元勇者提督 作:無し
The・World R:2
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
軽巡洋艦 神通
神通(…あの道化師も見ていないし、提督も見つからない…何をしたものか、この世界でエリアを回ってもレベルなんて上がるわけもありませんし…弱りましたね)
この夕焼けの街に留まり続けては気が滅入る
夜…と言っても眠くなったらだが、眠くなれば夜のエリアに行き、星空の元で眠り、目を覚ませば日光の眩しいエリアの川の水を浴びる
そんな毎日だった
しかし、それにも耐え難くなってきた、退屈がすぎる
そこに出てきたあの道化師、あれさえ叩けばリアルに帰れるのではないか…私に残された唯一の帰還のルート
神通(…どうにか、うまくやりたいものですが)
と言っても、ソレが現れるまでは私はもうしばらくこの夕焼けの空の下で変わらない日々を過ごさざるを得ないのだが
しかし、転機は突然やってきた
神通「…成る程、貴方はあの道化師のお仲間だったのですか」
Cubia「少し違う、ボクはボクさ」
このキャラクターには見覚えがある
ネットワーククライシスが起きたあの日、特務部と一緒にあの場に現れた…
Cubia「しっかし勝手な事してくれるよね、ホントに……キミみたいな邪魔者はほしくないのにさ」
神通「…やる気の様ですね」
槍を取り出し、構える
Cubia「当然、邪魔者は排除しないとね…キミ達もそうするでしょ?」
神通「…ええ、しかし…双剣士だったのですね」
Cubia「…ボクはカイトをモデルにした存在だからね」
Cubiaが双剣を構え、こちらを見据える
神通(ゲームの中の敵に対してどこまでやれるか…いや、簡単にはやられはしません…!)
双剣と槍がぶつかり合い、激しく金属音が鳴り響く
Cubia「へぇ、思ったよりやるじゃないか…!」
神通(流石双剣士、捉えるのがやっとですね…しかも、動きも読みにくい…)
Cubia「思ったより、拮抗しちゃってるな…良いや、さっさと終わらせようか…ジハド…!」
無数の雷が降り注ぐ
神通「がぁっ…!?」
膝をつこうが地に伏せようが関係ない、その雷は私を引き裂き、焼き尽くすまで降り注ぐ…
神通(…こんな…事…)
ぴたりと雷が止む
Cubia「……嗅ぎつけるのが早いなぁ…」
クーン「お前か…!最近無差別なPKを繰り返してる輩ってのは…」
Cubia「…それ、冤罪」
神通(…あれは、先日の銃戦士…)
クーン「お前のさっきの魔法はなんだ…!明らかに異常なデータ負荷が掛かってた、このゲームの中に存在しない技だ…!」
Cubia「自分の知ってる範囲でしか存在を認めないなんて、本当に愚かしいと思わないかい?」
クーン「…ならあれは仕様の範囲内だって言いたいのか?」
Cubia「勿論さ、世界の管理人のG.U.さん」
クーン「……それじゃあ、これも仕様の範囲内だな…!」
クーンの身体に緑色の紋様が現れる
神通(やはり、あの人は…)
Cubia「メイガスか…今のボクでどこまで戦えるか、試してみるか…!」
クーン「来い!俺の……メイガス!!』
蛇の尾の様な下半身、そして細長い上半身と長い腕を覆う緑色のステンドグラスの様な装甲、所々に為された植物のモチーフ
紛れもなく第三相 増殖 メイガス
それが顕現すると同時に世界がセピア色の空間に染まる
天地も果てもない空間にふわふわと取り残される
Cubia「全く面倒な事してくれるよね…!オリジナルを解き放っちゃうんだからさ…!ソドムカース!」
巨大な光弾がメイガスに迫る
光弾の中で資料の顔が無数に表れて消えるを繰り返す
クーン『そんなモノ効くか!』
クーンの前方に6枚の葉で形成されたバリアが出現し、光弾を防ぐ
Cubia「破裂しろ…!」
クーン『なッ…!』
光弾が何度も爆発し、バリアを大きく傷つける
Cubia(…まだ、足りないか…)
クーン『お前の力、侮ってかかるわけにはいかないらしいな…!なら、これでどうだ!』
メイガスの両腕にある葉に光が集まる
Cubia「…ヤバそうか……出てこい!」
Cubiaの周囲に人程の大きさのタコの様な物体が出現する
神通(…あんなモンスター見たことが…)
クーン『纏めて…仕留める!!』
