元勇者提督   作:無し

319 / 625
紅衣の騎士団

The・World

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

重槍士 青葉

 

青葉(…記事を書く…って言っても、何を書けば良いのかなぁ…とりあえずスクリーンショット……あれ、反応しない…スクリーンショットを取れないんだ…?故障かな…)

 

マク・アヌの橋の手摺りに腰掛け、思案する

 

銀漢「少し良いか」

 

青葉「へっ!?あ、は、はい!」

 

銀色の甲冑に赤いインナー…

同じ姿のキャラが3人…

 

青葉(…同じ赤い制服…もしかして、紅衣の騎士団…)

 

銀漢「我々は紅衣の騎士団だ」

 

青葉(やっぱり)

 

銀漢「率直に聞きたい、チートPCか?」

 

青葉「…へ?」

 

銀漢「その武器、現在のバージョンで確認されていない物だ、違法な行為に手を染めているというのなら…」

 

青葉「武器って……これですか」

 

青葉(…R:2で手に入れた適当な槍なんだけど…そっか、中世ファンタジーのR:1とスチームパンク要素のあるR:2は毛色が全然違うから悪目立ちしてるのかな…)

 

青葉「えっと…チートではないんですけど…」

 

銀漢「ならばどうやって手に入れた?」

 

銀漢の目が赤く光る

 

青葉(な、なんて説明しよう…正直に言っても信じてもらえるわけないし…)

 

青葉「げ、限定のイベントで…」

 

銀漢「何?何処のイベントだ」

 

青葉(…何処の…って言われても…このバージョンのタウン名なんて知らないし…)

 

楚良「ばみょん!」

 

銀漢と私の間に黒い双剣士が落ちてくる

 

青葉「うわっ!?」

 

銀漢「貴様は…楚良!」

 

楚良「あ〜ん?…ああ!お利口な騎士サマじゃん、おっ久しぶり〜♪」

 

銀漢「邪魔をするつもりか!我々はそのPCを調べなくては…」

 

楚良が銀漢に刃を向ける

 

楚良「先に目をつけたのはオ・レ♪横取りはいっくな〜い♪」

 

銀漢「関係あるか!そんな事!」

 

青葉(…この2人は、知り合い…というか私を調べてるってことは紅衣の騎士団って…システム管理者みたいな存在なのかな)

 

楚良「好き勝手やるのは良いケド…また昴サマに怒られちゃうよん♪」

 

銀漢「なんだと…!貴様如きが昴様を語るな!」

 

楚良「え〜?俺はアンタのために注意してやってんのに…それとも、またやる?」

 

銀漢「くっ…!」

 

楚良「ねぇカノジョ!メンバーアドレスちょ〜だいっ!」

 

青葉(…とうとう興味がこっちに…いや、適当なエリアに逃げよう…目立たない武器も欲しいし)

 

カオスゲートに走り、エリアに転送する

 

 

 

 

青葉「…はぁ…何処のエリアも槍は落ちてなかったし…なんて言うか、色々…疲れた」

 

ベア「槍を探してたのか?」

 

青葉「ひゃあ!?」

 

ベア「驚かせてすまない、その…なんだ、紅衣の騎士団に追われてたって聞いたもんでな」

 

青葉「…えと…」

 

ベア「そういえば名乗ってなかったか、撃剣士(ブランディッシュ)のベアだ」

 

青葉「…青葉です」

 

ベア「槍が欲しいなら良いエリアを知ってるんだが、どうだ?」

 

青葉(…まあ、さっきの怖い人たちに囲まれなければなんでも良いかな…)

 

青葉「わかりました」

 

 

 

 

Δサーバー 閉ざされし 見せかけの 聖域

 

 

 

青葉「ふっ!」

 

ベア「…強いな」

 

青葉「そうでしょうか…」

 

ベア「ああ、タウンの名前なんか聞かれたもんだからてっきり初心者かと思っていたが、ソロで長いのか?」

 

青葉(…司令官やみんなともあんまりできなかったけど、結局1人でかなりプレイしてたし…)

 

青葉「そこそこでしょうか…」

 

ベア「もしかしたら、俺より強いかもしれん、だが…この世界に不慣れというか、馴染んでいない」

 

青葉「…どういう意味ですか」

 

