元勇者提督   作:無し

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問題児

駆逐艦 島風

 

「おー、最新置いてあるよー」

 

「これ?……4万円…!」

 

「安いね!」

 

「これで安いんだ…」

 

「うん、かなり、作るのに数倍かかるらしいから…」

 

「…北上さんにも言われてるし、買うかぁ」

 

「よーし!これがあれば1日遊べるよ!」

 

「島風ちゃんが元気でよかったよ…うん」

 

「楽しければ私は元気だよ?出撃はしんどいからやだ」

 

みんなそうなのに、変な明石さん

 

「……成る程、確かに、それが普通…か、確かにそっか…」

 

何を考え込んでるんだろ

 

「明石さんも出撃したく無いんでしょ?」

 

「……考えた事ないなぁ…できることしかやってこなかった、何とか役に立てれば、ってずっと……」

 

役に立てれば?

 

「それってどういう事?」

 

「……できるだけ何があってもみんなを守れるように、とか…」

 

「戦わないのに?」

 

「前線で戦うだけが戦いなら、私達は戦ってないかもしれない、でも、私は工作艦だから、私はみんなの装備をよくしたり、少しでも修理をしたりするのが戦いかなぁ」

 

ゲームの役割みたいな感じかぁ…回復役なんて好き好んでやる人いないと思ってた

 

「変なの」

 

「……変かな」

 

「変だよ、私は力なんかいらない、別に守りたい人もいないもん」

 

「じゃあ、そんな人ができたら、きっとわかるよ」

 

「……そうかなぁ…」

 

「……もしかして、島風ちゃんは…自分以外の誰かの事を覚えてるの?」

 

自分以外……

 

「どういう事?」

 

「…そう、例えば…建造される前のこととか」

 

……暗い…

 

「暗い…」

 

「暗い?」

 

「暗い所で終わった夢」

 

「……島風ちゃんの記憶じゃないな、それは…前の、あなたの艤装を持っていた人の夢、だと思う」

 

「どういう事?」

 

「…艦娘っていうのは、艤装を外せば完全に人間と同じになるの、これは実験とかもあったんだけど、全く…例えば力とかも人間と同じになる、などと艤装をつけられない代わりに、ただの守られる側の一般市民になれる、記憶の消去処理もしてね」

 

「記憶まで消されるの?」

 

「そう、多分記憶は正確には艤装が引き継ぐんじゃないのかな…それで、島風ちゃんはその記憶を持ってるんだと思う」

 

「解体された人は?」

 

「ちゃんと戸籍を与えられて自由に生きられるわ、艤装に触れる事は永遠にない、触れても作動しないから…」

 

「私の艤装は…連装砲ちゃんって言うんだけど、あの子は、他の人の艤装とは絶対に違う」

 

「うん、まるで意識があるみたいに1人で駆け回る、初めて見たけどすごいと思う」

 

「…違う、意識があるんだよ、あの子達は…だから…私が嫌いなんだ」

 

「嫌い?」

 

「多分前の持ち主だった島風は、すごくいい子だったんだと思う、強くて人の役に立てる人、私みたいにものぐさじゃない人だったんだと思う…だから、私に前の島風の記憶を…」

 

「……技術者としては…あんまり考えられないことだけど…でも、島風ちゃんが不安なら、調べてみましょう!艤装に意思があるとしたら…これは新しいことがいろいろわかるはず」

 

「ありがと、明石さん」

 

真剣に聞いてくれるとは思わなかった…

でも、これでよく眠れるかも

 

 

 

駆逐艦 曙(青)

 

「高雄ー…まだ?」

 

「まだよ、あと少し…」

 

「何回目かしらそれ」

 

「……でも、気持ち良くない?」

 

「…あんまり」

 

 

 

 

「……なんか逆に雰囲気で肩凝っちゃった」

 

「あー、私こんなにつやつやよ?」

 

「…わたしは元がもちもちすべすべだから変わらないのよ」

 

「行きたいって言ったの誰だっけ、このクソガキ」

 

「私よ?歳を食ったらどうしたらいいかなぁって思ってね」

 

「………」

 

「………」

 

「…虚しいわ」

 

「そうね」

 

「「……はぁ…」」

 

 

 

 

 

 

倉庫街 軍港

 

「一番乗りよ!」

 

「…誰もいませんね」

 

「………船もまだ来てないわ…」

 

