元勇者提督   作:無し

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タンポポ

離島鎮守府 波止場

教導担当 キタカミ

 

朧「使ってる火薬の種類が違うんでしょうか、それとも…」

 

キタカミ「いや、この匂いは夕雲型と同じ…最新式の艤装…アケボノの読み通りかな、狙いは…」

 

朧「オリジン」

 

キタカミ「そう呼ばれてるんだ?」

 

朧「はい…船内には大量の人間がいますけど……女性が…多分2人…火野司令官の話では艦内の清掃のために結構な人数を残しているそうですが、全て男性だと」

 

キタカミ「だろうねぇ、どうしよっかな、できれば平和的に行きたいけど…艤装持ってるみたいだし?まあ、スパイが目的なら自分で出てくれるかなぁ、餌さえ撒けば」

 

 

数時間後…

 

 

 

ガンビアベイ「よ、ようやく外に出れた…」

 

サミュエル「もー、ホントになんで乗る船間違えちゃうの…?ここから帰れるかなぁ…救難信号も送るに送れないし…というか、ここどこだろう…」

 

ガンビアベイ「…うーん、お月様があの辺で…」

 

サミュエル「えーと…」

 

キタカミ「ストーップ、フリーズ、Please do not move I'll shoot( 動かないで  撃つよ)

 

ガンビアベイ「ひぃぃっ!?」

 

サミュエル「あっちゃー……」

 

キタカミ(2人、か…)

 

大柄なのと小柄なの、2人とも静止し、こちらの様子を伺おうとしてる

 

キタカミ(いいよ、やりな)

 

朧が音を立てずに2人の背後をとり、主砲を突きつける

 

朧「確保…」

 

キタカミ「…えーと、 Sit down(座って)

 

小柄な方が両手を上げる

 

サミュエル「…日本語、通じるよ」

 

キタカミ「おー、そりゃ良いね、ならついでに武器捨てようか、殺すつもりはないから安心して」

 

艤装が音を立てて地面に落ちる

 

キタカミ「今、ここを2人で見張ってて、あと1人、山見える?そっち、そこにスナイパーいるから、試しに何か撃たせようか?」

 

サミュエル「そんな事しなくていい、私達も戦うつもりは…」

 

小柄な少女がこちらへと近寄ろうとする

 

キタカミ「止まりなよ、動いたらホントに死にかねないよ?」

 

朧「……」

 

キタカミ(朧が撃てるか、は別として…私の事ちゃんと見えてなさそうだね、アメリカ人は夜目が効かないって言うけど)

 

サミュエル「物騒だね」

 

キタカミ「あんたらに怪我させられた奴、たくさんいるし」

 

サミュエル「……えーと、素直に返してくれたりは」

 

キタカミ「アンタら、名目上は暴走して民間人を押さえつける犯罪者として政府から討伐要請出てるの知ってる?公的に」

 

サミュエル「……いーや、知らない…」

 

キタカミ(知ってるな、誤魔化すつもりか)

 

キタカミ「なんにせよ、同盟国の人間をいきなり殺したりはしない……というかしたくないんだよねぇ…」

 

杖をつき直す

 

サミュエル(…今の音、長物?でも、木製…杖?武器を持ってないもしくは…よく見えないけど、相手はもしかして身体的欠陥を抱えてる…?)

 

キタカミ(あ、ダメだこいつ、やるつもりだ)

 

サミュエル「……そうだ、二つ聞きたいんだ」

 

キタカミ「答えるかは…何かによるけど」

 

サミュエル「1つ、Destroyers princess(駆逐棲姫)を倒したのって、アナタ?」

 

キタカミ「…ああ!駆逐棲姫の事ね……それなら別だよ、何か知りたいことでもあんの?」

 

サミュエル「教えてくれるなら…2つ目は、あー…ジャパンではなんて言うんだっけ……Dr.(ドクター)で伝わる?Dr.綾波はホントに殺されたの?」

 

キタカミ「綾波?……処刑されたのはそうだけど」

 

サミュエル「Oh shit、是非お目にかかりたかったのに…」

 

キタカミ「何、綾波の知り合いか何か?」

 

サミュエル「違う違う、その綾波ってのはアメリカではこう呼ばれてる、Devil Scientist(悪魔の科学者)…さっきのDestroyers Princessと見た目似てるし、同じ奴なんじゃないかって」

 

キタカミ「…残念ながら、別人だね…駆逐棲姫は海で死んだ、綾波は陸で死んだ」

 

サミュエル「ふーん……武器持ってないから近付いていい?」

 

朧「嘘、持ってます、拳銃」

 

サミュエル「……Wow…なんでバレたのか…なッ!」

 

小柄なのが反転し、背後の朧が蹴りを受ける

 

朧(重ッ…!?)

