元勇者提督   作:無し

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雇用

離島鎮守府

教導担当 キタカミ

 

キタカミ「……あれ、ここ…どこ?」

 

球磨「自分の部屋の天井も忘れたかクマ」

 

キタカミ「…私の高級安眠枕は?」

 

球磨「そんなもんに金使ってるのかクマ…」

 

キタカミ「んや、タダ」

 

球磨「高級要素はどこいったクマ…」

 

キタカミ「…ん…?」

 

鼻につく、シャンプーの香り

そしてこの臭いは…

 

キタカミ「…え、今何時!?」

 

球磨「夜中の23時だクマ」

 

キタカミ「嘘!?…ま、マジかぁ…お昼過ぎにうとうとして寝たのに……え?つまり10時間近く寝てたの?昼寝がそんなにいくとは…あー、最悪…」

 

球磨「喧しい眠り姫だクマ…」

 

キタカミ「いや、あー……っていうか、私どうなってここまで来たの?」

 

球磨「そら、運ばれてきたに決まってるクマ」

 

キタカミ(あー…大和とか長門辺りかな、後でお礼言わなきゃな…いや、大穴でアケボノとか?くっついてるのあんまり良く思ってなかっただろうしなぁ)

 

キタカミ「で、誰が運んでくれたの?」

 

球磨「お前んとこの提督だクマ」

 

キタカミ「………あー…マジ?」

 

球磨「嘘ついても意味ないクマ」

 

キタカミ「うぇー…なんか恥ずいんだけど、顔合わせ辛…」

 

球磨(乙女なやつだクマ)

 

キタカミ「……あ、なんかお腹減ってきた…まだ誰か居るかな…」

 

球磨「太るぞクマ」

 

キタカミ「…わーってるよ…」

 

キタカミ(とりあえずあんまりカロリー来ないやつ…えーと…)

 

 

 

 

食堂

 

キタカミ「…ん?なんか、シャカシャカいってるんだけど…」

 

この匂いは、朝霜達と…アメリカの連中…満潮と如月もいる…?

 

早霜「ヴァージン・チチです」

 

満潮「へー…甘くて美味しいし、なんだかミックスジュースみたい…」

 

アイオワ「何ができるの?」

 

早霜「ここにはアルコールが置いてませんのでモクテルでしたら」

 

アイオワ「…お酒ないのね…珍しいわね」

 

アトランタ「娯楽の一つもない、クソッタレ」

 

キタカミ「悪かったね?ウチに在籍してるのは提督除いてみんな未成年だからさぁ」

 

ガンビアベイ「あ…」

 

如月「き、キタカミさん…」

 

清霜「こんばんはー」

 

キタカミ「如月、何か軽く食べるものある?」

 

如月「すぐ用意します!」

 

キタカミ「いや、そんな畏まらなくてもいいんだよ?」

 

朝霜「畏まってるんじゃねーよ、気になってんだよ」

 

キタカミ「何が?」

 

早霜「シンデレラです」

 

早霜がグラスを差し出してくる

 

キタカミ「…バーテンできるんだ?」

 

早霜「親がそうでしたので」

 

キタカミ「へー…美味しいじゃん」

 

フルーツジュースを口に含む

 

朝霜「で?なんで夕方男に抱かれてたんだ?ヤッたのか?」

 

キタカミ「ぶふぉっ!?ごほっ!…げほっ…な、何、見てたの?」

 

朝霜「みーんな見たさ、ヤリ疲れて寝てたんじゃねーの?」

 

キタカミ「冗談でしょ…勘弁してよ、うたた寝してたら搬送されただけだよ」

 

如月「そ、そうなんですか?」

 

如月が目の前にサンドイッチを並べる

 

キタカミ「当たり前じゃん、未成年とヤるとか完全アウトだしそもそも提督は誰かと変な関係にならないよ」

 

朝霜「ほえー」

 

キタカミ「…何さ、その目は」

 

朝霜「口うるさく言ってたくせにのうのうと昼寝してた奴が当たり前を語るとはねぇって思っただけだよ」

 

キタカミ「……チッ…可愛くないなぁ…ほんとウザい……っ」

 

サンドイッチが手からこぼれ落ちる

 

如月「キタカミさん…?」

 

キタカミ「…アンタら、絶対に外に出ないでよ…如月!阿武隈と不知火起こしてきて!満潮!執務室に敵襲の連絡!」

 

