元勇者提督   作:無し

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落ちる

The・World R:1

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

重槍士 青葉

 

青葉「…ぁだっ!?」

 

また、腰から落ちた…

記憶の泉を経由して過去に行く…二度目だが、また腰を打つとは思わなかった…

思えば前回はCubiaによって急に飛ばされたのだから仕方ないが…今回は自ら飛び込んだのだから…

 

青葉(というか…体感設定が高すぎますよ…脳が痛覚を誤認して…いたた…)

 

槍を杖のようについて立ち上がる

 

青葉「……ここの雰囲気、なんだろう…不思議と落ち着くな……そういえば司令官の戦った時代なんだっけ…?うーん…この時代の司令官に会えたりは……するのかな?」

 

何はともあれ、今は他のメンバーとの合流を目指さなくては…

 

青葉「…あれ?あそこにいるのは……昴さん!」

 

白いドレスと天使の羽、そして手に持った重斧…

そして供回りの騎士、最後に会った時と何も変わらない

 

昴「はい、なんでしょうか?」

 

青葉(えっ…?)

 

何か、違和感…

それよりも大した用事もないのに見知った顔というだけで話しかけてしまったことの方が問題か

 

青葉「あの、昴さん、その…あれ以来どうですか?」

 

最後の記憶は敷波さんを連れ攫ったと言う情報…しかし、敷波さんの無事はこちらで把握してる…

 

昴「…ええと、あれとは…あの、何方ですか?」

 

青葉「えっ…?わ、私ですよ、青葉です…一緒にホワイトチェリーを取りに行った…」

 

昴「……私には貴方とアイテムを取りに行った覚えはありません、人違いではないでしょうか」

 

そう言って昴さんは何処かへと歩いて行ってしまった

 

青葉「…そんな…なんで…?いや、よく考えて…タイムトラベルなんだ、過去の私が出会う1秒前に来たのかもしれない…」

 

つまり、ここにいる誰も、私を覚えてないんだ

 

川のそばに腰掛け、眺める

見知った顔が何人かいると言うのに…私のことを誰も覚えていない

寂しい世界…

 

青葉「…残念です…」

 

 

 

 

 

 

 

リアル

貨物機内部

駆逐艦 朧

 

綾波「深海棲艦の対空性能というのは最近非常に高くてですね、視認できれば数千メートルどころか数万メートルの高さにいる機でも何度も撃ち落とされてます、追尾式のミサイルでもなく無誘導弾なので、どこも対処に困ってるんですよね」

 

朧「そんな精度で当たるの…?」

 

綾波「普通は当たりませんよ、でも向こうは無限の力を持ってますから…数打てば当たって墜ちます、対策としては認識できないほどの高さを飛ぶか超高速の機体を使うか…」

 

グラーフ「これはどちらにも該当していない気がするが?」

 

綾波「ええ、現在高度3500m、撃ち落とされかねません…が、安心してください?そこをなんとかするのが私の仕事です、装備を整えて、間も無く作戦エリアですよ」

 

朧「…まだ陸地には遠いと思うけど」

 

綾波「そうですね、後20分は飛ばないとこの速度では陸地に到達しません」

 

朧「じゃあ間も無くって…?」

 

綾波「真下に船があります、それもアメリカのね…結構大型で、この辺りを巡回してる船では唯一深海棲艦に沈められたことがないそうです」

 

朧「まさか…」

 

綾波「さあ、船を強襲しますよ、現在船の見取り図を生成中です、もう一度言いますが…装備は?」

 

グラーフ「…できている、だがこれは何のおもちゃだ、銃ですらない、私の武器は艦載機のみか?」

 

綾波「貴方達に配布してるのはテーザー銃という一種のスタンガンです、あ、1発しか打てないようになってますのでお気をつけて…まあ敵は貴方達を殺しに来るでしょうが…ハンデ戦と言うことで」

 

グラーフ「貴様、ふざけてるのか…!?」

 

