元勇者提督   作:無し

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理解者

The・World R:2

Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ

重槍士 青葉

 

青葉「あぅっ!?……ま、また、腰を…」

 

アカシャ盤を使った時間の移動はどうやら毎回空から降る事になるらしい、次からは着地を取らなくてはいけないのかもしれない

 

フリューゲル『よー、どうだ?』

 

青葉「…私の知ってるマク・アヌです、ここに?」

 

フリューゲル『Cubiaの反応がある、後は任せたぜー?青葉ちゃんよ』

 

青葉(なんか、急に距離感が近い…)

 

青葉「…はぁ…が、頑張らないと…」

 

つい昨日まで敵対していた相手と協力……協力?良いように使われているだけな気がしてきた

 

青葉(大丈夫なのかなぁ…)

 

考えてもしかたない、とにかく今はCubiaを探すしか無いのだから

 

フリューゲル『っと…待ってくれ、異常なデータ増幅を確認した、ルミナクロスのアリーナ裏だ…調査に行ってくれるか?』

 

青葉「…クビアですか?」

 

フリューゲル『わからない、だが確かめる価値はあるだろ?』

 

青葉「……了解しました」

 

フリューゲル『戦闘になることも考えてもう1人つける、少し待機してくれ』

 

青葉「私を後ろから刺した人以外でしたら」

 

フリューゲル『…大丈夫だ、そんなことする奴じゃない』

 

 

 

チェロ「よろしくネ!青葉ちゃん!」

 

青葉「…えーと…貴方は?」

 

チェロ「チェロだヨ!」

 

青葉(…子供タイプのキャラに天使の羽…ジョブは?…わからないけど…)

 

チェロ「青葉ちゃんだからー…青ちゃんって呼んでも良い?」

 

青葉「構いませんけど…武器は?」

 

チェロ「この子だヨ!」

 

青い可愛らしい謎のぬいぐるみを突き出してくる

 

青葉「…人形を操るジョブなんてなかったはず…」

 

チェロ「シックザールPCは普通と違うからね、でもベースは撃剣士だヨ!」

 

青葉「…その見た目で!?」

 

チェロ「早く行こうヨ!逃げられちゃうヨ?」

 

青葉「…わかりました…」

 

カオスゲートへと向かう

 

青葉(しかも、移動の時は浮いてるし…)

 

 

 

Ωサーバー 闘争都市 ルミナ・クロス

軽巡洋艦 神通

 

アリーナ裏の誰も来ない薄暗い通路

落下防止の柵に腰掛け、夜風に当たりながら…気長に待つ

 

神通(…失う覚悟と守る覚悟…メイガス、貴方が私に求めているのはそれなんですね…)

 

今なら、帰れる、メイガスの力を使って……だけど、まだだ、まだ力が足りない、全てを失う覚悟はできた、まだ力が足りない

 

左肩に宿ったAIDAが囃し立てる

もっと力をと

まだ足りないと

 

神通「ええ…わかっています、貴方がくることも、わかっていました」

 

駆逐棲姫「おや…それは実につまらないですが…」

 

神通「私に力をくれるんでしょう?」

 

駆逐棲姫「……えぇ、まさか貴方は姉妹を裏切ると?」

 

神通「貴方相手に嘘は通じません、ですから私は真実しか喋りませんが……全くもってその通りです」

 

駆逐棲姫(…嘘のクセは無いか)

 

神通「どうですか、私は高いですよ」

 

駆逐棲姫「…ふふっ、良いですねぇ?…その力、私のために使う気は?」

 

神通「私はあくまで、私のためにしか振るいません」

 

駆逐棲姫「気に入りました、買いましょう、貴方を」

 

左肩のAIDAがボコボコと泡を噴き出しながらその腕を露にする

 

神通「…辛抱たまりませんか、力を前にして」

 

駆逐棲姫「自己防衛の本能でしょう、恐怖心があるのでは?」

 

神通「……感じないと言えば、嘘になります」

 

駆逐棲姫「不感症じゃ無いなら夜も楽しめそうですね?」

 

神通「そう言う意味ではありませんが…」

 

駆逐棲姫「アハッ、冗談ですよ…まあ、そういう愉しみも悪く無いかもしれませんが」

 

神通「……おや」

 

駆逐棲姫「どうかしましたか?」

 

神通「来客です」

 

バタバタと駆ける足音が近づいてくる

 

神通「……お久しぶりですね、青葉さん」

 

青葉「…神通さん…!それに綾波さんも…なんで…!?」

 

