元勇者提督   作:無し

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抵抗

駆逐棲姫のアジト

戦艦 レ級

 

レ級「そう簡単に食われるつもりはありません」

 

綾波「おや?まだそんなに元気があるんですか?」

 

レ級「……」

 

そんな物あるわけがない、立っているだけで死にそうだ、1秒が永遠に感じる、この姿でいることで体にかかる負荷がハッキリと感じ取れるようになってきた

 

レ級「…貴方を5秒で倒せば何も関係無いですよ」

 

綾波「……アハッ♪」

 

レ級「…戦闘、開始…」

 

朧の主砲を撃ち続ける

 

綾波(…目が虚ろ、脂汗、ああ、なんて勿体無い…やめろと言ったのに、私の言葉を無視して死ぬなんて、何でそんなことを…)

 

レ級(当たれ、当たれ…!当たれ…!!)

 

砲撃は、掠りもしない

もう、腕が上がらない

 

私は、もう終わりなのか?

 

綾波「……せめて記憶の中の貴方は、美しく、強かで、強者のままであれるよう」

 

綾波が目の前に出現する

 

綾波「…ああ、本当に、残念だ」

 

レ級「かはっ…」

 

回し蹴りをこめかみにくらい、地面を跳ね、転がり、床を掴んで、何とか前を向く

 

綾波「貴方の折れない姿勢は、貴方の悠然たる様は、貴方の理知的な戦いは、全て私の中で生き続けます、今の醜い貴方は記憶しない事にします」

 

レ級「お断り…だ…」

 

立ち上がろうとした瞬間、力が抜け、斃れる

変質していく感覚

 

アケボノ(もう、レ級の姿になる力も無いのか…)

 

綾波(人間の姿に戻ったか…可能性はあるか?今から上手くやれば永遠に……いや、もうやめよう、裏切られて辛い思いをするかもしれない)

 

足音が近づいてくる

ただ、ゆっくりと近づいてくる

 

アケボノ(……終わり、か…私は、自分の命を捨てても、勝手に提督の命まで捨てても、誰かを守る事もできず、愚かな裏切り者のままに死ぬしかできないのか)

 

綾波「……最期を、楽しみましょう、美しい花が枯れて散る、それも風情のあるものです、しかしその花は今、勝手に折れて終わろうとしている、それならせめて私の手で握りつぶすのも…また一興」

 

綾波(踏み潰して殺すか、心臓を撃ち抜くか、頭を砕くか…キスして舌を引き抜くか、臓器を一つずつ取り出して並べるか……おかしいな、どうしてこんなに心が踊らないのだろう、楽しくないままに終わるのなら…せめてあっさりと)

 

雨の音

 

アケボノ(…外は、雨か…)

 

全て、洗い流してしまいかねない

せめて私は、自分の罪を地獄の底まで…

 

綾波「…私は、貴方が本当に大好きだったんですよ」

 

綾波の足音が少し先で止まり、カートリッジを挿入する音が聞こえる

何とも、大袈裟な事だ、今の私なんて綾波なら指先一つで殺せるだろうに…

雷の音、雨の音、その両方が強くて、意識を手放す事すらできない

 

アケボノ(……いや…なにか、違う……雨?この感覚は…?)

 

顔を上げる

 

綾波「さようなら」

 

綾波が振り上げた脚、それと同時に空間が歪み、ノイズが走る

目の前に何かが現れ、金属音が響く

 

綾波「……なに?」

 

カイト「これは…どういう状況なのかな…!」

 

アケボノ「提督…!?」

 

ゲームの姿の…?

なんで、ここに…いや、思考が追いつかない、完全に、私の理解を超えて…

 

綾波「Cubiaは何をしてるんです、なんで貴方がここに…」

 

綾波が一歩引き下がる

 

カイト「……綾波、やっぱり今の君は、まだ、敵のままなんだね」

 

綾波「…ええ、そうですよ、お久しぶりです倉持司令官、ごきげん麗しゅう」

 

カイト「…っ」

 

提督の姿にノイズが走る

 

アケボノ(あの姿、まさか一時的な物?だとしたら…ここに居たら…)

 

綾波(…別に気にする相手でもない、か…)

 

綾波が近づき、蹴りを放つ

 

