元勇者提督 作:無し
駆逐棲姫のアジト
駆逐棲姫
駆逐棲姫「全ては順調、曙さんも島風さんも素体としては最高です、それにやはりよく似ている、いや、全く同じとまで言ってもいい」
曙さんの顔を撫でる
駆逐棲姫「素敵です♪」
護衛棲姫「駆逐棲姫様、護衛棲姫、帰還致シマシタ」
駆逐棲姫「お疲れ様です護衛棲姫、裏切り者の排除と新入りの搬送、お疲れ様でした」
護衛棲姫「…人的資源ノミデ良カッタノデスカ?」
駆逐棲姫「人材は人の材と書きますが…私からしてみれば人の形をした財産、戦力ではなく財産として、大切に扱うべきだと思います…」
護衛棲姫「言ウコトヲ聞クデショウカ」
駆逐棲姫「ああ、それについてはご心配なく、元の上司が無能だった、すごく残念なことです……でもどうでしょう?急に優秀な上司になったら?部下は大喜び、ちゃんと従うようになってくれますよ」
護衛棲姫「左様デスカ…ワカリマシタ、ソレデコレカラドウスレバ?」
駆逐棲姫「ロシアの力を借りようと思います、とりあえずは戦力を整えるのに時間を使いましょう、今離島とやり合う必要はない、私の改も万が一朧さんに打ち破られたとあっては…腹が立ちますから♪」
護衛棲姫「駆逐棲姫様ヲ倒スナド不可能デス」
駆逐棲姫「ええ、当たり前ですが…マンに一つというのは私が実に嫌いな事でして」
護衛棲姫「…ソチラノ2ツノレ級ヲ戦ワセレバイイノデハ?」
駆逐棲姫「それもいいんですが…ほら、見てくださいよ、この綺麗な顔に傷がついたら勿体無いでしょう?あとはレ級さんの人格をインストールさせたいのでサンプルを取って、オリジナルを壊すのはその後です、一度壊したら後は好きにできる…♪」
護衛棲姫「好キニ、トハ?」
駆逐棲姫「言わせないでくださいよ…どんなに滅茶苦茶にしても良いんです、四肢を落として私を睨むことしか出来なくなったらどんなに素敵なんでしょう、それとも粗相をする度に始末をしてくれた泣いて懇願するのでしょうか、殺してくれと願うのでしょうか?ああ、楽しみです♪」
護衛棲姫「…捕エテキマショウカ?」
駆逐棲姫「確かに、今の力は貴方の方が上でしょうが…彼女は腐ってもあの東雲であり、曙であり、レ級である…追い詰めたと思ったら再誕の勢いでやられかねない、貴方じゃ無理です」
護衛棲姫「…ソウデスカ」
駆逐棲姫「心配ありませんよ、じっくりじっとり、何度甦ろうが関係ない、濃硫酸のカプセルの中で死と再生を繰り返すようにして壊す、その姿をしっかり記録して……永遠に眺めてあげますからね♪」
離島鎮守府
戦艦 レ級
レ級「…だめだ、寒気が治らない、動悸も止まらない……なんて事をしたんだ、私は…」
この体では酒に酔うことも、タバコで頭をぼかすこともできない
現実が私を蝕む、自分のやったこと全てが牙を剥き、私を…
レ級(ごめんなさい、ごめん、曙…私が貴方を、島風さんを…傷つけた……私が悪いのはわかってる、だけど私じゃ綾波を止められない…私じゃ…)
どうすればいい?曙を、島風さんを助けるには何をすれば良い?私が2人を助けるためには
求めるな、私を助けてくれる者などいない、居ては…いけない
自分の罪の責任は取れ、自分解決しろ、だが……どうすれば良い?どうすれば私は…
レ級「いや…」
考えれば良い、やりようはあるはずだ、何ともならないとしても諦めることだけはしてはいけない
明石「すいませーん…曙さーん…?」
レ級「……なんですか」
明石「あ、いた……えっと…ごめんなさい、USBの中身が空になってて…」
レ級「…は…?」
明石(あ、やっぱりコレ腕輪関連だ…)
レ級(…どこに行った?アレは…いや、アレなら…しかし消失した?綾波か?……アレは、アレさえあれば…)
考えろ、ないのはわかってる、だが存在するんだ、何処にある?それが有ればどうなる?
