元勇者提督 作:無し
食堂
イムヤ
イムヤ「うーん、なんか一周回って微妙だったね、乾燥春雨のくず切り風」
春雨「…実はすごく性格悪いんですか?貴方」
イムヤ「イヤイヤ、そんな事ないでしょ?」
春雨「すごく性格悪いように見えましたよ…と?」
イムヤ「…満潮と如月が…誰かと揉めてる?」
春雨「珍しいですね、あの二人が誰かと喧嘩するなんて」
イムヤ「…行ってみようか」
イムヤ「どうしたの?二人とも」
如月「あ、イムヤさん…」
満潮「どうしたもこうしたも無いわよ!」
春雨(喧嘩の相手は…ああ、捕虜の四人、図々しくも労働もせず食事を好きな時に摂り、好き勝手探してる…私の嫌いな人種ですね)
あきつ丸「そもそも、自分達は元々ここで暮らしてたのにそっちが勝手に侵略してきたであります!なのに働かないなら食事は無しだなんて…!」
神州丸「…それに、ここのトップとは話がついていて…」
満潮「だからってアンタらは何様よ!ここの物資は有限!みんな必死に頑張ってんのにそれを馬鹿にしたこと言いたい放題…流石に頭にきたわ!」
如月「…私も流石に黙っていようとは思わないわね…」
イムヤ(…なるほど、怒ってる理由は働かない事じゃなくてみんなを馬鹿にされたから…食堂担当だといろんな話を聞くことがあるだろうし、日常的にそんな話を聞いてたのかな…)
イムヤ「とりあえず、一回お互い落ち着いて話し合い…じゃあダメ?」
全員を座らせる
春雨「…なんですかこれ」
イムヤ「裁判的な…まあ、みんな今忙しいみたいだしさ、ちょうどここにいるのは私達だけなんだから!」
春雨「……面倒に巻き込まれた…」
イムヤ「さて、まずお互いの要求を聞こうかな、派閥ごとに纏めて代表者が言ってくれる?」
満潮「派閥…?」
あきつ丸「当然、今まで通りの生活であります、出て行けとまだは言わないであります、此方も納得してここにいる以上、元の条件を守ってくれればそれで良いであります」
満潮(どの口が…!)
如月「こっちの要求、決まったわ、ちゃんと労働力として働く事…!」
満潮「そうね、それ以上の事はないわ、みんなの辛さを知ればいいのよ」
イムヤ(…なんか、捕虜組の方は一人がエスカレートしてるだけで他三人はそれに乗っかってるだけにみえるな…)
春雨(虎の威を借る事しか知らない矮小な存在、そしてそれに祭り上げられて虎になったと勘違いしてる野良猫…滑稽ですね)
春雨「クフッ…」
あきつ丸「何がおかしいであります!」
イムヤ「とりあえず、進めていい?お互いの条件を飲むつもりは?」
あきつ丸「御免被る!」
満潮「こっちもよ、というかそもそもアンタらは馬鹿にしてる連中に食べさせてもらってる事自覚したら?」
如月「みんなが必死に戦ってるからここに居ても生きてられる、此処は本当に危険な場所なのに…そんな場所を守るみんなを馬鹿にするなんて許せない…!」
イムヤ「一回ストーップ!…やっぱり満潮達はそこが気になってるんだよね?みんなを馬鹿にされた事」
満潮「…そうよ」
イムヤ「当然私だってそれは許せない事だけど、ならなんで働いて欲しい、が条件なの?」
満潮「……相手が人間だからよ」
如月「それこそ、深海棲艦相手なら私達でも艤装を持って戦いたいくらいです」
春雨「…この2人、ここまで好戦的でしたか?」
春雨が耳打ちする
イムヤ「よっぽど頭にきてるみたいだね…」
あきつ丸「都合が悪くなったら武力に頼るか!なんと卑劣な!」
満潮「卑劣なのはどっちよ!アンタらこそ自分達が何もされない事に胡座かいて…!」
イムヤ「まーまー、一回落ち着いて、こういうのはちゃんと話をお互いに聞く事が大事だからさ」
捕虜組の方を見る
イムヤ(…神州丸だっけ…この人はあきつ丸にそのまま従ってる印象だけど…他の2人はそんな感じはそこまでしない、行き場がないから迷ってる感じもする…)
春雨「とりあえず、全員の話を聞くので…他の6名は黙るように」
イムヤ「へ?6?」
春雨「あなたの事ですよ…!」
口にバッテンにガムテープを貼られる
イムヤ(…は、剥がす時のこと考えてないぴっちりした貼り方してる…!)
