元勇者提督 作:無し
深海棲艦基地
駆逐艦 曙
曙「…声?」
天津風「誰かの声ね」
装甲空母鬼「オ願イ致シマス!駆逐棲姫様、ドウカオチカラヲ!」
駆逐棲姫「…私が気分転換に見に来たらこのザマですか、装甲空母鬼、あなたに出した命令はさほど難しくないはずですが?」
曙(綾波…!)
阿武隈「今は隠れて、様子を伺おう…」
装甲空母鬼「ソレハ…申シ訳…アリマセン」
駆逐棲姫「まあ、貴方は少々頭が足りていないようだ、実に残念ですけどね」
装甲空母鬼「…駆逐棲姫様…?」
駆逐棲姫「私はバカは嫌いです、まさか貴方が叛逆することなんてあり得ないと考えていました」
装甲空母鬼「勿論デス!今マデノ取引モ全テ駆逐棲姫様ヲ思ッテコソ!」
駆逐棲姫「……本物の馬鹿か、私の2番目に嫌いなタイプだ」
装甲空母鬼「駆逐棲姫様…オ願イシマス…!」
駆逐棲姫「話の流れで気付けないんですか?貴方が反乱の用意を進めてることは全て把握してるんですよ、寝首を掻こうとしてる阿呆を誰が助けるんですか」
装甲空母鬼「ソ、ソンナ…嘘デス!私ハ…」
駆逐棲姫「貴方、部下を大事にしてませんね、人間の収容施設を軽く見ましたが…体調を崩して倒れている人間が非常に多い、弱った方達を助けると約束したら知ってること全て話してくれましたよ?」
装甲空母鬼「…コ、心ヲ入レ替エマス!申シ訳アリマセンデシタ!ドウカオ許シヲ!」
駆逐棲姫「……貴方には100人ほど預けてましたよね?頭数は倍以上に増えてましたが…ほとんどは私の知らない顔でした、私が預けた100人は何処に?」
装甲空母鬼「…ソ、外デ敵ト…」
駆逐棲姫「嘘をつくな、半分以上食ったんでしょう?もう何もかもわかってるんですよ、阿呆らしい…部下を大事にしろって言いませんでしたか?例え人間だろうがなんだろうが」
装甲空母鬼「……ガアァァァァァァッ!!ウルサイウルサイウルサイ!!オ前ナンカ!」
装甲空母鬼が頭を掻きむしりながら叫ぶ
駆逐棲姫「…貴方の死神は私じゃない、所詮貴方は死ぬ運命、逃れたいならその手で足掻くしかない」
装甲空母鬼「死ネェェェッ!!」
装甲空母鬼の攻撃を涼しい顔でかわしながら綾波が言う
駆逐棲姫「多分貴方は私を評価してるんでしょうね、貴方の短小物差しで…本当にそう言うタイプは嫌いです、ワンツー独占ですよ、おめでとうございます」
綾波が駆逐水鬼に姿を変え、大腕が装甲空母鬼を殴りつける
装甲空母鬼「ァガ…ッ」
駆逐水鬼「貴方を殺すなんて実に簡単ですが…まあ、私がやるのでは計画がずれます、ここの人材は貰っていきますよ」
装甲空母鬼「ゴメンナサイ…ゴメンナサイゴメンナサイ…助ケテ…」
駆逐水鬼「もし貴方が生きて私の元までたどり着けたら、考えてもいいですよ」
綾波の姿が消える
曙(どこに…)
駆逐水鬼「ほら、戦ってくださいよ曙さん」
阿武隈「後ろ!?」
天津風「うっ!?」
天津風と阿武隈が地面に組み伏せられる
駆逐水鬼「あ、抵抗しちゃダメですよ、そんなことしたら首折りますからね?…とりあえず、装甲空母鬼と戦ってくださいよ」
曙「…アンタ、なんのために」
駆逐水鬼「貴方を成長させるためです…ほら」
大腕が阿武隈と天津風の首を撫でる
天津風「ひッ…!」
阿武隈「大丈夫、大丈夫だから…!」
曙「……アンタ、戦えば解放するのよね」
駆逐水鬼「殺せればね?」
曙「…嘘ついたら殺してやる」
駆逐水鬼「できる物ならどうぞ〜」
曙「チッ…!」
装甲空母鬼の前に飛び出す
装甲空母鬼「トウトウココマデ来タカ…!」
曙「ずっと居たっての!」
炎を纏い、斬りかかる
装甲空母鬼「殺サレテタマルカァァッ!!」
周囲に大量の艦載機が現れ、こちらへと迫る
曙「雷…!」
カートリッジを挿し、双剣に電気を纏わせる
双剣を振るうたびに電撃が艦載機を襲う
装甲空母鬼「ナニ!?」
曙「アンタなんかじゃ止められないのよ!」
装甲空母鬼「死ンデタマルカ!死ンデタマルカ!!使エルモノハ全テ…!」
装甲空母鬼が背を向けて何かを操作するような動作を見せる
曙「終わりよ!」
飛びかかり、回転を伴った斬撃…
しかし、突如目の前の空間が歪む
曙「なっ…!」
空間の歪みから伸びた手に剣を掴まれ、止められる
曙「なんで…なんでアンタが…!」
レ級「……チッ」
曙が舌打ちして目を逸らす
曙「…そこを…どけぇぇぇぇッ!」
曙の腕と双剣が打ち合う
レ級「…退きなさい、退いて、お願いだから」
曙「アンタ、なんでまた裏切ってんのよ…!いい加減にしなさいよ!!」
レ級「……」
曙「なんとか言え!!」
レ級「…許しは請わない」
曙「曙ォォッ!」
剣を振るい、弾き飛ばして距離を取る
綾波「あーあ、まさかまさか、こんな事になるなんて…私の部下の愚かな行為をお詫びします、お二人とも」
綾波が間に降り立ち、頭を下げる
レ級「…成る程、そう言う事…か」
綾波「ええ、私の意思ではありません…しかし起きた事は仕方ない、時は巻き戻らない…」
曙「何言ってんのよ…アンタら…!」
綾波「簡潔に言います、レ級さんは脅されて仕方なく従ってるんですよ」
曙「…わかってるわよ、そんな事…なんでアンタは助けを求めないのよ!なんでアンタは…!」
綾波「貴方が弱いからでしょう?頼らないから、貴方を頼っても助けにならないから…」
フツフツと、はらわたが煮えたぎる
炎の温度が上がっていく気がした
曙「…なら、教えてやるわ…あたしの強さを…」
レ級(…室温が上がってる…さっきまでよりも大幅に…!)
