元勇者提督 作:無し
駆逐棲姫のアジト
綾波
綾波(…いまだにセキュリティのロックが変化し続けてる?アヤナミは消滅したのに…そういうプログラムを組んだのなら私がまだ突破できない理由は?……違う、これは…ああ、なるほど♪)
私がまだ尻尾を掴めていない、それほどのセキュリティ…でも、答えは簡単、
そして持ち回りでパスワードを即座に交換し続けている
どうする?こんな物をクリアするなんて不可能だ、なんて理不尽な…
あくまで、普通ならの話だが
綾波(パスワードをランダム生成する場合、大体の場合は共通点が出てくる…と言っても、この頻度で変更し続けるなら、それでも…いや、知った事か、私の前でパソコンを弄っている誰かのクセさえ見つければ……)
しかし、それが厄介だ…
綾波(……データログへのアクセス…ロックの解除……チッ、セキュリティが硬いしこの感じ、釣りだな、削除してる気がする…それで?)
わからない、わからない…
綾波「……これ、ヘルバさんの罠以外に……そうだ、誰か他に手を貸してる人がいる…?何人いる……いや、それよりも………」
読めないのはヘルバさんだ、オンラインでやってるんだろう?それなら…
綾波「見つけた、脆弱なセキュリティ…」
パスワードを直接盗み見ることができるなら…こんなセキュリティ、なんにも意味はない…
綾波「……シャットアウトされた、ヘルバさんに気づかれたな、だけど…」
すぐに新しいパスワードは用意できない
そうなると簡単なのはランダム生成
綾波「……私の計算速度に狂いはない」
鍵は、開かれた
綾波「………くッ……ハハハ!アハハハハハ!!」
得られたデータは、私の求めていたものとは違った…
しかし、これは……
綾波「成る程、アヤナミ、貴方のおかげで改二を更に強化できる……アハッ…♪」
ヘルバ
ヘルバ「突破された…!」
亮『な…!?』
徳岡『嘘だろ!?』
ヘルバ「…信じられないけど、まさか本当に突破するなんて…」
火野『…どうなる』
ヘルバ「……終わり、と言ったところ…かしら、これは…」
度会『内容は』
ヘルバ「……今は伏せる、もう一つは?」
火野『完成したそうだ、輸送しているとの通達があった』
数見『なら、問題はない…』
駆逐棲姫のアジト
綾波
綾波「……インストール完了、さて、軽く遊びにいきましょうか…おや、神通さんが予定より長生きしてるみたいですね、トドメを刺さなきゃ♪」
綾波「よッ…と」
神通「新手!…いや、親玉が出ましたか…!」
大淀「…!全戦力を集中させて!綾波を発見しました!」
綾波(…曙さん相手によく持ち堪えてる、まさかこんなに生きてるとは…私の予測を超えるなんて、面白い)
綾波「もう良いですよ、曙さん、退がりなさい」
神通(…直接相手をしようというのですか)
大淀(チャンス…ですが、無策に出てくる訳がない)
綾波「……そうだ、神通さん、死んでしまったら言えないので、教えておきますよ」
神通「……」
綾波「貴方の演技、ド下手くそでしたよ」
神通「私の裏切りに気付いていたと?」
綾波「ええ、最初から……だって貴方が私の視線を追っている事はわかってましたから…」
神通(…視線を追って判断に使われるクセを探ってたのに、それも見抜かれていたのか…)
綾波「さて、私、実は裏切り者って嫌いなんですよねぇ……なので」
改二カートリッジを起動する
大淀(…アレが、改二の…)
綾波「私の改二でお相手しましょう……ここで貴方達は死ぬ…」
神通(何、か…おかしい……空間が、歪んで見える…)
大淀(……予知、が…流れ込んでくる、この歪んだ予知は、一体…)
改二艤装が展開される
綾波「アッハッハッハッハ!!」
力が、私の中を駆け巡る
綾波「…ま、軽く…」
神通(消えた…いや、違う、加速…!)
綾波「加速と、更には…このカートリッジ」
雷のカートリッジで脚に雷を纏わせる
神通(シールド…!)
神通のシールドをあっさり蹴り砕く
神通「な…」
綾波「Hi、ノックで壁が壊れちゃいましたね、引きこもりは身体に悪いですよ♪」
鞭のように脚をしならせ、蹴る
神通(ガードした腕が、痺れて…動かない…!)
大淀(…早いけど、読める…後、少し…あと少しだけ…)
綾波(大淀さんは何を狙って……ああ、わかった)
あえて隙を作る
大淀「もらった…!
