元勇者提督   作:無し

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離島鎮守府最強

実際、補給のおかげで轟沈は一度もない、しかも自由にできるようになったし、秘書官として鳳翔、食料の管理や食堂の営業を間宮がやってくれている

だが、こうやって過ごしていると、過去に己の指揮が殺した娘の恨み言が聞こえてくる

 

『タスケテ…ワタシモ…ソッチニ…』

 

もう何もできないとわかっていても辛い

今を過ごすのに必死なのに、過去を振り返る余裕なんてないのに

 

「大丈夫、いつか僕もそっちにいくから」

 

そう、声をかけることしかできない

 

軽巡北上

 

練度が10になれば迎え入れよう

そう言われたと聞いた

 

「ねぇ、提督、私今練度幾つだっけ?」

 

「35だよ…ごめんね、僕が至らないばかりに」

 

私は10で内地に行けるはずだったし、20話過ぎれば大体の艦はここを出られる

なのにそれすら許されない、正規空母も同じくここに残されているが、練度は27、戦闘では私の方が実際上だ

 

「それは聞き飽きたって、大体提督を責めてるわけじゃないんだよ」

 

嘘だ、責めてる、責めなきゃやってられない

 

「ありがとう、早く転属願いを受理してくれるといいんだけど」

 

実際に転属願いが出てるとは思っていないが、どうなんだろう

 

「そだねー、大井っちのとこに行きたいなー」

 

「たしか球磨型はみんなそこに配属されてるはずだし、きっとそこに…」

 

「行けるといいんだけどね」

 

「…命をかけてる君たちが、満足に行きたい場所にも行けないこと本当に申し訳なく思う」

 

「そう、あ、じゃあお給料とか欲しいなぁ、お金もらってー、内地で遊ぶんだ」

 

「…ごめん、ここにお金って言えるようなものはないかな…」

 

「なんで?提督もらってないの?」

 

「着任期間を終えたらまとめて支給されるって言われたから…と言うか、君たちがお金をもらってないの初めて聞いたよ」

 

「…マジ?」

 

思ったより上は腐ってるのかもしれない

と言うか提督がダメなだけなのかもしれないけど

 

「そういやここって演習とかも組んでないよね、なんで?」

 

「…その…来てるんだ演習の話だけなら」

 

「え?じゃあなんで受けないの?」

 

「演習で勝ったら、その演習先の艦隊に配属されるんだ」

 

「は!?じゃあ尚更なんで受けないのさ!」

 

「負けた方は、こっちに来るんだ、一回に6人、新人が来たことがあったよね、そこそこの腕の人たちが」

 

覚えはある、しかしそいつらは全員

 

「絶望した顔で沈んだ、想像にた易い、だから…」

 

「組みたくないんだ、演習」

 

「…そうだね、勝手なこと言って悪いけど」

 

「半分自分が殺したみたいなもんだよねー、内地に行っても喜べないなー、それ」

 

「それに負けたら練度が上がっても評価は厳しくなると思う」

 

「…へぇ、成る程ねぇ、じゃあやろっか、演習」

 

「…いまの話聞いてたよね?」

 

「大丈夫、負けてあげる」

 

「だから…」

 

「ここに残ってもいいと思ってるメンツだけで行こうよ、わざと負けてもいい勉強になる、生存率はグッと上がるよ」

 

「…本気?」

 

「勿論、赤城さんと加賀ならついてきてくれるかなぁ?」

 

「…わかった、準備する、あの2人もまだここを出られるとは限らないし」

 

「ん、よろしく」

 

「ただ一つだけ、負けようとしないで」

 

「なんで?私たちに半分殺せって言ってるの?」

 

「負けた子たちも、ここで生かす、生きて戦争の終わりを迎える」

 

へー

 

「そうこなくっちゃね」

 

 

 

 

「今日はよろしくお願いします」

 

「ああ、編成はそちらに合わせてある、うちが負けたらまるまる交換だ」

 

編成は互いに赤城、加賀、北上、鳥海、高尾

 

「全力で勝ちにいって欲しい、練度の差は埋められるはずだから」

 

「「「「「「了解」」」」」」

 

