元勇者提督   作:無し

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第318話

離島鎮守府

駆逐艦 曙

 

曙「…正式に、後釜に座ったんだ」

 

朧「うん、火野さんが海軍の中で暫定トップ…かな、あの場にいた人達は1人残らず…」

 

レ級「ザマアミロってところでしょ、自分たちがやってた研究に巻き込まれたんだから」

 

朧「曙…」

 

曙「言わせときなさい、朧」

 

朧「…べつに好き勝手言うのはいいんだけど、小さい子とかも居るんだからさ」

 

潮「情操教育に悪いもんね」

 

曙「……なんかのギャグ?」

 

漣「朝潮型の皆んなも別に2つとか3つくらいしか変わらぬからね?」

 

朧「いや、雲龍さん…」

 

曙「出た、一歳児…」

 

レ級「……はぁ…」

 

曙「…曙、アンタ、たまにはオフにしてもいいんじゃないの?」

 

レ級「冗談キツイわよ」

 

曙「…そうじゃなくて、アンタ…そんだけ毎日働き詰めでいざという時にボロが出たらどうすんのよ」

 

レ級「心配無用、ありえないから」

 

朧「…いや、アタシも気になってた…曙、今日は一日オフにしなよ、本土でリフレッシュしてきたら?」

 

レ級「私は深海棲艦よ?」

 

曙「そう言うのいいから」

 

朧「提督だって、こんなに働いてたら曙に休日をあげるだろうし、今のアタシは提督代理だしさ」

 

レ級「……チッ…行くあてなんか無いのよ」

 

曙「アンタ山ほど本持ってるでしょ」

 

レ級「…これは本土に来た時提督に買っていただいたものよ」

 

漣「全部呼んだんでしょ?」

 

潮「新しいの買ったらいいんじゃないかな…」

 

レ級「要らない、これら以外の本は私にとって価値なんて無いのよ」

 

朧「別に買う必要はないよ、図書館なら誰でも入れるし…」

 

レ級「行かないから」

 

朧「じゃあ丸一日部屋で座ってる?」

 

レ級「なんでそうなんのよ」

 

曙「当たり前でしょ、休みなんだからトレーニングとか禁止」

 

レ級「…チッ…!」

 

朧「……綾波は、フランスで暴れたらしいよ」

 

レ級「…綾波が?」

 

曙「最新のシステム全部あしらって帰ったらしいわ、まるで台風みたいに」

 

朧「止めないといけない、だけど普通にやり合っても…敵わない」

 

レ級「…私なら勝てる」

 

曙「……はぁ…もういいわ、根負け、あたし今日自由にするから」

 

漣「あ!ちょっとぼのたん!」

 

潮「まっ、待ってよ!」

 

潮と漣を連れて部屋を出る

 

 

 

 

 

食堂

 

曙「…なんで、わかんないかな」

 

漣「ぼのたんはストレートになりなよ…姉妹だぜ?」

 

潮「うん…2人のこと心配してるならもっとちゃんと伝えよう?」

 

曙「……」

 

2人と言う通りなのはわかってる、だけど…

 

曙「なんだかなぁ…」

 

如月「はーい!お待たせ」

 

満潮「新メニューのパンケーキよ」

 

漣「えっ?頼んでないよ?」

 

満潮「あんまり辛気臭いから」

 

如月「甘い物食べて元気出してね」

 

そう言って無理矢理私達の前に皿を並べる

 

潮「ありがとう」

 

如月「…私たちにできるのはこのくらいだから」

 

満潮「……あんた達には、感謝してるしね」

 

曙「感謝、か…」

 

漣「…漣達も、守る側なのに…守られてるんよなぁ…」

 

潮「うん…」

 

曙(あたしに、力が有れば…何か変わった?アイツは…強い、物凄く強い…でも、アイツは前の世界で生まれた時、誰にも望まれず生まれた、戦う事を望まず、ただ本が好きな女の子として生まれた…なのに、才能が有ったばかりに、環境がそうさせたばかりに…アイツは自分のことを怪物(深海棲艦)なんて呼ばなきゃいけなくなった)

 

小さいパンケーキを一つ、口に運ぶ

 

曙(前の世界なら燃料なんか無くても、炎が使えた、体が焼けるような感覚なんてなかった、あたしでも曙を倒せた…)

 

潮「…曙ちゃん…」

 

曙「何よ、潮」

 

潮「曙ちゃんが試験、私たちと別の部隊になったのは…」

 

漣「ぼのたんがボーノに伝えたいことがあったから、だよね」

 

曙「……全部、砕かれたわ」

 

わざわざ勝ちの目が低い単独行動をして、曙とサシでやり合ったのに…結果は惨敗、伝えたい想いすらも…何も残らなかった

 

結局、力がなくては

 

曙「…ま、今のあたしじゃ到底あいつには敵わないって分かっただけで十分よ」

 

漣(…ぼのたんらしくない)

 

潮(曙ちゃん…?)