レ級「……そうか、アレさえ有れば…チャンスはある」
明石「え?」
レ級「無くなった状況!タイミング!全て正確に教えてください、お願いします…!」
明石さんから話を聞き、1人になれる場所で落ち着く
レ級(目を離した時に多少動いていたのが…おそらく失われたタイミング…しかももうかなり前の話か…綾波に奪われていたら絶望的…)
だけど止まってはいけない
レ級(…2人を元に戻す以前に、綾波から離反するには人質である提督の救出が最優先になる…いや、2人を盾にされればそこまで…だが…)
…つい、持ち帰ってしまった曙の艤装に目を落とす
レ級「前だけ見てれば良かった…か、私には土台無理な話よ、捻くれた私には…」
再生した左腕の爪先はボロボロ
皮膚も所々剥がれてる、斑点みたいな…
レ級(艤装、というか…私の場合は体内で力を循環させてるようなもの、か……だけどその力も長くは持たない)
曙の艤装は、今の私には必要なものかもしれない
戦えさえすればそれで良い、そして……全てを打ち明けて協力を求めたい、非難されても良い、全てを賭けて戦う覚悟ならある
だけどそれは契約の破棄と同義、提督が殺される…やはりどうするにもここがネックだ
レ級「もし直接お話を伺えればなんというか……自分の事は気にするなとでも言うんでしょうね…」
全てを、捨てる覚悟は、まだできていない
捨てると賭けるでは、意味が違う
レ級(…提督の救出を諦め、綾波を撃破することだけに集中する……まだ現実的だが…そんな作戦、絶対に組みたくない、やりたくない…なら綾波をどう倒す?)
綾波は単純に言えば…かなり語弊があるが、完全上位互換
島風さんのスタイルを一度の戦闘でコピーし、艤装の力を使ってはいるもののそれを上回った
つまり私の様にコピーし、更に自分のスタイルに作り替えて扱える
其の気になればなんだってできるはずだ、そうしないのは綾波のお眼鏡に敵わなかっただけ
レ級(私みたいに何でもかんでも自分に取り入れて対応力だけで生き残ってきたのとは違う、取捨選択をできる立ち位置だからこそ無駄の少ない…)
それ故に隙が無く、迷いが無く、何より容赦のない性格と相まって誰も歯が立たない
綾波が基本的に砲撃戦を行わないのも、キタカミさんを真似しないのも全て必要がないから
直接殺して確かめられる近接戦闘にしか確実性を感じていないから
綾波の砲撃の精度は高くはない、しかしきっとその気になれば高められる
綾波に死角は無いはずだ、だけど殺せないわけじゃ無い、油断を、隙を、苦手な何かをついて殺しきる
それしかない
駆逐棲姫のアジト
イムヤ
イムヤ「…ん…?」
綾波「おはようございます、イムヤさん」
…違和感
独房の中はいつも荒れ放題だけど、今日はいつも以上に荒れている
イムヤ「…何かあったの?」
綾波「…私が私に気づいてしまった様です…その、別人格があると…それで、カメラを仕掛けられた様ですので、全て破棄しました」
イムヤ「そんなことして大丈夫なの?」
綾波「…私自身、気づかれた以上どうしようもありません、意識が同時に作用することもありませんから…でも、もう少しなんです…頑張って、綾波の意識に干渉します…そうすればきっと皆さんのお役に…」
イムヤ「……無理はしないでよ、大事な友達に死んでほしく無い」
綾波「……そうですね、友達が死んじゃったら…悲しいですから」
イムヤ(…何?今の違和感…)
護衛棲姫
護衛棲姫「…アノ、駆逐棲姫様」
綾波「…どうかしましたか?」
護衛棲姫「…イヤ、ソノ…綾波様、私ハ…」
綾波「貴方はとても聡い人です、ですが貴方の主人は私ではない、私と話していると貴方も裏切り者になりますよ?」
護衛棲姫「……ヤハリ、別ノ存在ナノデスネ」
綾波「身体は同じですが…」
護衛棲姫「…残念、デス」
綾波「私もです、貴方はすごく優しい人です、いつか一緒に…お茶でもしませんか?きっと楽しいお茶会になりますよ」
護衛棲姫「…敵ト馴レ合ウ訳ニハイキマセンノデ」
綾波「……本当に、残念です」
護衛棲姫「……」
綾波「では…護衛棲姫さん、貴方にこれを」
護衛棲姫「…カップケーキ…?」
綾波「お腹、減ってたりしませんか?……といっても、膨れないでしょうが…」
差し出されたカップケーキを受け取り、口に運ぶ
護衛棲姫「……甘イ…」
綾波「…お口にあいましたか?」
護衛棲姫「…トテモ、満タサレマシタ」
綾波「それは……良かった、本当に…」
護衛棲姫「……」
綾波「護衛棲姫さん、人は平等ではありません、しかし共通して幸せを求める権利があります、貴方は幸せを求めて…いえ、幸せになったと心から笑えるように生きて欲しいんです…私が手を差し伸べられるのは、貴方だけですから」
護衛棲姫「ソノ手ハ取レマセン、駆逐棲姫様ヲ裏切リタクナイ……綾波様、今マデアリガトウゴザイマシタ」
綾波「…そうですか」
護衛棲姫「綾波様、私ハ今、幸セデスヨ」
綾波「……そう、ですか」