元勇者提督   作:無し

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思うまま

海上

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「ハッピーエンド…で、終わればよかったんですが…とことんついてない人が1人居ますねぇ?」

 

ぷかぷかと仰向けに浮いている朧にゆっくりと歩いて近づく

 

 

 

駆逐棲姫「朧さん!」

 

朧「…綾波…!」

 

朧さんに手を差し伸べる

 

朧「…何の、つもり…?」

 

駆逐棲姫「…もう、私があそこにいる必要は無くなったんです」

 

朧「必要…?何言って…」

 

駆逐棲姫「…今までごめんなさい、私、本当は皆さんを裏切ってなんかいないんです」

 

朧「…は…?何言ってんの…?綾波、自分が何したか覚えて…」

 

駆逐棲姫「わかってます、でも、この子に罪はないから…」

 

敷波が私の後ろから出てくる

 

朧「敷波…!生きて…」

 

敷波が朧さんを起こす

 

駆逐棲姫「信じてもらえないかもしれませんけど…青葉さんは私が何もしなくてもあの姿になっていました、怪物になる事は避けられない…それなら皆さんのいるここで戦えば何とかしてくれるんじゃないか…そう思ったんです、そして…青葉さんは助かった、青葉さんはもう深海棲艦の力に脅かされることもない」

 

朧「…じゃあ、なんで敷波を殺したなんて嘘…」

 

駆逐棲姫「駆逐古鬼の目から隠すためです…私は今まで駆逐古鬼に従えられていました、でも敷ちゃんだけは助けたくて…!」

 

朧「……そう、なの…?」

 

駆逐棲姫「私はどうなっても良いんです、敷波だけでも受け入れてくれませんか!?」

 

朧「……」

 

駆逐棲姫「信じてください、朧さん!」

 

朧「……わかった、信じ…る…?」

 

敷波が朧さんを背後から刺す

 

朧「…敷…な…」

 

駆逐棲姫「……アハッ!アハハハハハ!アハハハハハハハハハ!あーおかしい!何で信じるのかなぁ!アハハハハハ!」

 

朧「…嘘……敷な…み…」

 

うつ伏せに倒れた朧さんに敷波がのしかかり、何度も背中を突き刺す

 

駆逐棲姫「あー良い!最高!すごく良い!完璧で汚くて…!ほら!敷波!もっとやりなさい!全身グチャグチャにしてみせなさい!」

 

敷波は言われたままに朧さんを突き刺す

 

駆逐棲姫「うーん、良い音…アハッ」

 

恨めしそうな目で朧さんが私を見上げる

 

駆逐棲姫「ああ、お腹減りました?靴底でも舐めますか?」

 

頭を踏みつけ、朧さんの心を踏み躙る

なんて素晴らしい心地なのだろうか

 

朧「…が…ぁ…!」

 

駆逐棲姫「さてさて、絶望はここからです」

 

指をパチンと鳴らす

 

敷波「…え?な、何これ…何でアタシ…朧を…」

 

朧「……!」

 

駆逐棲姫(さあ、朧さんは敷波を受け入れられるか…)

 

駆逐棲姫「ま、楽しんでください、シーユー」

 

 

 

 

離島鎮守府

提督代理 朧

 

朧「…なんで、アタシ…生きてるの」

 

春雨「…高速修復剤による処置の結果です、どうしても止むを得ず…お加減は」

 

朧「最悪」

 

…綾波に弄ばれ、敷波に殺されかけ…

 

敷波「朧…」

 

朧「敷波!っ…たた…」

 

春雨「あまり暴れないでください」

 

敷波「朧…ごめん、謝って許される事じゃないのはわかってるけど…ごめん…!」

 

敷波は泣きそうな顔でこちらを見る

そんな顔で見られてもアタシは…

 

朧「…ごめん、とりあえず……後にして」

 

敷波「……うん」

 

 

 

 

重巡洋艦 青葉

 

青葉「…ねぇ、そっちの腕は?」

 

アオバ「治らないって…魔法は傷を塞いでくれるだけ、無いものは作れない…でも、ほら」

 

頭に手を置かれる

 

アオバ「こんなこともできる」

 

青葉「…もう」

 

アオバ「……本当に…良かった」

 

私の体は何も異常がなかった

ナノマシンも検知されず、白い肌も元通り

まるで浄化の過程だったんじゃ無いか、という位に元通りになってしまった

 

