元勇者提督 作:無し
駆逐棲姫のアジト
駆逐棲姫
駆逐棲姫「護衛棲姫、私は今から遠出します、継続して離島鎮守府と横須賀に攻撃をさせる様に装甲空母鬼に通達を」
護衛棲姫「カシコマリマシタ」
駆逐棲姫「…そう言えば、貴方達は確かその辺のイ級を使って作りましたが…以前のことを覚えていたりしますか?」
護衛棲姫「…エェト…?ソレハドウイウ…」
駆逐棲姫「人間だった頃の記憶とかですよ、有ったりします?」
護衛棲姫「イエ…」
護衛棲姫が怪訝な表情を見せる
駆逐棲姫「何か、疑問点でも?私は貴方を高く買っています、何でも言ってください」
護衛棲姫「……以前ニモ同ジ質問ヲサレマセンデシマカ?」
駆逐棲姫「いいえ、していませんよ?」
護衛棲姫「…ソウデスカ」
悩む様に護衛棲姫が俯く
駆逐棲姫「……人だった頃の記憶が作用しているのかもしれませんね、デジャヴと言うやつです」
護衛棲姫「…ワカリマシタ、ソウナノデショウ」
駆逐棲姫「それでは、留守は任せましたよ」
駆逐棲姫(しかし、やや気にかかるか)
離島鎮守府 食堂
キッチンのそばまで歩き、手近な椅子をひいて腰掛ける
駆逐棲姫「すみません、コーヒーください」
満潮「…え?」
如月「ね、ねぇ…あれ…」
満潮「いや…さ、流石に見間違いじゃ…」
戸惑いながら2人がコーヒーと茶菓子を持ってくる
駆逐棲姫「…おや、香りが違いますね、これは…たんぽぽコーヒーですか…?」
満潮「え、えぇ…」
駆逐棲姫「良いですね、毒物を排泄する手助けをしてくれたり体に良いですからね…」
コーヒーを口に運び、お茶菓子のクッキーを口に放り込む
駆逐棲姫「ん〜、美味しいです、満潮さんが作ったんですか?腕を上げましたね♪」
満潮「え、あー…ありがとう…?」
如月「…やっぱり私達も目がおかしくなってるんじゃ…」
満潮「でも私達艤装すらつけたことないのに…」
如月「だってそうじゃなきゃ説明がつかないでしょ…?」
満潮「そうだけど…」
クッキーを食べ終わり、コーヒーを飲み干し、一息つく
駆逐棲姫「ふー…おいしかったです、ごちそうさまでした」
首筋に冷たい感覚
春雨「…何故ここに?」
駆逐棲姫「ただ、お茶をしに」
春雨「何で貴方達もこの人に素直に飲み食いさせてるんですか…!」
如月「え?…いや、認識障害が起きてるんじゃ無いの…?」
満潮「だって…敵の総大将がまさかこんなところでお茶するわけ…」
駆逐棲姫「ああ、その考え方は当然ですよね、でも私常識にとらわれないので」
満潮「…え?本物?本当に綾波なの…!?」
如月「……ど、どどどどうしよう…」
春雨「本当に気付いてなかったんですか…!」
首筋の刃物が皮を裂き、肉に触れる
駆逐棲姫「首を刺しても、死にませんよ?」
春雨「…お二人とも早く逃げてください!できるだけ人を集めて」
2人が食堂の外へと駆け出す
駆逐棲姫「私とやる気ですか?良いですよ、先に知りたいことも教えてあげます」
春雨「…何ですって」
駆逐棲姫「イムヤさん、気になりませんか?」
私の首が宙を舞い、地面を転がる
駆逐棲姫「……」
体が立ち上がり、やれやれとジェスチャーをしながら頭を拾い、付け直す
駆逐棲姫「本当に首元には何か防具をつけましょうか、そろそろ鬱陶しいですから……おや、何で貴方泣いてるんですか?」
春雨「…貴方、イムヤさんをどうしたんですか…」
駆逐棲姫「死んではいませんよ、あ、違う、元々死んでるみたいでしたから、私の手ではまだ殺せてませんの間違いだ…とりあえず監禁していたぶってますね」
春雨「…許せない、何でそんなことができるんですか…イムヤさんは貴方のことを本当に信頼して…!」
駆逐棲姫「ウザいなぁ、そういうの」
春雨「……そうでしたね、貴方はもともとそういう方でした」
春雨が両手の籠手から飛び出した刃物をこちらに向け直す
春雨「貴方をここで殺し、イムヤさんを取り戻します」
駆逐棲姫「はいはい、私はちょっとお話に来ただけなんですよ?」
食堂の入り口をチラリと見る
駆逐棲姫「ああ、いたいた、彼女を探してたんですよね」
春雨「…貴方は確か…あきつ丸…」
駆逐棲姫「そう、彼女は元捕虜で…スパイです」
あきつ丸が血を流して倒れる
春雨「なっ…」