如月「えっ!?」

 

満潮「て、敵襲って…!」

 

キタカミ(間違いない、この匂い…なんで…)

 

立ち上がり、急いで艤装を取りに向かう

 

 

 

 

 

キタカミ「なんで、生きてるのさ…!」

 

駆逐棲姫「……ア、ドウモ?オ元気ソウデスネェ」

 

キタカミ(匂いは確実に綾波だけど、雰囲気が若干違う…何、この違和感は…)

 

腰の主砲を一つ手に取る

 

キタカミ「…やりに来たんでしょ、いいよ、相手してやる…」

 

駆逐棲姫「…アハッ♪」

 

駆逐棲姫が海から陸地へと飛び乗る

ないはずの脚部は鋼鉄の脚…

重たいプレッシャーに呑まれそうになる…

 

キタカミ「来なよ、亡霊…!」

 

駆逐棲姫「デハ、遠慮ナク……測定テストΘヲ開始…難易度ハード、システムハ正常ニ稼働中…」

 

キタカミ(…何言って…機械油の匂い…?あの機械製の脚からか)

 

瞬きの間に駆逐棲姫が目の前に移動する

 

キタカミ「しまっ…!」

 

掌底を受け、地面を転がる

 

キタカミ「っ…!」

 

キタカミ(腹ぶち抜かれたと思ったけど、加減してる…ダメージを返されるのを恐れて、できるだけ弱らせて一気に殺す気か…!)

 

体制を立て直し、主砲にカートリッジを挿入する

 

キタカミ「レベル1で相手できると思ってんなら…大間違いだっての!!」

 

駆逐棲姫の進路に炎の散弾をばら撒く

 

駆逐棲姫「両腕パーツ損傷軽微、右脚部損傷重度を確認」

 

キタカミ「なら、左脚も壊してやる…っ!?」

 

後方から、匂い…

 

キタカミ「来んなって言ったでしょ!?なに来てんのさ!」

 

朝霜「い、いや…気になって…」

 

清霜「アレが深海棲艦…?」

 

キタカミ(っ!マズイ、綾波なら…綾波なら間違いなくこの状況は朝霜達を…!)

 

腰に引っ提げた主砲を全て掴み、空中にばら撒く

 

駆逐棲姫「…?」

 

キタカミ「綾波…これ以上、奪わせたりしないから」

 

背面部の艤装から隠していた拳銃を抜き取り、自身の投げた主砲に向ける

 

駆逐棲姫が主砲を構える前に、拳銃で自身の主砲のトリガーを撃つ

放たれた砲弾が駆逐棲姫の両腕の艤装を捉える

拳銃を放つ度に新たに砲弾が飛び、駆逐棲姫にダメージを与え続ける

 

キタカミ「…終わり」

 

駆逐棲姫の顔面や四肢が限界を留めないほど撃ち込んだ頃に主砲が音を立てて地面に落ちる

 

キタカミ(……仕留めた感覚はある、だけど…なんでこんなに呆気ない…おかしい…)

 

機械油の匂いが立ち込める

 

キタカミ「……こ、これ…まさか……ロボット…」

 

千切れた腕や、撃ち抜かれた脚、限界を留めてない顔面

近づいてよく見ればどれも人間のそれじゃない、ロボットのモノ…

 

あり得ない、じゃあ、あの濃い綾波の匂いは?このロボットの存在意義は?

 

でも、一つ確信した

 

キタカミ「…どこで、生きてる…?しかも今度は記憶持ち越し…最悪じゃん…!」

 

奥の手だった、綾波とのあの直接対決で使えなかった別の勝利手段

奥の手は一つではいけない、勝ち筋は複数作る…

自分の1番得意な範囲での勝負…それを今、綾波は観ていたのだろう、何処かでほくそ笑みながら

 

キタカミ(綾波に見せてない手の内はあるにはある、だけど……ありとあらゆるものを見られた気がする)

 

朝霜「…すげー…強えんだ…」

 

キタカミ「あ…?」

 

清霜「今の!今のどうやったの!?」

 

倒したことで気が抜けてしまっていたが、そうだ…

 

キタカミ「……アンタら、本当にいい加減にしてよ…」

 

正直腰をつきたいところだが、なんとか踏ん張る

綾波ならあの機械をわざと倒させて油断した隙を狙うくらいはするだろう、敢えて私を残してこの2人をいたぶるくらいはするだろう

 

