元勇者提督 作:無し
海上
駆逐艦 朧
朧「敵発見!砲撃開始!」
駆逐艦主体の索敵部隊を撃滅する
朧(大丈夫、上手くやる、上手くやれる…)
潮「朧ちゃん、無理しないでね」
朧「潮こそ、アケボノ!」
アケボノ「はいはい」
遠方の深海棲艦が何匹か弾け飛ぶ
アケボノ「OK、進みましょう」
順調に、綾波の基地へと進む
到着できたとして、上手く綾波を倒せるのかはわからない
何人死ぬのか、自分自身が死ぬ可能性も大いにある
だけど、ここで立ち向かわずに終わる道はない
アケボノ「ちゃんと…やるのよ」
朧「予定通り、やってみせる…」
駆逐棲姫
駆逐棲姫「おやおやおや、来ましたか…」
艦娘達が群れをなして、私を殺すために
軽巡棲姫「…あれは大湊、あれは佐世保、あっちは横須賀……頭数は50に満たないですが」
駆逐棲姫「関係ありません、少し遊びましょう、私としても退屈は嫌ですからね」
軽巡棲姫「……おや、艦載機が突っ込んできますよ」
飛んできた艦載機が深海棲艦の艦載機に墜とされる
駆逐棲姫「関係ないですよ、あんまり気にする必要はありません」
飛んできた砲弾が弾かれる
駆逐棲姫「おや、どこから?なんにせよ助かりました」
軽巡棲姫「…狙撃です」
駆逐棲姫「……なるほど、五月雨さん、生きてましたか」
駆逐棲姫(となれば…いや、待てよ……そろそろか?)
私のデータの中にある、1番気にしなくてはいけない戦術は
そして哨戒部隊の倒されたタイミング、距離
確実にやっている、あの手段を、もはや形振り構わず、使えるものを全て使う…なら
駆逐棲姫「この辺りか」
右手を振り上げる
前方の海が爆発する
川内「ッ!?」
那珂「ば、バレてる…!」
川内型2名が姿を表す
まるで透明にでもなっていた様な…いや、まさしくその通りか
駆逐棲姫「知っていますよ、惑乱の蜃気楼…その能力」
瑞鶴「……」
そして、瑞鶴が姿を顕す
駆逐棲姫「多少気温に歪みがありました、実は私の身体には温度を計測する機構がありまして…」
瑞鶴「だとしたら、ロボットみたいなもんか」
駆逐棲姫「ええ、私はロボットです……さて、軽巡棲姫?」
軽巡棲姫「……」
軽巡棲姫が前に出て、顔を覆う面に手を当てる
肉が引き剥がれる音がする
瑞鶴「ッ…!」
川内「……肉ごと、引き剥がした…」
軽巡棲姫「姉さん達相手に、目を塞いでいては……どう足掻いても勝てませんから」
面を剥がし、えぐれた肉、そして絶え間なく流れる血
瞼を失い、常に周りを見回す眼球…
グロテスクな顔面を見せつける様に、ゆっくりと…歩く
那珂「勝つ、つもり?」
軽巡棲姫「ええ」
軽巡棲姫の変質した腕がボコボコと音を立て、槍を産み出す
軽巡棲姫「3人まとめて、お相手しましょう」
川内「瑞鶴、合わせられる?」
瑞鶴「大丈夫、任せて」
川内が両手に短刀を握り、那珂は主砲を向ける
そして瑞鶴は弓を引き絞る
駆逐棲姫(はてさて、どうくるか)
瑞鶴が矢を放つと同時に川内と那珂が踏み込む
軽巡棲姫「……その程度、私の前には無力です」
槍の一薙ぎが2人の足を止める
矢が艦載機に姿を変え、軽巡棲姫をすり抜ける
駆逐棲姫「おや」
飛んできた艦載機が槍に貫かれる
軽巡棲姫「失礼」
駆逐棲姫「良い仕事です」
川内(……一筋縄にはいかないよ)
瑞鶴(どうすれば、チャンスを作れるのか…)
間合いは圧倒的に優位、軽巡棲姫の間合いに攻めあぐねている様に見える
瑞鶴「攻撃隊!」
艦載機が上空を飛び回る
軽巡棲姫が槍を右肩から右腕にかけて沿わせる
軽巡棲姫「はッ!」
そして首の裏から左手で石突を叩き、肩と腕をまるで滑走路の様に滑り、空へと放たれる
駆逐棲姫(おお、銃弾なんかよりずっと速い…)
撃ち抜かれた艦載機がフラフラと落ちる
川内「そこ、隙だらけ…!」
軽巡棲姫「そのくらいわかっています!!」
新たな槍を握り、武器を交わし、金属音を鳴らし続ける
那珂(今…!)
