元勇者提督   作:無し

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刷り込み

離島鎮守府 執務室

教導担当 キタカミ

 

キタカミ「綾波が外務省って大丈夫なの…?もう取り返しつかないところに居るっぽいけど…」

 

火野「ふむ…いや、私も把握していなかった事だ…」

 

キタカミ「綾波は何をしたくてそんなとこに…いや、そもそも雇った奴ら正気…?」

 

頭が痛いとはこの事か、思わず頭を抱えて唸ることしかできなくなる…

 

キタカミ「…夜間哨戒の指示は?」

 

海斗「出してあるよ、ただし近海の限られた範囲に絞ってるけど」

 

キタカミ「…本土への帰還ルートも確保したいとこだけど」

 

正直、なんであのロボットが私達の前に現れたかを想像するだけで吐きそうになる

そしてあのロボットが一体で来たのは何?

少なくとも……量産できるか、それとも実験段階じゃないと…

なんにせよ、アレより強いのが後から出てくるのは、間違いない…

 

生きているだけで、癌のように恐怖を広げ、蝕む

1秒だって生きていちゃいけないのに…

 

キタカミ「…はぁ…どうすんのさ」

 

火野「どうしようもあるまい、我々には…」

 

海斗「キタカミ、その書類見せて」

 

キタカミ「ああ、うん…」

 

海斗「……明明後日、アメリカの人たちを連れて本土の大使館に行こう、受け入れの準備をしておくって」

 

キタカミ「急に?……綾波が一枚噛んでるとしたら、嫌な予感しかしないんだけど…」

 

海斗「…よく、わからないな…」

 

誰もよくわかってない、今の綾波が何をしてるのか、何をしたいのか

 

 

 

 

 

 

東京 ネットカフェ

綾波

 

綾波「ふぇっくしょん!……ん…鼻が…」

 

ティッシュで鼻をかみ、パソコンに向き合う

 

綾波(…よし、これでいいでしょう……っと、そろそろマズイかな)

 

パーカーを羽織り、会計を済ませて足早にネットカフェを出る

横目にネットカフェに入る警察官を眺めて路地を縫うように離れる

 

綾波「…はあ……わざわざ警察使わなくても仕事はするのに……」

 

今、行くべき場所は24時間営業し、私の顔を見られる事なく、Wi-Fiと電源コードに接続できる場所

 

綾波「……ま、ここは人が見てないから良いんですよね、ラブホテル…」

 

頭の中が騒がしい

 

綾波「うるさいですねぇ、別にナニかする訳じゃないんですよ?……あーはいはい、そんなこと言ったら貴方も私もファーストキスはその辺のおじさん殺すときにしちゃったじゃないですか……あーもう、うるさいですよ」

 

 

 

 

 

ノートパソコンを取り出して立ち上げる

 

綾波「さて、さてさてさて……ああ、アクセスできた…うんうん、やっぱりそうですよねぇ…どうします?貴方が決めていいですよ……ま、貴方はそうですよね…っと……追われてる、ヘルバさんか…各方面に私の生存がバレ始めてるな…」

 

追跡を遮断し、別のサーバーを経由してアクセスする

 

綾波(ヘルバさんの網を避けていては…キリがない、となれば……突っ切る、探知される前に目的を果たす)

 

綾波「………アハッ♪…見ぃつけた、うんうん、そうですよねぇ…あの駆逐棲姫は完成度は20%ってところか…しかも暴走して…撃破されてる、戦闘ログは?……成る程、さすがキタカミさんですねぇ」

 

居場所を特定されるまで、あと30秒程…

 

綾波「…難しい話ですね、ヘルバさんが協力してくれるなら3日で済む話なのに…いや、その提案は今の私の待遇からして無理ですよ?ええ…」

 

追跡を遮断する

 

綾波「おぉーっと、危ない危ない…しかし、追われるのは楽しくないですね」

 

ノートパソコンの電源を切り、ベッドに投げる

携帯電話で本部に電話をかける

 

綾波「さて、通訳は必要かなぁ…いや、いいか…あ、もしもし?私です、GPSを起動するので車を回してください、そう、レンタカーを今から借りて…盗聴されると面倒なので行き先は来てから指示します」