カイト「うっ…!」

 

綾波「…防げますか、へぇ?……へぇー…チッ…邪魔です、どいてくれますか?」

 

カイト「…どかないよ」

 

提督が一瞬此方に振り返る

 

アケボノ「…提督、逃げてください…私に構わず…!」

 

カイト「……それは、できない」

 

綾波「勇者気取りですか」

 

カイト「…気取り…確かにそうかもね、でも、僕は勇者なんて呼ばれたくて呼ばれてる訳じゃない…ただ、結果としてそうなっただけだ」

 

綾波「なら、逃げ出せば良い」

 

カイト「それはできない…僕は、仲間を見捨てて逃げるような真似は絶対にしない…」

 

綾波「なら死ぬだけですよ」

 

カイト「……かもね、でも、ここに来たのはきっと守る為だと思う、だから…」

 

綾波「笑わせますね、相手は深海棲艦の力を遥かに超えたバケモノですよ?」

 

カイト「…関係ない、そんな事」

 

綾波「じゃあ黙って死んでください」

 

綾波の蹴りを提督が双剣で受け止める

 

カイト(さっきより重い…いや、違う…!)

 

提督をノイズが包む

 

海斗「時間切れか…」

 

提督の姿がゲームの姿では無く、リアルの姿へと切り替わる

 

綾波「おや、無駄話が仇になりましたね?時間を無駄に使って自分を追い詰めて…」

 

海斗「……そんな事ないよ」

 

綾波「武器も、何もかも無くなりましたが?」

 

海斗「……そうでもないみたいだよ」

 

綾波(…あれは、石でできた短剣?)

 

海斗(石化した方の双剣は消えなかった…か……これでも戦えるのかな…いや、やるしかない)

 

綾波「さあ、ホントに死ぬつもりですか?」

 

海斗「何も変わらないよ」

 

綾波(本気でやる気か…全く、馬鹿馬鹿しい…)

 

綾波が遊ぶように蹴る

 

海斗(ガードさせられてるな…しかもガードした腕が痺れて…痛い)

 

アケボノ「提督!お願いします…逃げてください…!」

 

海斗「それはできない、絶対に…」

 

綾波「愚かです、勇者だから逃げないとでも?」

 

海斗「…もし僕が勇者なら…戦えない人や戦いたくない人の為に戦うべきだ…僕がカイトなら、今、この状況は絶対に逃げちゃいけない」

 

綾波「そんなくだらない事で命を捨てられる…一周回って尊敬しますよ……じゃあ死んでください」

 

綾波の蹴りを受け、石化した双剣が砕け散る

 

海斗「うぐっ…!」

 

綾波「さあ、武器の石ころも無くなりましたが…まだ立ちますか」

 

海斗「…何も、変わらない…!」

 

綾波「……はぁ……あ?………っ…!」

 

綾波が頭をかかえたまま、出鱈目な方向に攻撃する、カートリッジを挿入し、綾波が地団駄を踏む度に周囲が爆発する

 

海斗「うわっ!?」

 

衝撃で吹き飛ばされた提督が壁に打ち付けられる

 

暖かい風が、吹き付ける

 

アケボノ(…なんだ、この、感覚……痛みが引いて、身体が動く…?)

 

綾波「あ……う…ぁ…!?なん、で…!……あ、アケボノ、さ…」

 

海斗(綾波の、様子が…)

 

アケボノ「……何が起きて…?」

 

綾波「ああぁぁぁっ!!……あ……は……はぁ…!はぁ…!……アケボノさん…!コレを…!」

 

目の前に黒い球体が出現する

 

アケボノ(消される!……?)

 

球体が消滅し、大量の艤装が積み上げられる

 

綾波「あ、あぁ……アヤナミ…!なんで、消えたは、ず……あぁっ!!……ああ!なんで、私の邪魔を…!」

 

立ち上がり、積み上げられた艤装を一つ、取り上げる

 

海斗「…アケボノ、大丈夫なの?」

 

アケボノ「……提督、もう充分です、私が回復するだけの時間が充分にありました…」

 

綾波「…今更、貴方に、何ができる…!」

 

アケボノ「…綾波さん、一つだけ……私が、今まで負けたことのないシチュエーションが一つだけあります…提督の命令を受け、提督の御前で戦った時です」

 

綾波「…へぇ…!!」

 

アケボノ「提督…お願いします、命令してください…私は貴方の艦です、私が貴方のために戦うことを許可して下さい」

 

海斗「……アケボノ…」

 

アケボノ「どうか」

 

海斗「…綾波を、倒して…」

 

アケボノ「…ありがとうございます……戦闘開始…!」

 

掴んだ手法を向けて放つ

 

アケボノ(反動が重い、軽巡用か…!)

