元勇者提督   作:無し

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覚悟

離島鎮守府

提督代理 朧

 

朧「作戦から2日…曙は以前行方不明、ロシアの人達は横須賀に引き渡して後日輸送…」

 

頭を抱える問題が多い

行方不明の曙とスパイを強いられてるであろう曙

両方助けるにはどうしたら…曙はまさか綾波に連れて行かれたのか、それとも…

 

朧「朝潮、代理の仕事暫く任せていい?」

 

朝潮「大丈夫です、しかし…心配ですね、曙さんの事…」

 

朧「…どっちもね、だけど…どうするにも、綾波を倒すしかない気がする」

 

朝潮「倒せるんですか?」

 

朧「……倒し切ることはできないと思う」

 

現状のデータドレインは通用しない、そもそも弱らせるというか…攻撃も綾波は受けてもいいと思って受けているだけ

 

綾波に見せたことのない戦術で綾波を一瞬で殺し切るには…

 

朧「…メンバーの入れ替えは必須…か」

 

朝潮「入れ替え?」

 

朧「正直言ってどこの基地のメンバーも把握されてるだろうけど、それでも戦術の転換は必要、新しい戦い方をしなきゃいけない時だよ」

 

朝潮「…と言っても…」

 

朧「今が正念場…これから冬になる、冬になれば天候も崩れやすいし…とにかく、すぐにでも決着をつけたいけど…」

 

朧(…そう上手くは行かないよね…アタシの個人技で勝てる訳じゃない、力も、速さも、技術も、戦略も…何もかもが向こうが上、だとしたらチャンスは…)

 

朧「暗殺…か」

 

朝潮「…そんな事、できるんですか?」

 

朧「無理、通じる相手じゃないしまず無理だと思ってるけど…でも、可能性はそこにしかない、アタシ達は戦争をしても綾波には勝てないんだ」

 

朝潮「…戦争で勝てないから暗殺…」

 

朧「昔からある話だけどね、優秀なトップを消すために暗殺ってのは……でも、上手く行くかなぁ…」

 

朝潮「倒し切る手段が必要ですね」

 

朧「…よし、そこを優先で進めよう、絶対に綾波との戦いを終わらせる、なりふりなんか構ってられない…!」

 

 

 

 

 

駆逐棲姫のアジト

駆逐棲姫

 

駆逐棲姫「うーん、さすが私だ、良い仕事しますねぇ、物理的に破壊されたらなんの記録も残りません、私に気づかれたという判断も早い」

 

護衛棲姫「…駆逐棲姫様、失礼致シマス」

 

駆逐棲姫「おや、どうかしましたか?」

 

護衛棲姫「…ロシアニハイツ向カワレルノデスカ?」

 

駆逐棲姫「明日、少し…しかし、困った事に聞いてる限り協力的ではなさそうなんです、どうも私を軽んじてるようで」

 

護衛棲姫「アァ…」

 

駆逐棲姫「まあ、正直私以上の人材なんてどこにもいないので…期待してるのは機材とかだけなんですよねぇ…調子に乗られなければなんでもいいんですが」

 

護衛棲姫「…軍事力ハ必要デショウカ」

 

駆逐棲姫「いいえ、私1人のトップ体制ですし私が死んだ時点でこの組織は瓦解させます、変に意思とか継がれたくもないですから…それもあるんで必要な時以外は全部私1人でやります」

 

護衛棲姫「…大丈夫デスカ?」

 

駆逐棲姫「失敗、成功、コントロールできる範囲でしか人を使ってはいけません、賭けるなら99%にだけ、90%ではダメです、貴方は確かに丁寧で私のために戦ってくれる、だけど貴方はコントロールが効きませんから」

 

 

 

 

 

ロシア ウラジオストク

 

駆逐水鬼「ああ、結局…」

 

火の海を見下ろす

 

駆逐水鬼「こうなってしまうのか、なんとも愚かしい…」

 

タシュケント「なんなんだアイツ…化け物か何かなのか!?」

 

駆逐水鬼「おや、ロシアの艦娘ですか?」

 

近づき、大腕で両手を掴み、磔の形にする

 

タシュケント「なっ…は、離せ!」

 

駆逐水鬼「……ふむ、悪くない、ですが…うーん…私はロシアにシステムを送ってないんですよね、中抜きされましたか、予想はしてましたけど…えーと、タシュケントさん?」

 