青葉「…お礼、言わないと…瑞鶴さんにも、みんなにも」

 

アオバ「そうだね…ほんとに、よかった…あ、青葉、記事、見たよ…ブログみたいだったけど」

 

青葉「まだどうすればいいかわからなくて…そうだ、今度書き方教えて?」

 

アオバ「よーし、幾らでも教えちゃうから!」

 

 

 

 

 

海上 

戦艦 レ級

 

レ級「…あ…ああぁ…!」

 

頭がぼーっとする、眩暈もする、吐きそうで、死にそうで、倦怠感に包まれて、今にも壊れそうな自分が嫌になる

私はどうなるのか…

 

怪物の遺骸を見上げる

 

レ級「……」

 

尻尾が大口を開け、怪物を喰らう

 

レ級「…っ……ん………ああ…」

 

満たされる、久しく、満たされたような感覚…

 

深海棲艦の特質が私を蝕み、私を強くする

これを喰らうことで、私は生きながらえられる…ハズだ

 

レ級「…あるいは……全てを捨てるのか…」

 

揺れる、私は…どうすればいいのか、どうなればいいのか

 

レ級「…提督、どうか私をお導きください…」

 

ただ、祈る事しかできない

もし一寸下には、この深く、暗く、冷たく、絶望しかない海に私の想像を遥かに超える化け物が今にも私を喰らおうとしているやもしれない

私を襲う恐怖は誰にも理解できず、それを払い除ける手段もない

 

レ級「……提督は、何をお望みなのでしょうか…あの部屋から救う事ができたとしても、綾波に殺される…私は…」  

 

両肩に手が置かれる

寒気、背筋が凍りつく

 

呼吸が荒くなり、涙が込み上げ、視界がぼやけ、思考に雲がかかる

 

駆逐棲姫「さあ、お仕事の時間です…貴方の手で、姉妹を殺すために…ね?」

 

レ級「…私に、これ以上…」

 

駆逐棲姫「これ以上?なんですか?まだ序の口じゃないですか!ほら、私を楽しませないと…倉持司令官は死んでしまいますよ?」

 

レ級「っ……」

 

駆逐棲姫「天秤にかけなさい、自分の姉妹とね」

 

かけてはいけない天秤を、今、眺める事しかできない

道理に反し、誤った道を歩む事しかできない

 

レ級「…っ…あぁ…」

 

駆逐棲姫「良いですね?まだ殺しませんが…ほら、この通りにやるんです」

 

レ級「……そんな」

 

駆逐棲姫「貴方はただ薬を盛るだけ…のつもりでしたが、アレも捕まえてもらいますか」

 

レ級「…!」

 

駆逐棲姫「見てはいけないモノを見られたら口封じ…ですよね?」

 

 

 

 

食堂

正規空母 瑞鶴

 

青葉「あ、瑞鶴さん」

 

瑞鶴「あ、もう良いの?」

 

青葉「はい、色々とありがとうございました…」

 

瑞鶴「まあ、そんなに感謝されるほどのことじゃないし…私の力も、みんなから見れば間違ったものでしょ?」

 

青葉「…私はそうは思いません、人を救う力、それが間違ってるだなんて…」

 

瑞鶴「どの道私は世界を壊そうとした様なものだしね、非難されても文句はないけど…」

 

春雨「私は非難しませんよ」

 

瑞鶴「おっと…1番怒りそうな相手だと思ってた…」

 

春雨「…正直、私にとって貴方は羨ましい存在です、人の命を救う魔法なんて望んでも手に入りませんから」

 

瑞鶴「……成る程ね」

 

春雨「私は過去に囚われるタイプでして、未だに数多の髑髏が私の後ろ髪を引く様です、貴方の力が私にもあればきっと救えた命達です、羨ましく、憎らしい…」

 

瑞鶴「非難しないって言ってなかったっけ…」

 

春雨「ええ、非難はしません、嫉妬はしますが…ああ、青葉さん、検査をしたいので後で医務室に、検査データを送れば貴方を研究室送りにしなくても済むかもしれない」

 

青葉「本当ですか…?」

 

春雨「ええ、モルモットにはなりたくないでしょう?」

 

青葉「も、もちろんです!」

 

瑞鶴「ねぇ、春雨、その言い方もっと何とかならないの?きっと勘違いされやすいと思うけど」

 

春雨「…昔からのものですから」

 