 

ガードした朧が地面を転がる

そしてこちらへと駆けてくる影

 

キタカミ「敷波、まだ撃たなくていいよ」

 

脚元を拳銃で撃つ

 

サミュエル「っ!」

 

キタカミ「……仕方ないなぁ…そんなに相手して欲しいの?…もう戦争はやめたんだけど……」

 

ガンビアベイ「さ、サム…」

 

サミュエル「名前呼ぶな!」

 

キタカミ「サム…サムね、宜しくサム、私キタカミ…で、初対面で大喧嘩したい?」

 

サミュエル「……ねぇ、アメリカとやりあうつもり?」

 

キタカミ「アンタはアメリカじゃない、一部始終撮られてるけど大丈夫?」

 

サミュエル「な…?そんなブラフ通じるわけ…」

 

キタカミ「横須賀にはさ、記録専門のやつとかもいるわけよ、そいつが今ここに居るし…今、マイクで音も拾ってるはずだよ」

 

サミュエル「……」

 

キタカミ「あと、もうこっちはやり合う用意できてるから」

 

私の意思一つで、完全制圧が完了する…

 

サミュエル「…こっちはアメリカの軍人だよ」

 

キタカミ「軍人、でいいのかなぁ…ホントに?録音してるんだよ?アンタら暴走してる筈じゃなかったの?攻撃までしてるんだよ?……立場はアメリカ軍人でホントに問題ないの?」

 

サミュエル「っ…!」

 

ガンビアベイ「さ、あー…ど、どうする!?」

 

サミュエル「やるしか、ないでしょ…」

 

キタカミ「やるんだ?暴走してる体を保つために」

 

サミュエル「黙れ!クソジャパニーズ…!さっさとオリジンさえ引き渡せ…ばっ!?」

 

サムと呼ばれた方が地面に顔から突っ込む

 

朧「…キタカミさん、良いですよね?」

 

キタカミ「もう蹴ってるじゃん…ま、目的も分かったし、良いけどさ」

 

サミュエル「チッ…!やらなきゃ…」

 

朧「……」

 

パチパチとそろばんを弾くような音…

 

キタカミ(この音って…まさか…)

 

キタカミ「朧!それはやりすぎ…」

 

空気が朧の方に流れる

 

サミュエル「なんか、まず…!?」

 

朧が放った回し蹴りが異常な音を鳴らす

空間が唸るような、そして、何か、金属がひしゃげる様な…

 

サミュエル「ぁ……あ…?」

 

ガンビアベイ「さ、サム!?」

 

サムが崩れ落ちる様に、倒れる

 

朧「……大丈夫、当ててませんから…気絶しただけです、多分」

 

キタカミ(…目、紋様浮かんでるし…マジになってるじゃん…)

 

キタカミ「あーなんだろ、そっちの、名前は?」

 

ガンビアベイ「ひっ!?…あ……」

 

キタカミ「大丈夫、2人分の安全を保証する……って、アンタは日本語わかんない?」

 

ガンビアベイ「わ、わわか、わかりましゅ…」

 

キタカミ「じゃ、名前…まあ、本名が嫌なら呼び名だけでも良いからさ、ね?」

 

ガンビアベイ「… Gambier Bay…」

 

キタカミ「OK、ガンビアベイね、どうしよっかなぁ…普段は食堂に連行するけど今医務室の代わりにしてるし」

 

朧「……2人だけですし、応接室に通すのは」

 

キタカミ「無理、今提督と火野さんが使ってるよ、いやー……まあ、食堂しかないかなぁ…騒ぎにならない範囲で見張れるし」

 

 

 

 

食堂

 

春雨「……こういう時は、そうですね、ワットザファックと言えば良いのですか?」

 

キタカミ「さあね、とりあえずその辺のテーブル使うよ、もうみんな寝てる?」

 

如月「いや…その、銃声鳴ったので、起きちゃった子も…その、私とか…」

 

キタカミ「うへぇ、神経質だなぁ…」

 

春雨(貴方が図太いだけです)

 

キタカミ「ガンビアベイ、そっちに座って、サムも座らせといて…あー、そうだなぁ…朧、不寝番に警戒の伝令と夜偵も飛ばす許可取っといてよ」

 

朧「わかりました…キタカミさん1人で大丈夫ですか?」

 

キタカミ「この時間はアケボノが起きてるし、なんかあっても大丈夫だよ」

 

 

 

 

サミュエル「…ん……?」

 

キタカミ「おー、気づいた?Hello、元気?」

 

サミュエル「ッ!!」

 

ガンビアベイ「さ、サム、動かないで…!こ、殺されちゃう…」

 

ガンビアベイに諌められ、サムが動きを止める

 

サミュエル「……ここは」

 

キタカミ「食堂だよ、如月、コーヒーもう一つね」

 

如月「は、はい!」

 

キタカミ「あ、砂糖とミルク要る?」

 

サミュエル「……飲むわけない」

 

キタカミ「あ、そう」

 

自分の分のコーヒーを飲み干す

 

キタカミ「今、アンタらの艤装解析に回してるんだけどさ…あれこっちがアメリカに輸出した物みたいなんだよねぇ?」

 

サミュエル「…何の話」

 

キタカミ「その艤装、わずか1週間前に完成して、試験的に運用を始めた物らしくてさ、でもそれをアンタたちが持ってるって…おかしくない?」

 

サミュエル「……」

 

