元勇者提督   作:無し

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助けに

横須賀鎮守府

重巡洋艦 アオバ

 

アオバ「本当ですか…」

 

火野「報告では間違いないとのことだ、目撃された怪物は君の妹と同じ技を振るい、多数の被害を出した」

 

アオバ「……陽炎さんを呼んでください、私達で行きます」

 

火野「話を聞いていたか、君たちでどうにかなる問題ではもう無い」

 

アオバ「どうにかなるかじゃないんです、私達がやらなきゃいけない、どうにかしなきゃいけない…!私達があの子を助けてあげなかったら誰が助けてくれるんですか!」

 

火野「…できると思っているのか」

 

アオバ「できるできないなんて関係ない!あの子は私の大事な存在なんです!たとえ元に戻すなんてありえないとしても…できると信じなきゃいけないんですよ…!」

 

火野「……その怪物は福岡、博多の市街地まで侵攻し、突如引き返したそうだ」

 

アオバ「…福岡…何故…?」

 

火野「キミの妹を匿っていた者の家がある、どうやらそこまで行き、帰ったらしい…民間人は非難していた為、被害は無かったそうだ」

 

アオバ「じゃあ…青葉は…記憶を辿ってそこに…?それとも、助けて欲しいの…?」

 

火野「私には判らないが、急いだ方がいいことだけは確かだ」

 

写真を見せられる

片腕を切り落とされた怪物が空に吠えている写真

 

アオバ「…これ、何処ですか」

 

火野「離島鎮守府よりさらに南に20浬の地点だ、その写真ではわかりづらいが深海棲艦の軍団も引き連れている」

 

アオバ「行きます、今すぐに」

 

火野「死ぬかもしれない」

 

アオバ「関係ないって言いましたよね…やるんです、私は全部賭けるって決めたんです…!」

 

火野「では、こちらから攻めるとしよう…佐世保も被害は甚大だが、返しはしたいとの事だ、正規空母を送ってくれるらしい」

 

アオバ「…え?」

 

火野「離島鎮守府にはもう協力の話は取り付けてある、キミと陽炎、佐世保の正規空母とともに向かいたまえ…離島鎮守府の戦略も合わされば充分だろう」

 

アオバ「あ、あの…司令官…」

 

火野「君の責任だ、しっかり果たせ、チャンスはたった一度しかない」

 

アオバ「……ありがとう、ございます…!」

 

 

 

 

 

駆逐棲姫のアジト

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「んー、勝手な事をしちゃいましたねぇ、この怪物ちゃんも…」

 

護衛棲姫「申シ訳ゴザイマセン!制御シキレズ…」

 

駆逐棲姫「まあ良いですよ、レ級さんがどんどん壊れてるって話だけで私は満足です、敷波の調教も進んでますし…うーん、せっかく作ったけどこの怪物は決して強くは無いんですよねぇ」

 

護衛棲姫「ソウ、ナノデスカ…?」

 

駆逐棲姫「佐世保は前衛特化の戦艦と軽巡洋艦がエースを張っています、空母の層も厚い…通常の深海棲艦なら有利に立ち回れますが…しかし逆にこの怪物相手にそれは弱かったってだけなんですよ」

 

護衛棲姫「…申シ訳アリマセン、空母ニハ傷一ツツケラレズ…」

 

駆逐棲姫「そこは期待してないので、構いませんよ?」

 

護衛棲姫「…役立タズデゴメンナサイ…」

 

駆逐棲姫「でも、離島は戦艦の層も厚いし、このカートリッジとやら…非常に邪魔ですねぇ…遠距離戦に持ち込まれたらこの子は熱線の溜めでやられかねません…正体を明かして攻撃しづらくしてみましょうか」

 

護衛棲姫「攻撃ヲ躊躇ウデショウカ…」

 

駆逐棲姫「まあ、おそらくは…」

 

駆逐棲姫(メインの狙いは感情の揺さぶりですし、この怪物が死のうがどうなろうがどうでもいい…あ、でも人で無くなった者の末路も記録はしておきたいですね、興味深いし)

 

怪物を見る

 

駆逐棲姫「しかし、その腕、自力じゃ再生しないんですねぇ?」

 

怪物「……」

 

駆逐棲姫「ま、いいや、再生させてあげますから最期のお仕事頑張ってください♪」

 

 

 

 

 

 

離島鎮守府

戦艦 レ級

 

曙「あんたがそこまで酷くやられるなんて、どういう敵なのよ」

 

レ級「……」

 

曙「なんとか言いなさいよ…ねぇ、大丈夫?」

 

私はボロボロになって、イムヤさんに回収されて

 

私は、みんなに心配されて

 

もう、立ち上がれない…

 

曙「……アンタ、何隠してんの?」

 

レ級「…隠してなんかないわよ」

 

曙「嘘ついてんじゃないわよ、私とアンタで隠し事なんてできるわけ…」

 

気づいたら手が出ていた

曙を叩いていた、恐怖心から…そして、焦りから

 

曙「ッ……どうしたのよ、アンタらしくない…」

 

いきなり叩かれたのに、なんで私を心配する、なんでその目を私に向ける

私が惨めになるだけだ、お前と私は何処までも違う、私じゃお前にはなれないのはわかってるのに…

私はもう、みんなの為に戦うということを考えすらしないのに…

 

