元勇者提督   作:無し

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データ消失

離島鎮守府 応接室

提督代理 朧

 

朧「…曙、なんで呼ばれたかわかってる?」

 

レ級「……阿武隈さんに見られた結果よ」

 

朧「そうじゃないでしょ…?なんでここにまでタバコやお酒を持ち込むの…?」

 

レ級「黙りなさい、今の私はアンタだろうと殺すわ…むしゃくしゃしてるのよ」

 

曙の尻尾の艤装がアタシの顔の前で展開する

大口を開け、その中から戦艦砲を覗かせる

 

朧「……曙、そんなにアタシ達が頼りない?そんなにみんなを頼るのが怖いの…?」

 

レ級「…黙りなさい、わざわざ出頭してやったんだからそれで満足して終わりにしなさいよ…!」

 

朧「黙るわけないでしょ…?アタシ達仲間じゃなかったの?姉妹でしょ?頼ってよ!みんな心配してる、なのに…」

 

背後の壁に大穴が空く

 

レ級「…黙れって言ってんのよ…!」

 

朧「……曙…」

 

頬を涙が伝う

 

レ級「わかったらさっさと失せなさい…!」

 

朧「…今の曙の脅しなんて…全く怖くなんかないよ…言うことを聞かないからってそんな暴力に頼る様な事…味方にしたこと無かったじゃん…何が曙をそこまで追い詰めてるの…?」

 

綾波なのか、提督なのか、それとも両方なのか…はたまた別の何かか

 

レ級「わかった様なことを…!」

 

朧「嫌でもわかる!わかるんだよ…!アタシ達どれだけ一緒にいたと思ってんの…?どれだけ前の世界で曙が苦しんだか、アタシ達みんな知ってる!だから…!」

 

レ級「ウザいのよ!アンタに何ができるのよ!」

 

朧「…なんだってやるよ…曙、これだけは覚えておいて…アタシ達はどんなことがあっても曙の味方だよ…」

 

レ級「……いずれ、そうじゃなくなる…」

 

曙はそう言って部屋から出て行った

 

要するに、曙は前と同じ状況に陥っている?そうとしか考えられない…だとしたら…アタシ達に何ができる?

曙はああ言ったけど…助けて欲しいんだ、今誰よりも辛いのは曙なんだから

 

朧「…へっ…へくしゅん!!…あぇ?うわっ、壁の穴から雨が…」

 

秋の雨は心が冷える気がした

 

 

 

 

 

 

 

工廠

工作艦 明石

 

明石「……あ、あれれー?…USBのデータ、空っぽ…?私受け取ってから一度も触ってなかったし、変な事やってないはずなのになぁ…」

 

可能性としては中身を盗まれた、或いは最初から空っぽだった、それか削除されてしまったか

 

しかし…空っぽというのはおかしい話だ、曙さんは無意味なものを託したりはしないだろう

となると2択だが、私は削除なんかしていない、盗む様な輩もいないはず……

 

明石「…いや、最初の一つの選択肢が消えた時点で……そう、私、マズった…?」

 

冷や汗が背中を伝う

 

明石(どうしよう、曙さんにバレたら殺される…)

 

パソコンを操作し、USBにダウンロードしたデータを探す

 

明石「…な、何これ?なんでこんな…おかしい、パソコンの中身がおかしくなってない…?ウイルス……いや、違う、こんなの前にも見たことがある…パソコンの中身をごっそり食べられたみたいな……」

 

さらに汗が吹き出す

 

明石「ま、まさ…か…このデータって腕輪とか関連だったり……」

 

なんというか、急に胃が痛く…

 

明石(私じゃ復元できるシロモノじゃない……っていうか、万が一敵に盗まれてたら…)

 

 

 

重巡洋艦 青葉

 

青葉「失礼しまー……わぁっ!?」

 

明石「あ、あおばひゃ…あひゃ…」

 

床に寝転がった明石さんが涙と鼻水まみれの顔を上げる

 

青葉「あ、明石さん…何があったんですか…?」

 

明石「…こ、殺される…曙さんに殺される…!」

 

青葉「えーと………落ち着きましょう?」

 

 

 

 

青葉「つまり…大事なデータが行方不明…」

 

明石「バレたら絶対殺されちゃう…多分腕輪とか、そういうデータみたいで…」

 

青葉(思ってた数倍大事だった…)

 

青葉「…とにかく、無くしたことすぐに伝えましょう?取り返しの付くうちに……つくかわかりませんけど」

 

明石「…わかりました、自分のミスは責任取らないと…」

 

青葉(取れる責任なんでしょうか…)

 

 

 

食堂

 

青葉「曙さん知りませんか?」

 

潮「見てません…でも、朧ちゃんと喧嘩して壁に穴開けたって…」

 

明石「えーと…知ってます、後で修理するので…」

 

 

執務室

 

朧「曙…居ません、何処に行ってるのか…」

 

青葉「…困りましたね」

 

明石「穴空いたのはここじゃないんですか?」

 

朧「応接室です、人が出入りできるくらいなので…」

 

明石「…わか、りましたー……はぁ…」

 

 

 

 

医務室

 

春雨「…私に言われても知りませんよ、それよりイムヤさんを見てませんか?」

 

青葉「いいえ…」

 

春雨「…もう3日も見ていません、何が起きてるのやら…」

 

明石「早く帰って来てくれると良いですね…」

 

春雨「ええ、帰ったら乾燥春雨を口に突っ込んでアッパーカット食らわせてやります」

 

青葉(口の中ズタズタになるんじゃ…)

 

