元勇者提督   作:無し

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第366話

深海棲艦基地

駆逐艦 朧

 

朧「曙が行方不明…?」

 

阿武隈「何処探しても、居なかった…」

 

川内「深海棲艦も人間の兵士も、今まで分かる通り何処にも居ない、だから草の根かき分けて探してるんだけど…」

 

朧「…嘘…まさか、やられた…?」

 

阿武隈「…私はそうじゃ無いと思う、どっちかと言うと…攫われた」

 

川内「その可能性はあるね、深海棲艦たちを連れて行く際に…」

 

……鼻腔に微かに感じる別人の香

 

朧「…曙…?なんで曙の匂いがするの?」

 

阿武隈「…どうかしたの?」

 

朧(間違いない、このタバコとアルコールの染み付いた匂い、曙がここに居た?だとしたらなんで…)

 

川内「……とにかく、戻ろう、ここの物資だけ掻っ攫ってさ」

 

朧「…はい」

 

 

 

 

 

離島鎮守府

 

朧「ねぇ、曙いる?」

 

レ級「……何か用事?」

 

最近荒れ気味だった曙が妙に落ち着いている

いい事だが違和感を強く感じてしまう

 

朧「…曙ってあの敵の基地に居たの?」

 

レ級「…え?」

 

朧「匂いがしたんだ、曙と同じ匂い」

 

レ級「……それは…気の所為じゃない?」

 

明らかに誤魔化す様な…

 

朧「…そっか」

 

やはり裏切り者は曙だ、理由も察しはついた

だから…どうすればいい?

落ち着いて考えろ、曙をその束縛から解放する手段は?

 

今の戦力で綾波とやり合っても勝ち目はない、先に曙を自由にしなくてはならないか

 

 

 

 

 

 

The・World R:2

Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ

軽巡洋艦 神通

 

神通「…いつリアルに戻れるのか」

 

この街はいつでも夕暮れだ、夕暮れの港に腰掛け、海を眺める

あと一歩歩けば海だ、しかしこの世界はゲーム、見えない壁がある

 

クーン「よっ、そこの綺麗なお姉さん、夕涼みかい?」

 

神通「…何か?」

 

クーン「いや?新入りを紹介しておこうと思ってさ」

 

神通「新入り…何処にいるんですか」

 

クーン「…あれ?…ハセヲのやつ、またどっかいきやがった!」

 

神通「ハセヲ…?」

 

神通(提督が…そういえば倉持司令官の話ではここはパラレルワールドの様な世界、それも時間すら遡っている…昔の提督か、気にはなりますが)

 

クーン「参ったな…」

 

神通「どうかしたんですか?」

 

クーン「実は今、アリーナ戦に出てるんだけど…って言うか、その、アリーナってわかる?」

 

神通「ええ、わかります」

 

クーン「なら話は早いか、そのアリーナのチャンピオンが碑文を使って暴れてるみたいなんだ、それの調査も俺とハセヲはそれぞれのチームでアリーナに出てるんだけど…ハセヲはつい最近は文の力に目覚めたばかりって言うか…なんていうか」

 

神通「…どう言う意味ですか?」

 

クーン「神通ちゃんにも良い影響があるかなと思ったんだけど…どうやらダメっぽいかな、ははは…」

 

神通「…お気遣いありがとうございます」

 

クーン「そうだ、神通ちゃんも試合を観に来ない?暇ならでいいんだけど」

 

神通「…考えておきます」

 

クーン「じゃ、そういう事で」

 

神通「ええ」

 

 

 

Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス

 

神通「結局来てしまいましたか…しかし、ゲームとしてプレイしていた時とは違う、熱気や騒音を肌で感じる感覚…悪くありませんね」

 

アリーナへと近づきながら

道中の中継モニターをチラリと見る

 

神通「…これは…」

 

リングの端に吹き飛ばされるハセヲのPC

そしてそのPCに浮かぶ紋様…

 

神通(…相手…揺光さん、確か一般PCの…!止めないと…!)

 

 

 

アリーナの観客席に着いた時には既にスケィスが宙に浮かび、鎌を構えていた

スケィスの姿はノイズが走る度にハセヲと姿を入れ替える

 

神通(あの感じ…まさか、スケィスを制御できてない…?)

 

鎌を振りかぶり、スケィスが揺光へと迫る

 

神通「っ…!」

 

ハセヲの前に立っている敵は居なかった

 

 

 

クーン「…やあ、観に来てたんだ…いや、誘ったのは俺なんだけど…」

 

神通「…クーンさん、それに…パイさんも」

 

パイ「あなた、アレを見てまだ碑文の力を使いたいと思うの?…いや、というかそもそも見えてたのかしら?」

 

クーン「おい、やめろよパイ」

 

神通「いえ…ハッキリと視ました……そして、止めるべきだと感じました、本来彼の方はあの様な事をする方じゃない」

 

クーン「…知ってるのか?ハセヲの事…」

 

神通「ええ…しかしおそらく、今はまだ一方的に…」

 

パイ「…そこは何でもいいの、それよりクーン、貴方はハセヲをどうするつもりなの?」

 

クーン「……ハセヲは…あいつは勝てばなにをしてもいいと思っている……あいつに、身をもって教えてやる…」

 