春雨「まず…照月さん」
照月「ひゃはい!?」
春雨「貴方のことは秋月さんから軽く聞いています」
照月「へ!?な、なんの事ですか!?」
春雨「隠す必要は有りません、あなたと秋月さんは近しい仲、というより姉妹なんでしょう?」
吹雪「え?姉妹がいたの…?」
満潮「というか、姉妹揃って捕虜だったわけ…」
春雨「他の方はお静かに」
照月「…そ、そうだけど…それが何…?」
春雨「心配しておられましたよ?貴方が周りから目の敵にされたりしないか」
照月「…でも、それは…」
春雨「せっかくですし、一緒に辺りの哨戒について行ってみては?」
照月「え?で、でも…危険なんじゃ…」
春雨「危険?貴方たちは駆逐棲姫サマに守られてるんじゃなかったんですか?ああ、秋月さん達と居ると襲われると言うなら貴方達4人で海に出てみれば良い、駆逐棲姫さんが本当に助けてくれるか……試してみましょうか」
あきつ丸「下衆め…!」
春雨「…貴方達、自分の命にどれだけの価値があると思ってるんですか?貴方達は私たちにとっても、駆逐棲姫にとってもただの石ころに等しいんですよ」
あきつ丸「そんな訳ないであります!」
春雨「なら、海に出てみれば良い、駆逐棲姫様助けてくださいって言ってみてくださいよ」
あきつ丸「言われなくてもそうする!こんなところにいられるわけ無いであります!ほら!行きますよ!」
あきつ丸が席を立ったのに、他の3人は座ったまま…
イムヤ(…照月もそうだけど、みんな深海棲艦に襲われることを危惧してるんだ…)
あきつ丸「どうして立たない!?」
春雨「怖いんですよ、結局みんな自分の命が大切、他の深海棲艦に襲われたらどうしよう……ってね」
照月「……」
あきつ丸「駆逐棲姫様を信じられないのでありますか!?」
春雨「信じるも何も、貴方と駆逐棲姫にどんな関係が?」
あきつ丸「……それは…」
春雨「貴方達は所詮捕虜、餌付けをされて自分は特別だと勘違いしたようですが…なんと無様な飼い狗か」
あきつ丸「犬だと…!」
春雨「他の3人は……わかったようですね…自分の立場が」
神州丸「ぅ……」
春雨「全員と話すつもりでしたが、貴方以外はちゃんと理解したようです、ねぇ?照月さん、吹雪さん、神州丸さん」
照月「…ごめんなさい…」
吹雪「わ、私も…ごめんなさい」
神州丸「うぅ…」
あきつ丸「馬鹿な…!」
春雨「せっかく艦の名を持ってるんです、艦娘システムの管理下に入るなら悪いようにはしませんよ」
あきつ丸「冗談じゃない!」
あきつ丸は食堂を立ち去った
春雨「神州丸さん、貴方はあきつ丸さんの肩を持っていた…例え自身が罵倒を口にしてなかったとしても…ね?」
神州丸「…申し訳、ありませんでした…」
春雨「よく言えましたね、はい」
イムヤ(…無理矢理言わせたの間違いでしょ…)
満潮「ね、ねぇ…」
春雨「おや、まだ物足りませんか?多少いたぶる位なら許されるかもしれませんよ?」
如月「そんな事しないわ…」
満潮「…みんなを馬鹿にするのをやめさせたかっただけだし…」
春雨「まあ、皿洗いくらいしてもバチが当たらないんじゃないですか?」
吹雪「…私やります…」
照月「私も…」
神州丸「自分も、何かしらお手伝いをさせていただきたいです…」
満潮「…どうする?」
如月「まあ…人手はいくらあっても困らないし、お願いしましょう?」
春雨(とりあえずはこれで良いか)
春雨が口のガムテープを引っ剥がす
イムヤ「いひゃい!」
春雨「もうその無駄口を開いても良いですよ」
イムヤ「…怒ってる?」
春雨「ぜーんぜん」
イムヤ「やっぱ怒ってるじゃん…」
春雨「つまりイムヤさんも怒ってたんですよね?私は貴方と同じ返事をしたんですよ、それを怒ってると受け取ったんですね?」
イムヤ「…性格悪っ」
春雨「今更気づきましたか」
イムヤ「それより…あきつ丸はどうするの?」
春雨「虎の威を失った狐は野垂れ死ぬか食われるか…それとも、頭を下げる事ができるのか、本人が通す道理を通せるなら、受け入れてもらえるでしょうね」
イムヤ「…厳しいなぁ…」
春雨「充分有情です」
執務室
提督代理 朧
朧「…そ、それでアタシ達に何をしろって…?」
亮「アメリカは真珠湾の暴走した艦娘の排除を要請してきてる、向こうは国防に重要な場所だから手を貸せって聞かないらしい」
朧「3.500浬以上の超長距離の航海…?無茶が過ぎる…!」
無事に完遂できても…なるべくすぐに終わったと考えてでも1ヶ月はかかる上に…
朧「ここを丸々空けないといけなくなる…無理!絶対無理!」
亮「ま、そうだよな」
朧「しかも暴走って…どういう事…」
亮「日本以外の艦娘システムはあまり進んでないらしい、それで負けが続いて責められて、堪忍袋の尾が切れた…ってとこらしいぜ」
朧「……なんか、もう…」
亮「ただ、暴走してる奴らにはAIDAによる暴走と同じ傾向が認められたらしい」
朧「…それって…」
亮「艤装に仕込まれてた、らしい」
朧「……だとしたら、それを使わせてる国が悪い…」
亮「…なあ、曙とかのデータドレインで…」
朧「できるならとっくにみんなからAIDAを除去してます」
亮「…だよな」
朧「ネットの中で使うデータドレインはナノマシンからAIDAを抜き出すもの、ナノマシンは自然と対外に排出されるから特に影響はない、かもしれない…でも、リアルのデータドレインはナノマシンごと改変する、何が起きるかわからない…」
亮「…無理、か」
朧「はい」