元勇者提督   作:無し

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コンディション

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綾波

 

綾波「ハワイですか」

 

朧「うん、アタシが離島を統括してたときにね」

 

綾波「ハワイは一切問題ありませんよ、早期に対策してたのでかなり安定した方だと思います」

 

朧「ホントに?じゃあなんで救援要請なんて…」

 

綾波「そこが私の調査してる点です、見当はついてますけどね?」

 

簡単な話だ、日本は小国なのに艦娘システムが進み過ぎている

台湾は中国のすぐそばなのに一年と保たなかったではないか、艦娘システムなしに長期間島国が耐えるなんて普通は無理

まあそもそもは日本が作り出したシステムだけど…

 

綾波「技術は盗むモノです、しかし現地にスパイを送るのも一苦労だ」

 

朧「それで?」

 

綾波「アメリカも2つのスパイを使い、上手くやろうとしてるんですが…なかなかどうして上手くいかない」

 

朧「…2つ?」

 

綾波「知ってますか朧さん、日本は所謂スパイ天国と呼ばれています、その国の人間をスパイに仕立てあげたりもされたりされなかったり…今離島鎮守府には2種類スパイがあるんですよ」

 

朧「…よくわからないんだけど」

 

綾波「1つはアメリカから来た人たち、そしてもう一つは、国内から来た人…の、中の1人」

 

朧「……誰?」

 

綾波「身元がハッキリしない人が1人だけいまして、追えば追うほど罠が張られている、ここまでくると確実にブービートラップ、マヌケが引っかかって情報を抜かれるか、追われてることに気づければいい程度のものですけどね」

 

朧「だから、それ誰なの?」

 

綾波「清霜さんです、彼女はどうやらスパイとして育てられた様だ、詳しく調べてみるとアメリカが仕組んだところまでは掴めましたよ」

 

朧「…清霜か…」

 

朧(…本当に…?私はあんまり後から来たみんなを知らないけど…)

 

綾波「まあ、朝霜さんも早霜さんもスパイとして送り込まれてるんですけどね」

 

「日本政府のですが」と補足しておく

 

朧「…本物のスパイ天国じゃん…」

 

綾波「天国というか、スパイアイランドですね、でも情報交換の手段はほとんどないはず、そこまで怖がることもないでしょう」

 

それよりも警戒すべきは別に有るはずだ

深海棲艦が欧州で進化をしているのは比較的に艦娘の戦力が弱いからだろう、だが…

 

生物の進化は過酷な環境ほど早い、適応する為に…

 

綾波「さて、明日はお仕事にいきましょうか」

 

朧「え?どこに」

 

綾波「フィリピンやインドネシア、パプアニューギニアなどが今どうしてるかわかりますか?」

 

朧「えっと…どんな国だっけ…」

 

綾波「全部島国です、日本より小さなね…助けを求めてる人は多い…」

 

進化とは適応だ、ヨーロッパでは艦娘との戦いが優勢だったが、内陸へは攻め込めない、その為にああ言うドイツの様な形になったのかもしれない

日本の近海はどうだ?気づいてないだけで進化しているのではないか? 

だとしたら、他の国は?

 

綾波「軽ーく、戦ったら戻ります、2日ほどで帰ってこられますよ、良いですね?」

 

朧「みんなを呼んでくる」

 

綾波「ま、その前に…ジェーナスさんと神鷹さんの転校手続き、完了させてきますので」

 

ジェーナスさんは選択権はない、働けない年齢なのでとりあえず学業に従事させることで方針は決まっていた…本人は抵抗したけど…

 

朧「…それは良いんだけどさ、ここって訓練メニューとかないの?アタシ含めてみんな多少の自主トレーニングくらいしかしてないよ」

 

綾波「一気に人数が増えたから忙しいだけでルーティンは組んでます、まぁ今回は全戦力出撃させますけど」

 

朧「マックス達も?」

 

綾波「はい、今回向かう先にいるのは弱い深海棲艦だと踏んでいるので実践経験を積むにはもってこいなんですこの辺の雑魚を狩ると目撃されかねませんからね、誰かに」

 

朧「…要するに、ゲームでいうレベリングか…」

 

綾波「ちなみに艦娘システムにはレベルというか、戦力を数値化するシステムも組んでますよ、純正のやつだけなので朧さんは外れてますけど」

 

朧「え、そうなの?」

 

綾波「ポーラさんは25でザラさんは70、ガングートさんは60でタシュケントさんは75って感じです、大体ですけどね」

 

朧「ガングートさん、思ったより強いんだね」

 

綾波ちなみに川内さんはナノマシンも純正艤装も使ってないのにあの強さです、純正を使い始めて碑文を使われたら正直…レベルでは表せませんね」

 