朧「…いや、綾波…大丈夫なんだね?」

 

綾波「ええ、そちら見取り図です、乗員は205名、内戦闘員は…まあ実質全員か、狙いはこの艦長室です、書類を適当に漁って欲しいのと、可能ならここの艦長も連れて帰ってきてください、無理すると死ぬので其方はあまり無理せず」

 

タシュケント「…こんな近くにこんな飛行機が飛んでたら丸わかりだし、何よりどうやって降りるんだい…」

 

綾波「今無線でやり取りしてるので、大丈夫です、この貨物機アメリカで現役のものですからそうそう撃っては来ません」

 

朧「…アメリカとも協力関係になってるの?」

 

綾波「はい、もちろん」

 

グラーフ「規模が大きすぎてついていけん…」

 

綾波「ついてこなくて良いので、そろそろ降下してもらいます」

 

タシュケント「だからどうやって…」

 

綾波「落下傘、パラシュートですね、大丈夫、甲板に見張りはいませんし…相手型の目の前は真っ暗ですから」

 

朧「え?」

 

ハッチが開き、吹き飛ばされそうになる

 

綾波「さあ、降りてください、パラシュートはすぐ開かないで、狙い撃ちにされますよ」

 

タシュケント「ほ、本気…?」

 

グラーフ「冗談じゃないだろう…だが…」

 

朧「…綾波、この2人なしのプランは?」

 

綾波「ありますよ?でもそれだと意味が…まあ、腰抜けなんていない方が安全か」

 

グラーフ「誰が腰抜けだ!」

 

タシュケント「飛べるよ!飛べば良いんだろう!?」

 

綾波「ならさっさと行きなさい、朧さん、早く」

 

2人の手首を掴み、ハッチから飛び降りる

 

グラーフ「うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

タシュケント「ひぃぃぃっ!?」

 

綾波「さーて、お仕事お仕事」

 

 

 

 

 

綾波『今、開いてください』

 

指示を受けて落下傘を開く

船の甲板には人の気配が無く、その上窓も全て何かに覆われて…

 

朧「何これ…」

 

綾波『甲板につながるすべての通路をロックしてます、それと窓に関しては完全に視界が通っていません、つまりやりたい放題できますよ』

 

グラーフ「どうなってるんだ…何をしたらこうなる…」

 

綾波『窓を潰したのは彼ら自身です、外から姿を見られるのを恐れて…ね?』

 

朧(…この臭い、深海棲艦の…いや、そうだ、横須賀で見た深海棲艦のなりそこないみたいな匂い…!)

 

綾波『…っと、甲板に深海棲艦が登ってきてますよ、朧さん』

 

甲板までは大体10数メートル…迎撃体制を整えられるわけにはいかない

 

グラーフ「あ、おい!何を!」

 

タシュケント「し、死んじゃうよ!?」

 

落下傘を引きちぎり、降下する

 

タシュケント「あ、右…!」

 

降下しながら主砲を装備し、深海棲艦を撃ち抜く

 

朧「……右手2、左手3…グラーフさん!左側のは艦載機で!」

 

グラーフ「わ、わかった!」

 

グラーフさんが投げたカードが艦載機になり、深海棲艦を攻撃する

 

朧「ッ!!…大丈夫、どこも痛めてない…」

 

着地の衝撃で装備が壊れたりもしてはいない…なら

 

朧「すぐ終わらせるから」

 

深海棲艦2匹を蹴り砕く

 

タシュケント「な、何だあれ…人間なのか…?」

 

グラーフ「…わからないが、とても私たちに真似できるものではないな」

 

 

 

タシュケント「よし、降下完了…」

 

綾波『では…朧さん、そこから右手側に70メートル……はい、もう少し……ああ、その辺です』

 

綾波に誘導された地点まで移動する

 

綾波『それでは床ぶち抜いてください、事前に渡した炎のカートリッジを使えば簡単に溶かして壊せるでしょう』

 