直接艤装に触れ、弄る

 

タシュケント「な、なんで名前を…」

 

駆逐水鬼「艤装に書いてますからね、ええ…よし、これでいいでしょう、暴れなさい、私の手駒として」

 

タシュケントを放り投げる

 

タシュケント「え…ぎ、艤装が勝手に…!」

 

主砲が妙な方向を向き、発砲する

 

駆逐水鬼「…ふむ、威力弱いですね、銃弾より多少強いくらい…安かろう悪かろうでは意味はないのに…」

 

タシュケントの艤装の操作を解除し、海へと戻る

 

駆逐水鬼「タシュケントさん、ロシアの"誠意"のある対応に感謝するとお伝えください、次はミサイル基地に来ても知りませんよ?」

 

タシュケント「さ、させるか…!そんな事!」

 

駆逐水鬼「…まだ私、レベル2なんですけどねぇ…その首、いや、頭を破裂させてもいいんですよ」

 

タシュケントの艤装を操作し、自身の顔に向けさせる

 

タシュケント「ひっ…!な、なんで!?」

 

駆逐水鬼「アハッ…良い顔、気が変わりました、貴方が爆ぜる瞬間、見てみたいかも……」

 

タシュケント「嫌だ!ヤダヤダヤダ!死にたくない!」

 

駆逐水鬼「…パーン」

 

大腕が一回、拍手のように手を打ち鳴らす

 

タシュケント「っ……」

 

駆逐水鬼「緊張感と恐怖心で気絶しましたか…大切な交渉役、殺しはしませんよ、今はね?」

 

気絶したタシュケントの頬を撫でてから姿を消す

 

 

 

 

The・World R:X

忘刻の都 マク・アヌ

重槍士 青葉

 

青葉「お話、お受けします…」

 

フリューゲル「そいつは良かった」

 

青葉「…ただし、万が一私を裏切れば…」

 

フリューゲル「…裏切れば?」

 

青葉「ヘルバさんを敵に回すと思ってください」

 

フリューゲル「……ヘルバ?」

 

青葉「あなたを攻撃する意図は有りませんが、ヘルバさんに相談したところ貴方の住所、電話番号や経歴なども全て調べ上げてあると」

 

フリューゲル「…ははは、そいつは怖い」

 

青葉「…信じられないのでしたら、"病院"まだ会いに行きましょうか」

 

フリューゲル「……いや、何処も悪くなさそうだ、診る必要はないと思うけどな」

 

青葉「私はヘルバさんに、必要ならその病院まで行けと言われています、しかしそれ以外のことを聞くことは拒否しました…貴方と協力するために」

 

フリューゲル「随分な脅しに聞こえるけどな」

 

青葉「私はあなたのお名前と病院の場所しか知りませんよ」

 

フリューゲル「…名前も聞いてんじゃねぇか…」

 

青葉「ヘルバさんには聞いてません、あなたが訪ねたアオバから聞きました」

 

フリューゲル「……あー、あの青葉さんとはどんな関係?」

 

青葉「…答える義務はないかと」

 

フリューゲル「…はいはい、失礼しました」

 

青葉「私はなにをすれば良いんですか?」

 

フリューゲル「…Cubiaの排除、ってことになるのか…R:2に向かう事になる、R:2で好きにやってくれ」

 

青葉「…好きに?」

 

フリューゲル「あんたは目的のために止むを得ず力を貸してる立場、変な指示されても素直に従えないんじゃないか?別にアカシャ盤ぶっ潰すつもりがないなら好きにしてくれれば良い、未帰還者を助けるって目的は一緒な訳だしな」

 

青葉「……わかりました」

 

 

 

 

The・World R:2

Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス

軽巡洋艦 神通

 

神通「もう当日ですか」

 

クーン「準備とかできてないかもしれないけど、大丈夫?」

 

神通「…まあ、問題ありません」

 

パイ「貴方、戦闘経験はあるの?」

 

神通「…戦闘経験でしたら、お二人よりある自信はありますよ」

 

クーン「それは心強いな」

 

パイ「…まあ、行きましょ」

 

 

アリーナの窓口から控室へと送られる

 

神通「…私はなにを狙えば」

 

クーン「…緑の斬刀士だ、パイはアトリちゃんを、俺がハセヲを叩く、2人も担当の敵を倒したらお互いのサポート、俺は後回しでも良いから」

 