明石(な、仲良いんだなぁ…)

 

 

 

食堂

 

明石「結局いませんね…」

 

青葉「…私、今日で佐世保の方に戻るので…陽炎さんと瑞鶴さんとお姉ちゃんも」

 

明石「ああ、まだ居たんですね…」

 

青葉「本当なら作戦はもっと長引く予定だったので、日数はとってあったんです…あ、そういえば…」

 

明石「はい、完成してますよ…ええと、青葉さんの身長に合わせた槍と籠手でしたっけ」

 

青葉「ありがとうございます…実はキタカミさんに早速指導を受けちゃって…専門外の武器のはずなのに私の動作の改善点や使い所を指導してくれて…」

 

明石(あの人本当になんでもできるな…)

 

青葉「た、ただ…身体が弱くなってるのに無茶するから杖無しでは歩けなくなっちゃったらしいんです」

 

明石「それは…かなり良くないですね」

 

青葉「…春雨さん曰く、もう戦えない身体だって…」

 

明石「…そうですか…」

 

青葉「……」

 

目の前にカルボナーラが乗った皿が置かれる

 

明石「…パスタ?」

 

如月「キタカミさんがイタリアンの作り方を教えてくれたから…味わって食べてね?」

 

満潮「味は…美味しいと思うわ」

 

青葉「イタリアンですか…」

 

明石「本当に多芸な事で…」

 

パスタをくるくると巻き取り、口に運ぶ

 

青葉「うん、美味しいです」

 

満潮「よかった…」

 

如月「ホント、良かったわ…ねっ?」

 

青葉「…何かあるんですか?このパスタ」

 

満潮「そういう訳じゃないけど、吹雪と照月が作ったの、あの2人と神州丸も今は食堂の手伝いでしょ?」

 

如月「今までは調理は私たちだけだったけど…できる人が増えたらレパートリーも増えるし、好きな物を食べられるから…」

 

満潮「と言っても、どんどん入ってくる食料が減って来てるから…あんまり贅沢はできないけどね」

 

如月「吹雪ちゃんがコーヒーの粉が入った瓶を割ってしまったからインスタントコーヒーが飲めなかったりね〜?」

 

調理場の方から咳払いが聞こえる

 

満潮「でも、まあ次の補給船は午後には来るし…」

 

青葉(あ、私たちの迎えの船か…)

 

如月「なんとかなりそうよね〜」

 

明石「それなら良かったんですけど」

 

 

 

 

 

 

駆逐棲姫のアジト

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「おや、これはこれはレ級さん、ちゃんと言いつけを守ったみたいですね」

 

レ級「……補給船の中身、これで全てです…乗組員は…殺してません」

 

駆逐棲姫「おや、殺しても良いって言ったのに…あなたは身も心も深海棲艦、人を殺めず生きていける存在じゃないんですよ?」

 

レ級「…っ…!」

 

歯を軋ませ、顔を背ける

睨んでいることを悟らせたくないのだろうが、丸わかりだ

 

駆逐棲姫「あなたも随分と弱々しくなりましたねぇ?ああ、そうだ…しばらくしたら島風さんを迎えに行くんですが、一緒に来ますか?」

 

レ級「え…?」

 

驚愕の表情

まさか居所を掴まれているとは思わなかったらしい

 

駆逐棲姫「あれ?本当に見つかってないと思ってたんですか?やっぱり、貴方の知能はどんどん堕ちて行ってるんですね、生命維持のためのエネルギーを確保しないと辛いですよ?」

 

レ級「…待っ…やめて…ください……島風さんは…」

 

駆逐棲姫「なんで貴方の言うことを聞かなきゃいけないんですか?…うーん、どうしてもいうことを聞かせたいなら今の人質を殺して入れ替えるくらいはしても良いんですよね?」

 

レ級「っ…!…い、え…」

 

駆逐棲姫(ああ、その欲望と理性を天秤に掛ける姿…なんて素敵なんでしょう)

 

駆逐棲姫「さて、もう少しゲームを楽しくしていきましょうか…ね?貴方は姉妹を売ったんですから…」

 

レ級「…私は…姉妹を…」

 

駆逐棲姫「だってそうじゃないですか、薬はもう盛りましたか?今晩には効果が出るでしょう…ふふ、最高の瞬間、見逃さない様にちゃんと録画しておいてくださいね」

 

ビデオカメラを渡し、下準備を整える

 

 

 

 

 

 

離島鎮守府

 

夜、ここには街灯なんて存在しない、故に焚き火がその代わりを果たす、不寝番も火を焚べる誰かが適当な頃合いに島を見回りするだけ

だから夜に動く人はみんな2人以上で動く

そして今日は雨、焚き火すら消える

 

駆逐棲姫(なんとも、絶好の日か)

 

標的が2人で並んで歩いているのを背後から眺め、口角を上げて近づく

ふよふよと艤装の浮力で浮き上がる

 

駆逐棲姫(まだ足がないと思わせておいた方が利点は多いですからねぇ…そして…)

 

飛び上がり、標的の前に降り立つ

 

潮「えっ…」

 

漣「うわっ!?」

 

駆逐棲姫「こんばんは、そして…さようなら」

 

潮さんの腹を爪で切り裂く

 

潮「…ぁえ…?」

 

何が起きたか理解する前に崩れ落ちる潮さん

そして恐怖で言葉を失う漣さん

 

遠くでこちらを撮り続けるレ級さんに視線を送り、ナイフを落としてから姿を消してその場を離れる

 

あとは…招待状はもう出した、後は朧さんがその場に現れ、漣さんに殺される…それで終わり

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