タシュケント「ここ、艦長の部屋の真上…?」

 

朧「で、でもここに何が…」

 

綾波『良いから、扉を一つ物理的に破壊されましたので乗組員がゾロゾロ出てきますよ、人ならざるものも含めてね』

 

朧「…やぁぁぁぁッ!!」

 

船が大きく揺れ、大穴が開く

 

グラーフ「うっ!?」

 

タシュケント「痛…こ、ここが…」

 

綾波『はい、目的地です、とりあえず書類を隠してそうなところを漁って、金庫とかあるならそれごと持ってきても構いませんよ?』

 

タシュケント「か、回収方法は?」

 

綾波『STARSと言う手法で回収します、朧さんに説明済みですので、今は先に』

 

言われた通りに書類を探す

 

朧「本当にここにあるの!?」

 

綾波『間違いなく』

 

グラーフ「…あった、コレか?」

 

朧「よし…撤収用意」

 

荷物から回収用の風船をあげる

 

綾波『ちゃんとワイヤーで繋いでくださいね?後屋内にいたら頭ぶつけて死にますから甲板に出てください』

 

朧「了解…!」

 

甲板に登り、周囲を窺う

匂いは強い、なりそこないの深海棲艦の匂い、そして普通の人間の匂い…

 

朧「2人とも早く上がってきて!」

 

グラーフ「わかっている…!」

 

タシュケント「手、手貸して…!」

 

2人が登る間に…ここを安全な場所にしなくてはならない…

 

朧「なら…これでいい」

 

主砲に煙幕弾を装填し辺りに煙を撒き散らす

こうすれば、視界を使えない、鼻だけで位置を特定できるアタシの独壇場…!

 

グラーフ「ごほっ…な、何が起きたんだ…?」

 

タシュケント「け、煙たいんだけど…」

 

綾波『間も無く上空通過』

 

朧「あ、戻らないと…!」

 

敵兵を倒す事に必死になり過ぎた…

急いでワイヤーを艤装に引っかける

 

朧「…あれ?」

 

グラーフ「お、おい…その艤装に引っかかってるのはなんだ!?」

 

タシュケント「深海棲艦に決まってるだろ!?な、何でそんなの!」

 

朧「は、剥がれない…!うわっ!?」

 

風船についたワイヤーが貨物機の先に引っかかり、強く引っ張られる

 

綾波『作戦完了…お疲れ様です、良いお土産ができましたね?』

 

 

 

 

貨物機内部

 

綾波「おや、これの付けてる階級…もしかして朧さんわかってて連れ帰りましたか?この人艦長ですよ」

 

人ならざるものを見て笑いながら綾波が言う

 

朧「えっ!?な、何で甲板に…」

 

綾波「戦おうとでもしたんじゃないですか?しかしよくもここまで完璧に作戦を遂行してくれましたね、最高の結果です…グラーフさんもタシュケントさんも埃一つつかなかったでしょう?まあ打ち身はあるかもしれませんが」

 

グラーフ「…確かにあの部屋は掃除が行き届いていて埃一つなかったが…」

 

タシュケント「…埃より悪いよ…」

 

綾波「さて、コレをコピーしてアメリカ大使館に持っていきますか…そちらの人間もどきは保存液につけて、言語機能も失ってるようですから復元できるか試してみないと」

 

グラーフ「待て、なぜこの貨物機は落とされなかった…甲板に人がいないのは何故だ、何もかもおかしいだろう!」

 

綾波「…深海棲艦って二種類いるんですよ、群れと野良…群れはある程度親玉の言うことを聞きます、野良は聞きません、貴方たちが戦ったのは野良です」

 

朧「……あの辺りには野良が少なかったってこと?」

 

綾波「ええ、群れの深海棲艦は有る機能があるんです、命令を受け取る機能…なら私が命令してやれば良い、大人しくしてろと」

 

