元勇者提督   作:無し

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消失

The・World R:1

Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック

駆逐艦 敷波

 

敷波「…おーい…どした、またお腹減った?」

 

プチグソ「……ぶひ」

 

敷波(…なんか、変…だよね、お腹減ってるにしても…何かおかしいような…)

 

プチグソ「ぶひ…?」

 

敷波「…調子悪いの?ねぇ、大丈夫…?」

 

プチグソ「ぶぶ…」

 

敷波(やっぱりおかしい…)

 

敷波「どうすればいいんだろ…動物病院とか…ない、かな…」

 

青葉「あ、良かった…敷波さん、無事だったんですね…」

 

敷波「あ…う、うん…でも…」

 

 

 

 

青葉「確かに、弱ってるように見えます…プチグソについて詳しく調べられる場所……私、誰かに教えてもらえないか聞いてきます」

 

敷波「アタシも行く!」

 

青葉「…何を言われるかわかりませんよ」

 

敷波「…アタシが責任、持たなきゃ…」

 

青葉「わかりました」

 

 

青葉「すいません、少し伺いたい事があるのですが」

 

昴「はい?何でしょうか」

 

真っ白なドレス、背中に天使の羽を生やした女性のキャラクターに声をかける

 

敷波「プチグソ、弱ってるんだ…治す方法知らない…?」

 

昴「…貴方は…」

 

敷波「…知ってる!?それとも知らない!?」

 

昴「…プチグソ牧場、タウンの奥にプチグソ牧場があります、そこでNPCにプチグソを診て貰えばおそらく…案内しましょうか」

 

青葉「すみません、お願いします」

 

敷波「やった…!治るって!もうちょっとの辛抱だからね…」

 

プチグソ「ぶ…」

 

昴「……」

 

 

 

 

プチグソ牧場

 

青葉(…タウンの奥には大人のプチグソが居る…か…なんて言うか、時って残酷だな…)

 

プチグソ屋「いらっしゃい、ここはプチグソ牧場だよ」

 

敷波「あの、この子…」

 

プチグソを差し出す

 

プチグソ屋「…んん?これはプチジステンパーだ、名前よりずっと恐ろしい病気だよ、予防接種はしなかったのかい?」

 

敷波「予防接種…?そ、それより治す手段は!?」

 

プチグソ屋「特効薬はホワイトチェリーだね、急いで与えないと手遅れになる」

 

敷波「そんな…手遅れって…青葉さん!」

 

青葉「ホワイトチェリー…持ってない、ですね…」

 

昴「私も持っては居ませんが、手に入るエリアを知っています…もしよければ、ですが…」

 

敷波「…お願い、その場所を教えて」

 

青葉「お願いします」

 

昴「わかりました、戦力にはなると思いませんが、私もご同行します…何かと役に立つでしょうから…メンバーアドレスです」

 

青葉(…昴…!?この人が、紅衣の騎士団の…トップ…)

 

 

 

 

 

 

Δサーバー 拒絶する 彼女の 進軍

 

青葉「…雪のエリア、ですか…」

 

敷波(寒い…)

 

敷波「此処にあるんだよね…」

 

昴「ええ…急ぎましょう」

 

青葉(…何だろう、エリアの奥が騒がしいような…)

 

敷波「ホワイトチェリー…何処…!」

 

 

 

青葉「見つかりませんね…」

 

敷波「早く見つけないといけないのに…!」

 

昴「…あれは…」

 

青葉「…今通ったのって…紅衣の…」

 

敷波「何?見つかった!?」

 

青葉「静かに…昨日の連中が居ます」

 

敷波「昨日のって…あの!?」

 

昴「…すみません、少し様子をみてもいいでしょうか」

 

青葉「…ええ、私も確認するべきだと思いました」

 

青葉(罠の可能性もある…場合によっては、数人でも道連れにして…敷波さんを逃す)

 

敷波(時間が無いのに、なんでこんな時に…)

 

 

 

昴「これは…」

 

青葉「騎士団と…アレは、この前の呪癒士が戦ってる?」

 

赤い衣装の騎士達がたった1人を囲み、捕らえようとしてる

 

 

銀漢「抜刀ォォ!!」

 

呪癒士を騎士が取り囲み、武器を向ける

 

銀漢「システム管理を補助する紅衣の騎士団の名の下にお前のキャラを一時、拘束させてもらう!大人しく従えばよし、さもなくば…」

 

司「懲りない人だね」

 

銀漢「何?」

 

司「またこの子にやられたいの?」

 

鉄アレイのような形のモンスターが現れる

 

銀漢「そっちがそのつもりなら、手加減はしない!」

 

 

敷波「…意味わかんない、何であんなことして…」

 

昴「…彼は、以前騎士団の団員をPKしました」

 

青葉「たかがPKであんな事をするんですか…!?」

 

