元勇者提督   作:無し

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襲撃イベント

イギリス軍 病棟

綾波

 

綾波「とりあえず、これ…ええと、ここで活動する間のお小遣いです、みなさんの艤装はいまイギリス軍の方々が回収に向かってくれています」

 

渡された活動資金の一部を配る

 

グラーフ「…なるほどな、イギリスは随分と懐が広い」

 

綾波「実績があるからです、すでにドイツのことはニュースになっているし、また一つをレーベさん達のおかげで守り切れた…半分くらい壊されたし、たくさんの人を犠牲にしてはいますが…数字として見れば、少ない方です」

 

 

朧「それで、アタシ達はどうするの?」

 

綾波「日本に帰る手段も必要ですし、それについても交渉します、ドーバー海峡を通れるようにすれば…その、ヨーロッパからは一度手を引くつもりです、ドーバー海峡を通ってフランスからロシアまで移動し、樺太から降れば最も安全に日本に帰れます」

 

リシュリュー「フランス…ついでにディジョンに寄るのはどう?」

 

綾波「勘弁してください、そんな余裕は恐らくないです」

 

リシュリュー「一目、見ておいて欲しかったけど」

 

綾波「……そういう事でしたら、知ってますよ、随分復興が早かったので」

 

リシュリュー「…そう、あなたにこっぴどくやられたから、必死に街を立て直したのよ」

 

ザラ「まあまあ、責める事ないじゃないですか」

 

リシュリュー「……責めたいわけじゃない、ただ、反省して欲しいだけ」

 

ザラ「綾波さんはイタリアにも来ましたけど、なーんにもしませんでしたよ?」

 

綾波「まあ、あの時は観光目的でしたから」

 

リシュリュー「深海棲艦が現れたら騒ぎになるでしょ…」

 

ザラ「だから敢えて深海棲艦を見たことがある人の少ない、内陸のディジョンに行ったんじゃないんですか?」

 

綾波「まあ…そうですね、リシュリューさんに見つかって殺されそうになりましたけど…」

 

リシュリュー「…何、ザラは私が悪いって言いたいの?」

 

ザラ「そうじゃないですけど、綾波さんを一方的に恨むのは少し違うんじゃないかなって、タシュケントさんは全然良いんですけどね」

 

タシュケント「いや…こっちも交渉をふいにした奴が悪いっていうか…協力関係の話し合いに来た綾波を見下してた奴が悪いっていうか…」

 

ザラ「え、そうなんですか?ドイツも何機か落とされたくらいで特に何かされたわけじゃないんですよね?」

 

グラーフ「私はもう恨んでいない、それよりもザラ、貴様は随分綾波と親しげだな」

 

ザラ「まあ、一緒にカフェで過ごした仲ですからね、奢ってもらいましたし」

 

綾波「ああ、別に5ユーロくらい気にしなくても…」

 

朧(それだけで庇ってたの…!?)

 

ザラ「イタリアとしては恨みは全くないし、話してみると良い人だし、私は深海棲艦は嫌いでしたけど、それは悪いことをたくさんしてきたから、綾波さんは自分から悪いことをしてるのは…」

 

ザラさんが朧さんを見る

 

朧「…まあ、沢山やられたね、うん」

 

グラーフ「……気になるんだが、日本の奴らはどうやって綾波を倒したんだ」

 

綾波「簡単ですよ、バケモノが沢山いただけです」

 

グラーフ「…バケモノだと?」

 

綾波「全くもって、イリーガルな人達です」

 

思えばキタカミさんとアケボノさんは碑文の力を失っていない、だから私をあそこまで追い詰めた…瑞鶴さんも面倒だったな

神通さんも碑文の力を使い私にダメージを与えている

もし、全員が万全なら…碑文の力を全員が失っておらず、万全ならば私はもっとあっさり倒されていたかもしれない

 

なら、その力を取り戻す手伝いをするのはどうか

今行方不明のカートリッジ二つが敵に渡った時のことを考えるなら…

 

綾波「…さて、それでは私呼び出されてるので」

 

朧「呼び出されてる?」

 

綾波「ええ、まあ……ちょっと、ね」

 

 

 

 

 

車に揺られ、運ばれるのは気分が悪い

今の私の服装はとても見られたものではない、制服もまともな物は残ってなかったのだろう、貸し与えられた正装に身を包み、案内された通りに進む

 

綾波「これは…」

 

なんとも、まるで絵画のようではないか 

整った足並み、つま先一つ、一ミリだろうと飛び出すことのない整った隊列の奥には、この国の艦娘

 

綾波(なるほど、あの型は右がネルソン、左がウォースパイトか…となると、真ん中は…)

 

ああ、笑ってしまいそうだ

ドミノ並べは私が最も苦手なことの一つ、理由は簡単、途中で倒してしまうからだ

ああ、早く倒したい、そうやって私の衝動は私を掻き立てる

 

ネルソン「貴様が、Linkの代表か」

 