駆逐棲姫「今までここの内情をたくさん届けてくれましたよ、食べた物とか、そんなくだんない事ばっかり、使えないスパイってリスクにしかならないですからねー」
春雨「…何をした」
駆逐棲姫「心臓を、撃ちました♪」
春雨「…何で殺したんですか」
駆逐棲姫「え?要らないからに決まってるじゃ無いですか」
春雨「貴方は命を何だと思って…」
駆逐棲姫「命?私に命なんてありませんよ、死ねば死ぬ、でも私は死んでも生きてる、そんな存在に生命を語りますか、生物の道理を離れた存在を人の道理で縛ろうとは…アハハ!これは傑作だ!」
春雨「…殺して、どうなるんですか、人の命を奪って何に…」
駆逐棲姫「見てみればいいんじゃないですか?人を捨てたものの末路を」
春雨「…何?」
あきつ丸の死体が蠢き、姿を変える
春雨「…深海棲艦…」
駆逐棲姫「深海棲艦のなり損ない、さて、貴方は命と呼べますか?」
春雨「っ……こんな物…!」
駆逐棲姫「物?貴方がついさっきまで"命"と呼び続けた存在です、深海棲艦になればモノですか?素晴らしい道理だ」
春雨「…私は貴方とは違う!」
春雨が右手首に視線を送る
駆逐棲姫「データドレインですか?死体を生者にしたつもりですか?本当はそうじゃないのに、前の世界と何も変わらない、勝手な感情で生き死にを決める貴方の何が正しいのか!」
春雨「…貴方は人の命を奪う、私は人の命を救う…これが違いです…!」
駆逐棲姫「本当に?私の作ったデータドレインで本当に救えるんですか?青葉さんのときはそれで逆に窮地に立たされた人もいましたねぇ?」
春雨「……あのとき、貴方も…」
駆逐棲姫「ええ、いましたよ、朧さんのデータドレインに介入して洗脳プログラムを実行しました、その結果青葉さんは自身の姉に深い傷を作ることになった…治ったみたいですけどね」
春雨「貴方は、本当に…何で、私は貴方を…」
深海棲艦が春雨に飛びかかる
春雨「ああぁぁぁぁぁッ!!」
両手の刃で深海棲艦を十字に斬り裂く
春雨「…私は、目の前の命を投げ出すほど利口じゃありません、それが間違った手段とか、相手の罠とか関係ないんですよ……救えるなら、可能性があるなら…私は何でもやる…!」
春雨が右手を突き出す
春雨「データドレイン」
眩い光が食堂を包む
春雨「……なッ…!」
深海棲艦が起き上がり、春雨に飛びつく
春雨「くッ…!この…!」
駆逐棲姫「ああ、あーあ…なんて愚かな…失敗して助けようとした人に殺される?なんて惨めなのか…」
春雨「…違う!こんな事…!」
駆逐棲姫「何が違うんですか?それとも目が見えてない?貴方は助けようとしてる相手に喰われそうになってるんですよー!」
春雨「…そんな事、知りません!!」
深海棲艦の頭が落ちる
春雨「私は馬鹿だ!大馬鹿だ!たとえ言うことを聞かない患者だろうが!死ぬことを望んでる愚か者だろうが!そんな事何も関係ない…!人は等しく寿命で死ぬその瞬間まで生きる義務がある!たとえ辛くても、小さな幸せを見つめることが出来る内は…!」
駆逐棲姫「おや、とても傲慢ですね、それが苦痛で貴方は自殺したんでしょう?」
春雨「だからそう言っている!私があのときやったことは寸分の狂いなく間違いだった!…だから、誰にもそんな後悔をさせません、死んだら何も取り返せない!取り返しのつかない後悔を防ぐことが私の役目です!」
春雨がもう一度右手を突き出す
春雨「何度だってやってやる…!」
再び眩い光があたりを包む
駆逐棲姫「…ふむ、なるほど、貴方の考えは分かりましたよ、でもそれは傲慢すぎる」
春雨「人とは傲慢なものです、傲慢の部首は人の心、まさに人そのものじゃないですか」
春雨があきつ丸を深海棲艦の死骸から抱き起こしながらそう言う
駆逐棲姫「ああ、確かにそうですね、医官なんかやめて国語か道徳の教師にでもなったらどうですか?」
春雨「…考えておきましょう」
駆逐棲姫「はてさて、貴方との決着をつけてもいいんですがそろそろ空襲の頃です、私の出したテスト、ちゃんと答えてくださいね?」
春雨(…テスト?何を…)
駆逐棲姫「やりなさい」
あきつ丸が春雨の手首を掴み、刃を春雨へと向ける
春雨「なッ…!」
駆逐棲姫「うーん、殺せませんでしたか、でも顔に少し傷はつきましたねぇ…女の子は顔が命なんですから、大事にしなきゃダメですよ?」
春雨「この…!」