昴「…それが…ただのPKではありませんでした…PKされた団員は意識不明になり、それが回復した後も軽い記憶障害などの異常をきたしたのです……彼はThe・Worldにいてはいけない危険な存在として…広く認識された」

 

青葉「…CC社は対応しなかったんですか」

 

昴「……ログイン停止の措置を取ったのに、効果が無かったと…」

 

青葉「……何ですか、それ…」

 

昴「しかし…これは許される事ではありません」

 

昴が一歩前に出る

 

昴「何事です!」

 

銀漢「昴様…!?」

 

騎士「昴様が何故件のPCと一緒に…!」

 

司「……」

 

敷波「え、アンタ…なんか偉いの…?」

 

青葉「…この人は紅衣の騎士団の団長です」

 

昴「このような作戦、許可した覚えはありません」

 

司「……」

 

呪癒士がこっちを見る

 

青葉(どうやら、罠では無かったらしいですが…余計な事に首を突っ込むのは避けたいですね)

 

青葉「敷波さん、私達は……危ない!」

 

青葉さんが昴へとモンスターから伸びる触手を斬り落とす

 

昴「っ…!」

 

銀漢「貴様!昴様を狙うとは…!やはりここで斬り捨ててくれる!」

 

司「やってみれば?こんなの何も怖く無い」

 

辺りの騎士が触手に貫かれる

 

銀漢「貴様!」

 

青葉「…何なんですか、これは…」

 

昴「…銀漢!やめさせなさい!これ以上皆を危険に晒してはいけません!」

 

銀漢「それはできません!」

 

昴「…どうか、お二人は先に…私は騎士団の長としてここに残らなくてはなりません」

 

青葉「敷波さん、私達はこれ以上関わるべきじゃ無い…」

 

敷波「…うん」

 

青葉(…ただ、一時的とはいえ意識不明にさせるほどの力…秋雲さんを助ける事につながるかもしれない…調べないと)

 

 

 

 

敷波「…ホワイトチェリーの場所知ってる昴がいなきゃ…見つかるのかな…」

 

青葉「大丈夫です…必ず見つけて見せますから」

 

敷波「…ホワイトチェリーも喋るのかな…」

 

青葉「多分…」

 

敷波「……あ、今何か聞こえた!」

 

青葉「本当ですか…!」

 

敷波「多分、今ここから…」

 

茂みの雪を払う

 

敷波「あった!白いさくらんぼ…!」

 

青葉「これがホワイトチェリー…」

 

敷波「早く帰らないと…あれ、足音?昴が追いかけてきたのかな…」

 

青葉(…いや、1人の足音じゃ無い…)

 

青葉「敷波さん、先に帰ってください、私は昴さんと話があるので」

 

敷波「え、でも…」

 

青葉「急いだ方がいいんですよね?」

 

敷波「…わかった」

 

 

 

重槍士 青葉

 

青葉「…やはり、紅衣の騎士団ですか」

 

騎士「貴様も拘束させてもらう!大人しく従え!」

 

青葉「……私は昴さんを守ったんですよ?なのに…」

 

騎士「黙れ!貴様が違法行為を働いているチートPCであることはわかっている!」

 

青葉「…聞く耳もなければ、道理もないのですね……」

 

騎士を槍で両断する

 

青葉「…昴さんはマトモそうだったのに…貴方達は何でそうなのか……いや、所詮人間なんてそんなものか…」

 

槍を振るい、死体を転がす

 

青葉(…今、私何を…のめり込みすぎたせいか、そんな事を…戻ろう)

 

 

 

 

Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック プチグソ牧場

駆逐艦 敷波

 

敷波「持ってきたよ!ホワイトチェリー!」

 

プチグソ「ぶひ…」

 

出迎えてくれたプチグソがよろよろと目の前で倒れる

 

敷波(えっ…?たったアレだけの時間で、こんなに痩せ細って…本当に今にも…)

 

プチグソを抱き上げるために触れる

 

敷波「冷たっ…!…ほら、ホワイトチェリー…早く食べて…」

 

プチグソ「……ぶひ」

 

プチグソが前足でホワイトチェリーを蹴飛ばす

 

敷波「何やってんの!?食べなきゃ死んじゃ……え…?」

 

プチグソの身体が光の泡になって消える

 

敷波「……間に合わなかった…?…嘘だ……そんなの、嘘だ…」

 

後方から誰かが走ってくる

 

青葉「敷波さん!……敷波さん…?」

 

敷波「…青葉、さん…アタシ…間に合わなかった……助けられなかった…」

 

青葉「…そう、ですか…」

 

敷波「……なんで…こうなるんだよ…何でもっと早く気づけなかったの…?なんで…」

 

青葉「…自分を責めないでください」

 

敷波「………伝えなきゃ、この子の、飼い主に…」

 

