元勇者提督 作:無し
駆逐艦 曙(青)
「さあ来なさい!」
音を立てて魚雷が水に落ちて行く
流石に雷巡
40もの大量の数が急浮上してくるとしたら…
慎重にかわす用意をする
「さっきアンフェアだって言われたけどさぁ…それはこっちのセリフかもね?」
「どう言う意味よ!」
「…イムヤから潰してあげようかって話なんだけど」
バレてる、魚雷対策に編成したイムヤの存在が
自分のすぐ真下にいる観測手がバレている
そして潜水艦を沈められたらどうなるのか想像もできない…
「…ご忠告感謝するわ、でも1人じゃキツそうだから2対1よ!」
沈んでいた魚雷が跳ね上がり
前方で爆発する
破片が飛び散る
皮膚や服が裂ける
「…コレ、かわしても危ないわけね」
「時間経過で爆発するからねー、さて、本番だよ」
もう一度魚雷を沈められる
そして今度は、こちらへと迫ってくる
「やってやろうじゃない!!」
主砲を向けて放つ
「効くと思う?」
あっさりとAIDAに防がれる
あんなものをどう破壊するか
データドレインを仕掛けてもかわされたりして意味をなさないんじゃないのか
かわされなければ…いけるのか?
考えろ考えろ
思考を止めるな
「思うわけないでしょうが!次はコレよ!」
北上の足元に雷跡
「…!」
爆発
水柱が立つ
自分も回避行動を取り始める
魚雷は浮上を始めている
暗い、見えない…
水面を睨みながら急いで離れる
「…がっ!?」
首に手がかかる
「つっかまーえた」
赤い点が刺すように私の心臓を見ている
首を掴まれまま持ち上げられる
「馬鹿だなぁ、守りが間に合わなきゃ倒せるとでも思ってたの?油断もしすぎだし…舐めんなクソガキ」
「…かっ…ひゅっ……」
息ができない…
でも丁度いい、この距離なら外さない
身長差があるとは言え、腕の長さが違うとは言え届く
北上に、今なら手が届く
両手を向ける
片手の砲を向けた
もう片方の手には、データドレインを展開した
「ッ!そんなもん…!」
丸ノコギリを振り上げ私の手に向けて振り下ろされる
痛い痛い痛い痛い
覚悟の上だ、でも一瞬では手は落ちない
0距離からのデータドレインは確実に北上に届く
ベシャッと音を立ててうつ伏せに地面に落ちる
右手はまだ繋がってるけど、早く治療しないとまずい
「アァァァァァァァァ!!!」
北上はもがき苦しんで…
データドレインでもがき苦しんでる?
何故?確かにコレも攻撃だろうけど…
「よ…くも……だけ…どまだ…!」
まだ正気ではない目
プロテクトを破壊できてない状態でのデータドレインではこうなるのか
効いてない
「ふ…ふふ………舐めたマネしてくれた…ね」
もう一度だけ手が届けば…
立ち上がり、もう一度対面する
傷が痛い
別にまだ死にはしないけど、もうこの腕を早く治したい
「心配しなくても…まともに戦えないよ、もう」
打撃
AIDAをムチのように伸ばして打撃
徹底的に打撃
反撃の暇すらない
イムヤはどうしてるんだろう
攻撃してくれないのかな
重いのを一発もらって空中に放り出される
ああ、イムヤはもうやられてたのか
なんとかぎりぎり水面に浮いていたが、あっちもボロボロだ
じゃあ、私がやるしかないのに…
もう投げ出したいのに
「こんなスタート直後に終われるわけないじゃない」
立ち上がれ
雷巡 北上
「終われるわけがない?それはこっちもだよ…もう引き返せないところまで来てる」
変だな、思考がクリアになった
さっきまで何も考えなくてよかったのに
悔しいけど、泣きたいほどに悔しいけど、私は自分の罪を理解してしまって、自分の弱さにもう、何度目かわからないけど、また、気づいた
「こっからは私の意地よ…!」
ああ、全力で来るんだ、そんなボロボロで
強いなぁ…いいなぁ…
『大丈夫、君は一人じゃないんだよ』
誰かがハッキリそう言ってくれた
私のそばで、ちゃんと
「…なんだ、居たんだ」
ようやく収まりがつく
「…アオボノ……死んでも恨まないでね…」
「上等!」
本気で勝負しないと、後悔する
もうこのAIDAの囲いも壊れ始めてる
頭が痛いのも、疲れとかも
全部無視してやる、お互いに、本気で殺し合う
それは、私たちなりの解決のために
相手を認めるために、お互いの死力を測るために
なにより、自分が納得するために
「全門…行くよ…!」
魚雷を全て撃ち放つ
急速潜航からの急浮上
狙いは自分から数メートル先
アオボノの今の装備では遠距離での戦法はない
魚雷が浮上を始める
「どうせ近づけないんでしょうよ!」
敵砲撃
至近弾
危ない、直撃もらったら倒れるかもね…今なら
ああ、頭がどんどんクリアになる、痛みが激しくなる
でもリラックスしてきた
変な感じだ、戦場の緊張感、高揚感の中で落ち着いてる
掴んだ
「ごめんアオボノ、もらった」
単装砲がゆっくりと狙いを定める
14cm単装砲
砲音が鳴り、正確に捉えた
「私の勝ち」
の筈だった
「っざけんなぁぁぁ!!!」
どうやって防いだ?