ベア「たとえば、そのキャラのエディット…まるで学生服みたいだが…今のバージョンでそんなエディットができたのか、という疑問がな」

 

青葉(…リアルの制服に近づけようとしただけだけど…確かに、この世界ではそんな見た目、悪目立ちしてしまう…)

 

ベア「…気を悪くさせたらすまん、だが俺はアンタをチーターだとは思っていない」

 

青葉「…何故?」

 

ベア「いや…たまに特殊なエディットができるアイテムが手に入るイベントがあるんだ、俺の知ってるのだと…羽だな」

 

青葉「羽?」

 

ベア「フィアナの末裔、知らないか?」

 

青葉「いいえ…」

 

ベア「蒼天のバルムンク、蒼海のオルカ、この2人はザワン・シンというイベントボスを撃破したことで名を上げたプレイヤーでな、バルムンクの方はそのイベントで羽を手に入れた、見たことはないが実際に飛ぶこともできるらしい」

 

青葉「飛ぶ…」

 

青葉(ゲームシステムが壊れそう…)

 

ベア「実は知らず知らずのうちにイベントに巻き込まれた…なんて事はこのゲームじゃ起きてても不思議はない」

 

青葉「…ログアウトできなくなるイベント?」

 

ベア「……それについては、忘れてくれ……ん?」

 

青葉「…あれ」

 

宝箱のそばにPC…

 

ベア「司…!」

 

司「…ベア、今日はミミルと一緒じゃないんだ」

 

青葉(…呪癒士(ハーヴェスト)…?)

 

司「……そっちは」

 

青葉「…初めまして、青葉です」

 

ベア「…司、今まで何処に…」

 

司「また、それ?……ウザいよ」

 

エリアの壁から、液体の様な何かが染み出す様に出てくる

黄色いジェルの様なそれは空中で形を作り、鉄アレイの様な姿で浮遊する

 

司「っ…!なんで…」

 

青葉「何、このモンスター…」

 

ベア「コイツは…!待て!司!俺たちはお前に害を与えるつもりは…!」

 

鉄アレイの様なモンスターが触手を伸ばし、こちらを攻撃する

 

青葉「っ!?」

 

青葉(早いし…今までの敵と何か違う!)

 

司「や、やめろ…!」

 

ベア「司!」

 

青葉「火投球の呪符!」

 

こちらへと伸びる触手を焼き払う

 

青葉(このままじゃどれだけ持つかわからない…でも、攻撃したらやられる…!)

 

司「なんで、止まらない…!っ…」

 

青葉「うわっ!?」

 

槍が弾け飛ぶ

 

司「やめ、て…」

 

青葉(やられる…!)

 

触手がこちらへと鋭く伸びる

 

青葉「……あれ…?」

 

ベア「…お前は、猫の、PC…」

 

青葉「…猫……」

 

とんがり帽子を被ったネコの獣人が触手を手で静止する

 

司「あ…」

 

猫のPCがこちらを向き、一礼して消える

 

司「っ……」

 

司が懐から小型のオカリナの様なアイテムを取り出し掲げると、エフェクトに包まれて姿が消える

それに従う様に鉄アレイの様なモンスターも溶けるように消える

 

青葉「な、なんだったんですか…今のモンスター…」

 

ベア「…わからん…だが…最近、正体不明のモンスターに倒された騎士のプレイヤーがリアルでダメージを受けると言った事例があった」

 

青葉「リアルで…?!」

 

ベア「短時間意識不明になり、回復後も軽い記憶障害などが残ったらしい」

 

青葉「そんな…」

 

ベア「…ここに長居するのはまずいかも知れん」

 

青葉「…そうですね、あのモンスターがまたやってきたら…」

 

ベア「……宝箱だけ回収して戻ろう」

 

宝箱を槍で軽く突く

 

青葉「…あれ」

 

ベア「どうかしたのか?」

 

青葉「…ここ、槍が出るんじゃ…」

 

ベア「…違ったか?」

 

宝箱から手に入ったのは…カメラ

それも、型の古いポロライドのような見た目の…

 

青葉「…あ、撮れた…スクリーンショット」

 

 

 

 

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

 

青葉「…ええと…ありがとうございました」

 

ベア「いや、こっちこそ…まあ、危ない目に合わせて悪かった」

 

青葉「いえ」

 

手に入れたカメラでマク・アヌの風景を撮る

 