チェロ「青ちゃん、知り合い…?」

 

神通「まあ、細かいことはいいでしょう……」

 

槍を掴み、向ける

 

青葉「なッ…!」

 

駆逐棲姫「アハッ…!良いものが見られそうですねぇ!」

 

神通「これからプレゼンテーションを始めます、よろしいですか?」

 

駆逐棲姫「結構!存分にアピールしてください、貴方の力を!!」

 

青葉「神通さん、まさか…」

 

神通「ええ、私は深海につきます」

 

青葉「……川内さん達も…?」

 

神通「いえ、私1人です」

 

そう言って、踏み込む

 

青葉「ぁ…!」

 

槍を青い猛獣に止められる

 

神通「……雪男?」

 

チェロ「ボサッとしない!さあグリちゃん、やっちゃいなヨ!」

 

ゲームに出てくるようなコミカルな雪男…の様な見た目で手についた大きな鉤爪が振り回される

 

神通(動きはそこまで早く無いですが…なんと重い、青葉さんの意思が固まる前に仕留めなくては…!)

 

青葉「……ダブルスイーブ!」

 

横薙ぎに放たれる青葉さんのハルバードのような槍をバックステップでかわす

 

神通「おや…もう少し迷ってくれてもよかったのに」

 

青葉「…迷ってる暇はありません…貴方がそちらに着くのなら、倒すまで」

 

槍の先端に付いた斧、シンプルだが特徴的で洗練された強さのある槍

 

神通「…見覚えがあります、神槍ヴォータン」

 

青葉「…譲り受けたものです」

 

神通(さっきの勢いから見ても威力はバカにできませんね、まともに受けるのは良く無いか…地面に槍を突き立てて受け、格闘に持ち込めば良い)

 

青葉「ダブルスイーブ!」

 

もう一度横薙ぎ、突き立てた槍でそれを受ける

 

神通(貰った!)

 

青葉「…私は、賢くは無いですが…」

 

神通「っ!」

 

斧を引っ掛け、私の槍を軸にして、槍の勢いを利用して半円を描く様に私の背後へと青葉さんが移動する

 

駆逐棲姫(ほう、狙いはやはり私1人…)

 

青葉「優先順位くらい…知っています!」

 

青葉さんの槍が通路を砕き、土煙をあげる

 

青葉「火炎太鼓の召喚符!」

 

炎が逃げ場を奪う

 

駆逐棲姫「っ……めんどくさいなぁ…」

 

神通「待ちなさ……っ!!」

 

チェロ「貴方の相手はコッチだヨ!」

 

青い猛獣が連続で攻撃を繰り出してくる

 

神通(…隙を見つけて、狙い打つ……問題ない)

 

槍を引き、身体を捻る

 

チェロ「グリちゃん!やっちゃいなヨ!」

 

神通「ココです」

 

身体を捻り、腰と膝を最大限に使い、突き刺すような蹴り

猛獣が蹴りを受けて怯んだ瞬間、体の捻りを戻し、その勢いを腕に集中させた手刀

そして槍の石突で刺突

 

チェロ「グリちゃん!」

 

神通「…なんて耐久性…」

 

猛獣はふらついたかと思えばこちらを睨み、攻撃をする

どうすれば倒せるのか…

 

駆逐水鬼「神通さん、時間の無駄ですよ」

 

神通「……片付きましたか」

 

青葉「…ぐ……」

 

駆逐水鬼「多少手を焼きましたが、2撃で沈んでくれました…ああ、しかし…」

 

青葉「……次…こそ…」

 

駆逐水鬼「そんなこと言ってると…リアルの貴方を沈めちゃいますよ?」

 

青葉「っ…!」

 

神通「…私の評価は?」

 

駆逐水鬼「詰めが甘いですねぇ、しかし十分です、気に入りました…」

 

身体をエフェクトが包む

久しぶりに、リアルな空気を味わえるだろう

 

 

 

 

 

重槍士 青葉

 

青葉「…すいません、助かりました」

 

チェロ「何あれ…あんなに早くて重い攻撃、しかも換装の速さ…」

 

青葉(…神通さんも、まさかリアルの姿で?)