 

綾波「そんなものを軽々使うとは…」

 

アケボノ「……まだ、驚くには早いでしょう、私はまだ、全部出し切ってない」

 

足元の艤装を爪先で引っ掛け、蹴り上げる

 

アケボノ「これは…白露型の物か」

 

主砲を向け、綾波に撃ちまくる

 

綾波(…不味いな、何が1番悪いのかといえば、持ち直した事だ、この人ならチャンスくらいはある、アヤナミが邪魔をしたら…)

 

アケボノ「まだ足りないか、なら、これで…」

 

足元の艤装を掴む

 

綾波(あれは、なんの艤装だ…?……確か、あれは大和型の…)

 

アケボノ「…ぐ……おおおおおお!!」

 

持ち上げろ、戦艦級の艤装だからなんだ、使って見せろ…!

 

身体が内側から変質する

 

レ級「…っ…!!……ああぁ!!」

 

艤装を装備し、向ける

 

綾波(…あり得ない、信じられないが、この人は…やはり)

 

レ級「……どうしました、言葉も出ませんか…」

 

綾波(ただ、体格が故に駆逐艦の艤装しか使えなかったが…全ての艤装に適性があるのか…!)

 

綾波「素晴らしい…!…今の貴方なら、まだ間に合うかもしれない…!ああ、しかし…やはり……いや、人格を壊そう、そうすれば…」

 

レ級「……虫唾が走る、大人しくここで殺されろ…!」

 

主砲が綾波を捉える

 

レ級「…くらえ…!」

 

背負った主砲全てを一斉射する

 

綾波「学習しないなぁ…」

 

砲弾がブラックホールに呑み込まれる

 

レ級「…!」

 

綾波「効かないに決まっ……て…ぁ…ああ…!?」

 

綾波がブラックホールに呑み込まれる

 

レ級「消えた…!?」

 

駆逐水鬼「ああぁぁぁああっ!!……ぁ、が…?……な、なんで!なんでこんな…!」

 

ブラックホールから、駆逐水鬼の姿の綾波が吐き出される

 

駆逐水鬼「アヤナミ…!なん、で…!」

 

駆逐水鬼の目に紋様が浮かび上がる

 

駆逐水鬼(…ようや、く……漸く、抑え込めた…!全ては、この為…貴方を止める為…!)

 

駆逐水鬼「何を…!全て…?まさか、あの力も…!」

 

駆逐水鬼(そう、私ならヘルバさんのセキュリティを突破できる、だから…私はあの力をあえて厳重に守った、あのブラックホールの力は…私自身の力を呑み込む為に…)

 

駆逐水鬼「…そんな事……そんな事、認めるかぁぁぁぁッ!!」

 

綾波の砲撃を艤装で防ぐ

 

レ級(大丈夫、ダメージにはならない…チャンスを見極めろ…!)

 

駆逐水鬼(アヤナミを抑え込め!邪魔をさせるな…!どうする?私はどうすれば良い、考えろ…!)

 

綾波が視界から消える

 

レ級「えっ…」

 

駆逐水鬼「ああぁぁぁッ!!」

 

真上から、踏み潰される

身体中に電撃が流れ、痺れ、焼ける…

 

レ級(見えなかった…!クソ、速い…!)

 

駆逐水鬼「…いや、改二はもう要らない!アレが邪魔だ…!」

 

綾波がカートリッジを抜き取り、投げ捨てる

 

駆逐水鬼「……声が、小さくなりましたね、アヤナミ……コレで、大丈夫…後は…」

 

駆逐水鬼が姿を変える

 

綾波「……この姿で、貴方を殺せば終わりです」

 

レ級「…上等…!」

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