向こうの平均練度は23、こちらは26

北上が全体を引き上げているのに対し向こうは平均的、だがそれもそうだろう、こんな内地の鎮守府で出撃などほとんどないのだから

 

演習開始の号令とともに艦載機が発艦する

こちらが旧式の装備なのに対し向こうは最新のもの、練度は若干上でもそれを十分に埋めるほどの性能

制空権は五分だった

 

「不味いですね、向こうの装備、かなりいいですよ」

 

「艦爆きます!備えて!」

 

由良が対空射撃をするものの、落とせた機体は僅か

 

「北上さん、そっち行きました!」

 

「よーし、作戦通り行くよー」

 

陣形が崩れる、単縦陣から1人だけ外れ、岩陰に

 

「被害報告!小破2!」

 

「北上さんは!?」

 

「連絡取れません!通信に応答しません!」

 

「目視確認!」

 

「見当たりません!」

 

「1時方向に敵!T時!こちらが不利になる模様!」

 

「進行方向変更!反航に!」

 

「間に合いません!砲撃きます!」

 

「先頭高尾、撃ちます!艦載機を!」

 

「攻撃機を仕掛けます!」

 

向こうからの攻撃にこちらはすりつぶされる

不味い…

 

「被害報告!中破2!小破3!」

 

「敵艦小破2!」

 

「空母前へ!夜戦を考えて私たちが盾に!」

 

『そのままでいいよ、回り込んだから、軽巡北上、雷装行きまーす』

 

敵艦を挟むようにして、北上が現れる

 

「夜戦は、無理だし、考えなくていいか」

 

魚雷を放ち、装填、放つ、装填、放つ

 

放射上に広がる、そしてそれは伸びた隊列に当たる

こちらに砲門を向けるにももはや遅い

 

「敵艦大破多数!旗艦は無傷ですが撤退を始めました!」

 

「追撃します!」

 

それと同時に昼戦の終了の合図が鳴り響く

 

夜戦へと突入するか、その判断は最速で行う

 

「てったーい、こっちもあと一撃喰らったら旗艦の赤城さん落ちちゃうよ」

 

「…了解、帰投します」

 

「全員撤退!」

 

戦術的敗北

 

「あちゃー、行けるかなって思ったけど」

 

「仕方ありません、負けは負けです」

 

「…そうですね」

 

 

 

「質問があるのだが」

 

「んー、あ、どうも、この度はありがとうございました」

 

演習相手の提督か、真面目そうだが私たちをモノ程度にしか見ていない、敵艦隊の動きを見れば分かる

 

「なぜ改装しない?十分にできるだろう」

 

「資源とか足りなくて」

 

最近溢れるほどいただいたばかりだが

 

「それくらい提供しよう、どうだ、うちに来ないか」

 

少なくとも、あの動きを見た今となってはごめんだ

 

「私は主力としてあの鎮守府に居るわけではありません、動きが周りに合わせられないからです、隊列を崩してしまうので、実戦は基本的には…」

 

嘘だ、鎮守府最強を自負してる

 

「…チッ、使えねぇのか、じゃいいや」

 

やっぱりねー

 

離島鎮守府

 

「ねぇ提督、なんで私を改装しないの?」

 

「改装…?近代化改修じゃなくて?」

 

「oh…」

 

まさかそれすら知らないとは思わなかったな

 

「じゃ、改装しとこっか」

 

私はもっと強くなって…ここでみんなを助けるんだ

 

「じゃーん、改造されて重雷装巡洋艦になったスーパー北上さまだよー」

 

成る程ね、これが改装かー

 

「すごいね、雷装がとても強くなってる」

 

甲標的があればもっと面白いんだけどなぁ

 

「…あ、これ、前任の千代田さんが送ってきてたものなんだけど」

 

「oh…わかってるねあの人」

 

甲標的もある、改装もされた

誰にも負けない

 

「よーし、やっちゃいますよー」

 

出撃においては空母がいなくても、ただひたすらに敵を沈める

一人で戦果を上げることも稀にある

 

それは良くも悪くも死者が減ることにつながった

 

「ありがとう、君のおかげで誰も死なずに済んでいる」

 

