元勇者提督   作:無し

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茶飲み話

横須賀鎮守府

曽我部隆二

 

結局あの青葉のプレイヤーと出会うことはできず、悪戯に時間だけが過ぎた

最終的な結論は秋雲という少女の職場仲間である可能性、そして対象の青葉も艦娘である可能性を模索する事になった

そこからは話が早かった、2日で横須賀に所属する青葉という艦娘とアポイントメントを取ることができた

 

曽我部(ま、仲良くできるかは向こうさん次第だけど…殴られるくらいは覚悟しとこうか)

 

入り口で要件と名前を伝え、案内されるがままに部屋に向かう

 

 

 

応接室

 

さすが国の軍事施設だけはある、調度品も何から何まで手入れが行き届いている、息の詰まる空間

嫌いな場所だ、棒つきキャンディでも舐めようものなら叩き出されるのではないか

 

アオバ「失礼します」

 

2人の女性が部屋に入り、こちらに一礼する

驚いたのはその丁寧な所作でも特徴的な髪色でもない、1人は片腕がなかった

 

体の一部を失っても軍人としてやっていけるものなのか、という疑問もあるが…

 

アオバ「私との面会をご希望された…と伺いましたが」

 

片腕の方の女性がこちらを向いてそういう

 

曽我部(…片手でプレイしていたのか?…いや、何にせよ確認をしないと)

 

曽我部「お時間をとっていただきありがとうございます、私はサイバーコネクト社の曽我部隆二と申します」

 

アオバ「…サイバーコネクト社の?役職は?」

 

曽我部(…外部の雇われってだけだから、らしい役職なんか無いわけだが…)

 

曽我部「保安2課の者です、デバッグなどのチームだと思っていただければわかりやすいかと」

 

衣笠「そのデバッガーさんが何の用ですか?」

 

曽我部「ええと、単刀直入に伺います、The・Worldで青葉というキャラで活動されていましたか?」

 

アオバ「…いいえ」

 

曽我部「我々は青葉という名前で活動しているプレイヤーを探しています、お心当たりなど有りましたら…」

 

アオバ「何のために探してるんですか?」

 

曽我部(…ヒットか)

 

曽我部「協力を願い出るためです、我々はその青葉というプレイヤーから私達サイバーコネクト社ですら把握していない事実を教えられた、その事件を解決したいと言う意味ではそのプレイヤーの目的は私たちの目的と一致しています」 

 

アオバ「その目的は?」

 

曽我部「The・World内の意識不明者の回復です」

 

アオバ「……私たちはおそらくその青葉を知っています、しかしあの子にはもうあんな危険な間に合ってほしく無い、お帰りください」

 

曽我部(危険な目?ああ、メトロノームの…)

 

曽我部「いや、あれはこちらの手違いというか…」

 

横からガチャリと音がする

 

衣笠「詳しく聞かせてくれますか?」

 

曽我部「…ええと、それは…オモチャ?」

 

衣笠「いいえ、艦娘が使う主砲です、対深海棲艦用の」

 

つまり今銃口を突きつけられている様な状態…と言うわけか

 

アオバ「理解できてないなら」

 

片腕の女性が腰から拳銃を抜き、こちらに向ける

 

曽我部「…軍人さんが一般人にそんな物向けて良いんですか?」

 

衣笠「人を意識不明の重体にする様な奴ら、一般人とは呼ばないし」

 

アオバ「何より、誰を手にかけたか…」

 

曽我部(思ったより、まずい状況みたいだな…)

 

曽我部「待ってください、それについては謝罪させていただきます、しかし…」

 

アオバ「貴方たちのせいで…あの子があんな事に…!」

 

曽我部(思ってる以上に事態は深刻か?まさかまだ意識が戻ってない…とか…いや、とにかく…)

 

曽我部「私達は青葉さんにこれ以上害を与えるつもりはありません、以前の事につきましても誠実に対応をさせて頂こうと…」

 

衣笠「誠実って何?お金?そんなの求めてない!もうあの子に関わらないで!」 

 

アオバ「自分たちのゲームで出た意識不明者なら自分達で解決してください、それに私達は貴方に説明を求めたんです、弁解をしてくれなんて一言も言ってません」

 