神通「了解しました」

 

パイ「問題ないわ」

 

クーン「…ハセヲは俺が、ここで止める」

 

 

 

 

 

馬鹿みたいにうるさい声援と実況のマイクパフォーマンスを受けながらフィールドに転送される

 

神通(…よく知った雰囲気ですね)

 

ハセヲ「なんだよ、そいつ…新しいメンバーか?」

 

クーン「お前に紹介しようとしたけど、バックれたろ…」

 

ハセヲ「ああ、ナルホドね」

 

クーン「……ハセヲ、俺は…認めない、絶対に!認めないっ!!」

 

ハセヲ「…あ?」

 

クーン「勝てたらなんでも良いのか!?どんな事をしても許されるのか!?他人を滅茶苦茶にしてまで手に入れた物に価値などない!」

 

ハセヲ「うるせぇ!お前バッカじゃねぇの?勝たなきゃ誰も認めてくれねぇんだよ!」

 

クーン「違う!勝つことだけが全てじゃない!」

 

ハセヲ「違わねぇっつーの、お前に認めさせてやる…俺の、力を!!」

 

神通(…まるで、力の使い方を知らない子供…かつての私のよう…提督にもこんな時期があったのですね)

 

試合開始を告げるゴングが鳴る

 

緑の斬刀士に向けて槍を振るう

 

神通「初めまして、あなたのお相手は私です」

 

シラバス「ど、どうも…!」

 

神通(…この青年のキャラ……そうだ、知ってる顔だ、確か初心者支援ギルド、カナードの…シラバス…)

 

神通「あなたもこんな大会に出るのですね」

 

シラバス「…どういう意味かわからないけど…負けない!流影閃!」

 

一歩下がって攻撃をかわし、槍を大振りに奮って叩きつける

 

シラバス「うわぁっ!?」

 

神通(まるで相手にならないな)

 

シラバスにトドメを刺し、もう1人を確認する

 

パイ「こっちも終わってるわ」

 

ハセヲ「なんで…なんでお前らまで俺の邪魔を…!」

 

神通(…そうか、提督は1人なんだ…だから、助けて欲しくて…)

 

ハセヲ「なんでどいつもこいつも俺の邪魔をしやがる!どけよ!どきやがれぇぇっ!!」

 

ハセヲの大剣とクーンの銃剣がぶつかり、金属音が響く

 

ハセヲ「さもないと…!喰い殺すぞぉぉぉぉっ!!」

 

ハセヲの体が紋様に包み込まれる

 

クーン「っ…!」

 

ハセヲ「スケェェェェィスッ!!』

 

クーン「バカがっ!来い!俺のメイガスっ!!』

 

セピア色の世界

メイガスがスケィスの鎌を葉のシールドで受け止める

 

ハセヲ『そんなもんで防げると思ってんのか!!』

 

スケィスがメイガスのシールドを破り、そのまま攻め続ける

 

クーン『お前は間違ってる!こんなやり方、何も解決しない!』

 

スケィスの攻撃をいなし、適所で遠距離攻撃をするメイガスに対し、攻撃を避けては常に攻め続けるスケィス

 

神通(…そうだ、なんでわかるのかすら…ああ、やはり…)

 

一方的なスケィスの攻撃が続く

 

ハセヲ『これが俺の力だ!!オラオラオラオラオラァァぁぁッ!!』

 

スケィスの鎌がメイガスを何度も斬りつける

しかし、急にスケィスが止まり、その腕をダラリと垂らす

 

ハセヲ『ッ…!?」

 

スケィスの目が、赤く光る

だらりと垂れた腕が何かへと伸びる

 

ハセヲ「う、うわっ!?うわぁぁぁっ!?」

 

神通「あれは…!」

 

スケィスが獣のように咆哮し、両手の爪でメイガスを攻撃する

 

クーン『ごッ…ぁが…!』

 

完全に制御を失い、獣のように、ただひたすらにメイガスを攻撃し続ける

 

神通(暴走してる…私と、あの時と同じように…!)

