元勇者提督 作:無し
The・World R:X
Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ
重槍士 青葉
青葉「…来ました、この路地は私が押さえます」
アカシャ盤を目指す、黄昏の騎士団
過去から時間を超えてやってきた騎士達の前に…
青葉「……成る程、また、貴方ですか」
カイト「……」
この偽物と相まみえるのは何度目か、何度も取り逃したが、もはや手の内は明かした
青葉「青葉です、本隊はこっちだった様です」
フリューゲル『了解だ、チェロを向かわせてる、うまく誘導してくれりゃそれで良い』
青葉「了解しました」
槍を片手に持ち、振るう
カイト「くッ…!」
青葉「…司令官の姿をした似非者め…」
槍さえ触れれば
青葉「デリート」
武器を、防具を、何もかもを消し去ってやる
青葉「貴方に、その装備は…似合いません」
カイトを一切寄せ付けない、私は…必ず、このニセモノを壊してやる
カイト「天下無双飯綱舞い!」
カイトが飛び上がり、剣撃をこちらに飛ばす
青葉(来た、この攻撃の後の行動はもう覚えた)
カイトが着地と同時に左に走る
青葉「もう、読めています」
進路に槍を振るう
それだけで、終わる…
青葉「っ…?」
オルカ「間に合った!カイト、無事か!」
バルムンク「コイツを倒せばいいんだな…!」
青葉(2人増えた…)
間合いを取り、広場へと誘導する
チェロ「青ちゃん!こっちだヨ!」
青葉「はい…!」
振り返りざまに槍を振るう
バルムンク「ぐ…!…な…!?剣が…!」
オルカ「消えた、だと…?」
2人がガードに使った剣が消滅する
青葉「…今です」
チェロ「グリちゃん!やっちゃいなヨ!」
青いぬいぐるみが巨大な獣になり、騎士を踏み潰す
青葉「…貴方の護衛は倒れました……残すは、貴方だけです」
カイト「……」
青葉「貴方は何度も仲間を見捨てて逃げ出した…そんな事を繰り返すような貴方が、その姿を…」
踏み込み、槍を振るう
カイト「疾風双刃!!」
カイトが槍を跳んでかわし、縦に斬りつけられる
青葉「っ…?!」
青葉(今までと、違う攻撃…)
カイト「無双隼落とし!!」
攻撃に攻撃を重ねられ、ガードすらできない…
青葉(あ…これ、やばいかも…)
チェロ「グリちゃん!」
カイト「…!」
獣が代わりに斬撃を受けた事で、持ち直す時間ができた…
青葉(…ダメージが、深刻ですね…)
回復アイテムを使いながら、体制を立て直す
青葉「……貴方は、勇者カイトではない」
チェロ「青ちゃん…?」
カイト「……」
青葉「貴方の目的も、考えてる事も…私は一切知りません、しかし…先ほど、貴方は目的の為に味方を犠牲にし、私を倒そうとした…」
カイトが右腕を持ち上げ、こちらへと向ける
青葉「それの何が勇者ですか…本当に貴方が勇者を名乗るなら、犠牲なんか出してはいけない…その努力すらしない貴方に…勇者を名乗る資格はない…」
カイトがデータドレインを展開するのを確認し、槍を向ける
チェロ「あ、青ちゃん!データドレインを受けるのは不味いヨ!」
青葉「わかっています、ですが…」
カイト「…データ、ドレイン」
青葉「紛い物の勇者はここで、デリートします…!!」
腕輪から放たれた光線を槍で斬り裂き、カイトへと迫る
青葉「っあぁぁぁぁッ!!」
カイト「……!」
チェロ「データドレインを、デリートしてる…!」
槍が光を放ち、迫る光線を消滅させ続ける
青葉(まだ、後少し…!……っ…)
辺りが光に包まれる
光が晴れると、カイトの姿はもう無かった
青葉「……逃げた…」
チェロ「青ちゃん、大丈夫…?」
青葉「…やられました、ヴォータンが…」
少し、色が鈍ったような気がする
まるで…そう、力を失ったように
チェロ「団長!カイトは逃しちゃったよ!」
フリューゲル『気にするな!こっちはもう片付いてる、残すはカイトただ1人だ』
チェロ「わかったヨ!青ちゃん、戻ろ!」
青葉「…いえ、私はこのまま落ちます…仕事に行くので」
チェロ「そっか、わかった、団長には伝えとくヨ!」
リアル
佐世保鎮守府
青葉
青葉「失礼します」
天龍「ああ、青葉さん、どうかしましたか?」
青葉「いえ、巡回の当番日だったなと」
天龍「……無理に参加されなくてもいいんですよ?凄く顔色が悪いです」
青葉「え…?」
思わず顔に手をあてる
青葉(…あれ、肌カサカサだ…そう言えば、最近は討伐にかかりきりでリアルの事あんまり気にしてなかったな…)
天龍「それに、青葉さんは正式なここのメンバーではありませんし…」
青葉「…賃金を頂いている以上…働きます」
天龍「佐世保から出てるわけではないんですけどね…」
青葉「まあ…ええ、わかってはいるんですけど…」
