元勇者提督 作:無し
急変
The・World R:2
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
重槍士 青葉
青葉「……はぁ」
チェロ「団長から連絡だヨ、このタウンの路地裏にCubiaみたいな反応だって!」
青葉「…もう20回はそれに騙されましたよ」
チェロ「…今度こそ!」
青葉「……」
路地裏
カイト「…誰か、来る……しかも、走ってる…?」
Cubia「目的はボク達みたいだね?」
カイト「……」
チェロ「居た!Cubia!……と?」
青葉「し、司令官!?」
カイト「青葉…!?」
チェロ「…司令官…?あ、あれって…ノムくん達を倒したカイトだヨね…?」
青葉(あの司令官の後ろのPCがCubiaだったとして…そうだ、私を逃すフリをしてR:1に送り込んだ…!)
青葉「トリプルドゥーム!!」
上下段から放つ突きの連続攻撃をCubiaに放つ
青葉「ッ!?」
その攻撃は、司令官に止められる…
カイト「…ガードに使った剣が…消滅した……その槍…?」
司令官の両手にノイズが走る
青葉「司令官、なんで庇うんですか…!」
カイト「……今のクビアには、意識不明にされたみんなのデータが取り込まれている…クビアを今倒させるわけにはいかないんだ…意識データが失われれば……」
青葉「そんな…」
つまり、秋雲さんを助けるにはCubiaからデータを取り戻さなくてはならない
そんな事…
チェロ「青ちゃん!どう言う事!?説明してヨ!」
青葉「……私達は、未帰還者を盾にされている…と言う事でしょう」
Cubia「そう捉えてくれて構わない…良かったよ、君たちが話のわかる奴らで」
青葉「…貴方は…何で、そんな真似を…!」
Cubia「死にたくないからさ、自然な事じゃないか、君たちみたいに生き続けることができない、役目を終えたら消えるボクのごく自然な欲求…まさか否定したりしないよね?」
青葉(…役目を終えたら消える、死んでしまう…)
だからといって誰かを巻き込んで言い訳が…
Cubia「…そうだ、キミ達仲間なんでしょ?お互いに戦いなよ、それで勝った方が誰かを選ぶんだ、その人は解放してあげる」
カイト「何のためにそんな事を…!」
Cubia「何のためにって…そんな事、何にも考えてないよ、キミたちを苦しめたい、それだけさ…破滅の運命に生まれたボクのせめてもの仕返しさ」
青葉「……違います…よね?」
Cubia「……」
何となく、だけど…違う筈だ、本当に滅びる運命なら、本当に滅びを避けたいなら…何かが違う筈だ
青葉「…私には、貴方のことも、貴方の気持ちもわかりません、滅びる運命ならそんな事に興じる暇なんてない筈なのに」
Cubia「だとしたら何?何が言いたいの?」
青葉「……それは…」
Cubia「カイト、キミがやらないなら…適当に一つ、破棄しちゃうよ」
カイト「…!」
司令官が悲痛な面持ちでこちらを見る
青葉「…わかりました、所詮私の身体はPCボディです…私をキルして…」
Cubia「そんな甘い話ないよ、もしやられたなら……キミも同じ末路さ」
カイト「クビア…良い加減にしてよ…」
Cubia「カイト、そんな事言って本当に良いの?」
カイト「っ……」
チェロ「青ちゃん、私もやるヨ!AI2人くらい…」
青葉「……AIじゃありません、司令官は…このゲームに取り込まれてるんです…」
どうすればいい、どうすれば…この状況を解決できるのか…
Cubia「っ!?」
カイト「え?」
青葉「こ、これは…!?」
いきなり周囲の景色が切り替わる
The・World R:X
Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ
青葉「こ、ここは…」
カイト「…R:Xのマク・アヌ?」
Cubia「誰がこんな真似を…」
ガイスト「僕、サ」
顔の半分を仮面で隠した不思議な衣装の男のキャラ…
チェロ「ガイスト…!」
