元勇者提督 作:無し
深海棲艦基地
駆逐艦 朧
朧「曙が行方不明…?」
阿武隈「何処探しても、居なかった…」
川内「深海棲艦も人間の兵士も、今まで分かる通り何処にも居ない、だから草の根かき分けて探してるんだけど…」
朧「…嘘…まさか、やられた…?」
阿武隈「…私はそうじゃ無いと思う、どっちかと言うと…攫われた」
川内「その可能性はあるね、深海棲艦たちを連れて行く際に…」
……鼻腔に微かに感じる別人の香
朧「…曙…?なんで曙の匂いがするの?」
阿武隈「…どうかしたの?」
朧(間違いない、このタバコとアルコールの染み付いた匂い、曙がここに居た?だとしたらなんで…)
川内「……とにかく、戻ろう、ここの物資だけ掻っ攫ってさ」
朧「…はい」
離島鎮守府
朧「ねぇ、曙いる?」
レ級「……何か用事?」
最近荒れ気味だった曙が妙に落ち着いている
いい事だが違和感を強く感じてしまう
朧「…曙ってあの敵の基地に居たの?」
レ級「…え?」
朧「匂いがしたんだ、曙と同じ匂い」
レ級「……それは…気の所為じゃない?」
明らかに誤魔化す様な…
朧「…そっか」
やはり裏切り者は曙だ、理由も察しはついた
だから…どうすればいい?
落ち着いて考えろ、曙をその束縛から解放する手段は?
今の戦力で綾波とやり合っても勝ち目はない、先に曙を自由にしなくてはならないか
The・World R:2
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
軽巡洋艦 神通
神通「…いつリアルに戻れるのか」
この街はいつでも夕暮れだ、夕暮れの港に腰掛け、海を眺める
あと一歩歩けば海だ、しかしこの世界はゲーム、見えない壁がある
クーン「よっ、そこの綺麗なお姉さん、夕涼みかい?」
神通「…何か?」
クーン「いや?新入りを紹介しておこうと思ってさ」
神通「新入り…何処にいるんですか」
クーン「…あれ?…ハセヲのやつ、またどっかいきやがった!」
神通「ハセヲ…?」
神通(提督が…そういえば倉持司令官の話ではここはパラレルワールドの様な世界、それも時間すら遡っている…昔の提督か、気にはなりますが)
クーン「参ったな…」
神通「どうかしたんですか?」
クーン「実は今、アリーナ戦に出てるんだけど…って言うか、その、アリーナってわかる?」
神通「ええ、わかります」
クーン「なら話は早いか、そのアリーナのチャンピオンが碑文を使って暴れてるみたいなんだ、それの調査も俺とハセヲはそれぞれのチームでアリーナに出てるんだけど…ハセヲはつい最近は文の力に目覚めたばかりって言うか…なんていうか」
神通「…どう言う意味ですか?」
クーン「神通ちゃんにも良い影響があるかなと思ったんだけど…どうやらダメっぽいかな、ははは…」
神通「…お気遣いありがとうございます」
クーン「そうだ、神通ちゃんも試合を観に来ない?暇ならでいいんだけど」
神通「…考えておきます」
クーン「じゃ、そういう事で」
神通「ええ」
Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス
神通「結局来てしまいましたか…しかし、ゲームとしてプレイしていた時とは違う、熱気や騒音を肌で感じる感覚…悪くありませんね」
アリーナへと近づきながら
道中の中継モニターをチラリと見る
神通「…これは…」
リングの端に吹き飛ばされるハセヲのPC
そしてそのPCに浮かぶ紋様…
神通(…相手…揺光さん、確か一般PCの…!止めないと…!)
アリーナの観客席に着いた時には既にスケィスが宙に浮かび、鎌を構えていた
スケィスの姿はノイズが走る度にハセヲと姿を入れ替える
神通(あの感じ…まさか、スケィスを制御できてない…?)