 

電話を切り、ベッドに腰掛ける

 

綾波「……さて、はてさて…まだ地獄は私を受け入れられないでしょうね?……ええ、全く、これでは一切足りません、もっともーっと、やる事がありますよ、死の果てが虚無なのか、それとも隠り世なのか、地獄はあるのか…」

 

上手くいけばどうなるのかを思案し、次に失敗した時のリスクを考える

失敗は死を意味する、しかし私はまだ死なない

つまり、失敗はあり得ない

天才の称号の元に於いては全てが正常に進む

 

綾波「……そういえば、さっきの話ですけどまだ膜は破ってませんね、適当に破り……あー、はいはいごめんなさい」

 

 

 

 

 

離島鎮守府

秘書艦 アケボノ

 

アケボノ「どうも、アメリカの皆さん」

 

ワシントン「…何か用?」

 

アケボノ「ええ、まだ渡す訳にはいきませんが、貴方方の艤装が修理できましたよ」

 

アイオワ「本当に!?こ、これで帰れる…」

 

アケボノ「馬鹿言わないでください、領海侵犯、それと朧に機銃を向けた事も含めて貴方達は拘束される理由を作ってしまった」

 

アトランタ「チッ…固いなぁ…」

 

アケボノ「軍人、かつ成人ならそれらしい態度を見せて欲しいものです、それともまだ立場が分かりませんか」

 

アトランタ「立場だなんだって…アンタら本当に大使館や本国に問い合わせた訳?言いたい放題言いやがって…」

 

書類を突きつける

 

アケボノ「貴方達は明後日、大使館に移送されます…まあ、領海侵犯などで裁判なども行うやもしれませんが……とりあえず、レ級に襲われていた貴方達を救った朧に機銃を向けたのは映像として残ってますよ、アトランタさん」

 

アイオワ「…その映像、見せてもらえる?」

 

アケボノ「不可能です、もう中央と大使館に提出済みですので…国際問題になりますね」

 

アトランタ「っ…」

 

ワシントン「気が、動転してたのよ…勘弁して」

 

サミュエル「お、お願いします…」

 

アケボノ「……あの、何か勘違いしてますか?私はあくまでこの鎮守府における事務員です、私は処理を適切に進めるだけです、貴方達が許しを乞うべきなのは…そうですね、裁判官とかにでもどうぞ」

 

アイオワ「そんな…」

 

アケボノ「あと、貴方達から昼夜問わず、1秒たりとも監視の目を外したことありませんよ、貴方達が何かを探してるのも、隙さえあれば艤装を取り戻そうとしてるのもわかってるんです」

 

ワシントン「……そんな事してないわ」

 

アケボノ「ワシントンさん、今日の昼、食事の時間にあなたはガンビアベイさんと共に遅れてきました、貴方達を普段拘留しているのは食堂の隣の部屋ですが…貴方達は通路の人通りが減った頃に食堂と反対方向に向かい、探索をしていましたね」

 

ガンビアベイ「み、見られてた…?」

 

アケボノ「サミュエルさん、貴方がペンとメモをくすねた事も把握済みです、今もポケットに入っていますね、ちなみにそれは漣の私物ですが差し上げるそうです」

 

サミュエル「な、なんで…?」

 

アケボノ「アトランタさん、貴方はフォークやナイフをくすねています、武器にするつもりかは知りませんが……あまり人を舐めない方がいい、私はそれを誰かに向けた時点で貴方を殺す」

 

アトランタ「……」

 

アトランタが他のメンバーの顔を見る

それぞれが俯く

 

アケボノ「全員の行動を把握しています、例えばフレッチャーさんがどこで躓いたか、ヘレナさんが箸を使おうとして苦戦していたとか、そんな事も知っています」

 

ヘレナ「…何が言いたいの」

 

アケボノ「私に撃たせないでください、提督は私が貴方達を撃つ事を望みません」

 

アイオワ「…ここのアドミラルには会った事がないけど」

 

アケボノ「会わせられません、もし、万が一にも提督に危害を加えられたら…私は生きていけませんから」

 

アトランタ「チッ…本当に殺してやろうか」

 

アケボノ「……はい?」

 

アトランタの方を向く

 

