元勇者提督   作:無し

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感情操作

Link 拠点

駆逐艦 朧

 

朧「ねぇ、綾波…」

 

綾波「待ってください、今計測中です……グラーフさん、70秒22点、良い数字です、タシュケントさんの90秒15点を大きく上回ってます」

 

グラーフ「……これ、意味あるのか…?」

 

綾波「説明しましたよね?これはCQBテストと言って市街戦や船舶に乗り込んだ際の対処を…」

 

タシュケント「そうじゃなくて、市街戦のテストや通常の銃火器の扱いの訓練なんて本当に必要なのかって話さ」

 

綾波「……朧さん、やってみてください」

 

朧「この流れでアタシにやらせる…!?」

 

綾波「良いですか?これは基礎です、難しいことなんて考えずに反芻し続けて自分のものにしなくてはなりません、その意味はやり続けたものにしかわからない…さあ、朧さん?」

 

朧「…わかった」

 

綾波「ではシュミレーションファイル02、敵拠点強襲を始めます、朧さん、装備を」

 

機関部など重量のあるものを外し、主砲と脚部艤装のみに拳銃…

これで戦える相手は、間違いなく人間だけ…いや、深海棲艦も倒せはするけど問題なのは海上での移動手段が無いこと

 

綾波「正面の部屋を確保したら時計回りに3つの部屋の的を全て撃ち、ここまで戻ってきてください…ああ、無理に射撃に頼らなくても良いですよ」

 

そう入っても、脚部艤装の仕様は想定外だろう…

 

綾波「では用意、始め」

 

言われた通り簡単な作りの部屋に入り、的を撃ち抜く

 

朧(…特に問題は…無いかな)

 

一つ、二つと部屋をクリアし…

最後の部屋に踏み込む

 

朧「あ…弾無い…!」

 

咄嗟に空を蹴り、脚部艤装から魚雷を撃ち込む

 

朧(あ…魚雷は使用許可出てないのに…)

 

目標地点まで走る

 

綾波「はい、34秒で得点は37点です」

 

グラーフ「その点数ってどうやって算出してるんだ」

 

綾波「的のどこを撃ったかですね、1発で戦闘を止められる頭はより点数が高いですよ、というか最初に説明したはずですけど」

 

タシュケント「…確かに大きい差は有るけど…だからなんなんだい」

 

綾波「先ほども言いましたがこれはあくまで基礎なんです、それに朧さんは海上、陸上、どちらの戦闘でも高い評価を獲得しています…なにが言いたいかと言えばこの訓練は必ず役に立つということです」

 

朧「…そうは思えないけど」

 

綾波「朧さん、貴方が使った拳銃途中で弾が切れましたね、その時に咄嗟の判断で魚雷を使った…悠長に的の目の前でマガジンを入れ替える人が複数いるというのに貴方は違いましたよ」

 

朧「そんなの、別に…」

 

綾波「朧さんは感じてるんじゃ無いですか?この人たちは圧倒的に不足していると…」

 

朧「……」

 

正直、感じてる事はある…

危機感が足りていない、戦いの危険と恐ろしさを…わかってない

 

綾波「タシュケントさん、貴方はウラジオストクで私に弄ばれて死が目の前まで来たのに、なぜ未だにそうなんですか?グラーフさん、私に祖国の誇りを傷つけられたんでしょう?なんでその程度なんですか?」

 

タシュケント「…何を煽って…」

 

綾波「怒ってくださいよ、感情をむき出しにしてください、それすらもしないのですか?貴方たちは本気になれないんですか?朧さんには全力で食ってかかったくせに」

 

朧「…綾波、やめた方が…」

 

綾波「特別講義中です、発言権はまだ与えてませんよ?深海棲艦が現れるまで平和にのほほんと生きていた人達にら酷な話ですか?真剣になる、努力する事を知らない貴方たちに私が教えてあげてるんですよ」

 

グラーフ「黙って聞いていれば…」

 