綾波(…ここらでもう一つ、背中を押すか)
綾波「まあ、その程度じゃ約束は果たせなさそうだし…あの2人は殺しちゃいますね」
綾波の腕を曙が掴んで止める
レ級「やめ…」
曙の腕が別の引き裂かれる
レ級「…!」
曙「…別のレ級…?」
綾波「ああ、コレですか?よく顔を見たらわかるでしょう?」
レ級「……島風…さん」
曙「島風…?」
綾波「潜在能力は十分でしたから…素敵でしょう?」
曙「…綾波、アンタ…島風はもう関係ない!民間人になったのに…」
綾波「関係ありませんよ、そんな事…私に見染められたんです、逃げ場なんてないですよ♪」
曙「……アンタ、本当に腐ってる…曙島風は戦うのが辛いから離れたのに…」
綾波「そうですか、でも戦う運命ですよ」
曙「運命?なんでアンタがそんなもん決めてんのよ!」
綾波「私の前には全てが必然だからですよ、助けたいなら…さあ、戦いなさい、ただし相手は装甲空母鬼ですけどね、さもないと2人の首をへし折りますよ〜?」
曙「…関係ないわ、アンタらまとめて…」
レ級(どんどん室温が…!)
綾波(とうとう、覚醒した…♪)
曙「ぶっ潰す!!」
周囲の床や壁が発火し溶ける
綾波「コンクリート造りなのに溶けてる部分もありますねぇ!と言うことは軽く1000℃は超えてるか…!となれば、もはやマグマ…!」
曙「あああぁぁぁぁッ!!」
溶けた壁が辺りを崩壊させる
綾波「…あ、この身体火傷したらめんどくさいかも」
綾波と島風が姿を消す
曙「逃げるなぁ!!」
レ級「……曙」
曙「…アンタは前だけ見てればよかった…!逃げたって良かった!あたし達皆んな…アンタを信じてる…だから…!」
レ級「…ごめん」
何かを突き刺され、艤装を引き剥がされる
曙「…ぁ……」
視界が真っ暗になる
綾波
綾波「ああ、素敵です♪」
冷え固まったマグマの中心に鎮座する新たなレ級を眺める
綾波「曙さんは貴方にだけは警戒していなかった…戦う相手だとは理解しておきながら、敵としては考えられなかった…そのおかげで非に助かりましたよ、貴方がウイルスを入れてくれたおかげです、レ級さん♪」
レ級「…曙…」
綾波「さて、私たちは引き上げます…阿武隈さんも天津風さんも意識を失ってる、今ならバレることは無いでしょう」
レ級「……」
綾波「それとも、誰かに見られたいですか?」
レ級「…クソ…」
レ級さんが姿を消す
綾波「さて、装甲空母鬼、貴方は非常についています」
隅に隠れていた装甲空母鬼を呼びつける
綾波「私は許してあげましょう…島風さんと曙さんの試運転は別の場所でできますし」
装甲空母鬼「ホ、本当ニ許シテクダサルノデスカ…?」
綾波「今後も頑張ってください、それでは…」
綾波「ああ、そうだ、忘れてた……でも面倒だからいいか、護衛棲姫が向かってるって伝えなくても」
軽巡洋艦 川内
護衛棲姫「駆逐棲姫様ヲ裏切ッタ愚カ者…始末、完了」
川内(どう言う状況…?なんで深海棲艦が深海棲艦を殺したりなんて…)
護衛棲姫「装甲空母鬼、オ前ガ悪イ」
装甲空母鬼が倒れ、グチャグチャに潰される
川内(…あれは、データドレインで人間に戻せるの?……いや、ミンチをレンジであっためてもそぼろになるだけか)
護衛棲姫「……」
護衛棲姫が消滅する
川内「ひぇー…おっそろし…あ、阿武隈…?天津風も、大丈夫?」
倒れた2人を揺さぶる
阿武隈「…んぅ…?」
天津風「な、何があったの…?」
川内「いや、それはこっちのセリフ…曙は?」
阿武隈「あ、曙ちゃん…?」
天津風「…どうなってるの…?」
不知火「川内さん、付近の掃討完了です」
山雲「…どう言う状況?」
川内「……曙を探そう、できるだけ早く」
レ級「…なんで、私はこんなことを…なんて事をしてしまったの…?曙を手にかけるなんて、いや、そうでなくても許されるわけが無いのに…」