アケボノ「……ふむ…遅くなりました…が、終わってるようですね…今どういう状況ですか」

 

キタカミ「あー、うん、一応警戒中」

 

ようやく腰を下ろせる…

 

アケボノ「なぜあなた達がここに?」

 

朝霜「悪ィかよ、敷地内は自由に歩いていいんだろ?」

 

アケボノ「……死に急ぐのなら、お好きにどうぞ」

 

朝霜「あァ?」

 

アケボノ「今キタカミさんが相対した相手は我々が総力戦で漸く、やっと倒せた相手です、通常なら1人で倒すことなど不可能です…ここが最前線ということをお忘れですか?」

 

朝霜「じゃあマトモな訓練も受けさせてねぇソイツにも問題あるだろうがよ!」

 

キタカミ「……それについてはごもっともだね」

 

キタカミ(綾波が死んだと思ってたから…手に負えない化け物なんて出てこないと思ってたから…朝霜達にはまともに生きれる環境を用意したかったのに…いや、まともってなんなんだろ…わかんないや…人間じゃ、ないんだし…)

 

アケボノ「……キタカミさん、今日は眠れなさそうです、提督の護衛をお願いします」

 

キタカミ「…アケボノは?」

 

アケボノ「私では護衛はできません、お任せします」

 

キタカミ(成る程、貸しって訳だ…)

 

キタカミ「ちぇっ…はー……上手くいかないモンだなぁ…」

 

アケボノ「それと、貴方は貴方です、変わる必要はありません」

 

 

 

 

アトランタ「見た?あれ」

 

ワシントン「レ級の時も思ったけど…化け物ばっかりね、ジャパニーズは…」

 

アイオワ「だけどアレなら、納得ね…本当に駆逐棲姫も倒したんだろうけど、復活した…でもどうして復活したのかしら」

 

アトランタ「さあ、だけど…アイツら、艤装とかそういう話じゃ無い、化け物と戦える技量がある…」

 

那珂「わあ、こんなにいっぱい集まってくれてありがとー!」

 

サミュエル「うわっ!?」

 

ワシントン「い、いつの間に後ろに…!」

 

那珂「今日はー、那珂ちゃんのソロライブのために集まってくれてありがとー!夜通しいっちゃうから、覚悟してねー!?」

 

アトランタ「うっさ…!な、何こいつ!」

 

キタカミ(アメリカ連中は抑える役が居るし、大人しく護衛の仕事…するか…)

 

 

 

 

執務室

 

キタカミ「お、揃ってんじゃん」

 

重役3人、横須賀と離島、それからもうすぐ呉の提督となる3人がこの部屋に放り込まれ、大淀と神通がそれぞれの警護…

 

海斗「キタカミ、怪我は無い?」

 

キタカミ「んー…」

 

腹部に手を当てる

内臓はいかれてない、というより思えばあの駆逐棲姫の攻撃はあまりにもお粗末というか、加減し過ぎというか

 

キタカミ(ダメージになってなさすぎて寧ろ怖くなってきたな…明日にでも検査受けてみようか…)

 

キタカミ「大丈夫、それより…何してんの?」

 

火野「有事の際、一網打尽にされるリスクと分散し、誰かが生存する可能性を考えた結果だ」

 

亮「で、暇だから書類仕事を手伝ってる」

 

キタカミ「…提督、終わってなかった?」

 

海斗「あー…ええと」

 

火野「私の物だ、名ばかりの最高責任者だがなにぶん仕事が多い、横須賀に早く戻るべきなのだが、それが今はできない」

 

キタカミ「なんでさ」

 

火野「ここの優秀な医官が動かしたがらない、少なくとも夕張がまともに動けるまではと言って聞かない」

 

キタカミ「あー……」

 

机の書類を一枚拾い上げる

 

キタカミ「外務省の書類なんかもあん、の…?」

 

火野「アメリカの艦娘についてだ」

 

海斗「…キタカミ?」

 

キタカミ「……コロンの匂いに隠れて、する…間違いない」

 

さっきもちゃんと…

 

海斗「何が…」

 

キタカミ「綾波、間違いない…綾波の匂いだ……アイツ、外務省にいるって事…?」

 

わからない、理解できない、綾波を国が雇用した?

そもそも、綾波が生きてる事も…訳がわからない…

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