青葉「敷波さん…」

 

敷波「責任は、果たさないと…」

 

ミッシェル「何の責任?」

 

敷波「…あ…」

 

青葉(…この人か)

 

ミッシェル「私のプチグソ、何処?」

 

敷波「……ゴメン、死んじゃった…病気で…」

 

ミッシェル「は?何それ!頼んだのに死なせたの!?」

 

敷波「…助けようとした…けど、間に合わなかった…」

 

ミッシェル「ふーん…別にいいけど、責任、取ってくれるんだっけ?ならアンタの持ってるアイテムとゴールド全部で許しといてあげるよ」

 

青葉「…はい?」

 

敷波「…アタシが持ってるのは、これだけだよ」

 

ホワイトチェリーと剣を差し出す

 

ミッシェル「んな訳ないでしょ!?さっさと出しなさいよ!限定アイテムとか!」

 

青葉「…貴方、さっきから聞いていれば自分のプチグソが亡くなったのにちっとも悲しそうじゃない…」

 

ミッシェル「当たり前でしょ、データのためにやいやい言っても仕方ないもん」

 

敷波「……データ…?あの子は、データなんかじゃないよ…生きてたよ、生きてたんだよ…」

 

ミッシェル「そんな事どうでもいいからさぁ…あんまりごねてる様なら紅衣の騎士団辺りにアンタ突き出すよ?追われてるんでしょ?」

 

青葉「…貴方、まさか最初からそれが狙いで…」

 

昴「紅衣の騎士団が、どうかしましたか」

 

ミッシェル「おっ、丁度いいところに団長さんが居る!時間切れってとこかな?ほら、あのチートPC!」

 

昴「……チートPCなんて、ここには居ません、CC社は敷波さんのキャラをチートだと認識していないそうですから」

 

ミッシェル「…は?じゃ、じゃあアイツ、私が預けたプチグソ死なせたんだよ!」

 

昴「それは個人間のやりとり、意図的に死なせたのではないのなら私達は何も…」

 

ミッシェル「意図的に死なせたんだって!そうに決まってる!」

 

昴「…彼女がプチグソを助ける為に特効薬を探す際、私も同行しましたが…彼女は真剣にプチグソの事を案じている様でした、意図的に死なせたとはとても思えません」

 

ミッシェル「何それ!…あー…もう!」

 

昴「それと、勘違いされているかも知れませんが…私達、紅衣の騎士団はThe・Worldでの悪事を取り締まる団体ではなく、より良い自治を目指す団体です…彼女達を紅衣の騎士団が追ってるということも…間違いです」

 

ミッシェル「…チッ!」

 

昴「……行きましたか…敷波さん、青葉さん、すみません、私が2人の時間を使ってしまったばかりに…」

 

敷波「…アンタは、悪くないよ…アタシが悪いんだ……アタシが、もっと早く…いや、気づいてたんだ、ちょっと変だなって…でも、周りと関わるのが怖かったから…だから、アタシが死なせたんだ…!」

 

青葉「……敷波さん…」

 

昴「…貴方は、優しい方なんですね…預けられたプチグソの為に…」

 

敷波「……あの子は、生きてたんだよ…生きてて、死にそうだったから、助けようとした…それだけなんだよ…」

 

でも、それは叶わなかった

 

昴「生きて、いた…?」

 

敷波「…ゴメンな、アタシのせいで…もっと生きたかったよな…」

 

青葉「昴さん、すみません、2人にしてくれませんか」

 

昴「……一つだけ、敷波さん、貴方は…」

 

敷波「…何」

 

昴「貴方に、何が起こっているんですか…?」

 

敷波「……この世界に…取り込まれた、それだけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

The・World R:2

Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ

軽巡洋艦 神通

 

神通「ぐ…っ……つぅ…身体を強く打った…様ですね………え?」

 

あたりを見渡す

マク・アヌの路地裏…

 

神通「…何が、起きて…?」

 

AIDAの腕もいつの間にか消えている

流石にこれを見られるのはまずいので丁度いいのだが

 

取り敢えずマク・アヌのカオスゲートへと向かう

 

神通「……あそこにいるのは…提督?」

 

 

 

ハセヲ「なんだ…これ…装備が変わってる……!まさか…レベル1っ?!メンバーリスト…装備は…!?……は、ははは…消えてやがる、何もかも…キャラデータまで、丸ごと初期化しやがった…」

 

 

 

神通(…キャラのエディットは違うけど、声も…雰囲気も、提督に間違いない…しかし、様子がおかしい…)

 

ハセヲ「っ!」

 

提督はいきなり何処かへと走り出した

 

神通「……追いかけるべきか…いや、提督がこの緊急事態に呑気にゲームなんかする訳がない…一度、このThe・Worldを探ってから話してもいいでしょう…」

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