朧「綾波は?」

 

綾波「さあ、今は90とかその辺じゃないですか?」

 

朧「今が2%だから…4410くらい?」

 

綾波「インフレもいいところですね」

 

朧(それによく勝てたよね…)

 

綾波「あなた達は私にかけ算をみせてくれました、チームの力を、仲間の素晴らしさを」

 

朧「…綾波」

 

綾波「と言うのは建前で…実際問題、なんで負けたのかわからないんですよね、数値的に明らかに私が勝てる戦いだったのになぁ…」

 

朧「……ナニソレ、ちょっと感心してたのに」

 

綾波(…やはり素直な気持ち、と言うのは苦手だな…相手の感情を操作するのは得意なのに、自分の感情をひけらかすのはどこか小恥ずかしい…つい逃げたくなる)

 

綾波「連携の力自体は評価してるんですよ、なんで負けたのかいまだにわからないだけで」

 

朧「…気持ちの問題、綾波をみんなが救いたいって思って、負けないって信じて戦ったから勝てた」

 

綾波「そう言うことにしておきましょう」

 

朧「…もう」

 

 

 

翌日

 

輸送機内

 

ガングート「いきなり実戦投入か、気が早いな」

 

グラーフ「それより…アークロイヤルとビスマルクは初出勤、ジェーナスと神鷹は初登校だぞ、帰って誰もいないのは寂しいんじゃ…」

 

綾波「そこは抜かりありません、クローンの私が対応する事になっています」

 

朧(出た、クローン…と言うか、この綾波もクローンなんだっけ…?)

 

綾波「まあ、もう製作予定はないので機材とかを粉々にするのがメインの仕事ですけどね」

 

グラーフ「…クローンか、恐ろしいな」

 

綾波「クローン系の映画は嫌いですか?」

 

グラーフ「…無限に現れる敵、そして味方すらも無限…終わらない戦争なんて恐怖しかないだろう」

 

綾波「意外と可愛いとこあるんですね」

 

グラーフ「……欠点だ」

 

綾波(…あなたの欠点はそこじゃ無いんですよ、今から教えてあげます、あなたの欠点を)

 

 

 

 

 

 

フィリピン

 

レーベ「はぁ…はぁ…!つ、疲れた…!」

 

マックス「生きてる…死ぬかと思った…」

 

綾波「被害報告」

 

ガングート「旗艦被害なし、僚艦レーベとマックス被害なし、ザラ被弾1、被害軽微、グラーフ被害なし」

 

綾波「よし、撃破報告」

 

ザラ「駆逐級5、戦艦級4、巡洋艦級12、空母級2」

 

綾波「消費した物資は」

 

グラーフ「戦闘機一機が堕とされている、弾薬は駆逐艦用が62発、巡洋艦、副砲用が31発、戦艦用21発、魚雷は17を使用、機銃用弾は6キロ消費」

 

綾波「……なるほど、堕とした艦載機は」

 

マックス「5機」

 

レーベ「12機墜とせたよ」

 

綾波「…よし、敵を合計23体撃破、使用砲弾は総合計で114発、砲弾だけを見れば十分な撃破数ですが、魚雷17本のうち有効な使い方ができていたのは6本だけ、それと命中0です」

 

レーベ「うう…ごめんなさい」

 

綾波「責めているんじゃありません、あなた達は艦娘システムを使い始めて日が浅いですし、焦ることは何もありません…午後は魚雷の使用を重点的に、できるだけ魚雷でやりましょうか」

 

マックス「はい」

 

綾波「それと、3時間、7度にわけての戦闘で114発は消耗を抑えすぎです、物資なんていくらでも用意します、馬鹿みたいに無駄遣いしろと言うわけではありません、あなた達なら有効に使える…ちゃんと使いなさい」

 

ガングート「…だが…」

 

綾波「いいですか、物資なんてどうにでもなります、何よりも大切な物は命です、砲弾100発で自分の命が守れるなら、人の命が救えるなら湯水の様に使いなさい」

 

ガングート「……わかった」

 

綾波「しかし、使い方が悪い物…魚雷では無いのですが、指摘しておくべき点もありました…対空機銃ですが、照準で追いかけながら撃つのは構いません、しかし明らかに当たらない状態で撃ち続けるのは良く無い…」

 

反省会をそこそこに昼食を挟む

 

綾波(午前中はボロが出なかったが、午後はわからない…)

 

綾波「タシュケントさん、グラーフさんに何かあったらすぐさま回収できるようにしておいてください」

 

タシュケント「え?」

 

綾波「グラーフさんはおそらくミスを犯します、それも致命的な」

 

タシュケント「……わかった」

 

綾波(あとはガングートさんも問題アリですね、わかっていたけど…恐れていない、バトルジャンキーと形容されたのは無闇に挑む姿より戦いにおいて恐れを見せない姿勢が原因でしょう)

 

ガングートさんを矯正するのは後だ、グラーフさんをどうにかすることを優先する

 

 

 

 

 

海上 

正規空母 グラーフ

 

グラーフ「左舷!!」

 

レーベ「了解!」

 

ガングート「全体!輪形陣から複縦陣に!グラーフ!敵機を堕としてくれ!」

 

グラーフ「了解した!」

 

戦闘機を操り、航空戦を…

押されて、いる…?