ガイスト「ハーイ、皆様はじめましテ、シックザールNo.10、奇術師のガイスト、参上サ♪」
Cubia「何だよお前、鬱陶しいんだよ…!」
Cubiaが攻撃の動作を見せる
フリューゲル「おっと、後ろがお留守だぜ」
フリューゲルがCubiaの背中を撃つ
Cubia「なっ…!」
フリューゲル「……チッ、流石に石化はできないか…だが、一つは貰った!」
CubiaのPCボディから何かを引き剥がし、データの塊をこちらに投げる
フリューゲル「受け取りな!」
青葉「わわっ!?……こ、これが、意識データ…?」
Cubia「くッ…何なんだよ!お前達…!」
フリューゲル「シックザール…アカシャ盤の運航を守るもの……さあ、お仕事の開始だ」
フリューゲルが再び拳銃を向ける
Cubia「カイト!ボクを守ってよ!じゃないと…」
カイト「……クビア…僕は…」
フリューゲル「お前さんも、此処で終わりだ!」
拳銃が司令官を捉える
青葉「待っ…」
先ほどと同様に、景色が切り替わる
ガイスト「…フフ♪」
The・World R:2
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
青葉「ま、また此処に……え?私だけ…?」
The・World R:X
Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ
双剣士 カイト
カイト「ぐ…ッ…!」
銃弾を受け、地面を転がる
フリューゲル「…何でだ、なんでブリーラー・レッスルを受けて石化しない…?」
Cubia「カイト!わかっただろう、コイツ等はキミの味方はしてくれない」
どうやらそうらしい
僕に残された道は…戦うしか…
Cubia「…そうだ、僕たち2人でこの場を切り抜けるんだ」
フリューゲル「チェロ!全員集めろ!総力をかけて潰すぞ!」
チェロ「わかってる!もうみんな呼んでるヨ!」
カイト(…早くしないと、不利になる…か)
辺りを見回しても奇術師は居なかった
つまり、2対2…
カイト(お互いに知り合ってる状態なら話も通じたかもしれないけど、今の状態じゃそうもいかない…か)
クビアを逃がせば解決するのか?それともここでクビアの中の意識データを全て取り出せるのか?
カイト(どっちにしても、リスクが大きすぎる、クビアを野放しにするわけにもいかないし、ここでクビアからデータを奪いきれなければ…誰かが犠牲になる)
世界か、仲間か…
即座に判断するには重すぎる…
だったら、考え方を変えてみるしかない
カイト「…暗黒神話の巻物…オルメアンクルズ!」
巨大な蜘蛛の脚の様な、禍々しい闇の断片が地面を突き破り隆起する
フリューゲル「ぉおっ!?」
目隠し、時間稼ぎとしては充分すぎる
カイト「クビア、今のうちにここを離れよう」
Cubia「……チッ…わかった」
カイト「……ここまで来れば、追ってこないか」
Cubia「…よく、ボクを選んだね」
クビアが目を伏せながら言う
Cubia「正直、敵対されると思ってたんだけど…いや、そりゃそうか…ボクがやられたらキミも消えちゃうんだ」
カイト「…そんな事、何も考えてないよ」
Cubia「じゃあ、なんで…」
カイト「僕と君は本当に戦う必要があるのか、それをずっと考えてたんだ…やっぱり、戦う必要なんかないんじゃないかって」
Cubia「…キミ、頭おかしい?」
カイト「そりゃ、こんなにこの世界に居たら…おかしくもなるかもね、だって僕の世界はここじゃないから」
Cubia「……」
カイト「クビア、君が僕を手元に置き続けるのは僕に万が一があって対消滅してしまうのを恐れてるからだ、でも…それもすごく、自然な事なんじゃないかな?」
Cubia「自然…?」
カイト「確かに人は生きたいと願う、君がそう思って生き続けられる様に足掻く事もおかしくはない、だけど…いつかは終わる、人生だろうと、何だろうと…このThe・Worldが無くなったら?」