レ級「…その、ごめん…本当になんでもないから、放っておいて」

 

曙(そういう奴ほど、なんかあるのよ…)

 

 

 

提督代理 朧

 

アオバ「すいません、短期間ですがよろしくお願いします」

 

陽炎「お願いします」

 

朧「此方こそ、お願いします…怪物…青葉さんが本当にそんな姿になってしまっていたのなら、アタシ達も全力で…」

 

アオバ「…正直、私も半信半疑ではあります、だけど可能性があるなら私はやらなきゃいけません」

 

陽炎「…それと」

 

瑞鶴「私と翔鶴姉も参加するから、よろしくね」

 

翔鶴「お久しぶり、朧ちゃん」

 

朧「翔鶴さん…!きっと皆さん喜びます!」

 

翔鶴「私もこっちに来たかったけど…周りの目が厳しかったから…でも、ようやく緩くなって来たし、ここに来られた…だから、私も戦う」

 

瑞鶴「ま、腕は鈍ってないみたいだから…室内で行う訓練には参加してたし…」

 

翔鶴「座学優先みたいな感じだったけど…でも、良い物も手に入ったの」

 

朧「良い物…?新しい装備とかですか?」

 

翔鶴「ううん、激辛スパイス」

 

朧「あ…そうですか…」

 

朧(そっちの良い物、かぁ…)

 

アオバ「すいません、春雨さんは居られますか?」

 

朧「医務室にいるかと…案内します」

 

 

 

 

医務室

 

春雨「よくもまあ、大所帯で」

 

アオバ「…貴方はデータドレインをお持ちですよね、その力で…青葉を元に戻すことはできますか?」

 

春雨「いや…正直知りませんよ、症例の一切ない怪異とかしたモノをデータドレイン一つで元に戻せるなら苦労はしません」

 

アオバ「…手段は、何もありませんか…?」

 

春雨「朧さんに頼る他無いんじゃないですか?ねぇ?」

 

朧「…アタシもデータドレインを使えます、というか使う為に必要なデバイスを持っています」

 

アオバ「…お二人のデータドレインは違うモノなんですか?」

 

春雨「ダミー因子の有無、ダミー因子を認識させればシステムの出力が上がるようでして…ねぇ」

 

朧「…ただ、これも万能じゃない…AIDAをリプログラミングする目的で作られたモノ…でしたっけ」

 

春雨「ええ…リプログラミング、それ以上の効果はありません…しかも、弱らせてからでなければ意味はない…」

 

アオバ「……たとえどんなに分の悪い賭けでも、お願いします…私の全てを賭けます」

 

春雨「全て?貴方の全て?……片腕の貴方が何になるんですか、貴方の全てって、肉壁になってくれるんですか?……邪魔くさいです、出撃しても邪魔なだけ…貴方はここでおとなしくしてなさい」

 

アオバ「っ……」

 

陽炎「そんな言い方無いでしょ!?アオバさんだって本当に死ぬ覚悟で…」

 

春雨「死ぬ覚悟?そんなモノ持ってくるな、穢らわしい…!」

 

陽炎「穢らわしいって何よ!」

 

瑞鶴「まあまあ陽炎、落ち着きなよ…別に悪い子じゃ無いみたいだから」

 

翔鶴「あら、瑞鶴ならいの一番に噛み付くと思ったのに」

 

瑞鶴「…声が悲しそうだった、要するに…春雨だっけ、死んで欲しく無いんでしょ?誰かが死ぬのが嫌だから、出撃を拒んでる」

 

春雨「…死ぬ覚悟、とか言ってる奴は本当に簡単に死にます、1人死ねば周りも巻き込む、つまりコイツは艦隊に害を与える」

 

瑞鶴「まあ、要するに人死にが出てほしく無いって事で良いんだよね?」

 

春雨「…否定はしません」

 

瑞鶴「さて陽炎、今の話聞いてこの子は悪い子だと思う?」

 

陽炎「いや、別にそこまでは…」

 

瑞鶴「よし、解決したね」

 

陽炎「…そうですね」

 

春雨「チッ…」

 

陽炎「今丸く収めたのにその舌打ち要る!?」

 

春雨「…うっさ…」

 

陽炎「なにそれ!感じ悪…!」

 

朧「…あー、春雨さん?」

 

春雨「……」

 

陽炎「良いですよ!気にしないで…まあ一つだけ言うなら…私、アンタ嫌い」

 

春雨「奇遇ですね、じゃあ2度と来ないでください」

 

陽炎「カッチーン…と来た…あんた本当に今度一発ぶん殴ってやるから!!」

 

春雨「どうぞ?やり返しますし治療もしませんが」

 

朧「……はぁ…」

 

 

 

 

工廠

 

朧「…明石さん、もう提督代理代わってください…」

 

明石「いや…私も忙しいし…」

 

朧「……冗談です…いい加減本土に行ってやらなきゃいけない事もあるのに…」

 

明石「…何を?」

 

朧「特務部と蹴りをつけないといけないと思って…」

 

明石「特務部?なんでまた…」

 

朧「…味方同士で牽制し合うような事…してても無駄ですから」

 

明石「まあ、それはそうですけど…」

 

朧「それに、特務部がアタシ達を傷つけてきたのはわかるんです、でも…それでも、アタシ達は今色んな方向に目を向けて、戦う準備をしなきゃいけないから…」

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