青葉「…綺麗な世界ですね」

 

ベア「表向きはそうかも知れないが、少し踏み込めばどうかはわからない」

 

青葉「…よく知っています、だって船に見えるのは水面だけですから」

 

ベア「…?」

 

青葉「たとえどんなに水面が静かでも、水中が危険じゃないとは限りませんから」

 

ベア「…どうやら、俺よりも深い何かを知っているらしい」

 

青葉「いえ、それでは今日はありがとうございました」

 

ベア「ああ、悩みが解決した様で何よりだ」

 

 

 

 

リアル

大黒宅

青葉

 

青葉「…よし、とりあえずできた…ブログ記事、R:1の写真に行ったエリアのデータとか…うん、あとは人の目につけば…大丈夫」

 

[青葉のThe・World R:1取材記録

初めまして、私は青葉と言います。

ひょんなことからThe・World R:1を調べる機会があり、調べたものをまとめさせて頂きます。

R:1のマク・アヌの風景はとても美しく、R:2とは違った魅力が有ります。

王道の中世ファンタジーの世界にピッタリの紅衣の騎士団と呼ばれる存在が街を守っていたり、ダンジョンも巨大なモンスターの体内のイメージだったりとR:2とはかなり毛色が違いました。

まだ調べ始めたばかりですので、私自身情報をあまり持っていません。

しかし、この記事を目にした皆さんのR:1の思い出などを取材し、また記事にしたいと思っています、どうかご協力の程、お願いいたします]

 

記事を投稿し、出撃の用意を済ませる

 

青葉(…でも、仕方ないけど毎回深夜に出撃なのはちょっと嫌だなぁ…仕方ないけど…)

 

侵食する白い部位をなぞる

 

青葉(顔半分真っ白だ…私は、もう、ほとんど深海棲艦で…)

 

青葉「あっ!…どうしよう…司令官の事、確証はないけど伝えた方がいい…よね…」

 

夜食を口に放り込み、海へと駆ける

 

 

 

 

 

 

 

青葉「…疲れた……駆逐艦の人達に敵だと勘違いされて追い回されたせいで…もう、ヘトヘト…」

 

薄ら朝日を浴びながら玄関のドアを開ける

 

青葉(…司令官の像、調べられるのは…度会さんだけ…明日佐世保鎮守府に行ってみようかな…)

 

デスクに腰掛け、パソコンをつける

 

青葉「…あ、サイトに書いたメールアドレスにメールが来てる……銀漢…?あの?」

 

[from:銀漢

 件名:紅衣の騎士団

紅衣の騎士団は街を守っているのではない、The・Worldの治安維持を目的としたユーザーの集まりだ。

と言っても、暴走した団員のせいで解散する結果になったが…。

だが、R:1のThe・Worldの、景色を見られてよかった、他にもあんな写真があるなら送っていただけないだろうか。]

 

青葉「…てっきりシステム管理者だとおもったら、ユーザーの集まりだったんだ…」

 

[from:青葉

 件名:Re紅衣の騎士団

御返事失礼します、写真は後日用意させていただきます。

銀漢さんは紅衣の騎士団の方だと思うのですが、昴様について少し教えていただけませんか?]

 

青葉「返事早っ…」

 

[from:銀漢

 件名:昴様

なぜ昴様の事を調べる?]

 

青葉「…だ、タブー…だったかな」

 

[from:青葉

 件名:Re昴様

記事として扱うのなら、しっかり取材したいな…とおもいました。]

 

[from:銀漢

 件名:ReRe昴様

昴様は紅衣の騎士団の設立者だ、とても慈悲深く、The・Worldに問題が起こる事があれば誰よりも心を痛めていらっしゃった…。

非常に美しい重斧使いのキャラで騎士団全員の憧れであり…いや、長くなるのでやめておこう、この記事を紹介しておいた、もしかすれば昴様から連絡があるかもしれん、粗相のないように。]

 

青葉「う、上から目線…それにしても、昴様と直接連絡が取れる…?」

 

青葉(そうすれば、騎士団に阻まれず活動しやすい…かも知れない)

 

ネットでキーワード検索をかける

アカシャには相変わらずヒットはない

 

青葉(…まあ、期待はしてなかったから)

 

パソコンの電源を落とす

 

青葉(…みんなに連絡を取れるようにしないと)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。