綾波「黙って聞いてようが本気で殴ろうがどうでも良いんです、貴方たちに求められてるのは覚悟です、貴方たちはLinkのメンバーなんです、お仕事をしましょう、世界を救いましょう?その為には誰もから恨まれる覚悟が必要です」

 

朧「……Linkの仕事って、まさか…」

 

綾波「高官の暗殺も…するかもしれませんねぇ…それが日本なのか、フランスなのかドイツなのかロシアなのかイタリアなのかそれとも別の国なのか…そんな事は関係ありませんが」

 

タシュケント「な…!聞いてた話と違う!そんな事をする為に手を貸してるんじゃ無い!」

 

綾波「勿論、殺すとしたらちゃんとした理由はありますよ?我々の目的は深海棲艦を撲滅し世界をつなぐこと、しかし深海棲艦はなぜ生まれたのか…それすらも考えたことがないような貴方たちでは…」

 

グラーフ「何…?」

 

綾波「深海棲艦は元々は様々な国の老人が作らせた人工物だ……としたら?」

 

タシュケント「それに、祖国が噛んでるとでも…?」

 

綾波「調査中です、しかし…もしわかってもよく飼い慣らされた仔犬に教えるかは悩みものですがね」

 

グラーフ「貴様!馬鹿にするのも良い加減にしろ…!」

 

タシュケント「頭に来た…!これ以上君に協力するのも馬鹿らしい…!」

 

綾波「良いんですか?私たちを野放しにして…貴方たちじゃ止められない相手を間近で監視する機会を易々と手放してしまうんですか?」

 

グラーフ「お前達が祖国の警備を掻い潜れるとでも…」

 

綾波「私の正体は知っているでしょう?ほんとに無理だと思いますか?その気になれば今すぐ貴方達の国を消しても良いんです」

 

朧「綾波!」

 

タシュケント「お前…!ほんとにやる気なら…っ!?」

 

綾波がタシュケントの両手首を掴み、壁際へ押しやる

 

タシュケント「は、離せ!」

 

綾波「今、貴方の体にあるナノマシンの機能を全て掌握しています…私を振り解くほどの力も出せない上に熱っぽいでしょう?エラーを起こしてるので発熱してるんです、まあ…貴方の体は今は私の意思一つです」

 

タシュケント「この…!」

 

グラーフ「くッ…?何故だ、私も身体が動かない…!」

 

綾波「2人とも動きを止めるに決まってるでしょう…アハッ♪朧さん、止めても良いですよ?私の身体はいくらでも替えがききますし…でも、あんまり痛いとタシュケントさんは無事じゃ済まないかも♪」

 

朧「…綾波、話が違う…!」

 

綾波「ええ、話なんていつだって常に変わり続けますよ?そんなものでしょう…さて、タシュケントさん」

 

綾波がタシュケントを解放する

タシュケントは苦しそうな表情で膝をつき、綾波を見上げて睨む

 

タシュケント「こ、の…!」

 

綾波「良い顔ですね、今の貴方は良い目をしている…だけど、私の意思ひとつで貴方の心臓を…いや、脳すらも破壊できるのですよ?」

 

タシュケント「…祖国に…手を出したら…許さない…」

 

タシュケントの表情がより険しくなる

 

綾波(うーん、まあまあかな、その感情をしっかり覚えさせないと話にはならないか…)

 

タシュケント「ぁ…がぁっ…!」

 

タシュケントが意識を失い倒れる

 

グラーフ「お、い…何をした!?貴様…!」

 

綾波「うるさいですよ、黙ってるなら殺さないでおいてあげても良いと思ってるんですが…」

 

グラーフ「貴様っ…!」

 

綾波「憎悪の目を向けられるのは慣れています、貴方も一度休みなさい」

 

グラーフ「っ…ぁ…」

 

グラーフも同様に横になる

 

朧「…綾波…」

 

綾波「……安心してください、殺したら私の計画されてパァです、ただ意識を奪っただけですよ」

 

朧「何でこんな事…!」

 

綾波「効率的に強くなる為です…リシュリューさんは非常に良い、私への直接的な憎悪を自身の訓練に充てて、今では4人の中で抜きん出た強さを得ている」

 