綺麗な英語、これをリスニングのCDにすればきっと平均点は上がるだろうな

 

綾波「初めまして、綾波と申します」

 

深く礼をする

 

ウォースパイト「街、そしてそこに住む人々を守る働きに感謝します」

 

綾波「…ここに招いていただいたことが最大の労いです、その言葉はあまりにも恐れ多い」

 

ネルソン「随分殊勝なことだ、聞いていた話とはまるで違うな」

 

綾波「クイーンの御前で無礼な態度など、私にはとても」

 

顔をあげ、笑う

 

ネルソン「貴様がここにいま居られるのは全て…」

 

綾波「ええ、存じております、この身に有り余ることです」

 

様式の整った言葉をいくつか受け、改めて深海棲艦の討伐を命じられた

それだけの為にこの肩のこるような時間を過ごした…と思うと、中々なものだが

 

綾波「んっ……んー…やはり、疲れますね」

 

ああ、いけない

私はあの場にいる間ずっと頭の中で考え事をしていた

 

暴れてみたらどうなるのだろう

ここで、何をしたらめちゃくちゃになるのだろう

 

私は疼きを抑えるのに必死で言葉を選ぶ余裕もなかったものだ

演技は疲れる、たとえどんなに演技に慣れても、本当の私は常に解放を求めている

 

一人で、ゆっくりと過ごせる時間が欲しい……心を休められる時間が…

 

 

 

綾波「回収できたのはこれだけですか」

 

グラーフ「らしいな、全員艤装の一部が破損している」

 

朧「アタシのは主砲がやられてる…砲身だけ外せば問題ないかな、というか脚部艤装…傷一つないんだけど」

 

綾波「まあ、Oパーツですからね、それ」

 

朧(明石さんよく手を加えられたな…)

 

リシュリュー「……」

 

綾波「あなたは手の怪我が完治するまでは参戦しなくて構いません、大丈夫、暇はさせませんから」

 

リシュリュー「…期待しておくわ」

 

タシュケント「機関部がダメになってるからコレじゃ水上戦ができないよ…」

 

綾波「とりあえず、壊れたものは修理します、私に渡してください、あと英語を喋れる方は?」

 

朧「…一応、ちょっとなら」

 

綾波「誰に教わりましたか?」

 

朧「キタカミさん…」

 

綾波「あの人も大概なんでもできますねぇ…よし、じゃあ朧さんはリシュリューさんと買い物に、メモを渡すので、あともし何かあったら容赦なく叩きのめして良いですからね」

 

朧「そ、そんな事しないよ…?」

 

グラーフ「私達はどうすればいい」

 

綾波「条件に合う建物を探してください、これを読んで」

 

グラーフ「な、なんだこれ…」

 

綾波「タシュケントさんも一緒に行ってください、プリンツさん達には艤装を与えるところからだし…忙しくなるな…」

 

私の身体、持つといいけど

 

 

 

 

 

全員を送り出し、艤装の整備をそこそこにパソコンを借りる

The・Worldにアクセスし、JPサーバーを選択し、ログインを試みる

 

綾波「……なるほど、回線状況が最悪ですね…後でこっちも色々試さなきゃな…」

 

 

 

 

 

The・World R:1

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

双剣士 カイト

 

カイト「これは…!」

 

ブラックローズ「な、何が起きて…!?」

 

タウンに大量になだれ込んでくるモンスター…

 

カイト「モンスター襲撃イベント…!?古いバージョンにはあったって聞いたことあるけど、実際に遭遇するのは初めてだ…」

 

周囲のゴブリンやハーピーを撃破しながら辺りを進む

 

ブラックローズ「あ、アレ!」

 

対岸のモンスターがものすごい勢いで撃破されていく

 

カイト「あれは…オルカ!?」

 

蒼海のオルカ、The・Worldにおける伝説のプレイヤーの一人

.hackersのメンバーにしてフィアナの末裔の称号を持つ、リアルの僕の親友で…

 

ブラックローズ「なんでここに…カイト、ここがアンタらの戦った…?」

 

カイト「違う、僕がThe・Worldを始めた頃にはこのイベントは削除されてたんだ、つまり…これは僕がThe・Worldを始める前…」

 

でも、ここが別の世界なら或いは…

 

周囲のPCの動きが止まる

 

カイト「っ!?……あ、あれは…」

 

色黒の肌と軽装の装備が特徴的な重槍使いがモンスターの波を割る

たった1人で…何人分もの…

 

ブラックローズ「見惚れてんなよ!やられるぞ!」

 

カイト(アルビレオさん…渡会さんもまさかここに…!)

 

双剣を振り抜き、真上のハーピーを斬り落とす

 

カイト「行こう!」

 

ブラックローズ「わかってる!」

 

 

 

重槍士 青葉

 

青葉「ダブルスィーブ!!」

 

道を塞ぐ4体のオークを斬り倒すも、すぐに他のモンスターが押し寄せてくる

 

青葉「これ、どうなれば終わりなの…!?」

 

オルカ[この構成ならボスはデーモン系だな!]

