元勇者提督 作:無し
離島鎮守府
教導担当 キタカミ
アケボノ「正気ですか、いつの間にそんな勝手な真似を」
キタカミ「ちゃーんと許可取ったっての、それにアケボノも居るしさぁ」
アケボノ「相手は敵ですよ」
キタカミ「まだ違う」
アケボノ「…貴方の愛弟子が泥を塗られたのに?」
キタカミ「死んでたら…本気で復讐したと思うけど、生きてるんだよ、生きてるうちは全部流せる、一回死んだ身からすりゃ気楽なもんさね
アケボノ「面倒見が良すぎるのは最早悪徳です、何人危険に晒すつもりですか…」
キタカミ「そん時は、ちゃーんと殺る、でもさ、戦争は終わらせるために戦うんだよ、これも一つの戦いって考えれば納得できる?」
アケボノ「平和主義者は痛い目を見て…その主張をひっくり返すモノです」
キタカミ「私の場合はちょっと違う、確信したら守るために何でもやるよ」
アケボノ「それは頼もしい…」
キタカミ「で、頼んでた話は?」
アケボノ「どっちですか?特務部に中央の事を探るように言うことか、それとも綾波のやった事を探ることか」
キタカミ「両方頼んだ事だよね」
アケボノ「…中央に関しては、難しい問題です、綾波の方もまず判ることはないでしょう」
キタカミ「…まあね」
綾波が艤装をアメリカに流していた…としたら、綾波の予言は自作自演もいいところだ、戦争に仕向けてるのは綾波本人なのだから
アケボノ「綾波から武器を提供されたとして……他に何もなかったと思いますか?」
キタカミ「…猿の群れに森を支配されたとして、その猿山の長が喋ってたとして…誰がそのエテ公を信用できるのかね」
アケボノ「どちらにしろ、あの2人はアメリカにとって重要にはなり得ないのでしょうね」
そうでなくては身元のわからない相手の艤装を使うわけもない
キタカミ「アメリカへの問い合わせは?」
アケボノ「外交官へと取り次ぐのに時間がかかるそうです」
キタカミ「提督はなんて?」
アケボノ「急がせてます、あらぬ誤解を産むのではないかと憂いておられました」
キタカミ「んー、怖いねぇ…それはものすごーく怖い」
まあ、警戒はするべきだし
サミュエル「……」
キタカミ「おはようサム、ガンビアベイ、一晩ぐっすり寝て元気?」
ガンビアベイ(全然眠れなかった…)
サミュエル「ガンビーが見張り多すぎて眠れなかったってさ」
キタカミ「そりゃあ、アンタらにボコボコにされた奴らが目を光らせてるからね」
サミュエル「…何にも聞いてない?」
キタカミ「こっちで聞いてるのは、無害なフリして船に乗り込んで、バカバカ撃ちまくって怪我人出しまくったってことくらい」
ガンビアベイ「な、なにそれ…私達さんなの知りません…」
キタカミ「……サムは?」
サミュエル「知らない」
キタカミ「じゃあ何であの船に居たのか…って話になるけど?」
サミュエル「深海棲艦倒して帰ろうとして、回収用の船だと思って乗ったら違った……あ、間違えたのガンビーね」
ガンビアベイ「た、確かに間違えたけどぉ!」
サミュエル「戦闘ログがどうなってるか知らないけど、私達はジャパニーズとやり合ってないから」
キタカミ(確かに、川内からあがってる報告ではやり合ったのは戦艦クラス…ガンビアベイは確か空母、サムはサミュエルBロバーツだとしたら…駆逐艦か、両方該当しないんだよねぇ)
キタカミ「直接やり合ってないだけかもしれないし、何よりハワイに居たのが悪いかなぁ?」
サミュエル「……はぁ…帰りたい……」
キタカミ「今アメリカ政府と交渉中、アンタらがマトモな感性してそうなのも含めてね、ああ、でも人殺しに躊躇いなさそうなのも伝えてるけど」
ガンビアベイ「どうなるのかな…サム…」
サミュエル「さあ、なるようにしかならないでしょ?」
キタカミ(んー……2人きりにするわけにはいかないし、かといって束縛し続けるのも手がかかりすぎる…)
キタカミ「まあ、自由にはさせられないけど…訓練でも眺めてる?暇でしょ」
