ち一つで破壊の道具から何かを守る盾にすることも出来る……破壊の為に生まれたものが破壊の為にしか使えないとは限らない…かも」

 

島風「…だけど…」

 

秋津洲「……それはもうそっちの物、好きな時に使えばいいかも」

 

島風「……こんなもの」

 

取り外そうとした瞬間、黒い霧になり、身体へと吸い込まれる

 

島風「っ…!」

 

島風(…身体の中に…どうすれば取り出せるの…?)

 

朧「島風」

 

島風「っ!?」

 

部屋の扉が開き、2人が入ってくる

 

レ級「帰りますよ」

 

朧「…島風、どうかした?」

 

島風「……」

 

島風(言わなきゃ、言わないと…)

 

レ級「…大鳳さんは?」

 

朧「多分ボート…ねぇ、島風?」

 

島風「え?」

 

朧「…大丈夫?調子悪い?」

 

島風「…そんな事…ない」

 

朧「……無理しないでね、早く帰ろう」

 

島風「うん…」

 

 

 

 

 

離島鎮守府 執務室

提督代理 朧

 

曙「じゃあ、その騒ぎで有耶無耶になったわけね」

 

朧「…まあね…でも、これでうまく物事が進むとは限らないよ」

 

レ級「……」

 

漣「ボーノ…?」

 

潮「寝てる…」

 

朧「…深海棲艦の群れに…暴走した島風、それがなくても最近大変だったし…疲れが出ちゃったんじゃないかな」

 

曙「……ま、コイツの分もあたしらが働いてやるとしますか」

 

漣「…何をするつもりで」

 

曙「え?何って……朧、コイツの仕事って何?」

 

朧「…事務作業の手伝いとか、資材の管理をしようにも正確な計測が終わってないし…ほら」

 

バインダーに挟まれた紙とペンを渡す

 

曙「…白紙なんだけど?」

 

朧「各種資材の計測よろしく」

 

漣「……うぃーす」

 

潮「が、がんばろ?」

 

曙「…最悪ね」

 

3人を見送り、ソファで眠りこける妹に視線を送る

 

朧(…アタシがここのトップじゃ正常な動作、してないよね…なんで曙はアタシに任せたんだろ…曙が言い出した事だからみんな何も言わないけど)

 

朧「……自信、ないなぁ…」

 

執務用の椅子は硬いのに、どこか眠気を誘う

 

朧「…ふぁ……」

 

すごく、体が重くて、眠くて…

 

朧(…アタシ、どうしたら良いんだろ……)

 

 

 

ぼんやりと見える景色

決してそこに行った事があるわけじゃない、だけど…

どこか懐かしくて、知っている  

 

朧(…何処だろう、ここ…)

 

壊れた、街

現実じゃない、ゲームの中みたいな…

ところどころが剥き出しになったような赤い斑点

 

朧(…これは、カオスゲート…?でも、R:2(リビジョン2)の物じゃない…ここは、まさかR:1…?)

 

目の前に誰かが転送されてくる

ずんぐりむっくりの緑色の大きなキャラクターが視界を埋め尽くす

 

びろし「やあ、良い目をした君、また会ったね!」

 

朧(え、話しかけてきて……喋れない…?)

 

ぴろし「実は……とっておきの情報があるのだが、一緒に冒険するという条件付きで、教えてあげなくもない…どうする?」

 

カイト「別に…いいや」

 

朧(うわっ!?…提督の声が真後ろからした…でも、振り向けない……そうだ、前にこんな感じの夢を見たことがあるような…)

 

ぴろし「そうだろうそうだろう、聞きたいか!そうこなくてはイカンな!旅は道連れ世は情け、だものな」

 

カイト「ま、また勝手に…」

 

朧(ここまで嫌そうな声聞いた事ない…)

 

ぴろし「あるダンジョンの最下層で秘密の呪文を3回唱えるとレアアイテムがもらえるらしい!行くか?行くよな!そうか!そう来なくてはな!あははは、善は急げ!そうと決まればいざゆかん!」

 

カイト「決まってないってば…!」

 

朧(ちょっと怒ってる…)

 

 

 

 

朧(…モンスターも、アイテムも…見た事ないのばっかり、やっぱりここはR:1なんだ…)

 

ぴろしが突然立ち止まる

 

ぴろし「…ここか!スリジャヤワルダナプラコッテ!スリジャヤワルダナプラコッテ!スリジャヤワルダナプラコッテーーーッ!!」

 

カイト「???」

 

朧(え?何あの呪文…)

 

カイト「…えっと、ぴろし?アイテム、もらったけど…」

 

ぴろし「そのアイテム、譲ってはくれまいか、そもそも情報提供はこのぴろし、それぐらいのわがままは許されよ」

 

カイト「いいけど…こんなの一体…」

 

ぴろし「私はそれが猛烈に欲しいのだ!友よ、わかってくれぃ!」

 

カイト「ねばつくカブト、臭うよろい、腐ったコテ、犬耳帽子、使用済み使い捨てコンタクト……これで全部だよ」

 

朧(え、なんか…ゴミ…?)

 

ぴろし「おおっ!友よ!それでは早速装備させてもらう……ん、こっこれは!!!」

 

ぴろしが赤く明滅し、発光する

 

ぴろし「のわぁぁぁぁっ!」

 

ぴろしは呪い状態になった▽

ぴろしは眠り状態になった▽

ぴろしは混乱状態になった▽

ぴろしは魅了状態になった▽

ぴろしは毒状態になった▽

ぴろしは麻痺状態になった▽

 

ぴろし「あはっ…あははは……あはははは!フルコースだな!あはっ……世の中、とかく思いがけぬことの起こるもの、楽しきかな人生!また会おう!」

 

ぴろしが転送される

 

朧(…最後、泣きそうになってなかった…?」

 

 

 

 

朧「っあ…?」

 

頭に衝撃を受け、意識が引き戻される

 

曙「ったく…全部数えてきたわよ…人に仕事させて呑気に寝てるなんて、随分な身分ね?」

 

朧「……あ…そっか、寝てたんだった……なんか熱出した時に見る夢見てたみたいな…」

 

曙「何よ、熱っぽいの?なら無理しなくても…」

 

朧「ううん、大丈夫…おかげで前に見た夢まで思い出しちゃったから」

 

前に見た、別の夢

だけど、それは実現させられれば…

 

曙「はぁ?」

 

朧「……アタシ、提督の代わり…ちゃんとやって見せるから」

 

曙「…なんでも良いけど…」

 

朧(…決めた、アタシがやる事…!)

 

 

 

駆逐艦 島風

 

島風「……」

 

籠手を顕現させる

自身の意思に呼応するように、思うカタチに…

 

島風(…応えてくれてる、ように見える…でも、本当は今にも私を乗っ取ろうとしてる……)

 

圧倒的な力

使っちゃいけない力

 

島風「……なんで、私の前にばっかり…」

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