ああ、機関部を主砲でガードしてたのか
「いいねぇ…痺れるねぇ…!」
この盛大な仲間割れはまだ終わってないのだから
「いっけぇぇぇ!」
あ、これかわせないやつだ
でも、いいね…まだ終わらないから
工作艦明石
結論から言えば、二人とも沈みかけているのを扶桑さんが大急ぎで回収してきました低速艦なのでかなりぎりぎりでしたが間に合いました
北上さんのAIDAは消失、なんて都合の良いことにはならず…でも落ち着いてるから、と様子を見ることに
アオボノちゃんは腕の怪我がひどく、刃が骨まで達していました
そんな状況の戦闘でしたので、骨はひどい有様で、夕張の厳重な監視のもと、2人揃って隔離されました
翔鶴さんと青葉さんには関係した一切の記憶がなく、ぼんやりと動いていた、とのことです
「よし、こんなものかな」
「ん?誰宛の報告書?」
「…いや、メール書いてただけだよ」
「………お母さんスマホ取り上げちゃおっかなぁ」
「いや、お母さんは鳳翔さんでしょ」
「じゃあお母さんに言いつけてやる!」
「はいはい、で?」
「北上さんのAIDAだけど、多分消えてない、ただ、本人曰く、順応したんだと思うって」
「順応?」
「そ、感情の暴走はないし、制御が効いてなんでも作れる、ただし死ぬほど疲れるんだーって」
「北上さんは元々嫉妬してたのよね…アオボノちゃんとかに」
「扶桑さんが一番してそうだけどね」
「扶桑さんは置いておいて、AIDAを力として扱うのは…どうなのかな…」
「呉鎮守府とか私の元の所属とかに聞いてみたら?」
「そう言えば横須賀だったわね…そうしてみよっかな」
「んで、一個だけ困ってるのが提督の声が聞こえたって話よね」
「……まあ、精神病患者みたいになられたら困るかなぁ」
「今までがそうだったんだけどね、逆に安定してるわ」
「…ならまあ良いか」
「まあ良いかって…」
「ここしばらく問題多すぎて疲れるの、翔鶴さんのことも多分却下されるし」
「本当に?ダメなのかしらやっぱり」
「そりゃぁ…この資料読むだけでもすごいし…何度も改装に耐えられる素体なんてなかなかいない、失敗のリスクより一回でも成功すればそれでいいって考え方だと思う」
「………本営もクソね」
「はぁ…しかもこのカタログスペックって前例というか、実際に成功した人がいたワケじゃないのよね、だから単なる予測、改装が実は1回で終わりとか、2回までとか…なのにコレは3回目を書いてる…」
「…どうしたものかしら」
「………ま、何か考えとくから…というか、建造司令書が来てるのよね…三隻…」
「…了解、工廠の担当は本来なら明石なんだから、そこんとこ忘れないでね」
「…もちろん……はぁ…機械油の匂いが恋しい…」
「わからないわ」
「今回の狙いは正規空母と戦艦らしいから…とりあえず失敗の報告書用意しとくね」
「…不幸だわってなりそう」
「明石、はい、これ報告」
「…えと、響、天龍、島風…ん!?島風!?ちょっと!コレ本当に戦艦空母狙いだったの!?」
「………備蓄がなくなりまして、全部突っ込んだら…」
「全部ぅ!?ちょっ………えぇ…」
「その、遠征班を編成して今、急いで回収に」
「………今月は切り詰めなきゃ…資源まで見る余裕なかった…」
「…北上さんとアオボノの修理に馬鹿みたいに使ったから……あとなんかボーキサイトも喰われた…」
「正規空母は夕飯抜きにしよう…」
「とりあえず着任の挨拶に来てるから…」
「あ、うん…どうぞ」
「響だよ、その活躍から不死鳥の通り名もあるよ」
「早きこと島風の如しで通ってますけど、私はあまり走りたくないです、島風です…」
「天龍と申します、何卒よろしくお願いします」
うっわぁぁぁぁぁぁ!なんか二人くらい資料と全然違う…
「提督代理の明石です、よろしくお願いします」