「少し残念ですね」

 

「天龍さん、時間わかる?」

 

「…携帯によるとヒトナナサンマル、あと三十分あります」

 

「早すぎたかしら…」

 

「そのようですね…誰もいないのは気になりますが」

 

「……私たちが時間を間違えたって可能性はない?」

 

「はい、この携帯の時計はデジタル、回線による通信ができなくても自動的にしっかり時間は進むし…」

 

「じゃなくて、集合時間を間違えてない?って」

 

「間違ってたら連絡が来るかと…」

 

「よねぇ…逆にこっちからかけてみる?」

 

「わかりました…………出ない…?」

 

「…ちゃんと操作わかる?ちょっと貸してみて…ってこれ留守電じゃない……」

 

「ごめんなさい、触ったことなくて…」

 

「大丈夫、待ってね、今からかけるわ…もしもし?今どこ?明石さんはそっちにいる?………え、迷ったの?」

 

「迷ってるんですか?」

 

「みたいね…今どこ?あと30分ないわよ…?えー…?携帯にマップあるじゃない…何で使えないのよ…」

 

「何かありましたか?」

 

「…極度の方向音痴が居たみたい…」

 

「アオボノさん…?」

 

「じゃないわ…ねぇ、タクシーは?……わかったから、払ってあげるからとりあえず来て…じゃ…」

 

「……お財布落としたんですか?」

 

「エステで吹っ飛んだらしいわ…レディーなら自分でお肌の手入れくらいしなさいよ全く!ぷんすか!」

 

「……その…お疲れ様です…」

 

「問題は明石さん達ね、あの2人は電話が無いから…横須賀鎮守府集合にでもすれば良かったわ…」

 

「暁さんって意外としっかりしてますね…」

 

「意外とは余計よ!落ち着いて計画すればこのくらいレディーは当たり前なんだから!」

 

「でも、本当に何かあったら困りますね…あ、あれ、連絡船でしょうか」

 

「来たみたいね…船だけ…せめて横須賀鎮守府発着にしてほしいわ…」

 

「でもここを頻繁に使うことで防犯の意味もありますから…」

 

「そうなの?」

 

「……一応、聞いたところによると、もともとこう言う人気のない港はそう言う目的で使われることが多かったそうで…だから軍のものにしたと……」

 

「へぇ…詳しいのね」

 

「気になってしまって…でも、本当に人気がないですよね、神奈川の、それも横浜なのに」

 

「灯台下暗し、使い方は違うけど…此処は光が届かないのよ」

 

「難しい言い回しですね」

 

「レディーだもの」

 

「あ、いたいた!おーい!」

 

「島風さん、間に合ってよかったです、明石さんは?」

 

「ん」

 

「………私の目がおかしくなければ、大量の荷物を1人で運んでるけど」

 

「…手伝いましょう」

 

「島風も行くわよ!」

 

「えぇ……」

 

 

 

「はい、これ」

 

「ありがとうございます、失礼します」

 

「……本当に助かりました、ありがとうございます…」

 

「…ありがとう…暁…」

 

「……お二人とも何に使ったんですか…」

 

「…私はこれ…最新の端末が欲しくて」

 

「…その、美容器具を……あと移動費…」

 

「タクシーで20分で戻れる距離なのにそんなにお金使ったの…?」

 

「いや、高雄が優雅にタクシーでいろいろ回ろうって」

 

「私1人のせいにしないで!?」

 

「2人とも同罪ですねこれは…」

 

「はぁー…出港時間だし、そろそろ行きましょ?」

 

「……ご迷惑を…」

 

「おかけしました…」

 

 

 

 

船上

 

「天龍さんすごく絵になるわ…!」

 

「暁ちゃんのセンスが良かったね白のワンピースと帽子、海風に靡いてまるでお嬢様みたいで素敵ですよ」

 

「…そんな……」

 

「もう!照れない!似合ってるんだから!」

 

「………嫌がってるんじゃ無い…?」

 

「…その…ちょっと…嫌です」

 

「そうだったの!?ごめんなさい!何が嫌だったかしら!」

 

「………あの…私は別にお嬢様なんかじゃなくて…」

 

「………」

 

「そんな事?別に気にせず堂々としてなさいよ、その方が服もアンタも幸せよ」

 

「アオボノちゃん、やめときましょう、本人が嫌だと言ってますし、天龍さん、ごめんなさい」

 