軽巡棲姫「甘い!!」
槍の先端が那珂の首筋に赤い線を描く
那珂「ッ……」
軽巡棲姫「次は落ちますよ、その首」
3人相手にものともしない…
獰猛で冷静な獣……
駆逐棲姫(……空か)
軽巡棲姫「…はァッ!!」
軽巡棲姫の槍が川内の両手の剣が落ち、那珂の皮膚を裂く
艦載機の攻撃を完璧にいなし、けして相手の有効射程に入らない
駆逐棲姫(傷を負わない戦い方に慣れている、非常に……しかし、切り札はまだ見せていない)
那珂「やぁぁぁぁッ!!」
我慢の限界と那珂が踏み込む
軽巡棲姫「甘いと、言ったはずですよ」
槍の軌跡だけが、赤く、虚空に筋を描いた軌跡だけが見える
そして、那珂が斃れ、首が落ちる
川内「那珂!!神通、よくも…!」
軽巡棲姫「…甘いんですよ、2人とも」
駆逐棲姫「…クハッ………中々、良い見世物ですね…」
瑞鶴「何…!」
川内「……この…!」
川内が軽巡棲姫に斬りかかる
軽巡棲姫「まだ、遊べそうですね」
瑞鶴「いや!遊びは終わりよ!」
軽巡棲姫の脚が矢に貫かれる
軽巡棲姫(……!)
川内が軽巡棲姫の間合いに踏み込み、槍を抑え、ゼロ距離のインファイトに持ち込む
川内(どうする、いつ仕掛ける…!?)
軽巡棲姫「槍だけと思うな!!」
軽巡棲姫の掌底が川内の胸部を砕く
川内「かッ……は…」
瑞鶴「…!」
駆逐棲姫「2人ですか、この僅かな時間に貴方が危険視していた相手が2人とも、死にましたか」
軽巡棲姫「……ええ」
川内の遺体へと近づく
駆逐棲姫「……おや?」
近づいてから、なぜか近づいてからようやく気づいた、顔の部分がぬいぐるみで、紙にへのへのもへじ…
駆逐棲姫(変わり身の術?そんな漫画みたいな)
川内「ッはぁ!!」
上から降ってきた川内が両肩に短刀を突き刺す
軽巡棲姫「…ふッ!」
顔面を槍に貫かれ、海面に引き倒される
川内「っ!……首に、鉄板仕込んでる……」
軽巡棲姫「何度も首を刎ねましたからね」
瑞鶴「どいて!消し飛ばすから!」
艦載機の爆弾が身体を吹き飛ばす
駆逐水鬼「ふー……裏切るには少々付き合いが短いのでは?神通さん」
軽巡棲姫「さっき私の姉妹を笑いましたね?」
駆逐水鬼「それが何か」
軽巡棲姫「……私も笑ってもらいましょうか」
軽巡棲姫の変質した腕と傷口が消える
神通「行きますよ、姉さん」
川内「うん、やろうか…神通」
2人がカートリッジを艤装に挿入する
駆逐水鬼「おや、そのカートリッジ…なんですか?」
那珂「一時的な、加速だよ」
背後から後頭部を殴られる
鼻血が噴き出す
駆逐水鬼(やはり、あの那珂さんの死はイニスの幻覚…)
神通「貴方は私たちが倒す」
那珂の攻撃を受け、よろけたところを神通に蹴られる
2人が一度退き、死角から川内
ヒット&アウェイを徹底した各方向からの一撃ずつの攻撃
駆逐水鬼(反応できないか…しかし、この程度では、私は殺せない)
瑞鶴「碑文使い4人相手にしてる事、忘れた!?」
上空から艦載機の爆弾が降り注ぐ
神通「よくも那珂ちゃんと姉さんを笑いましたね……貴方を殺します」
駆逐水鬼「っ!!」
降ってきた槍に肩から足まで貫かれる
駆逐水鬼(やはり、上に投げた槍を利用してきたか、あの軽い攻撃をし続けていたのは位置の調整…)
神通「まだ足りませんか?それとも、データドレインで…貴方を止められますか」
駆逐水鬼「出てきなさい」
2体のレ級が現れる
川内(曙と島風…!追い詰めてる証拠…!)
2体のレ級が狙撃で撃ち抜かれる
駆逐水鬼「な……」
神通「忘れましたか?ここはすでに射線が通っているんです」
駆逐水鬼(…いや、何より警戒すべきはこの音…来てる…)
神通「貴方はどれだけ撃ち抜かれれば…死ぬのでしょうね?」
ボートが少し離れた地点に現れる
夕張「夕張参上!さあ!いつ以来かしら!?このガトリングちゃんを使うのは!!」
背中に背負った艤装から大量の機銃がこちらを向いている
そしてジャッキで反動対策…
駆逐水鬼「…うっわぁ、頭悪い装備…」
夕張「…斉射ぁ!!」
轟音と共に放たれた弾丸が身を削る
駆逐水鬼(……思ったよりできますね、これ以上は危険領域か?)