 

曙(わかる、このままじゃアイツは潰れる、直接聞いたから知ってる、呪ってくれって頼んだこと…そしてカイトはそれに従い、願い、消えて…呪いへと…これじゃまるで…)

 

曙「まるで、本当にクソ提督じゃない…」

 

漣「はへ?」

 

潮「提督の事?」

 

曙「っ…朧がね、アイツも周り頼るの苦手だし」

 

漣「あー!確かに!」

 

潮「うーん?何か助けになれないかな」

 

曙(…朧も朧で気負い過ぎなのよ…)

 

 

 

 

 

執務室

提督代理 朧

 

朧「あ、みんな来たよ」

 

レ級「お待ちしてました、阿武隈さん、川内さん、キタカミさん」

 

阿武隈「御褒美、もらいに来ました!」

 

川内「まー…何が貰えるのか知らないけど」

 

キタカミ「手短によろしくねん」

 

レ級「できる限り希望に沿うつもりです、部隊を代表して部隊への褒賞を」

 

阿武隈(…つまり、試験は終わってないんだ)

 

川内(なるほどね)

 

キタカミ「じゃあ明石用の工具とか、工廠のもん揃えてよ」

 

阿武隈「えっ!?」

 

川内「…自分の部隊には何も無し?…いや、艤装を良くして生存率をってのはわかるけど…」

 

キタカミ「いやー、先にみんなに了承とったんだけどさ、明石可哀想だよ」

 

レ級「…可哀想?」

 

キタカミ「阿武隈の時こそみんな見てたけど、後になるにつれ、みんな作戦会議だのご飯だので全く見てなかったよね、試験」

 

阿武隈「あたし達も自分たちのが終わったら疲れちゃって…」

 

キタカミ「責めるつもりはないよ、私なんか全部見てないし…でも、逆に全部見たやつもいる」

 

川内「…明石」

 

キタカミ「そ、明石…でも、ただ眺めてるだけならそんな事まるで褒めるに値しないよね」

 

レ級「…確かに、アンフェアでしたね」

 

朧「明石さんは試験に参加すらしてなかったと思ってたけど…」

 

キタカミ「そ、朧…よく覚えときな、みんな試験に参加して、真剣に臨んでた、満潮や如月なんてメニューを麺類にして消化しやすい物用意してたりさ、みんな考えてたんだよ…中でも、明石は別格に頑張ってた」

 

レ級「…具体的には」

 

キタカミ「記録、そして解析…艤装の動作を細かく解析して、出た結論がリミッター」

 

朧「…まさか、試験中にそれを?」

 

キタカミ「明石の頭で設計図まで作ってたらしいけど、どうにもうまく行ってないみたいでね、そもそもここの設備船から下ろしたやつしかないじゃん?」

 

レ級「…でしたら、別に用意させていただきます」

 

キタカミ「なら満潮と如月に〜」

 

レ級「…そちらも、別に用意いたします」

 

キタカミ「なら、残りはあんたら2人さね」

 

朧「…アタシ達?」

 

キタカミ「参加してるのに、ご褒美貰う権利ないなんて可哀想でしょ、ほら、私が仕事しとくから遊んできな」

 

レ級「…キタカミさん、私は…」

 

キタカミ「曙に心配かけてちゃ、ダメだよ?」

 

レ級「…曙に?」

 

キタカミ「曙が何やったか、どんな戦い方したか知らないけどさ、曙は人と合わせた動き、絶対にできる子だから、いきなり個人としての力に固執したのはそっちが理由だと思うんだけど…違う?」

 

レ級「…私達が理由?」

 

朧「……」

 

キタカミ「気づかないふりして遊びに行きなよ、それも優しさのうちさね」

 

レ級「……チッ」

 

朧「…わかりました」

 

キタカミ「ま、楽しんでね」

 

レ級「…先に他の方の…」

 

阿武隈「あたし達は、帰ってきてからで」

 

川内「流石に水さすのはね…でも、2人分のご褒美は必要だから帰ってきたらキッチリね」

 

レ級「…2人分?」

 

川内「春雨はなし、流石に酷いと私も思ってたから」

 

キタカミ「さ、行った行った」

 

 

 

 

 

重雷装巡洋艦 キタカミ

 

キタカミ「…うん、任せてたら運営がおざなりかと思ってたけど…島風と曙は出せないねぇ…燃料消費倍どころじゃないじゃん、あの2人はしばらく出撃させられないし…加賀は艦載機落とされすぎだね、いやー…良かったよ、帳簿見れて」

 

阿武隈「最初からそれが狙いだったんですね…」

 

キタカミ「いや、もののついでのつもりだったんだよ?」

 

川内「でも、酷すぎたと…」

 

キタカミ「ほら、みてよ…燃料が1番少ないけど、この規模での通常の貯蔵量ってこの40倍は無いといけないんだよ」

 

阿武隈「よっ!?」

 

川内「え、マジ?」

 

キタカミ「うん、まあ私が調べてる限りだけどね…ここみて、弾薬はちゃんと規定量あるでしょ」

 

川内「…きっちり40倍だね」

 

キタカミ「ま、そゆこと…」

 

阿武隈「キタカミさん、いろいろ手を出しすぎじゃ…」

 

キタカミ「曙…両方の曙だけどさ、誰よりも頑張り屋じゃん?で、レ級の方の曙なんて賢いしプライドもあるけど…なんか、脆いんだよね」

 

阿武隈「脆い、ですか…」

 

キタカミ「うん、だからみんなを守るぞ!って装備とか全部用意していざ戦うぞってのに靴紐が解けてて、それ踏んづけてこけてやられるの」

 

川内「えぇ…?そんな事あったの?」

 

キタカミ「モノの例え、現にそうなりかけてるじゃん、どんなに強くなっても燃料がないと戦えない奴らはたくさんいるんだし」

 

阿武隈「…そうですね」

 

キタカミ「ま、2人も楽にしてていいよ、やる事やるからさ」

 

阿武隈「手伝えることは…」

 

キタカミ「んー、ないかな」

 

川内「何とも、頼り甲斐のある…」

 

キタカミ「…ま、そんな頼ると私も倒れちゃうよって」

 

阿武隈「そうなるとみんな困りますね…」

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