神通「…その力の持つ本当の恐ろしさ…ですか」

 

クーン「…ああ」

 

何と無く、この人がやろうとしていることがわかった気がした

 

神通「協力させてください」

 

クーン「え?」

 

パイ「…3人目まで埋まってるわよ」

 

神通「足手纏いにはなりませんから、お願いします」

 

クーン「……わかった、もう1人には今回は外れてもらおうか」

 

パイ「…連絡はしておくわ」

 

 

 

 

Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域

ロストグラウンド グリーマ・レーヴ大聖堂

双剣士 カイト

 

カイト「…なんの用かな」

 

Cubia「簡単な話さ、ボクとキミは表裏一体、行動を共にすることもできる…と思ってね」

 

カイト「……そんな訳、ないだろう…」

 

Cubia「僕が死ねば意識データも破棄されるし、キミ自身も死ぬんだ、悪い事しかない…キミはボクを守らなきゃいけない、だけど逆にボクもキミを守らなきゃいけない」

 

カイト「……」

 

Cubia「わかるだろ?仲良くしようよ、カイト」

 

確かにそうだ、行動を共にするメリットはある…

だけど…

 

Cubia「それとも、ボクらは協力できないって言うのかな」

 

カイト「……キミの目的はなんなの?」

 

Cubia「勿論、アウラを下してあの場所に行くことさ、ボクがネットを支配する神になる…!」

 

クビアはただ、生きたいだけ…僕は…ただ、みんなを返して欲しいだけ

 

Cubia「もし、ボクがアウラを蹴落とせたなら…キミとの約束を果たしてもいい」

 

カイト「どうしてアウラを?」

 

Cubia「…別に?理由なんか、ないさ…ただ、力さえあればボクは生きていられる様になる…それが全てだ」

 

 

 

 

 

 

The・World R:X

Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ

重槍士 青葉

 

アルビレオ「…来たか」

 

青葉「はい」

 

目の前に槍を突き立てられる

 

アルビレオ「…任せる、俺は別の方向からアプローチをかける」

 

青葉「…わかりました」

 

槍を掴む

 

青葉「神槍ヴォータン…確かに、預かりました」

 

アルビレオ「…秋雲を任せた」

 

青葉「はい」

 

The・World R:X、このゲームの運営が開始された

ザ・ワールドの人気に伴い、現段階でログインできるのはユーザー権というログインの権利を手に入れた者達か…

私達のような、謂わばクラッカーか

 

マク・アヌはデバッグ用のタウンとして残され、他のエリアはグラフィックのみ変更されたものの、名称は変更されずそのまま運用されているらしい

 

青葉(つまり、逃げ込むならタウンに…そうすれば迂闊に手出しできない)

 

上手くやれば、そう、どれほどかは知らないが、天変地異を起こすほどに上手くやれば未帰還者を助けられる

 

青葉「…でも、まさかここに戻るなんて」

 

てっきりR:1に送られると…向こうの人たちはどうなったんだろう

 

アルビレオ「…俺は仕事がある、あとは任せた」

 

青葉「はい」

 

アルビレオを見送り、辺りを探索する

システム管理者は影も形もない

 

何時ぞやの塔を目指し、ゆっくりと歩く

 

青葉「……アカシャ盤、アーカーシャ、虚空にアカシックレコードを記録する…つまり、The・Worldの記憶の…」

 

フリューゲル「良く調べたもんだ、何処から調べた?」

 

声のした方向を横目で睨む

 

フリューゲル「…そう怒りなさんな、前の事を詫びたいと思ってる、アレは俺も予定外だった」

 

青葉「…横須賀にまで、来られたそうですね」

 

フリューゲル(もうバレてるか)

 

フリューゲル「そう、改めて名乗っとくが…フリューゲルだ」

 

青葉「……2度は、許しませんよ」

 

フリューゲル「…今回は俺1人だ、間違いなくな」

 

青葉「それで、何の用ですか」

 

フリューゲル「…アンタの目的は未帰還者を助ける事、それについて俺たちも上司と話し合って…それが承諾された、まあ要するに、協力したい」

 

青葉「…信じると思いますか?」

 

フリューゲル「信じないなら、アンタをここで撃つ」

 

青葉「……そう易々とやられる訳にはいきませんね」

 

槍を構える

 

フリューゲル「…俺たちは謂わばシステム管理者だ、協力すれば…」

 

青葉「今まで無視してきたのも貴方達です」

 

フリューゲル「それは……俺たちじゃない、俺たちはシックザールってんだが…要するに俺たちシックザールはつい最近雇われた、その話もこの前アンタから聞かされて知った…嘘じゃない、信用できるかは置いといてな」

 

青葉「……」

 

フリューゲル「頼む、信じてくれ、俺達は協力できるはずだ」

 

青葉「貴方達の目的は?」

 

フリューゲル「アカシャ盤の正常な運用、アンタらにアカシャ盤を触らせる訳にはいかない、だから…」

 

青葉「……わかりました、話自体はわかりました、ですが…考えさせてください」

 

フリューゲル「3日以内に頼む、時間はあんまりないもんでな」

 

青葉「…わかりました」

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