朧「…だから自分に、怒りを向けさせた…?わけわかんないよ!それで強くなれるなら…」

 

綾波「現に、貴方達は強くなった…死力を賭した私を打ち倒すほどに」

 

朧「……綾波…」

 

確かにアタシ達は強くなれた、だけどそれはただ…綾波に怒ってたからなんかじゃないハズなのに…

 

綾波「丸め込むのは簡単です、人を殺したところで地獄が遠のくだけです…今更なにを気に病む必要がある、私は私の思う最も効果的な手段を取ります」

 

朧「…タシュケントさんやグラーフさんのことは…どう思ってるの…?道具?それとも使い捨てのコマ?」

 

綾波「いいえ…いつか私を殺してくれる一党になると信じています」

 

 

 

 

 

 

綾波

 

綾波「目が覚めましたか」

 

タシュケント「……何をしたんだ、頭が何かおかしい…」

 

グラーフ「私もだ…」

 

綾波「何もしていません、ですが…人というのは限界を超えるものです、今まで自身が限界だと思っていた怒りの数値を大きく上回り、脳のストレージの使い方が変わったんでしょう」

 

グラーフ「何を言っている…?」

 

綾波「同じ事をドイツ語で言いましょうか?それよりも…初仕事が決まりました、アメリカに行きますよ」

 

タシュケント「アメリカ…?」

 

グラーフ「待て、私達はもう貴様とは…」

 

綾波「これ、命令書です…貴方達のそれぞれの国からのね」

 

書類を突きつける

 

グラーフ「こ、これは…なんだ、何をした!」

 

綾波「ギブアンドテイク…貴方達の祖国は国のために犠牲を差し出すことを選んだんですよ、今の貴方達に帰る家はない、大人しく従い…そして任務を完遂しなさい、そうすれば英雄として帰れます」

 

タシュケント「……嘘だ…」

 

綾波「嘘なものですか、私は説明しましたよ、仕事内容は聞かなくても良いんですか?」

 

グラーフ「……聞かせて、もらおう…」

 

綾波「では、アメリカ海軍の中に、深海棲艦と深く繋がっている一派を確認しました…それを襲撃して洗いざらい吐かせましょう」

 

グラーフ「…私達はアメリカを敵に回すのか…!?」

 

綾波「いいえ、アメリカの上の方には作戦許可を取ってあります、ほらこれ…まあ、お偉方も一枚噛んでそうですが、内容を公表される事に比べたら作戦を許可する方がダメージはないですし…」

 

タシュケント「ど、どうするつもりなんだ…」

 

綾波「…貴方達はただ私の言う通りにすれば良いんですよ、そうすれば私が導いてあげます」

 

グラーフ「待て、機密な情報なら…貴様はハッキングで盗み出せるはずだ」

 

綾波「知らないんですか?セキュリティを最も頑丈にする方法…」

 

グラーフ「何?」

 

綾波「私でも突破できないセキュリティが一つだけあるんですよ」

 

タシュケント「…それは…?」

 

綾波「アナログです、紙とペンだけのやり取り、今もこのような書類仕事がこっそり有るのは最も安全な手段だからです、配達事故などのヒューマンエラーさえ起きなければですが」

 

グラーフ「……つまり…」

 

綾波「相手はアナログな方法でやりとりしてます、しかし郵便局を襲うのは非効率的です、輸送中を襲って直接文書をもらっても良いんですがね?まー……アハッ♪」

 

グラーフ(何だ、この寒気は…)

 

綾波「私の敵は私が潰しますから、安心してください?とにかく、私に従えば…この作戦は簡単ですから」

 

タシュケント「……作戦を教えて欲しい」

 

綾波「実行メンバーは貴方達と朧さんです、私は上空に居ますので」

 

グラーフ「どう言う意味だ…」

 

綾波「回収用の輸送機を操縦する役目がありますから、周囲の深海棲艦とも戦闘になると思います、お気をつけて」

 

タシュケント「肝心の内容は?」

 

綾波「また改めて、ご心配なく、貴方達は私の言う通りに動けば…埃一つつかない」

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