正直疲れないでもないし、指揮系統も変わったおかげで私の力なしでも轟沈は無くなった

 

ま、感謝されるのも悪くないなって思った

 

「今日の演習だけど、実は」

 

「姉さんたちがいるんでしょ?」

 

「よくわかったね…」

 

「言い淀むくらいなんだからわかるって」

 

「久しぶりに話せたらいいなぁ…」

 

 

呉鎮守府

 

「初めまして、この度はよろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」

 

向こうの提督は礼儀がなってるな、珍しい

 

「こちらに球磨型がいるって聞きまして」

 

「そっち出身の奴らで編成は組んである、十分に時間を取ってるからゆっくりしてってくれ」

 

あえてこっち出身で組むってことは…

嫌な考えが浮かぶなぁ

 

「き、た、か、み〜!」

 

後ろから声がしたと思って振り向く、が誰もいない

 

「ニャー!!!!」

そして正面から衝撃

 

「待ってたニャ、よくきたな、北上」

 

「元気そうでよかったクマ」

 

「北上さん、お会いしたかったです」

 

「沈んでないようでなによりだぜ姉さん」

 

「…みんな…」

 

あ、だめだ、泣く

 

「久しぶり…ほんとに…」

 

堪えられない

 

「北上さん!?ちょっと前提督さん?何私の北上さん泣かせてるんですか!?」

 

「にゃ、ひどいことされたのかにゃ?」

 

「流石にそんなことできるタマじゃねークマ、だけど取り敢えず一発殴るクマ」

 

 

 

「司令官、お久しぶりです」

 

「…もう結構経ったんだったね」

 

「はい、いろんな方によくして頂いてます」

 

「なら良かったよ」

 

「司令官、今日は負けませんから」

 

「頑張って、期待してるよ、ところでそっちのあと一人は…」

 

「わ、た、し、よぉ…?」

 

「荒潮、君だったんだね」

 

「私は心配してくれないのぉ?」

 

「君は十分に強い、心配するまでもないって思っただけさ」

 

「では私は弱いと?」

 

「まだ、ね、でも今日を経験すればきっと」

 

「ではその認識を変えて見せます」

 

「倉持提督」

 

「三崎提督でしたね」

 

「すこし、2人で話したいことが」

 

「…わかりました、2人とも、またね」

 

「演習が終わったらまた来る、それじゃあな」

 

 

 

 

「森羅ってわかりますか」

 

「…なんでしょうか、それは」

 

「ゆらぎについてもご存知ないですか」

 

「…」

 

「俺はあの時、いろんな異世界を周りました、その時に一緒に世界を救ったのは、あなたじゃないかと考えています…あんたはカイトだよな?」

 

「…ハセヲ、でいいんだね」

 

「…ほんとにあんたの方が年上だとは思わなかったぜ」

 

「僕もだよ、あの時は僕の方が年下だったのに」

 

「また会えて光栄だ」

 

「こちらこそ」

 

 

 

 

 

 

「前方クマ!」

 

「よーい!てー!!!」

 

 

「不味いなー、向こうのペースだよ」

 

「艦載機を全て叩き落とすとは思いませんでした、不覚です」

 

「赤城さんも連れてくれば良かったかな」

 

「誰が空母無しの編成にそんなに人を割くんですか!」

 

「…私いくねー」

 

「…些か軽率では?」

 

「やらなきゃ負けるよ」

 

「…本気で勝つ気ですか?姉妹を地獄に落とせるんですか?」

 

「もう地獄じゃない、雷巡北上、行くよ」

 

 

 

「来ます、雰囲気が変わった」

 

「北上だけにゃ」

 

「単艦突撃を仕掛けてくると?」

 

「そうだろうな」

 

「あいつ、全然クマ達よりは強くなってるクマ」

 

「勝てるのかしらぁ…」

 

「姉貴舐めんなクマ、多摩、大井、取り敢えず道を塞ぐクマ、雷撃しまくれクマ!」

 

「「了解」」

 

 

 

予定通り魚雷が来た…

 

「いくよー、満潮、霞は私に砲撃開始!」

 

「…当たらないでね…」

 

「あたってもこっちの責任じゃないっつーの!」

 

