元勇者提督 作:無し
駆逐棲姫のアジト
駆逐棲姫
駆逐棲姫「人間の使う艦娘システムには非常に大きな欠陥が複数あります、まず精神暴走を起こしやすい点、嫉妬や怨恨により思い切った行動に出ることも少なくないでしょう…」
護衛棲姫「ソレガハワイデスカ」
駆逐棲姫「そう、アメリカの艦娘達は力をつけた、なのに少し陣形を身につけた深海棲艦には手も足も出ませんよね?だから彼女達は周りからの非難や重圧により、耐えきれなくなった…その結果が革命のようなものです、今のアメリカ本土には艦娘はいません、陸からの攻撃で何とか上陸を防いでいますが…ふふっ、2、3ヶ月もすれば…ねぇ?」
護衛棲姫「…駆逐棲姫様、私ハ何ヲスレバ良イノデショウカ」
駆逐棲姫「ここに元の艦娘システムの、艤装、これを用意してあります、貴方がやることは…これを解析してウイルスを作る…具体的には認識障害を起こすんですよ」
護衛棲姫「認識障害…対象を別ノ何カト誤認スルナドノ障害…」
駆逐棲姫「そう、それを使って人を殺します」
護衛棲姫「…ドウスルノデスカ?」
駆逐棲姫「私であると誤認させれば…私に恨みをもっている者達はこぞって殺そうとする、滅多刺しでも、ミンチにでも、とにかく惨く、酷く、むごく…朧さんを絶望させながら殺すには…最適です♪♪」
護衛棲姫「私ハ駆逐棲姫様ノオ役ニ立テルノデスカ?」
駆逐棲姫「ええ、あなたは本当に従順なイイ子ですね…ちゃんと頑張ってください?」
護衛棲姫「仰セノママニ」
駆逐棲姫「朧さん、あなたを地獄に叩き落としてあげますからね……おや」
パソコンが勝手に起動する
駆逐棲姫「私のパソコン、触らないでくれます?」
Cubia『触ってはないよ、起動しただけさ』
駆逐棲姫「何の用ですか?」
Cubia『君が送り込んだ…敷波だっけ?このままじゃ明日にでもリアルに出てきちゃうよ』
駆逐棲姫「んー……良いですねぇ、頭をバグらせてから外に出しましょう、朧さんを殺す駒の一つにします」
Cubia『すごく恨んでるみたいだね』
駆逐棲姫「私を殺しかけた上に…なんかムカつくんですよ、私」
パソコンに火がつく
Cubia『…話の途中なのに』
駆逐棲姫「あなたも協力関係ではありますが、嫌いですから♪」
Cubia『…数見はどうする?』
駆逐棲姫「利用価値が残ってる間は働かせましょう、でも彼は既に権力すら失いつつありますからねぇ…価値が無くなった物はどんどん崩壊していきます、手を下すまでもない」
Cubia『じゃあ放置しようか』
パソコンが小さく爆発する
駆逐棲姫「…私ではあなたの動きに気づかないとでも思ってるんでしょうが…アメリカの一件、あなたが噛んでいる事ぐらい気付いてるんですよ…不死身のウイルスバグ…か…折角まともな装備を手に入れたのに手も足も出ない訳だ、私の管轄にまで出てきたら殺してやりますからね」
離島鎮守府 応接室
戦艦 レ級
レ級「…まさか、あなたが一番最初に解体申請するなんて…正直驚きです、いや…仕方ない事なのでしょうが」
島風「…みんなに合わせる顔もないの…ここに居ても、私は何もできないし…」
レ級「引き留めたくて言うわけではありませんが…貴方なら並の深海棲艦は圧倒できるでしょう?」
島風「……怖いの」
レ級「怖い?」
島風「駆逐棲姫に頭を蹴られた時、何より強く死のイメージが私にまとわりついた、私にはまるで…何もできなくて…立ち上がることすら出来なくて、もうなどと目が覚めないんじゃないかって思った…私は、私は……」
喋るにつれ、呼吸が速くなり、苦しそうな表情のまま涙を流す
レ級(…心に負った傷は深い、か)
島風「…ごめん、なさい…」
レ級「貴方が責任を感じる必要なんてない、駆逐棲姫は…もはやアレは化け物です、仕方ない事なんです」
島風「それは違う、私は……私は、駆逐棲姫に与えられた力を使ってる…!これを私に渡したのは秋津洲さんだけど、駆逐棲姫はこの力を私に渡して……何しようとしてるのかわからないけど…私は…」
島風さんの手にモヤが集まる