アケボノ「今、誰のことを殺すと言いました?まさか提督を殺すなどと、冗談でも口走っていませんよね?」

 

腰の拳銃に手をかける

 

アトランタ「……」

 

アケボノ「私に対してですよね?そう言ってください、それともまさか…提督を侮辱しましたか?」

 

ヘレナ「…アトランタ…」

 

アトランタ「あー、悪かった、訂正する」

 

アケボノ「訂正は不要です、誰を侮辱したかはっきりさせなさい」

 

アトランタ「…ウザっ…っ!」

 

アトランタの髪が少し焼け落ちる

 

アケボノ「……私は、あまり気が長い方ではありません、提督の事となると殊更に…次は、眉間です」

 

アイオワ「ちょ、ちょっと!冗談でしょ!?そんな事で殺すなんて.」

 

アケボノ「要人を侮辱してタダで済むと?今すぐ殺して深海棲艦の餌にしてもいいんです、この時間は私の慈悲です、貴方は本来既に死んでいるんです、アトランタさん、貴方に言ってるんですよ」

 

アトランタ「……っ…」

 

アケボノ「今すぐ、ハッキリさせてください、貴方が侮辱したのは私であって提督ではないと」

 

アトランタ「…あたしは、アンタに対して暴言を吐いた、アンタのアドミラルを侮辱してない…」

 

アケボノ「結構」

 

拳銃を収納する

 

アケボノ「…陰口も、私の事だけにしておくことです、少なくともここにいる間は…」

 

アイオワ「…そうした方がいいみたいね」

 

アケボノ「それと、ワシントンさん、ヘレナさん、私の拳銃にそんなに興味がありますか、これは適当に見繕ったモノですよ」

 

ワシントン「…別に、そんなことはないけど…」

 

ヘレナ「…こんな、海に囲まれた島で深海棲艦に襲われても身を守る術がないのが気になって」

 

アケボノ「豆鉄砲一つで身が護れるなら…今までの惨劇はなかったでしょう、それと……」

 

拳銃のマガジンを取り出す

 

アケボノ「カラですよ」

 

アトランタ「…ブラフ、だった…ってワケ…」

 

アケボノ「いいえ、殺すことはできましたよ」

 

薬室から弾丸を取り出して見せる

 

アケボノ「貴方達の行動はやはり不自然だ、しかし、万に一つでも貴方達の目的が提督の暗殺だった場合…今ここで自殺しておくことをお勧めします」

 

取り出した弾丸を薬室に戻し、机に拳銃を置く

 

アケボノ「さあ、どうぞ?」

 

ワシントン「自殺なんてするワケないでしょ…!冗談じゃない!」

 

アケボノ「貴方達の末路、今の所の予定では少なくともアトランタさんはまともに生きる術を失います、私の姉妹を手にかけようとした以上は…私も全力で貴方をつぶします」

 

アトランタ「…クソ…」

 

アケボノ「ここでヤケになった誰かが…私を、そしてこの鎮守府の何人かを道連れにすることを考えるかもしれませんが…」

 

ヘレナ「っ…」

 

アケボノ「それもまた、不可能です…何故なら私は死にません、貴方達の恐怖の根源となり、貴方達を貪り喰らいます」

 

机に置いた拳銃を回収する

 

アケボノ「7人もいるんです、せめてもう少し…攻撃的な人がいるかと思いましたが、たった1人相手に手も足も出さない…ようやく立場を弁えましたか?」

 

アトランタ「誰が…」

 

アケボノ「余罪を重ねないのは賢い選択です、ここで私からお話があります」

 

ワシントン「……話…」

 

アケボノ「全て話してください、そうすれば…貴方達を保護した場所を領海の外だと申告しましょう、映像に関する事も多少は…考えなくもないですよ」

 

アイオワ「さっきまで好き勝手言っといて…今更…」

 

アケボノ「選択は貴方達がすることです、しかし時間は有限だ、そもそも貴方達ハワイにいた艦隊は暴走し叛逆した罪人とされていますし……ああ、下手したら死刑とか…アメリカって死刑制度残ってましたっけ?」

 

アトランタ「……」

 

アケボノ「良い返事、期待してますよ」

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