メイガスから複数本のレーザーが射出され、Cubiaごとタコの様な物体を焼き斬る
クーン『…やった…か?』
Cubia「いや、全然さ…でも、痛いじゃないか…!」
クーン『な…なんで無事なんだ…!』
Cubia「ちぇっ…お前、もう知らないからな…!」
Cubiaが右手を突き出す
Cubia「カオスゲヘナ」
球体に三つ触手をつけた様な生物が大量に召喚され、クーンを襲う
クーン『な、なんだこれ…!クソッ…防ぎきれな…』
バリアが砕けちり、生物がメイガスへと喰らいつく
クーン『ぐ……クソッ…』
メイガスを覆い尽くしてもまだ召喚されるソレを、私はただ眺めることしかできなかった
Cubia「…カイトも強くなってるみたいだけど、まだ足りてないね…もう少し強くなってくれないと、碑文は喰えない…か…?」
Cubiaの腹部を緑の閃光が貫く
クーン『…当たったか…?当たった…よ…な……」
辺りの景色が切り替わり、夕暮れの街へと戻る
Cubia「…く…クソッ…!なんて事してくれるんだ…!しかもこの感じ、何をした!お前!」
クーン「……」
クーンは倒れたまま、応えることすらしない
いや、あの生物に喰われたせいでPCボディもボロボロ、もうそれすらもできないのか…
Cubia「チッ…!覚えてろよ…!」
Cubiaは捨て台詞を吐いて消滅した
クーン「…あれ?」
神通「お目覚めですか、良かったです」
クーン「キミは…無事だったか、良かった…いや、なんで俺…平気なんだ?」
神通(やはり、この人、自分のデータを増殖させていなかった様ですね…増殖で身を守れば良かったのに、刺し違えようとしていた…)
クーン「…いや、この感覚…確かに………まさか、キミは…そんな、あり得ない…」
クーンがこちらを見上げる
神通「…私も、メイガスの碑文使いです」
クーン「…そんな訳…いや、どうなって…」
神通「…信じられないかもしれませんが、証拠に貴方の身体を増殖で補ったのは私です」
クーン「……じゃあ、キミも碑文が使えるのか…」
神通「……それは、残念ながら…」
クーン「開眼していない?まさか…そんな状態で能力を行使するなんて…」
神通「…話せば長くなりますが、私は碑文の力を持ちながらに失いました、今の私はメイガスを呼び出せず、その能力だけを行使できる…」
クーン「…そんな事…ある訳…いや、なんでも俺が判断するのは気が早いよな……そう言えば、名前すら聞いてなかったっけ?」
神通「神通です」
クーン「改めて、クーンだ…良ければ俺の所属してるギルドに来ないか?そこに碑文使いについて詳しい奴がいる」
神通「是非」
The・World R:1
Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域
グリーマ・レーヴ大聖堂
双剣士 カイト
聖堂の扉が重い音とともに開く
カイト「…キミは…」
司「……アンタ、誰?」
石像の無い台座の前に座った少年のPCがこちらを見つめる
昴「司…!無事だったのですね…!」
司「…昴……違う、ボクは…」
カイト(…元の世界の司はアウラの覚醒によりモルガナの支配を逃れ、リアルに帰った…だけど、この世界では…それができなかった)
光が、光の結晶がゆっくりと降ってくる
カイト「…あれは…」
昴「……なんでしょうか…」
司「…クロノ…コア…?」
カイト「司、知って…」
問いかけの途中でその光が司に吸い込まれる
世界が光に包まれ、意識が揺さぶられる様な感覚
The・World R:2
Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域
ロストグラウンド グリーマ・レーヴ大聖堂
司がいた場所に刻まれた赤い傷痕
そして消えた2人
カイト(ここは、まさか…R:2…?)
何が起きているのか、理解できなかった、ただ立ち尽くすことしかできなかった
昴はどこに消えた?司は?
この台座の傷痕は…一体どうなって…
残念なことに、答えは見つからなかった
カイト「…タウンを、見てみよう…」
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
カイト「…やっぱり、R:2に送られたのか…」
…考えても仕方ない、ここでできることを探すしか、今の僕にできることはない