綾波「やはり持っていましたね、油断も隙もないか」
手のひらを向け光線を消滅させる
大淀「……え?」
綾波「…アハッ、貴方未来予知ができるんじゃないんですか?それとも、自分に都合の悪い未来なんか見えませんでしたか」
大淀「そ、それは…!?」
綾波「……ああ、これですか?」
手を振り、球体を消滅させる
綾波「ブラックホールです…極小のね?」
神通「ブラックホール…!?」
綾波「まあ、よく似て非なるものみたいなものですが…でも、充分か、世界が歪むほどの力がありますから」
神通「一体、それは…」
綾波「カートリッジだのなんだの、高出力のものをひたすらに集めた結果ですかねぇ…私の内の力が世界の許容量を超えて、暴れたがっている…うーん、なかなかステキでしょう?この力」
大淀(ブラックホールを操れるなんて…そんなの…)
綾波「信じてませんね?じゃあ…」
大淀の周囲の空間を削り取る
大淀「……そんな…」
綾波「言葉も出ませんか?」
綾波(…外したか、流石に新しい力だけあって馴染まない、いや、難しいと言うべきか…ヘタをすればこの辺り丸々消し去る程の威力、コントロールできるか?それとも、コントロールをせず…いや、周りを巻き込みすぎるか)
神通(どうする、こんな規格外どころではない相手をどうやって倒せば良い?)
綾波「ま、なんでもいいや…どうせ貴方達に勝ち目はないし」
大淀(加速して来る!)
大淀に接近して打撃…を、艤装に防がれる
綾波「その予知、面倒ですよねぇ……ま、こうすれば関係ないんですが」
大淀「艤装が…!?」
確かに鉄の塊は硬いが、深海棲艦にとっては…そんな事関係ない、簡単に壊せる
綾波「アハッ!」
ガードを失った大淀を蹴り飛ばす
神通「……!」
綾波「もう少し、遊べそうですね」
加速し、何度も、何度も攻撃を繰り返す
神通(意図的に私以外を攻撃して…)
綾波「これで残るは貴方1人……リベンジマッチ、やりたかったんですよ」
改二のカートリッジを外す
神通「…リベンジ?……まさか、前の世界の?」
綾波「ええ、あの時貴方に殺されたのは正直不愉快でした……今の私の力は人間のそれと変わりありません、前より弱い私と、前より強い貴方…果たして強いのはどちらか」
神通「わざと不利な状況で挑むとは…」
綾波「そうしないと気が済まないんですよ、貴方を徹底的に壊さないと」
神通「……お相手しましょう」
神通が槍を投げ捨てる
綾波「おやおや、槍は要らないんですか?使って良いですよ?」
神通「……必要になれば…しかし、フェアじゃないのはできる限り避けたいので」
神通がこちらへと詰め寄って来る
綾波(蹴りだけ、私の手札はそれだけですが)
神通へハイキックを見舞い、防がせる
神通(…軽い…!?)
脚が神通の腕に触れた瞬間、膝を曲げて脚を引き、腰を内に捻る
綾波「私、基本的に踏み込むような蹴りとかはしないんです、体柔らかいので、捻りも効くし」
腰の回転と、あとは膝だけの蹴り…だが
神通「重っ…!」
衝撃を与え、脚を引く勢いでバレエのように回転し、踵を神通の顔面に当てる
神通「か…!?」
綾波「運動エネルギー、ちゃんと伝わりました?」
神通(テンポを完全に奪われて…)
綾波(神通さんは私の動きやすい状況を崩すために…脚を狙って来る、体格などの有利から神通さんは射程を活かした、隙の少ない蹴りを主体にするはず、その上で脚と脚をぶつければ怪我をするのは私……)
一歩下がり、神通の足払いを避ける
神通「チッ…!」
綾波「わかってますよ、貴方の考えてる事……そう、いうなら頭の中が視えている…みたいな♪」
神通(テンポを取り戻す、隙をできるだけ見せず、詰めさせない…!)
綾波(ほら、やはりそうだ、私の思った通り…)
神通が速度重視の蹴りを振り、距離を取る
綾波(……今か)
神通の蹴りに合わせて詰め、ハイキックを合わせる
神通(な…!近すぎる!)