「いえ…その、こちらこそ」

 

「…ねぇ明石さん?」

 

「え?なに?暁ちゃん」

 

「……機械って潮風に当たっていいものなの?」

 

「………一応奥にしまっておきますね」

 

「私も手伝う!」

 

 

 

 

離島鎮守府

 

「はー、疲れた」

 

「お疲れ様、晩御飯まだだよね、準備できてるよ」

 

「クソ提督、仕事は終わってるんでしょうね」

 

「大丈夫、データ兵器についても輸送用意を手配しておいたよ」

 

「………ん…?…あ!名前…!」

 

「どうしたの?明石」

 

「………ヘルバさんの名前…聞いてない…」

 

「……機会があったらオフ会に連れていくよ、ヘルバは参加した事ないけど…」

 

「それより司令官、私アオボノと高雄にお金貸したから」

 

「暁、お金の貸し借りは…あれ?そっちの2人が借りたの…?」

 

「………」

 

「ごめんなさい、初めての本土で調子に乗りました…」

 

「………今後気をつけてね、そっちの大量の荷物は…お土産みたいだね、みんなを呼んでくるよ」

 

「…今日は眠れない夜です」

 

「島風さん、明日の出撃忘れないでくださいね」

 

「………初陣です」

 

「私もです」

 

「そっか、バタバタしてたから機会逃したのね、明日は私はお休みだけどわ、お迎えしてあげるわ!」

 

 

 

 

「おー!さすが明石!」

 

「……お金は払ってくださいね」

 

「……了解、しっかりしてるね、流石に」

 

「当然です…」

 

 

 

「暁、ありがとう」

 

「これすっごく可愛いわ!私たちも早く本土に行きたいわね!」

 

「次は3人でまわりましょう!」

 

 

 

「ほら、これ…」

 

「ぼのたん!質問です!自分より幼い子からいくらカツアゲしたんですか?」

 

「アオボノちゃん、あんまりそう言うのは良くないよ…?」

 

「曙、猛省しなさい」

 

「………わかってるわよ」

 

「ま、アタシたちのお土産にお金使いすぎたみたいだし、強く言えないね」

 

「……朧…!」

 

「でもこれ、アタシあんまり好きじゃないから後で別のやつにしてね」

 

「…はい」

 

「ボーロから一番愛を感じる…」

 

 

 

 

「あー!もうマジでアタシも行きたかったぜ!」

 

「摩耶は一度抜け駆けしてるじゃない」

 

「怒られます」

 

「今回は選ばれてたら問題ないんだろ!?次は選んでくれねぇかなぁ…」

 

「自分の休みに行けば…?」

 

「同意」

 

「しっかし…美容グッズしかねぇのは………」

 

「要らないわね」

 

「………」

 

 

 

「ほら、夕張、約束のもの」

 

「………!これで!これで!私のパソコンちゃんが…!」

 

「……横須賀鎮守府からいい加減取り寄せれば…?」

 

「誰かに触られたら酷いことになるの、来季には正式に戻るし、その場凌ぎとしては十分よ」

 

「やっぱり帰るんだ?」

 

「………ま、それはね」

 

「………そっちの青葉さんによろしく」

 

「電ちゃんには?」

 

「…お寿司食べすぎないように言っておいて」

 

「了解よ」

 

 

 

 

 

「おぅっ…強い…?」

 

「鎧袖一触です」

 

「加賀さん思ったよりうまいんですね」

 

「翔鶴、相手なさい、その思い上がりを正します」

 

「ウェッ!?私ですか!?」

 

「あらあら、翔鶴さん頑張って?」

 

「………千代田もやってもいいかな…」

 

「いいと思います」

 

「島風さん、チーム戦にしましょう、貴方と私なら鎧袖一触です」

 

「はい」

 

 

 

 

「助かるよ、ヘルバ」

 

『月の樹も一枚言わなばない、これに対する対策も必要だ』

 

「自分で作ったものを破壊する用意が要るなんてね、秘密基地に自爆ボタンがある理由がよくわかるよ」

 

『此処までのものなら当然だ、それと、スケィスを捉えた』

 

「………次はこっちが仕掛ける番だよ」

 

『わかっている、消波作戦、だったか?』

 

「………オペレーション、テトラポット…」

 

『再び、だな、任せておけ、準備はしておく』

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