背中をトントンと叩かれる
青葉「…?」
陽炎「どうも、ご無沙汰してます」
青葉「あ、どうも…」
陽炎さんが一度こちらに微笑み、頭を下げる
陽炎「その節は、本当にありがとうございました」
青葉「…いえ、成り行きです」
陽炎「良かったら秋雲に会っていってあげてください、ショートメールに反応がないって困ってたので」
青葉「え?…あ、仕事中だからサイレントに……む、無視してた訳じゃなくて…!」
陽炎「わかってます、良かったら呼びましょうか?」
青葉「…お願いしてもいいですか?」
秋雲「おー、青葉さん!会えて良かった〜」
青葉「…元気そうですね、ほんとに良かった…」
天龍「青葉さんの頑張りの結果ですね」
秋雲「いやー、ほんと頭上がんないですね〜」
青葉「いえ、そんな事…」
秋雲「それで、何か御礼がしたくて」
青葉「いや、別にそんな事気にしなくても…」
秋雲「まあ、そう言われると思って……えーと…」
秋雲さんがタブレットを取り出し、弄る
秋雲「じゃーん、こんなのどうですか?」
天龍「…Webサイト…?何かの記事のような…」
青葉「……これ、私の記事…?」
私の書いた記事はスクリーンショットと文章だけの簡素なもの
それが華やかな背景や見出しを強調するカラフルなデザインへと変更されていた
秋雲「あ、これは文章コピペして勝手に作ったやつなんですけど、どうですか?」
青葉「どうって…えっと……凄く、綺麗でいいと思います…」
秋雲「じゃー決まり!」
青葉「へ?」
秋雲「青葉さんが記事を書く、秋雲さんが記事を彩り、宣伝する…どうですか?」
青葉「え、ええと…でも、流石にそれは大変じゃ…」
秋雲「趣味の延長ですから」
青葉「えぇ…?」
そもそも、私は今普通にThe・Worldを遊ぶ事自体が少ないのに…いや、私は…楽しめるのかな
秋雲「御礼の気持ちです、ね?」
青葉「…じゃあ、はい…」
秋雲「よーし、あ、それとここなんですけど」
青葉「…契約書…?」
秋雲「ばーっと読み飛ばしてサインをお願いします」
タブレットを陽炎さんがひったくる
秋雲「あ、ちょっ!?」
陽炎「何々…?広告収入について…ふーん……秋雲は5割貰うんだ?」
青葉「こ、広告収入?」
秋雲「い、いや…妥当なとこじゃない…?」
天龍「お金稼ぎに繋げるとは、ちゃっかりしてますね…」
陽炎「お礼の気持ちなら全額渡せば?ねぇ、天龍さん」
天龍「まあ、私は電子機器にあまり詳しくないので軽はずみなことは言えませんが…」
青葉「…あの、広告収入ってなんですか…?」
秋雲「…え?」
陽炎「青葉さんそこから知らなかったかー…」
秋雲「じゃあ10割もらっても怒られなかったなー…あー!嘘!嘘だから!そのゲンコツをおろして!」
陽炎「まあ、簡単に言えば自分のサイトに貼ってある広告でお金が貰えるんです、銀行の口座とか登録してって手続きはありますけど」
秋雲「いやー、軽く見たけど青葉さんの持ってるスクショはかなり古〜いというか、レアなものが多いから閲覧者数も凄かったし、登録してたら結構な額になってそうだったんですけどねー」
陽炎「アンタ、まさか最初からそれが目的で…!」
秋雲「違うって!いや、ちょっと美味しい思いできたらなーとか、ペンタブ新しいの買いたいな〜とか思ったけど!」
陽炎「こんの……!…はぁ…すみません青葉さん…青葉さん?」
天龍「…携帯を見たまま固まってます、ね…」
青葉「…ええと……あの、さっきの話…こ、口座…登録してたんですけど…」
秋雲「ちょっと拝借…あ、これネット銀こ…う……わぁ…」
陽炎「勝手に人の口座見んな!…ったく…」
陽炎さんが携帯を私の手に戻す
天龍「…入ってたんですね、広告収入」
青葉「…はい…ちょっと見た事ない額が…」
秋雲「いやー、それまでの貯金の倍額入ってましたね!あだっ!」
陽炎「アンタ一回沈みたい?」
秋雲「わ、悪かったって!ごめんなさーい!」
青葉「…これだけあれば、みんなに何か届けられるかな…」
天龍「離島の皆さんですか」
青葉「……私だけこんなに安全なところにいるのは、申し訳ないので…」
陽炎「…すみません、青葉さん、爪の垢貰えますか?秋雲に呑ませたいので」
秋雲「悪かったからもうやめて!?」
天龍「…あれ?」
青葉「…どうかしましたか?」
天龍「今、何か……いや、気のせいでしょうか…」
秋雲「そんな考え込むなんて珍し…いたたっ」
天龍「いま、車椅子に乗った人が視界に映った気がして…」
青葉「車椅子?」
天龍「ええ…その、敷波さんと同じ制服を着てたように見えたものですから、このあたりの学生服には疎いですが…」
青葉「…まさ、か…!」
辺りを見渡す
青葉「……どう、なんだろう…まさか、そうだとしたら……調べることができました、失礼します!!」