サミュエル「…良いの?敵相手に」
キタカミ「つっても、川内型とか一部のやつだけだけどね」
サミュエル「……?」
演習場
軽巡洋艦 川内
神通「姉さん、蹴りの速度が落ちましたね?疲労が溜まりましたか?」
川内「そっちこそ、お得意の蹴りは見せなくて良いの?そのまま来るならこっちに分があるけど」
サミュエル「……何やってんの?あれ」
ガンビアベイ「
キタカミ「おーい、お二人さん」
川内「ん…?神通、ちょっと待った……何?今いいところなんだけど」
キタカミ「この2人、預かってくれない?」
川内「ああ、見張りね、良いよ?どうせ神通居るし」
神通「姉さんは私を勘違いしていませんか?私の視覚は本質を視る為のものであって…」
川内「じゃあ、無理?」
神通「そうは言ってません」
キタカミ「じゃ、任せたからね?」
川内「はいはい、責任もって取り組みますよーっと」
2人の方に向き直る
川内「ま、よろしく、好きにしてて良いからさ…ただし、悪いことはダメ、悪い事したらお仕置きするからね」
サミュエル「…大丈夫、日本語は結構わかるから、気にせず話して良いよ」
川内「へぇ、凄いね、誰に習ったの?」
サミュエル「……誰でも良いでしょ」
川内「そりゃそうかー」
川内(詮索はされたくない、って感じかな)
神通「姉さん、さっきの熱も冷めてしまいましたし、少し趣向を変えたいのですが」
神通が槍と刀を持ち出す
ガンビアベイ「か、カタナ?
神通「いや、別にそんな事は…」
神通が困った様にこちらをみる
川内「……そうそう、こっちは神通って言って、侍みたいなものだね」
神通「え、姉さ…」
ガンビアベイ「Really!?さ、サム!サムライに逢えちゃった!」
サミュエル「い、いや、ガンビー興奮しすぎ…」
川内(って言ってる割にはちびっ子の方もかなり気になってるみたいだね、日本文化に興味があるのは好都合というか…)
神通「あー…もう、姉さん…焚き付けたのなら相手してくれるんですよね?」
神通が刀を腰に差す
川内「勿論、やりたい事全部試して良いよ」
神通が槍を大きく振るう
川内(神通の槍、変わってる…前みたいな作りじゃない…)
神通(物事はシンプルな方が好きですが……手札の数は多いに越した事はありません、青葉さん、貴方の戦術をいただきます)
槍の石突にフック状のパーツを取り付けた以外は、大きな差異は無いはずだけど…あのフックは何のために?
川内(これは、面白くなるかもね)
両手に短刀を逆手に持つ
神通「参ります」
川内「良いよ」
突きを主体とした槍の攻撃を受け止める
川内(リーチを完璧に活かされてる…あんまり遊んでる余裕はないかな、それとあの刀…神通が態々刀を帯刀する理由がわからない、腰に差すと言う事は蹴りの動作で邪魔になる時もあるはず…)
神通(姉さん、完全に本気ですね…となれば、私は…これで、仕留める)
突きを防ぎ、カウンターを狙ったところに反転した槍の石突が通過する
川内「危なっ…」
神通が槍を手放し、踏み込む
川内(えっ…あ、不味い、完全に間合いを見誤った…!!)
神通が刀を抜き、振り抜く
金属音が響き、短刀が一本、砕かれる
川内「っ…ははっ…!とんだ、
神通が抜いた刀は、鋭い刃はついていない…
つまり、短刀を力だけで砕いた…
神通「あまり鋭いと、殺してしまいかねませんから」
首元に手を当てる
血がベッタリと手につく
川内(風圧で…!?…化け物じみてきたなぁ…実践ならこれに……いや、やめとこう、想像したくない)
川内「…これがやりたかった事?」
神通「まだ、まだです」
神通が鞘を棄て、刀を上空へと投げる
川内(視線誘導…)
後方に飛び下がる
立っていた位置に刀が突き刺さる
神通(やはり、姉さんは下がってくれる…仕込みも完璧、さあ…)
神通「往きますよ」
間合いは、神通の槍二つ分と少し
川内(大丈夫、踏み込みの瞬間さえ見極めれば…!)