鎌を振りかぶり、スケィスが揺光へと迫る
神通「っ…!」
ハセヲの前に立っている敵は居なかった
クーン「…やあ、観に来てたんだ…いや、誘ったのは俺なんだけど…」
神通「…クーンさん、それに…パイさんも」
パイ「あなた、アレを見てまだ碑文の力を使いたいと思うの?…いや、というかそもそも見えてたのかしら?」
クーン「おい、やめろよパイ」
神通「いえ…ハッキリと視ました……そして、止めるべきだと感じました、本来彼の方はあの様な事をする方じゃない」
クーン「…知ってるのか?ハセヲの事…」
神通「ええ…しかしおそらく、今はまだ一方的に…」
パイ「…そこは何でもいいの、それよりクーン、貴方はハセヲをどうするつもりなの?」
クーン「……ハセヲは…あいつは勝てばなにをしてもいいと思っている……あいつに、身をもって教えてやる…」
神通「…その力の持つ本当の恐ろしさ…ですか」
クーン「…ああ」
何と無く、この人がやろうとしていることがわかった気がした
神通「協力させてください」
クーン「え?」
パイ「…3人目まで埋まってるわよ」
神通「足手纏いにはなりませんから、お願いします」
クーン「……わかった、もう1人には今回は外れてもらおうか」
パイ「…連絡はしておくわ」
Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域
ロストグラウンド グリーマ・レーヴ大聖堂
双剣士 カイト
カイト「…なんの用かな」
Cubia「簡単な話さ、ボクとキミは表裏一体、行動を共にすることもできる…と思ってね」
カイト「……そんな訳、ないだろう…」
Cubia「僕が死ねば意識データも破棄されるし、キミ自身も死ぬんだ、悪い事しかない…キミはボクを守らなきゃいけない、だけど逆にボクもキミを守らなきゃいけない」
カイト「……」
Cubia「わかるだろ?仲良くしようよ、カイト」
確かにそうだ、行動を共にするメリットはある…
だけど…
Cubia「それとも、ボクらは協力できないって言うのかな」
カイト「……キミの目的はなんなの?」
Cubia「勿論、アウラを下してあの場所に行くことさ、ボクがネットを支配する神になる…!」
クビアはただ、生きたいだけ…僕は…ただ、みんなを返して欲しいだけ
Cubia「もし、ボクがアウラを蹴落とせたなら…キミとの約束を果たしてもいい」
カイト「どうしてアウラを?」
Cubia「…別に?理由なんか、ないさ…ただ、力さえあればボクは生きていられる様になる…それが全てだ」
The・World R:X
Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ
重槍士 青葉
アルビレオ「…来たか」
青葉「はい」
目の前に槍を突き立てられる
アルビレオ「…任せる、俺は別の方向からアプローチをかける」
青葉「…わかりました」
槍を掴む
青葉「神槍ヴォータン…確かに、預かりました」
アルビレオ「…秋雲を任せた」
青葉「はい」
The・World R:X、このゲームの運営が開始された
ザ・ワールドの人気に伴い、現段階でログインできるのはユーザー権というログインの権利を手に入れた者達か…
私達のような、謂わばクラッカーか
マク・アヌはデバッグ用のタウンとして残され、他のエリアはグラフィックのみ変更されたものの、名称は変更されずそのまま運用されているらしい
青葉(つまり、逃げ込むならタウンに…そうすれば迂闊に手出しできない)
上手くやれば、そう、どれほどかは知らないが、天変地異を起こすほどに上手くやれば未帰還者を助けられる
青葉「…でも、まさかここに戻るなんて」
てっきりR:1に送られると…向こうの人たちはどうなったんだろう
アルビレオ「…俺は仕事がある、あとは任せた」
青葉「はい」
アルビレオを見送り、辺りを探索する
システム管理者は影も形もない
何時ぞやの塔を目指し、ゆっくりと歩く
青葉「……アカシャ盤、アーカーシャ、虚空にアカシックレコードを記録する…つまり、The・Worldの記憶の…」
フリューゲル「良く調べたもんだ、何処から調べた?」
声のした方向を横目で睨む
フリューゲル「…そう怒りなさんな、前の事を詫びたいと思ってる、アレは俺も予定外だった」
青葉「…横須賀にまで、来られたそうですね」
フリューゲル(もうバレてるか)
フリューゲル「そう、改めて名乗っとくが…フリューゲルだ」
青葉「……2度は、許しませんよ」
フリューゲル「…今回は俺1人だ、間違いなくな」
青葉「それで、何の用ですか」
フリューゲル「…アンタの目的は未帰還者を助ける事、それについて俺たちも上司と話し合って…それが承諾された、まあ要するに、協力したい」
青葉「…信じると思いますか?」
フリューゲル「信じないなら、アンタをここで撃つ」
青葉「……そう易々とやられる訳にはいきませんね」
槍を構える
フリューゲル「…俺たちは謂わばシステム管理者だ、協力すれば…」
青葉「今まで無視してきたのも貴方達です」
フリューゲル「それは……俺たちじゃない、俺たちはシックザールってんだが…要するに俺たちシックザールはつい最近雇われた、その話もこの前アンタから聞かされて知った…嘘じゃない、信用できるかは置いといてな」
青葉「……」
フリューゲル「頼む、信じてくれ、俺達は協力できるはずだ」
青葉「貴方達の目的は?」
フリューゲル「アカシャ盤の正常な運用、アンタらにアカシャ盤を触らせる訳にはいかない、だから…」
青葉「……わかりました、話自体はわかりました、ですが…考えさせてください」
フリューゲル「3日以内に頼む、時間はあんまりないもんでな」
青葉「…わかりました」