 

グラーフ「…なっ…ま、まずい…!」

 

ガングート「グラーフ!移動しろ!そこじゃ直撃をもらうぞ!」

 

今は先に空を取り返さないといけない

 

グラーフ「それどころでは…ない!!」

 

航空機の隊列を組み直そうとするものの、次々と堕とされる…

 

タシュケント「…撤退!」

 

グラーフ「何!?」

 

タシュケントに艤装を掴まれ、無理矢理連れられる

 

グラーフ「離せ!まだやれる!」

 

ガングート「撤退命令が出た!従え!」

 

…航空機は、戻らなかった

 

 

 

 

 

綾波「グラーフさん、こうやって2人きりで話すのはコーヒーを飲んだ時以来ですね、リラックスしてください、怒るつもりはありませんから」

 

グラーフ「……」

 

居心地が悪かった、出されたコーヒーは味がしないし、時間が経つほどに自分のやったことの危険性を認識していく

 

綾波「あなたは、失敗するべくして失敗している…だってあなたは失敗に学んでいないから」

 

グラーフ「…何?」

 

綾波「グラーフさん、あなたとガングートさんの違いは?リシュリューさんとの違いは?タシュケントさんとの違いは?……悪い意味で、あなたはザラさんとよく似ている…」

 

グラーフ「…艦種ではないのだろう…」

 

綾波「敗北してるか否かです」

 

グラーフ「…それが、どうなんだ」

 

綾波「あなたは航空機を操る技術は一級品だ、空母としてはかなりの練度を誇る…だけど、それが逆に悪い」

 

グラーフ「何が悪いんだ」

 

綾波「自分1人でどうにかしようとしましたね、確かにガングートさんはあなたにサポートを求めましたけど…自分を過信しすぎです」

 

グラーフ「…私では深海棲艦の空母に劣る…と?」

 

綾波「そう言う時もあります、誰だって調子が悪い時がある、疲れが出る時がある、コンディションが悪くて全力を出しきれない時がある…あなたは今日、そうなった…なるべくしてね?」

 

グラーフ「…どう言う意味だ」

 

綾波「ガングートさんは荒々しい戦い方をしますが…決して1人では戦わない、艦隊として戦っていました」

 

グラーフ「…私はそうでは無いと?」

 

綾波「ええ、あなたは飛行場じゃない、何の為の副砲ですか?」

 

グラーフ「火力が低い、これに頼るなら…」

 

綾波「その考えは真っ当です、しかしあなたに対して私が求めてるのは艦隊としての行動です、艦隊と敵の距離、把握してましたか?」

 

グラーフ「…ああ」

 

綾波「駆逐艦、射程外でしたよね?支援を求められる場面でした」

 

グラーフ「…そう、か…」

 

綾波「レーベさん達にはそれが把握しきれませんでした、あなたもそれを把握できなかった…レーベさん達は経験不足、貴女は自分の実力を過信し、艦隊としての行動に興味を持たなかったから」

 

グラーフ「…それは…そうかもしれん」

 

綾波「何より、気にして欲しいのは陣形です、複縦陣に陣形を変更した際、あなたは自分の配置に移動しなかった…いや、できなかったと言うべきか…艦載機の操作に集中したかったから」

 

グラーフ「…そう、かもな…」

 

綾波「はっきり言います、あなた弱いです」

 

グラーフ「…何?」

 

綾波「いいとこ中の下です、頑張ってその程度なんです、あなたは弱いんです、1人で戦って勝てるわけないんですよ」

 

グラーフ「……」

 

不満を口に出すにも、何といえば良いのか検討もつかない…

私が弱い、そんなわけがないと否定しようにも…

 

綾波「弱い自覚を持ちなさい、そうしないと死にますよ」

 

否定しようと言う考え自体が間違えなのだ

 

綾波「弱いから考えるんです、あなたは操作は一級品、型の通りキレイなパレードは得意かもしれませんけど、これは戦争…あなたのやってるのは御行儀のいい劇です、しかも主演、助演、演出、台本以外全てあなたのね」

 

グラーフ「……猛省する」

 

綾波「よろしい」

 

綾波(グラーフさんなら、理解できるだろう…)

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