Cubia「…それを避けるためにボクはアウラに成り代わろうとしてるんだ、The・Worldの外に存在するために…こんなちっぽけなPCボディじゃなくて…概念として、それの具現化として、神になる」
カイト「…永遠に?」
Cubia「そうさ、永遠だ…!キミだって思うだろ!?永遠に生きてみたいって…!」
カイト「……僕は、思わないかな…」
Cubia「なんで!」
カイト「いろんな子達から話を聞いた、例えば前の世界、解体された子はどうなるか、ネットの中をただ茫然と眺めることしかできなかったって…いつかはみんなそうなるんだよ、もし人が滅んだら?明日にも隕石が降ってきて何もかも無くなったら?」
Cubia「……だとしても、この世界は…!」
カイト「外とのつながりを失ったネットは…完全な別世界だ、リアルとネットは並行世界だと僕は思ってる、確かに、普通は誰も何も干渉できない……だけど、外の人間がThe・Worldを作ったから、ネットを動かしたから…その中に君達が存在できる、常に新しいことが起こり続ける…じゃあ、外に人間が居なくなれば?」
Cubia「……何も、無い…?」
カイト「そうだよ、1人で居たって何もいい事なんかない、だから僕たち、リアルに居る人間はみんなと…いろんな仲間と出逢い、それを大事にするんだ、1人で居たって寂しいだけじゃないか」
Cubia「……」
カイト「誰かといるからこそ、意義がある、人であれる……って言うのは流石に少し違うかもしれないけど」
Cubia「…もう良い、わかった…わかったから……でも、それじゃ答えになってない…なんでボクを助けたのかの…何も考えてない?そうじゃ無いだろ…!?」
カイト「…じゃあ、逆に聞かせて、なんで暴れなかったの?君なら1人であの2人を圧倒できた筈だよ」
Cubia「それは…」
カイト「……怖かった、だから戦えなかった」
Cubia「…どうして、わかるんだよ…」
カイト「僕も、そう感じたから……僕と君は表裏一体、例えるなら合わせ鏡みたいな存在なんじゃ無いかな…」
Cubia「……」
カイト「クビア、できれば今すぐにでもみんなを解放してリアルに戻してほしい、だけどそれは難しい相談なのはわかってる…なら、君をPCとして受け入れてもらう為にも…」
Cubia「PCとして…受け入れてもらう?」
カイト「そうすれば、いろんな人と遊べる、君が一人で辛い思いをすることなんてないんだ」
Cubia「…ボクは、どうしたら…」
カイト「すぐに解決するなんて無理だ、ゆっくりと答えを見つければ良いんだよ…僕だって君を敵と決めつけていたし、君の気持ちを理解できなかった…だから、どんなに時間をかけてもいい、君は…」
Cubia「……え…?」
クビアが鎖に縛られる
カイト「鎖…?な、何…」
ガイスト「見ぃつけタ♪」
Cubia「な、なんだよお前…!」
カイト(確か、ガイストって呼ばれてた…)
ガイスト「Cubiaは貰って行くネ、バイバイ、勇者サマ」
Cubia「か、カイト!助け…」
鎖ごとクビアが転送される
カイト「……そんな」
ただ唖然とすることしかできなかった
ようやく解決しかけたに見えた問題が…こんな…
いや、それよりも…助けなきゃならない相手が、ただ増えた事も問題だ
カイト「…追いかけないと…」
リアル
大黒宅
青葉
青葉「……なんでせっかく会えたのにこんな事に…」
召集について行った方がまだマシだった、私が司令官と秋雲さんを救うと思っていたのに、まるで良い様に弄ばれている気分、私1人ではR:2から抜け出せないし…
青葉「…あれ、おかしいな、何もしてないのにパソコンが勝手に…」
何もしていないのに壊れると言うのはまずあり得ないのだが…
ヘルバ『青葉、聞こえているかしら?』
青葉「うひゃぁ!?へ、ヘルバさん…人のパソコンハッキングしないでください…」
ヘルバ『そんな事後にして、それより素敵な話があるわ』
青葉「す、素敵な話?」
ヘルバ『カイトをリアルに帰す手段が見つかった』
青葉「…本当ですか…!?」