曽我部「……わかりました、では説明をさせて頂きます、青葉さんは現在公開前のThe・World R:Xに不正なログインを働いて居ました」

 

衣笠「だから意識不明にした?」

 

アオバ「ガサ、黙ってて」

 

曽我部「…私達は青葉さんと接触した際、意識不明者…通称"未帰還者"の存在を知りました、その未帰還者について詳しく伺っている際、青葉さんを部下が攻撃し、意識不明に…」

 

アオバ「ゲームで攻撃されて意識不明になるんですね、そんな危険なゲームを運営してたとは知りませんでしたよ」

 

曽我部「本来のThe・Worldの仕様にはそのような危険な物はありません、ただ、どうしても必要な時にのみ…」

 

衣笠「じゃあ青葉をやったときは本当に必要だったんだ?」

 

曽我部「…いいえ、私が部下の教育を怠ったばかりにこの様な事になりました事、改めてお詫びいたします」

 

アオバ「そうですか、もう結構です、あなたをあの子に会わせることは決してありえません、お帰りください」

 

曽我部「…失礼します」

 

 

 

 

 

 

曽我部「ありゃあ全然ダメだ、これ以上踏み込んだら何されるかわかんねぇ」

 

リーリエ『うーん、無理に深入りするのはやめようヨ、結構深い仲っぽいんでしょ?』

 

曽我部「だねぇ、余計な事したらほんとに撃たれるかと思っちゃったよ、取り敢えず出る手続きして帰るから……と…?」

 

リーリエ『リュージ?』

 

曽我部「…悪い、もう少し帰りは遅くなるかも」

 

電話を切り、こちらへと歩いてくる男を見据える

 

火野「お時間の方は?」

 

曽我部「問題ありません」

 

 

 

火野「部下の非礼をお詫びします、どうにも…教育を怠ってしまった様で」

 

曽我部「それは…ハハ、それは仕方ないですね…」

 

曽我部(一部始終を聞いてたのか、事細かに報告されたのか、何にしても、早い)

 

火野「ご理解いただけた様で、ありがとうございます」

 

曽我部「……しかし、まさか貴方とこんなところでお会いできるとは思いませんでした、元.hackersの参謀にしてThe・Worldを搭載する施設、知識の蛇の管理人にしてサイバーコネクト社の筆頭株主、貴方について挙げ出せばキリがない」

 

火野「どれも昔の話です」

 

曽我部「…筆頭株主である事に関しては変わりないかと、それと今は国防の要である……えーと…」

 

火野「形式的に海軍、と呼んで居ます…まあ、国防省に含まれていると思っていただいて構いません」

 

曽我部「いやあ、しかし、その若さでそれほどの地位、さすがと言う他…」

 

火野「優秀な部下に恵まれました」

 

曽我部(…何で話しかけてきた?茶飲み話のためじゃないはずだ、何が目的だ…?)

 

火野「リアルデジタライズ学については、もう研究を辞めてしまわれたとか?」

 

曽我部「…まあ、しかし、それが何か?」

 

火野「今、そのリアルデジタライズに巻き込まれている人間がいたとしたら、貴方はどうしますか」

 

曽我部「……言ってる意味が分かりかねます」

 

火野「そのままの意味です、例えば誰かがネットの中に生身のまま取り込まれてしまったとしたら…」

 

曽我部「…必要なデータを取るでしょうね、科学の発展の為に」

 

火野「…そうですか、リアルデジタライズの原理などは?公開していない論文などはお有りですか」

 

曽我部「…なにぶん昔の話ですから、書きかけのものは全て処分してしまいました」

 

火野「……そうですか、貴重なお話をどうも」

 

曽我部「…いえ、こちらこそ」

 

火野(やはりカイトは我々の手で救い出すしかないか)

 

曽我部(リアルデジタライズを軍事転用しようとしてるのか?…ロクでもない事だな)

 

 

 

 

 

The・World R:2

レイヴン ギルド@ホーム 

軽巡洋艦 神通

 

神通「…ここが?」

 

クーン「そ、俺らのギルド…っていうか、活動拠点かな」

 