綾波「アハッ」
膝を神通の脛にぶつける
神通「っー…!!」
綾波「あと、三つかな」
神通「……何…?」
綾波「あと三手、貴方がミスを冒せば貴方は死ぬ……ね?」
神通(大丈夫、脚は動く、折る程の威力じゃなかった……加減されている事に腹は立ちますが、そんな事より、ここで仕留める)
神通の動きが変わり、大振りな蹴りが増える
綾波(わかりやすいなぁ……ヤケになった様に見えますが、ちゃんと私を視て隙をつこうとしたらカウンター…)
間合いを詰めてくる神通から敢えて逃げず、中段の蹴りをのけぞってかわす
神通「…!!」
綾波「さっきも言いましたけど、身体柔らかいので」
地面に手をつき、床を蹴り、サマーソルトの様に蹴り上げる
神通「ぁが……!…まだ…!」
神通が崩れた姿勢のまま、無理矢理に脚を上げ、踵を振り下ろす
綾波「…アハッ」
踵落としを避け、倒れかかった神通の頭を脚で支える
神通「…!」
一瞬脚を引き、脛と足の甲をぶつける
綾波「どうですか、2点同時のインパクト…頭グッチャグチャになるでしょう?」
神通「ぁが……あ…おえ…おげぇぇ…!」
綾波「うわっ…きったないなぁ……脳震盪おこしてるみたいですね、もう立てないでしょ」
神通「…綾波…さん…」
綾波「命乞いですか?聞くくらいはしてあげますよ」
神通「……貴方は…ほんと、は…敷波さんを……嫌って無いんじゃ…」
綾波「…死に際に何を言い出すかと思えば」
神通「貴方が…前の、世界…あの最後の瞬間…!本当に、敷波さんを想っていたのを…私は知っています…」
綾波「死に際なんてそんなもんですよ、気が触れてたんです」
神通「…違う……きっと、貴方は…姉妹を、愛している、大事に想ってる…」
綾波「憶測で私の感情を語られるのは……ちょっとばかり不愉快ですよ?」
神通(……いや、違う…!)
神通「…貴方は、羨ましいんですよね…失わなかった人達が」
綾波「……話のわからない人だ」
神通「もう、みんな充分失った、だけど、それでもまだ馬鹿みたいに貴方を受け入れようとする人も居る!!」
綾波「……はぁ…ええ、そうですね?だからそれは本当に利用しやすい」
神通「…!……本心、ですか?」
綾波「だったら?」
神通「……」
神通が立ち上がり、こちらへと駆けてくる
綾波「……は…私らしくも無い……」
背を向け、カートリッジを拾い上げる
神通(…違う、絶対に違う!あの時のあなたの言葉は、この世界に来た貴方は…!そうだ、何故信じられなかったのか、これが覚悟が足りないということか…だから、こんな事しか…)
カートリッジを挿入する
身体に電気が走る様な感覚
脚部艤装に在る感覚…
神通「…お願い」
振り返りざまに回し蹴りを放つ、軌跡を黒い線がなぞる
神通の体が胴体で真っ二つに裂ける
綾波「うぉっと…」
神通の上部分が私にのしかかる
綾波「邪魔…?は、離れない…自爆…!……でも、ない…?」
神通(……冷たい、人…)
綾波「……この感じ…!キタカミさんにやられたのと同じ…!」
神通の両腕を千切り、引き剥がす
綾波(今、何をされた?キタカミさんに撃ち込まれた弾を喰らった時と同じ、あの感じ……調べる必要があるな…しかし、何にせよ…)
綾波「……血がかかりすぎた、生温かくて気持ち悪いですね…決戦前にシャワーでも浴びましょうか」
軽巡洋艦 神通
神通(……もう、どれほど経ったのか、想像もつかないな…数時間なのか、数日なのか…)
春雨「神通さん!」
神通「……ぁ…」
春雨「再生できますか!?」
首を振る力すら勿体無い
春雨「待ってください、今…」
神通「…綾波さんを…受け入れてあげてください」
残ってる気力は、この言葉の為だけに
春雨「…!……わかっています、だからまだ死なないでください…!」
神通(……姉さん達のところに、行けるのなら…それは、どんな所でも)
春雨「聞こえますか!夕張さん!秋津洲さん!位置情報を転送します!ここに急いで!」
神通「…速く、行ってください……騒がしくて、眠れない…」
春雨「……患者を選ぶつもりはありません、しかし……今だけは、許してください」
神通(最早、止めたとしても誰もそれを赦す事なんて無い、ならば…ならば、せめて悼む人が居なくては…あまりにも可哀想だ)
駆逐艦 春雨
春雨「……追いついた」
敷波「春雨…!」
朧「春雨!早く手を貸して!」
…時すでに遅し
綾波「おやおや、もう1人…構いませんよ、お相手します」
春雨(私が、止めるんだ)