 

ハセヲ「やめろ…」

 

いつの間にか遠く離れた場所でスケィスを眺め、そう呟くハセヲ

 

しかしその声は届く事なく、スケィスは鎌の柄をメイガスに突き刺し、右手から光弾を放ち、メイガスを攻撃し続ける

 

殴りつけて弾き飛ばしたかと思えば腕を伸ばしてメイガスを引き寄せ殴りつける

もはやメイガスは抵抗をやめ、されるがままに、壊され続ける…

 

ハセヲ「いやだ…いやだ…!やめろ!おい!やめやがれ!!」

 

ハセヲの声はスケィスには届かない

スケィスの爪がメイガスを引き裂き、貫き、徹底的に破壊する

 

ハセヲ「もう…やめてくれ……」

 

クーン『ハセヲ…これがお前の望んだ結末なのか…?』

 

こちらに背を向けたクーンが現れ、ハセヲに問いかける

 

ハセヲ「クーン!?…違っ…俺、そんなつもりじゃ…!…こんなこと……こんなはずじゃ…」

 

クーン『…わかったろ?…碑文の力は俺たちの心の闇を増幅する…それは簡単に克服できる物じゃないんだ…』

 

ハセヲ「…俺は…どうしたら……」

 

クーン『常に覚悟するんだ…大切なものを失う覚悟を』

 

ハセヲ「失う、覚悟…?」

 

クーン『そして、大切なものを守る覚悟を…!』

 

ハセヲに振り返り、笑ったそう言う

 

神通(失う覚悟と、守る覚悟…)

 

 

クーン『うおおおおォォッ!!』

 

メイガスがスケィスの両腕を掴み、引き剥がす

スケィスを投げ飛ばし、先ほどよりも巨大なシールドを展開する

 

ハセヲ「とまれ…!」

 

スケィスが再び鎌を取り出し、メイガスへと迫る

 

ハセヲ「クーン!逃げろ!逃げてくれぇっ!!」

 

クーン『…ははっ…でもさ、俺もいつも覚悟が足りなくてさ…』

 

ハセヲ「頼む…逃げろっ…!」

 

クーン『だから…こんな方法しか思いつかなかったんだ………うおおおぉォォッ!』

 

スケィスがメイガスへと鎌を振り下ろす

メイガスのシールドを破壊し、メイガスをも切り裂いた、メイガスのプロテクトが破壊され、すかさずスケィスがデータドレインを展開する

 

神通「そんな、まさか…!」

 

データドレインを受けて、助かるのか…?

 

ハセヲ「止まれ!止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!とまれ!!止まれぇぇッ!!」

 

無常にも、データドレインがメイガスを貫く

 

クーン『ぐぁあぁぁぁぁぁぁ……っ!!」

 

力を失ったメイガスがどんどんと、虚空へと堕ちていく

そして、満足げに右手を眺め、ようやく消えたスケィス

 

ハセヲ「っ…!」

 

メイガスは光の粒となって、消滅した

 

ハセヲ「うわあぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

景色が元に戻り、クーンが仰向けに倒れた状態になる

 

ハセヲ「……クーン…俺は…」

 

クーン「どうしたんだよ、お前らしくないぞ、そんな顔」

 

ハセヲ「クーン!?」

 

神通「……」

 

パイ「アンタ…"増殖"を使ったのね」

 

クーン「なかなかお利口だろ?俺の碑文…まあ、俺1人じゃ足りなかったみたいだけど」

 

ハセヲ「…増殖?」

 

パイ「ええ、クーンの碑文の特殊能力、あらゆるデータを文字通り増殖する力…自分のデータを増殖させて、ハセヲがドレインしたデータを補った…そう言う事でしょ」

 

クーン「当たり!もうそのとーり!流石パイ!」

 

パイ「馬鹿!どうしてアンタ1人で引き受けたり…下手したら未帰還者になってたかもしれないのよ!?」

 

クーン「はいはい、バカはバカなりに考えたんだがな…神通ちゃんも察して手を貸してくれたけど…」

 

神通「…流石に、無茶が過ぎると思いますが」

 

クーン「あー…お説教は後で、先に言わなきゃな…」

 

神通「…?」

 

クーン「参った!ギブアップ!」

 

ギブアップの宣言を受けて試合終了のアナウンスがされる

 

クーン「な、言ったろ?勝つ事だけが全てじゃないってさ」

 

ハセヲ「……俺」

 

クーン「ドンマイドンマイ、大丈夫、もう間違えなきゃ良いだけだからさ」

 

神通「……ふふっ」

 

パイ「…どうかしたの?」

 

神通「いいえ、なんでもありません」

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