駆逐棲姫「あきつ丸さん、もし春雨さんを殺せたら迎えに来てあげます、それじゃ、また〜」
手を振りながら食堂の入り口から歩いて外に出る
駆逐棲姫「ま、ゴミも処理したし…いいや、島風さん迎えに行こーっと♪」
両肩が何かに突き刺される
川内「そう簡単に逃すと思わないでくれるかな」
那珂「那珂ちゃん、ヒートアーップ…!」
駆逐棲姫「おや…どうします?レベル1とレベル2、お好きな方でお相手しますよ」
川内「どっちでもぶっ倒すっての…!」
那珂「勿論!」
駆逐棲姫「ん、じゃあ」
駆逐水鬼「ゲームの時間ですねぇ?」
腰の大腕が壁を破壊し、海へと飛び出す
川内「那珂!コンビネーションで行くよ!」
那珂「わかってるよ!」
角度、タイミング、非常に良いコンビネーションで私を追い込もうとしてる
及第点なのかもしれませんが
駆逐水鬼「クリアには少し足りない」
2人まとめて蹴りで弾き飛ばす
駆逐水鬼「期待を裏切らないでくださいよ、私は貴方達を評価しているのに」
川内「評価?何を評価してるって言うのか、教えてもらいたいね…!」
那珂「そんな事より神通姉さん返してよ!」
駆逐水鬼「あ」
駆逐水鬼(すっかり忘れてた…明日辺りに迎えに行ってみよう、そろそろあの世界に疲れ果ててる頃合いでしょうから)
川内「よそ見してんじゃないよ!」
短剣での乱撃を大腕でガードする
駆逐水鬼「カートリッジは?使わないんですか?」
川内「使うまでも無い!」
駆逐水鬼(いや、違うな…カートリッジを起動する予備動作を見せたく無いんだ…那珂さんは視界外……どっちだ、背後?いや、右後方……ここか)
大腕で川内さんの攻撃を防ぎ、左後方、やや上にブーストした蹴りを放つ
那珂「っ!!」
駆逐水鬼「大当たり」
川内「なんで…!」
駆逐水鬼「さて、私も見せてあげましょう」
川内さんに背を向けたまま、那珂さんの目の前でカートリッジを取り出し、起動する
那珂「!」
駆逐水鬼「例えばこれは…爆砕みたいな?」
那珂さんの目の前で足にカートリッジを突き挿す
それに反応して那珂さんは飛び退く
駆逐水鬼「お馬鹿ですね」
軽く飛び、背後へと回し蹴りを放つ
那珂「あっ」
川内「え…」
駆逐水鬼「…ん…脚も爆砕しちゃうのは困りますね?」
膝から下が無くなった足を見てケラケラと笑う
那珂「川内姉さん!」
駆逐水鬼「さて、次は…と?」
炎を伴った蹴りを顔面に受け、水面を滑る
駆逐水鬼「おお、今の動き見えませんでしたよ…やっぱり感情が左右する部分はあるんですねぇ?」
体を起こし、周りを見る
駆逐水鬼(居ない、上か)
大腕を上に回す
那珂「はあぁぁぁぁッ!!」
下から蹴り上げられる
駆逐水鬼「っ…下?まさか海に潜ってたとは…っと」
胸ぐらを掴まれ、何度も殴られる
那珂「許さない…!許せない!」
駆逐水鬼(あー…もう、めんどくさいな)
那珂さんの背後にワープする
那珂「っりゃぁぁぁぁッ!!」
ワープ直後に回し蹴りをくらい、水面を突き破り、水中に落ちる
駆逐水鬼(……ま、クリアって事にしときますか)
綾波に姿を変え、浮上する
那珂「……へぇ…!」
驚きの表情を見せながら私を睨みつける
綾波「私も驚いてますよ、まさか貴方にここまでの地力が有るとは」
那珂「…舐めないでよ」
綾波「うーん、塩味しかしないと思うので遠慮しておきます♪」
那珂「…挑発には乗らないから」
綾波「その発言をしてる時点で既に挑発に乗ってるんですよ、だってイラついてるって認めてるようなものですから」
那珂さんが大きくため息をつき、こちらを睨みなおす
那珂「……何、何がしたいの」
綾波「いや?ゲームクリアおめでとうございますってだけですよ!いやー凄いなー」
那珂「……」
綾波「じゃあ、レベルアップ試します?」
那珂「……」
那珂さんの体が一歩下がる
綾波「あっ、体は正直って奴ですか?怖いですよね、冷静になればさっきまでのは勢い、しかも私の攻撃は下手したら一撃で命を奪われかねない…怖いですよねぇ!」
那珂「……そうだね、大人しく引き下がるよ」
綾波(意外だな、そこまで賢いとは思わなかった…)
那珂「だってもうすぐ空襲来るでしょ、構ってる暇なんかないからね」
綾波「ピンポンピンポン大正かーい!」
那珂「……」
那珂さんがこちらを睨みながら引き下がる
綾波「さて、メインディッシュに行こうかな」