島風「…もう、私は、この力を使えない…怖い、一瞬でも気を抜いたら力に呑まれる気がして…私には、これは扱えない…私は…」
レ級「…その力は、人の世には必要ない物です、ここに置いていく手段があると良いのですが」
島風「……連装砲ちゃんの中に封じ込める…連装砲ちゃんの中なら漏れ出すことも無いから…」
レ級「わかりました…皆さんには、先に伝えますか?」
島風「……」
島風さんは何も言わずに首を振った
レ級「…それではあなたがここを去ってから伝える事とします、帰る家は?」
島風「…無いと思う…私のこの世界の家族…みんな死んでるらしいし」
レ級「……では、住居を用意します、お金も口座に毎月最低額を振り込まれるようにしておきます、今までの貯金も有ればなんとか暮らせるはずです」
島風「…場所、選べる…?」
レ級「希望は聞きましょう」
島風「…青森がいい、大湊警備府は…舞鶴の子達がいるらしいから…」
レ級(辛くなるだけだろうに…)
島風「……もういい…?」
レ級「最後に一つだけ…島風さん、今回の選択、きっと提督はお喜びになります、あなたが危険に冒されることのない日々を過ごす事、それこそが提督の望む事です…どうか恥じず、平和な暮らしを謳歌してください」
島風「…ありがとう」
島風さんを見送る
レ級「…島風さんの怪我が完治するまでにもう暫くかかる…転居先も用意しないといけない……提督、どうか皆さんを守ってあげてください」
応接室
提督代理 朧
朧「曙、正座」
曙「してるわよ…」
朧「…なんで高速修復剤をくすねたりしたの!」
曙「脚が治らないと歩けない、それに戦えない…ここは一人でも戦力を減らせる状況にないの」
朧「だとしても、暫く戦わせないから…!」
曙「……八つ当たりじゃない」
朧「何…?何が八つ当たりだって!?」
曙「アンタがイラついてんのは知ってる、でもそれは八つ当たりだって言ってんの…アンタはもっと冷静になりなさいよ、あたしが戦わなきゃいけないのはわかってるんでしょ?」
朧「……」
曙「アンタにとって、あたしは何?」
朧「…大切な妹」
曙「違う、アイツみたいな事言うけど…今のアンタは提督代理であたしは部下!あたしは力なのよ、アンタの使う力!そんなもん直ぐに修理して前線に出しなさいよ!」
朧「……曙、艦娘システムの副作用はわかるよね…?その顔の白い斑点、そのせいなんでしょ?」
曙「…これは……知らないわ、白斑症って奴らしいけど」
朧「アタシは曙が大事、提督だって曙を大事にする…だから…曙1人に無理なんかさせたくない…さっきみたいな感情的な言葉じゃない、冷静に考えた上でそう決めた…」
曙「…さっきよりはマシな顔してるわね」
朧「……」
ドアが開く
亮「悪い、今いいか?」
朧「はい、何ですか」
亮「確認したいことがあってな……カイトはこの世界…完全にネットとリアルを切り離したのかって事だ」
朧「…何言って…?」
曙「いや、それはあたしも気になってたのよ…そして多分答えは違うんじゃないか…って思ってる」
朧「どう言う事…?」
曙「カイトは本当にネットとリアルを切り離した世界を作り出したのか…それを考えるなら…神通は?アイツはAIDAを使って見せた、それもリアルで…ナノマシンで形成されたAIDAなのか、それとも本物なのか、あたしには区別つかないけど…」
亮「アレが本物なら…リアルとネットがまた繋がったことになる、しかも前より早い時間に」
朧「…そっか…曙や綾波もリアルとネットを行き来する力があるし…」
曙「バリアなんて非現実的なものまで持ち出してきた…」
亮「…前の世界のことは無駄だったのか?」
朧「それだけは違う……それは違うと思います、確信はないけど…」
曙「……この世界が滅ぶ可能性が有るのなら、またやり直す事になるんじゃないの?」
朧「…ううん、そうはならないよ、絶対に…あの戦いが無駄になるなんてアタシが許さない…」
曙「…じゃ、そうならない為にもさっさと綾波をボコボコにしないとね」
朧「うん」