 

チェロ「でも、思ってたより青ちゃんが強くて驚きだヨ」

 

青葉「あ…えぇと…恐縮です…」

 

青葉(Cubiaではなかった…じゃあCubiaはどこ?…倒せば解決するのか…)

 

チェロ「…疲れてる?今日はログアウトした方が良いヨ」

 

青葉「…そうします」

 

 

 

 

 

駆逐棲姫のアジト

綾波

 

綾波「あー…その、護衛棲姫さん、その後変わりないですか…?」

 

護衛棲姫「…ソンナニ居心地悪ソウニスルナラ訊カナケレバイイノデハ?」

 

綾波「…あはは…性分なもので……」

 

護衛棲姫「…ソウデスカ」

 

綾波「…私は所詮、あのもう1人の私に勝てるほど強くない、だから……何かを頼るしかない、だから、間違ったことにも何度も手を染める…間違った事をする事で、結果的に正しい道を歩めるのなら…」

 

護衛棲姫「……?」

 

綾波「私の友達は、今日で誰も居なくなります」

 

護衛棲姫「…ドウイウ…」

 

そろそろ、頃合いだ

基地が大きく揺れる

 

護衛棲姫「ッ!?」

 

綾波「…貴方にイムヤさんは止められない…だから、逃げるなら今ですよ」

 

護衛棲姫「マサカ…!」

 

綾波「…イムヤさんは死んでいます、死んでるからこそ…少し手を加えれば……おぇっ……っ…深海棲艦の、上位の力を……おごっ…うぅ…」

 

護衛棲姫「…ソレデ、ドウスルト言ウノデスカ…!」

 

綾波「…信じます……きっと、春雨さん達は…イムヤさんを助けられる……うぅ……おえぇ…」

 

護衛棲姫「…アア、モウ!御手洗イハ向コウデス!」

 

綾波「すみませ…ぅっ…ぷ……う…」

 

きっと、時計の針は巻き戻せない

私は前に進ませるために、私が糧になれるのなら、なんだってやる

自分で死ぬ事だけはできないけど、どんな小さな手助けだろうと……

 

 

 

 

 

 

???

双剣士 ハル

 

ハル「……ここは?」

 

つい先ほどまで、自室に居たはずなのに…

真っ白で、赤い傷痕のある、本の積まれた…ただ、どこまでも広がる謎の空間

 

オーヴァン「真実の部屋、とでも言おうか」

 

ハル「…お前は?」

 

色つきの眼鏡をかけた、長身の男…

 

オーヴァン「……君の一つ前の…」

 

ハル「…コルベニク…?前の碑文使い…コルベニクの…」

 

オーヴァン「そうなるだろう」

 

ハル「…コルベニク、お前が私をここに?」

 

オーヴァン「彼は良く理解してくれる、きっと俺ならキミを救えると考えたんだろう…と言っても、今の俺はただの残留思念だ」

 

ハル「……お前は私にどんな真実を見せる」

 

オーヴァン「真実とは…所詮、自分が見たいカタチに過ぎない…結局、自分が納得すれば周りなんて関係ないのさ」

 

ハル「そうはいかない、私はあまりにも罪を重ね過ぎた」

 

オーヴァン「それもキミ自身の納得の為だ、贖罪のため、愛する者のため、たとえ愛する者がどう感じようと結局キミが納得すればそれで良い」

 

ハル「……確かに、そうかもしれない」

 

オーヴァン「…再誕は適応の力だ、何度だって甦る、甦らせる」

 

ハル「……」

 

オーヴァン「強くなれ、そして…」

 

ハル「…名前を聞いていなかった」

 

オーヴァン「…オーヴァンだ」

 

ハル「お前が、オーヴァンか…お前の愛する者は?」

 

オーヴァン「…唯一残された家族は、妹だけだ、その為に俺は全てを賭けた」

 

ハル「…妹さんが幸せかは知らない、だが…不幸に生きているわけではなさそうだった」

 

オーヴァン「…それが俺の望んだ真実だ」

 

ハル「……提督、どうかお許しください…私は決めました、私の命と、提督の命、その2つを…諦める事を」

 

その二つさえ使えば…きっと

 

ハル「そして、それを引き換えに……私は全てを救ってみせます、綾波すらも、そして…みんなを、だから…だから、私を許してくれとは言いません、どうかご覧ください、貴方の艦が闘う姿を…命を賭して…!!」

 

ぬからな、全ては順調に進まなくてはならない

全ての下拵えを怠るな、全ては我が目的のために

 

オーヴァン「それがお前の真実か」

 

ハル「提督なら、きっとできるだけ多くの人間が幸せになる結末を望む……それなら、私は最大限を願い、戦い続ける…」

 

そう…

 

ハル「全ては、提督の意志のままに…」

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