駆逐水鬼「いや、まだいけるはずだ…このままでも」
動かせる片腕でカートリッジを起動し、挿入する
駆逐水鬼「さあ!アハハハハハ!」
川内(…この悪寒…何か、ヤバい!)
駆逐水鬼「この新しい力、見せてあげましょう…ねぇ?」
神通「…急に、空が…」
那珂(そう言えば雷を操ったって報告はあったけど……ま、まさか天候操作まで…?)
急に空が曇り雨が降り出す
川内(視界不良…それに、単純だけど体温を奪われ続けるのは動きが鈍って不味い…)
駆逐水鬼(やはり、あの機銃、精度がそこまで良くはない、雨で正確な狙いがつけられなくなって外れ始めた…そして、狙撃もこの状況では難しいでしょうね?)
槍の刺さった部分を斬り落とし、再生する
駆逐水鬼(…ダメだな、これ以上攻撃を受けると本当にやられる恐れがある、それを理解して戦うなら)
那珂「っ!?」
加速し、那珂へ一撃くらわせる
駆逐水鬼「ほう?受け切りましたか」
那珂(あの腕、大きいだけあって重すぎ…ガードした腕が砕けそう…)
川内(今、この瞬間…)
神通(背後を取った!)
後方からの2人係の攻撃を大腕で受ける
川内「っ!?」
神通「完全な死角からの不意打ちが…」
駆逐水鬼「アハハッ、油断も隙も…ありませんよ?私は」
振り返り、川内達に見える様にカートリッジを艤装に挿入する
身構える川内と神通
バチバチと音を立て、電撃が身体を走る
那珂(次こそ…!)
駆逐水鬼「…川内さん、忘れましたか?このシチュエーション」
川内「……あ…!」
かつては、那珂さんではなく川内さんが受けた…
正面の敵を警戒させ、背後から迫る敵を撃ち砕く
駆逐水鬼「アハッ」
脚が弧を描き、背後から迫る那珂を撃ち砕く
那珂「かっ……は…?」
神通「那珂ちゃ…」
加速し、神通の胸部に手のひらを押し当てる
神通(この掌底、構え、今さっき私が姉さんにやった…!)
駆逐水鬼「ええと、なんでしたっけ…私も笑ってくれ、でしたか」
神通の胸を掌底で砕く
神通「ぁが……!」
駆逐水鬼「好きなだけ笑ってあげますよ?アハッ」
川内「…!」
眼前を刃がすり抜ける
駆逐水鬼「っ!?」
視界が失われ、立ち尽くす
駆逐水鬼(なんだ、今の攻撃…一体何をされ…)
川内「もう、これ以上やらせない!」
駆逐水鬼(攻撃を受ける前に……な、なんで視界を回復できない?何をされた?)
川内「ここで、終わらせるんだ!!」
川内の攻撃を受け続ける
駆逐水鬼「……ああ、わかった……仕方ないか」
手探りでカートリッジを起動する
綾波「…振り払え」
闇が消える
瑞鶴「っ!」
川内「もう、ダメか…!」
綾波「まさか、幻術に取り込まれるとは…あの剣での一閃すら幻覚、視界を失ったのも幻覚……ですが、神通さんはともかく那珂さんは起き上がれません」
川内「……」
綾波「あと、忘れてる様ですが……お後ろ」
瑞鶴「ぁ…っ!?」
川内「瑞か…く……?」
2人が背中から血を吹き出し斃れる
レ級「……」
綾波「再生には十分すぎる時間がありましたから…徹底して背後を狙うのは基本的ながら有効で素晴らしい戦術です、それを返されたら…対応できませんか」
護衛棲姫『駆逐棲姫様』
無線が入る
護衛棲姫『基地ヘト敵ガ雪崩レ込ンデキマス』
綾波「……仕方ない、護衛棲姫1人では厳しいか……さてさて、
川内「待…て…」
綾波「……ああ、曙さん、ここで最高火力を使って良いですよ、水蒸気爆発で辺り一体吹き飛ばしてください、まだ透明化して隠れてる輩がいるかも」
斬り落とした腕をチラリと見る
綾波(…ん?…こんなに穴だらけなのに槍から離れられなかったと言うことは…夕張さんも偽物だったのか、我ながら見事に騙されたものだ)
人に騙されるのは、気分が悪い