瑞鶴「そう言い訳するのは簡単だけど、きっとそれで損したことあると思う、この子ともっと仲良くなりたかったとか、そんな後悔…あるでしょ?」

 

春雨(……思えば、私が綾波さんに心を開ければ…あの時綾波さんが私を頼ってくれたのなら、もっと別の今が…)

 

瑞鶴「…思い当たる事、あるでしょ?」

 

春雨「…かもしれません、私はあまりにも傲慢だった…」

 

瑞鶴「傲慢?…傲慢かぁ…ただ怖がりなだけに見えたけど」

 

春雨「怖がり?私が?」

 

瑞鶴「人と関わるのが怖いだけに見えた、だから…そう、あんまりみんなと仲良くしたくない…って感じ?」

 

春雨「……私が恐れているのは、死だけです…しかし、それが故に人と深い仲になるのを忌避しているのかもしれません」

 

瑞鶴「改善する気になった?」

 

春雨「はい、どうやら私は死んだように生きていたのでしょう」

 

 

 

陽炎「あ、瑞鶴さん、お疲れ様です」

 

瑞鶴「もしかして私探してた?」

 

陽炎「まあ…それより、ゲームの力を使えるなんて…何で教えてくれなかったんですか」

 

瑞鶴「ホントは存在しちゃいけない力、だったらできる限り使わない方がいいと思って…」

 

翔鶴「私を助けるために使ったのに?」

 

瑞鶴「翔鶴姉!…いや、アレは…うーん、そうなんだけどさ…データドレインで無理やりAIDA除去したりしたし…言うなればオリジナルの碑文の力で色々無茶やった感じだし…」

 

陽炎「…それを使えば、秋雲も助けられたり…」

 

瑞鶴「それは無理、秋雲の体は今空っぽなのよ、AIDAもいない」

 

陽炎「…どういう事ですか?」

 

瑞鶴「まるで意識を抜き出されたみたいに空っぽ…向こうの世界のどこかに秋雲はいるんじゃないかなぁ」

 

陽炎「…ネットの中…」

 

瑞鶴「そういえばあのネットゲームってもうすぐ始まるんだっけ?」

 

陽炎「ええと…もうすぐバージョンアップされて配信されますけど…」

 

瑞鶴「探そうよ、一緒に」

 

陽炎「……そうですね、わかりました」

 

 

 

 

 

駆逐棲姫のアジト

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「んー…いまの駆逐水鬼でも遅れは取らないんですけど…まだイケますよねぇ?」

 

護衛棲姫「…ト、言イマスト?」

 

駆逐棲姫「見てください、これ」

 

くすねたカートリッジを見せる

 

護衛棲姫「…ソレハ」

 

駆逐棲姫「さて、私本来の力、知性を取り戻します……艦娘システムと深海棲艦の最大限の融合、さらにそこに人間としての理知性を加えて、ダミー因子も利用する…」

 

カートリッジを艤装に突っ込む

挿し込む穴なんて無いのに、艤装に溶けるように呑み込まれていく

 

駆逐棲姫「深海棲艦の死の力、艦娘システムの、人間の生の力……私の時が進む事で私はより強くなる、なり続ける…!」

 

護衛棲姫「ソノ姿ハ…」

 

肌や髪に色が戻り、衣服が切り替わる

 

綾波「…ま、一時的なものです…それとも貴方は自身の仕える相手を容姿で選ぶんですか?」

 

護衛棲姫「イエ、決シテソノヨウナコトハ…!」

 

肌と髪の色が消え、衣服が元に戻る

 

駆逐水鬼「おや…綾波の姿戻るのにはかなりエネルギーを使うみたいですね…まさかこっちに戻されるとは…でも、さっきの感覚だけでもよ〜くわかる…性能は駆逐水鬼の3倍ってところですか」

 

護衛棲姫「…駆逐棲姫様、私ニモオ力添エデキルコトハアリマスカ?」

 

駆逐水鬼「……なら、カートリッジを回収しなさい、そのための艦娘の撃破も実に容易です、捕虜の人間達に近接武器を持たせ、前衛にし、深海棲艦には後方から砲撃させなさい、わかりましたね?」

 

護衛棲姫「御意ニ」

 

駆逐水鬼「綾波、漸く私の力を取り戻せる…私こそが絶対的頂点です、最強であり、誰にも遅れを取らない存在、さあ…よく覚えておきなさい」

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