 

 

「は!?あの馬鹿!本気かクマ!」

 

「目に見えてるものが真実です、味方から砲撃されてます、至近弾もある…」

 

「違います、あれは狙いは魚雷です、爆発します!」

 

水柱が立つ

 

「でもあれが落ちたらもう身を隠せないニャ!」

 

 

 

「今だよー」

 

「第二次攻撃隊正面!」

 

 

 

「しまった!対空が遅れた!」

 

「これが狙いかニャ!」

 

「全員散れ!!」

 

 

 

『被害軽微』

 

「オッケー、十分、さ、まずは…木曽からだね」

 

「なっ…しまっ…」

 

「主砲、よーい、どかーんってね、撃沈判定でいい?」

 

「…参った」

 

 

「マズったクマ!全員固まれクマ!対空の用意!」

 

「対空ですか!?」

 

「雷撃の量が少なすぎクマ!帰りしなにもう一発くるぞクマ!」

 

「集まる余裕はないニャ!てー!」

 

「本当にそんな余裕あるのかなぁ…」

 

「大井!後ろだニャ!」

 

「雷撃の準備はいいんだけど、痛い思いしたくないよね?」

 

「盾にされちゃ打てんクマ!荒潮回り込めクマ!」

 

「はいはぁーい」

 

「大井っち、早く降参して」

 

「…お断りします、北上さん」

 

「ごめんね」

 

 

 

 

「大井のやつ無理したニャ、旗艦を狙えニャー!」

 

「加賀発見、仕掛けるクマ!」

 

「球磨さん!足元雷撃跡が!」

 

「こんなもん通じるわけないクマ!」

 

「全員加賀に向かって…主砲撃てー!」

 

 

 

『あと2分なら耐えられます』

 

「十分、私が姉さんを倒すから、みんなで牽制して」

 

『…失敗すると思いますよ』

 

「しないから、させない、私が全部やる…見えた…っ!」

 

『北上さん!危ない!」

 

「今!後方雷撃開始!」

 

「やばっ…」

 

 

 

 

 

 

 

敗北D

 

 

 

 

「ったくこのバカは!何やってんだクマ!」

 

「まさかここまで間抜けとは思わなかったニャ」

 

「自分1人で全部なんとかできるなんて甘い考えですよ、北上さん」

 

「敗軍MVPも結局満潮に譲っちまって、こんな作戦もうやめといたほうがいいぜ」

 

「4人がかりで虐めることなくない…?」

 

「虐めぇ?教育と言えクマ!このアホ上!」

 

「バカ上には丁度いいニャ」

 

「ダメ上さんでも私は好きですよ」

 

「まあ、今日くらいは間抜け姉さんってことで」

 

「…死にたくなってきた…」

 

「提督はこんな作戦いつも認めてんのかニャ?」

 

「だとしたらあいつもぶち殺してやるクマ」

 

「認められてはないよ、私が事前の作戦破棄して無理やり強行してる」

 

「こんのバカ上がぁぁぁぁぁぁ!クマ!」

 

「うわぁぁっごめん!ごめんってばさぁ!?」

 

「お前がエース級に強くても!連携のないチームに勝てるわけないニャ!」

 

「俺たちがなんで主砲メインで戦ってたかすら気付かなきゃダメだぜ…」

 

「ダメなダメ上さん…素敵…」

 

「お前は帰ってこいクマ!」バチコーン!

 

 

 

 

「なかなかいい勝負だったな」

 

「うん、北上さんにも自分を見つめ直す機会を与えられた、今回の件は受けてくれて本当に助かったよ」

 

「どんな勇者も仲間の扱いには苦労するんだな」

 

「お互い様じゃないの?」

 

「違ぇねぇな」

 

 

 

 

 

「提督、大丈夫になったよ」

 

「本当にいいの?こっちに残って」

 

「向こうに私はいない、でも私に声がかからない、それはあの4人で十分だから、じゃあここは?」

 

「君1人でも消えたら潰れちゃうかもね」

 

「感謝してよねー、さあ、ハイパー北上さまの出撃だよー!」

 

私がもう誰も鎮めない

だからもう安心してね、提督

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