キタカミ「アメリカ本土からずーーっと離れたハワイに居たアンタたちが何でそれを持ってるのか、謎だよね、不思議だね?」

 

サムから少し離れた位置にコーヒーが置かれる

 

サミュエル(…今の給仕、戦闘員じゃない……あと、すごく濃い血の匂い…怪我人がたくさん居る…上手く盾に…)

 

春雨がサミュエルの首筋に刃を突きつける

 

春雨「失礼、私は春雨と言います、万が一…私の患者に手を出したら、生きては返しませんよ」

 

サミュエル「…何、ニンジャって奴?」

 

春雨「いいえ、ただの医官です」

 

キタカミ「ところで、質問に答えてくれると嬉しいんだけど」

 

サミュエル「……あの艤装は、1ヶ月前から使ってる」

 

キタカミ「へえ?」

 

サミュエル「アレを開発したのは日本じゃない、Dr.綾波って聞いてる」

 

キタカミ「…ドクタードクターってさっきから呼んでるけど、綾波とアメリカって仲良いのかね?」

 

サミュエル「…それは、知らない…」

 

綾波が開発したと言うのなら、可能性はある

今の最新の艤装も綾波の提供した研究がベースだ、似通うのも無理はない

 

キタカミ「なのに、悪魔の科学者か……目的、わかりにくいねぇ」

 

サミュエル「……私達はDr.綾波と、Destroyers Princessが同じ奴だと思ってる、何か知ってる?」

 

キタカミ「質問するのはこっち、今のアンタらの立場わかってる?」

 

サミュエル「……」

 

キタカミ「アンタらはアメリカ人だけど、ここは日本の海域で、いきなり仕掛けてきたのもそっち、不法入国に傷害、十分逮捕されるって」

 

ガンビアベイ「た、たたっ…逮捕…」

 

キタカミ「洗いざらい吐いて、アンタらの危険性を取り除いた上でなら、政府側に問い合わせてあげるケド?」

 

ガンビアベイ「さ、サム…」

 

サミュエル「それを、信用しろと?」

 

サムの視線がより鋭くなる

 

キタカミ「あーあー、なんか勘違いしてるかもしれないけど…私らはかなーり、優しく対応してるんだからね?牢屋にぶち込んでも良かったんだよ?それとも…余計なこと喋るとアメリカ軍人でいられなくなるから困った?」

 

サミュエル「……」

 

手元の端末に目をやる

 

明石[預かった艤装、どうやら何かに対するレーダーのようなものが搭載されていて、私や朧さん、キタカミさんが近付いた時に反応を示しました、おそらく碑文の因子に反応してるのかと]

 

キタカミ(狙いは碑文使い…じゃないだろうね、オリジン…オリジンって何?朧に聞いたかば良かったな…)

 

キタカミ「あー、そうだ…オリジンってさ、何なわけ?」

 

サミュエル「…何、まさか知らないの?」

 

キタカミ「知ってるわけないじゃん、なーんにも知らないけど?」

 

サミュエル「っ…は……何、それ…」

 

ガンビアベイ「さ、サム、事情を話せば…」

 

サミュエル「バカ言わないで、こんな奴ら頼りにしたら…」

 

キタカミ(酷い言われ様だねぇ…)

 

杖が音を立てて倒れる

 

サミュエル「……拾わなくていいの」

 

キタカミ「そうしようと思ってたけど…アンタがテーブルに手をついたからさ…体術も心得あるんだね〜」

 

サミュエル「…無くても、杖をつかなきゃ歩けない奴なんか…」

 

キタカミ「そう?いや、別に好きに言えばいいけどさ…相手を侮るのは良くないよ?それに…ここで手を出したら、間違いなく生きては帰れない」

 

サミュエル「…っ」

 

キタカミ「仲良くしようよ、こっちは敵対するつもりなんてまるでないんだからさ」

 

サミュエル「信用できない…」

 

キタカミ「信用?未だにこっちに敵意を向けて、挙句攻撃までしてきた相手にたいしてここまでしてるのに、そんな物に拘ってちゃ話にならないでしょうが、それとも日本語がちゃんとわかってないかもしれないし、英語で喋ろうか?」

 

サミュエル「…もう、いい…」

 

サムがコーヒーカップに手を伸ばし、コーヒーを飲む

 

サミュエル「ごぼッ!?Yuck…… What the fuck!? so bad …な、何これ!」

 

キタカミ「え?たんぽぽコーヒーだけど」

 

サミュエル「た、タンポポ?……なにそれ…」

 

キタカミ「ほら、黄色い雑草みたいな奴、冬になると綿毛になる…」

 

サミュエル「… Dandelions!?アレでコーヒーを作るの!?」

 

キタカミ「根を使ってね、補給船徹底的に叩かれたからコーヒーが無くてさぁ…」

 

サミュエル「根……ジャパニーズは木の根を食べるって聞いてたけど…ホントに人間…?」

 

キタカミ「…ま、とりあえずそのコーヒーに手をつけてくれるくらいには信用してくれたってことでいいのかな?」

 

サミュエル「…じゃなきゃ、話もできないから」

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