神通が槍を振り回す
ぐるぐると、何度も何度も、大きく回転させ…
川内(何を…)
一歩、踏み込んだ
川内「!」
神通が槍の石突を刀にぶつける
鈍い音が響く
川内(えっ…?)
槍の回転の勢いを利用し、神通が間合を消し去る
気づいた時には距離などなく…神通の脚が眼前に迫る
川内「や、ば…!」
神通「はぁッ!」
神通が地面を滑り、槍を構え直す
川内「っ…たた、あー…してやられたね…」
神通「如何でしょうか、この戦術は」
川内「……百点満点かなぁ、やられたし」
神通「良し…!」
神通(青葉さんはかつてネットの中で移動のためにコレを使いましたが…それは余りにも惜しい、私なら攻撃にも使うことができる…)
神通「青葉さん、頂きましたよ」
川内「はー、負けた負けた……っと?」
2人が呆然とした様子で拍手する
川内「…面白かった?」
サムが無言で頷く
川内「そりゃ良かった、神通、朝ご飯貰いに行こうよ、2人は食べた?」
ガンビアベイ「ま、まだ…」
神通「血の匂いがきつかったですからね、まだ誰も食事は取れてないのでは?……おや、撤収準備を始めていますね、怪我人は船内に移送されつつある様です」
サム(無線?でも使ってるように見えないし)
川内「どこでご飯食べてるかわかる?」
神通「……裏手の所でお味噌汁とおにぎりを配ってる様です、あの辺りは日当たりも良くて静かですからね」
川内「よし、昆布と鮭ね」
神通「私を中の具を当てるのに使わないでください」
川内「自分は選ぶでしょ」
神通「…そんな事は」
川内「さて、2人とも行こっか、お腹減ってるでしょ?」
サミュエル「…うん」
ガンビアベイ「I'm so hungry…」
神通「そ、そんな…」
満潮「ルールだから、神通さんはこっちで選んだの食べて」
神通「…わ、私は透視ができる訳じゃ…」
満潮「那珂さんに聞いたけど、見える限りの破片とかから推測するんでしょ?みんなランダムに取って言ってるし…あと、梅干し食べられないって聞いたけど…折角だし克服して」
神通のトレーにおにぎりが置かれる
神通「そんな、殺生な…」
川内(頼むの見られてなくて良かったー…)
神通「…満潮さん、川内姉さんも私に選ばせようとしてました」
川内「うぇっ!?そ、それはナシでしょ…」
神通「死なば諸共です、姉さん、お覚悟を…」
おにぎりをランダムに入れ替えられる
川内「ね、ねぇ満潮?その中に明太子って…」
満潮「入ってます」
川内「……マジ…?」
神通「ちなみに、交換前は鮭と昆布でした」
川内「神通…!よくも、よくも…!」
サミュエル「…賑やか、だね」
ガンビアベイ「うん…」
サミュエル「わ…yam…あ、思ってたより美味しい…トロトロ…」
川内「そりゃ良かった、具は何だった?」
ガンビアベイ「…黒い…?」
神通「昆布ですね、サミュエルさんは…卵黄の醤油漬けですね」
サミュエル「ランオー…って何?Soy sauceはわかるけど」
川内「egg yolkって言えばわかる?」
サミュエル「…ふぇっ…?…Really…?あ、ああい…oh…」
川内「あー、大丈夫、日本の卵は生で食べられるから!」
ガンビアベイ「サム、センセイも大丈夫って言ってたし…」
サミュエル「うー……ほ、ホントにお腹痛くならない?死んじゃわない?」
川内「大丈夫だって…」
神通(そんなことを気にするならなんで艦娘に…)
川内「む…ぐ…?」
神通「…おや、それはツナマヨネーズですか、美味しいですよね」
川内「うわぁ……ツナマヨはカロリー高いんだよ…頑張らないと…」
神通「そんなこと考えながら食べるご飯美味しいですか?」
川内「…悪かったね、食べたら食べた分太るもんだからさぁ…」
神通「おや、私や那珂ちゃんとは違いますね、姉妹なのに」
川内「…ふー……神通?朝食前の運動が足りなかった?」
神通「この後はもう少し激しくお相手してくれそうですね?」
川内「その口、二度と開かなくなるくらいにはね」
ガンビアベイ「く、空気が重ーい…」
サミュエル「ご、ご飯が食べづらい…」