「これで六駆は電さん以外揃いましたね」
「帰っちゃわなければなぁ…」
「まあもとより横須賀の所属ですから」
「ねぇ代理、ここはどういうところなの?」
「…簡単に言うと最前線です、今日明日でここについて知ってもらえればと思います、出撃などはその後にという事で」
「お気遣いありがとうございます、私は馴染むのに時間をかけてしまうタイプですので、どうか早く遠征などに出していただければ…全力で尽くしますので…!」
「そ、そんなに迫らないで…えっと…じゃあ天龍さんだけ出てもらう?」
「七駆に任せましょうか」
「ふぅ…今日の執務も終わりかな」
「お疲れ様です」
「鳳翔さん、今日は食堂にいなくて良いんですか?」
「新人さんが3人も手伝ってくれてますから、個性的な子達で楽しいですよ」
「……ちなみに日替わりは?」
「今日は島風ちゃんがラーメンを、野菜たっぷりで美味しかったです」
「…まともかぁ…良かった」
「他のお二人も料理はちゃんとできるみたいですよ」
「…よかった…雷ちゃんタイプじゃない事を祈ります…」
「雷ちゃんも無理しなければ美味しいものを作れるんですけどね…それにしても、天龍ちゃんはちょっと危ういですね」
「どう言うことですか?」
「その…自分を奴隷のように考えてるのか、役に立てるならなんでもしたいと言うタイプみたいですから」
「そんな感じはしてましたね…もしかしたら引継ぎ型…?」
「ああ、噂に聞く解体の記憶をって言う…?」
「艤装は再利用されたりしますからね…もしくは乗り移っちゃったとか」
「解体は偽装を外して記憶を消す、なんて話ですけど…実際どうなんですか?」
「実際それだけですよ、ただ記憶を消すのは、艤装が外れたときにパッと消失しちゃうのでなんとも」
「うーん、果たしてどうなんでしょう」
「生まれつきの性格ということもありますから…わかりません」
雷巡 北上
「……ん…ん?」
「やほー、目は覚めたようだね」
「…北上…」
「ん、大丈夫、もう私は落ち着いてるから」
「…どうなったの?」
「どこまで覚えてる?」
「…殴り合いになって、北上の髪掴んで地面に叩きつけたところまで」
「そう、ならそれで全部だと思うよ、そのあと扶桑が来て連れて帰ってくれたって聞いてるから」
「青葉と翔鶴は?」
「そっちも大丈夫、私の意思で自由に動かしたり、心の声が筒抜けだったりするのは変わらないけど」
「阿武隈は」
「目は覚めてる、私がやられたからかな?」
「…深海棲艦って、AIDAが寄生したものなの?」
「…わからないね、でも、近いことは間違いない」
「………」
「ねぇ、アオボノ、死ぬ気だった?」
「………そりゃね、自分よりずっと格上の相手とやるなら覚悟はしたわよ、でも、本当に死ぬつもりはなかったわ」
「なら良かった、私は全部壊して死ぬつもりだったから」
「…まあ、そんなとこよね」
「でも、止めてくれて本当にありがとう、私は弱いからさ」
「心は弱いみたいね」
「うん、だから…全力で強くなる」
そう、コレはもう敵じゃないから
「……アンタまさか…その目…」
「AIDAが順応した、うん、便利だよね、なんでもできる」
「……」
「警戒しないで…AIDAだって意思がある、この子は、きっと大丈夫」
「…はぁ…もう私じゃ勝てないかもね」
「簡単には負けないよ」
「…もし暴走したら次こそ殺してやるわ」
「そん時はよろしくねん」
「で?それは伝えてあるの?」
「まっさかぁ…極秘に決まってるじゃん」
「………」
「あ、やめて、そんな目で見ないで、わかった、言う、言うから」
「まさか、AIDAに頼ることになりそうなんて…嫌な気分ね」
?????
AI モルガナ・モード・ゴン
スケィスは手中に舞い戻った、では、全てを実行する
アウラを殺す作戦を
今こそ、今度こそ、勝利するために