 

全体チャットに文が流れる

 

青葉「ボスがいるんだ…なら、ソレを倒せば!!」

 

周囲のモンスターを薙ぎ払い、進む

周りのモンスターにやられたPCが賞賛の声をもらす

 

青葉「っ!」

 

対岸の重槍使いと一瞬目が合う

 

青葉「アルビレオさん!?」

 

槍の射程を最大限活かし、振り抜き、モンスターを薙ぎ払い、もう一度確認した時にはアルビレオさんはそこには居なかった

 

青葉(持ってた槍が違ったし、小さな女の子を連れていた様に見えたけど…とにかく追おう!話を聞けるかも!)

 

モンスターが吹き飛んでいく辺りを目指し、呪符を使いながら進む

 

マク・アヌの中央の橋に巨大な魔法陣が現れる

 

青葉「アレは!モンスター出現の魔法陣…!」

 

間違いない、ボスの魔法陣だ!

 

青葉「閃矢の呪符!地獄蟲の召喚符!!」

 

モンスターが派手なエフェクト共に吹き飛び、空いた空間を駆け抜ける

巨大な悪魔が橋に現れる

羊のツノを持った、その辺に転がってるオーガの数倍はある巨大な、禍々しい妖魔がコウモリの翼をひるがえす

 

青葉(橋を埋め尽くすほど巨大な…でも、通れないから邪魔…!)

 

周囲のモンスターを薙ぎ払い、槍を構え、ボスに向けて突き刺す

 

青葉/アルビレオ「「一番槍!!」」

 

対岸から声が聞こえた気がする、だけど今はそれを気にする余裕はない

一撃でHPを半分以上削られる、回復アイテムを使い、魔法とスキルをとことん叩き込む

 

気づけば周りにはたくさんのプレイヤーが群がる、大抵はボスの魔法の余波で斃されるが…特に両隣に陣取ってきた銀色の剣士と緑の剣士は一切怯みもせず攻撃を叩き込み続けていた

 

青葉/アルビレオ「「トリプルドゥーム!!」」

 

3段突きが二重のエフェクトを伴い、ボスのHPを削り切る

 

ボスが消滅すると同時に当たりのモンスターは消え去り、天から宝箱が降る

 

周囲のPCが口々にMVPと呼ばれる存在を探す声をあげる

 

青葉「…MVP?」

 

オルカ「あの重槍使いさん達じゃない?最初に殴ってたし」

 

顔をあげ、正面の重槍使いと目が合う

 

青葉「あっ…」

 

アルビレオ「……」

 

確かに、つれている…赤い髪の、小さな女の子…

目を閉じ、裸足で歩いている様子の…

 

アルビレオさんがコツンと宝箱を叩くモーションを取る

私の"視界"の宝箱は開かなかったが…きっとアイテムを手に入れたということか

 

オルカ「なんだった?アイテム」

 

アルビレオ「……すまない」

 

そう言ってアルビレオさんはタウンの奥へと帰っていった

 

青葉(…私も、開けるだけ開けようかな…)

 

青葉「えっ」

 

オルカ「おっ、そっちもMVPだったんだ、パーティー?」

 

青葉「いや、そういうわけじゃ…」

 

バルムンク「なら、同時に2人がMVPか、初めてみたな」

 

オルカ「マジか、すげえな!で、何が貰えたんだ?」

 

青葉「えと…ホームの、キー…」

 

 

 

 

双剣士 カイト

 

カイト「…よし、イベント、終わったみたいだね」

 

ブラックローズ「…ボッコボコにされたな…」

 

カイト「まあ、それよりも……怪我はなかった?」

 

トキオ「…えと、は、はい…」

 

…関わり抜くと決めたなら、これもまた、いいと思えることなのなら

もう躊躇わない

 

ブラックローズ「学生服のPCなんてエディットできたか…?」

 

カイト「ちょっと普通と事情が違うみたいだね」

 

トキオ「え、えと…オレ、トキオって言うんだけど…」

 

カイト「僕はカイト、こっちはブラックローズ、よろしくね」

 

トキオ(な、なんで石にされたはずのカイトが……あ!そうか、ここは過去だからまだ石にされてないんだ…!)

 

トキオ「あ、あのさ、カイト?クロノコア…って知ってたり…?」

 

カイト「クロノコア…?」

 

カイト(司が、前に口走ってた様な…)

 

トキオ(し、しらなさそう…うん、他をあたった方がいいよなぁ…)

 

ブラックローズ「あ、カイト、悪いけど落ちる、見舞いに行かないと」

 

カイト「わかった、僕も一旦落ちるよ、トキオ、これ僕のメンバーアドレス、良かったら誘って」

 

トキオ「え?」

 

カイト「冒険、力になるよ」

 

カイト(一度関わったのなら、とことんやりきる、自分が手を出した以上、未来を変えてしまったのなら責任は取らなきゃいけない…それが今の僕が思う、良いと思ったことだから)

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