パイ「クーン、ここに部外者を連れ込むなんて何のつもり?」

 

ピンク髪のツインテール、そしてビキニアーマー…

 

神通(…とんでもない格好ですね、ゲームとはいえ)

 

クーン「待ってくれよパイ、彼女はどうやら碑文使いらしい」

 

パイ「…この子が?」

 

神通「どうも」

 

パイ「……とりあえず、八咫様の所に案内するわ」

 

神通「八咫?」

 

神通(火野司令官の事でしょうか…)

 

 

 

知識の蛇

 

先程までの簡素な部屋とは違い、薄暗い巨大な空間に無数のモニター、そして部屋の奥に描かれたウロボロスとその前に立つインド僧の様な男

 

神通(やはり、あれは火野司令ですね、しかし…何か違う?)

 

八咫「キミが碑文を宿したPCか」

 

クーン「しかも、その碑文はメイガスらしい」

 

パイ「メイガス?…クーン、貴方頭がおかしくなったの?」

 

八咫「いや、クーンは正常だ、Cubiaとの戦いに於いてクーンの負った傷は確かにメイガスの増殖によって…そう、治療された」

 

クーン「でも俺はあの敵を倒すのに全力を使い切ってた、要するに俺は増殖を使えなかった…これだけ言えば充分だろ?」

 

パイ「同じ碑文を2人が宿すなんて…ありえるのでしょうか、八咫様」

 

八咫「"ありえない"と否定しない限り、この世にありえないことなどないのだ」

 

パイ「……どうやらその様ですね」

 

八咫「…私からしても、驚きばかりだがね」

 

神通(やはりおかしい、火野司令は私を知らない様子…そして私の中に浮かんだ仮説は…ここは過去の世界で火野司令はまだ記憶が戻ってないと言う説……いや、それでもおかしいのですが…それに何よりエディットが違う気がする…)

 

八咫「キミはその力をどう使うつもりだ」

 

神通「……悪戯に振るおうとは思いません、それに今の私にメイガスは応えてくれない…」

 

クーン「…そういや使えないんだっけ、メイガス」

 

神通「力を使う以前に、今は使うことができない以上…私はどうにも」

 

神通(もし力を使えるとしたら…碑文の力で境界を越えることもできるでしょうが)

 

クーン「…なあ、八咫?神通ちゃんを碑文使いとして開眼させてみないか?」

 

八咫「その理由は」

 

クーン「ただでさえAIDAの処理には手が足りない、俺は一人でも碑文使いを増やしたほうがいいと思う…それに神通ちゃんは悪い子じゃなさそうだしさ」

 

八咫「意見は理解した、しかし目的の分からない者に力を与える事は大きなリスクを伴う」

 

神通「目的ですか」

 

八咫「何より、キミのPCは我々の機器では測れない何かがある様だ、見たまえ」

 

周りのモニターに表示されるエラーの文字

 

八咫「様々な検査をさせてもらったが、どれもエラーだ、そしてキミはもう20日以上継続してログインしている」

 

神通「…もうそんなに経っていましたか」

 

八咫「キミは何者だ?チーターか、それとも…」

 

神通「隠し事は一切せず話したとして…貴方はそのままの言葉を受け入れてくださいますか?」

 

八咫「…ふむ、まずは話を聞こう」

 

神通「私は今、生身でこのゲームに取り込まれています、目的はメイガスの力で境界を破り、リアルへと帰還する事です」

 

八咫「…どう言う意味か、分かりかねるが」

 

神通「私はゲームのキャラじゃありません、生身の人間で、碑文使いだと言っているんです…証明になるかは分かりませんが、貴方の名前を知っています、火野拓海さんですよね?」

 

八咫「……」

 

パイ「八咫様、彼女は…」

 

八咫「構わん、IPアドレスも何もかも存在しない…それを否定する手段もない、何より意識をゲームに取り込まれる…と言う事例は過去にもある」

 

クーン「…どうする?八咫」

 

八咫「クーン、キミに一任する」

 

クーン「丸投げか…ま、そう言う事だから、とりあえずよろしく?」

 

神通「同じメイガスの碑文使いとして、よろしくお願いします」

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