グラーフ「…そんな事ができるのか…?」

 

綾波「現に落とされなかったでしょう?というか旅客機や貨物機を狙う深海棲艦は知能の高い群れのボスに指示されてやる事が殆どです」

 

朧(流石に詳しいな…)

 

綾波「テーザー銃を使わなかった事以外は想定通りです、てっきり館長室に何人かいると思ってたので…が、しかし思ったより杜撰でしたねぇ」

 

グラーフ「まだだ、甲板は、窓はどうなってる」

 

綾波「この艦長みてわかりませんか?あきらかに深海棲艦でしょう?見られては困るものですよ?隠さないと」

 

グラーフ「だからって…異常だろう!?」

 

綾波「異常に対して正常を求めるのが間違いなんですよ、良いですか?相手は人間じゃ無い、とにかくその場凌ぎの連中です、差し詰め来る人来る人深海棲艦の血でも入れられてるんじゃ無いですか?下手したらパンデミック…タチ悪いですねぇ!」

 

タシュケント「笑ってる場合かい…?」

 

綾波「さて、ここで質問です…世界を救うつもりはありますか?そのお手伝い、してみませんか?」

 

グラーフ「……」

 

綾波「今回の作戦で私がやったことは深海棲艦とズブズブに繋がった人たちの機密文書を盗み出し、公に叩くことができるようにしたと言う、表向きに見れば正義の仕事です、これからもそんなことをするつもりです、どうですか?」

 

タシュケント「選択肢なんてないくせに…」

 

綾波「わかってきましたねぇ、あなた達の国がそれを望んでる、退路はありませんよ」

 

グラーフ「確かに今のお前は正義の味方かもしれないが…下衆だ」

 

綾波「存じ上げておりますとも」

 

綾波がチラリと書類を見る

 

綾波「さーてーと、これは大変だー」

 

わざとらしく驚いた表情を見せる綾波

 

綾波「どうやら同様のことを世界中でやってるみたいですね、しかもそう言うネットワークまで使っているようだし…深海棲艦に書類を運ばせてるのでしょうか?どうやら…次の標的はドイツになりそうですよ?」

 

グラーフ「何…!?」

 

綾波「どうですか?自分の国の悪者、倒してみませんか?」

 

グラーフ「……わかった」

 

綾波「ふふふ、良いですね良いですね、正義のヒーローとして、頑張ってくださいよ、皆さん♪」

 

 

 

 

 

研究室

綾波

 

綾波「…ふむ、このくらいならまだ人間に戻せるか?」  

 

アヤナミ(…データドレインを使えば元に戻せるんじゃ無いですか?)

 

頭の中にアヤナミが喧しく騒ぎ立てる

 

綾波「いいえ、それではいけません、世界中で深海棲艦が発生している、それを私達だけで負担できるなら良い、いや…その後データドレインが誰の手にも渡らないのなら…それでいい」

 

アヤナミ(…綾ちゃんは優しいですね、自分がいなくなった後のことを考えるなんて)

 

綾波「その呼び方はやめなさい、せめてもの敷波への罪滅ぼしです、しかし……難しいな…私を持ってしても、難しい…」

 

アヤナミ(戸棚の右の薬品庫に新しく作ったサンプルがありますよね?それで試してみるのは?)

 

綾波「危険ですよ、この人が死にかねない…私が深海棲艦になるには…クローンの体じゃ無理だし…できれば私の手で深海棲艦を解体ようなことはしたく無い…いや、そんなことをしても何にもならない…」

 

アヤナミ(今の綾ちゃんは間違いなく正義の味方、ですね)

 

綾波「…うるさいですよ、アヤナミ」

 

アヤナミ(ふふっ…それより、こちらも準備は進んでますよ、いつでも帰ってきてくださいね)

 

綾波「……そうですね、帰るべきでしょう…綾波は、敷波と共にあるべき…」

 

綾波(しかし、私にはその資格はもうない)

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