元勇者提督 作:無し
Link基地
綾波
綾波「今日の演習の予定は」
ガングート「3時間おきに計4回だ」
綾波「相手は」
ガングート「大湊、呉、佐世保、それと…もう一度佐世保…なぜ2回同じ敵と戦う?」
綾波「ある程度戦術を把握したうえで再戦する、これにより互いに戦い方が変化します…考えて戦うと云う面での成長を促すんです」
ガングート「そうか…さっさと大湊に行こうか」
綾波「私は顔を見せるわけにはいきません、今日はLinkのトップは狭霧さんということで…おや、噂をすれば……」
…ニヤニヤとした狭霧さんが入ってくる
すごく嫌な予感が頭を支配する
狭霧「私がトップですかー、ガングートさん、聞きましたよね?」
ガングート「あ、ああ?」
狭霧「…綾波さん、ちょっとこっちに」
綾波「え、ちょっ…な、なにを!やめなさい!私にはまだ仕事が…」
狭霧「あーもう、あんまり暴れないでください、髪痛いですよ?」
綾波「髪をいじるな!な、なにを…眼鏡なんか要らないですよ!」
狭霧「はーい、おとなしくしましょうねー………よし、これでいいでしょう、あとはカラーチョークで髪の色を変えて…はい、完成」
ガングート「…おお…」
綾波「何するんですか…!」
狭霧「あ、そうだ、あとこれ…名札です」
綾波「…名札?……天霧…」
狭霧「今日は一日そう名乗ってくださいね」
天霧「は…?」
狭霧「演習には参加してもらいます、髪型、髪色、それに弱いですけど度の入った眼鏡だし…印象はかなり違うでしょう?」
ガングート「…おーい!みんな来てくれ!」
天霧「ガングートさん!呼ばなくていいですから…!」
狭霧「まあまあ、見てもらいましょう?ほら、鏡見てください」
天霧「……へぇ…」
狭霧「一見別人、よく見るとよく似た別人…といった感じでしょう?」
確かに、これで後は…
天霧「綿は」
狭霧「はい、あーん」
両頬にワタを押し込み、輪郭を変える
これならメイクのように簡単に落ちる心配もない、中途半端にメイクするより断然いい手段…
所作に気を付けて神通さんを騙せれば上出来か
狭霧「喋り方も変えましょう?」
天霧「…いや、それは不要です、つい素の口調が出た時が面倒です…」
タシュケント「綾波…じゃない?だ、誰?」
リシュリュー「お客さん?」
ガングート「いや、綾波だぞ、変装だ」
綾波(ワラワラと集まってきたか…めんどくさいな…)
タシュケント「ホントに綾波?」
天霧「ええ、声も若干違うでしょうが中にワタを詰めてるんです」
リシュリュー「ホントに何でもできるわね…」
天霧「……私じゃなくて、こっち」
狭霧を指す
狭霧「メイクに変装お任せあれ…なぁんて、でもこれで一緒に演習できますね?」
天霧「…加減して参加しろと?」
狭霧「むしろ全力で行きましょう、どのみち出せる力はセーブされてますし、気付かれたら本気で殺しに来ますよ?」
天霧「……」
確かにそうだろう、全力で殺しに来る恐れも十二分にある
…今はまだ早いんだ
タシュケント「うーん、なんか…いいかもね、その感じも」
リシュリュー「スポーティーというのかしら?」
天霧「…どうでも良いので、さっさと行きますよ…」
朧「綾波」
朧さんがこちらに何かを投げる
天霧「……香水?」
朧「匂いでわかるし、アタシ多分呼び間違えるからさ」
天霧「…失礼ですけど、持ってたんですね、こんなもの」
朧「…まあね」
天霧「使わせていただきます…」
綾波(慣れないな、自分から別の匂いがするの)
天霧「とりあえず、私の名前は天霧…ということで」
リシュリュー「なるほどね、わかったわ」
大湊警備府
狭霧「本日はよろしくお願いします」
徳岡「あ、ああ…?あー…あんたらの代表は?」
狭霧「私が正式な代表になりました、よろしくお願いします」
徳岡「は、はあ…?」
まあ、そんなに簡単に代表が変わる組織なんて信用が置けないだろうが…今日は実験だ、黙って見ているとしよう
狭霧「こちら編成表です」
徳岡「…8人部隊…か…ホントにこっちは12でいいんだな?」
狭霧「ええ、6人艦隊2つでどうぞ…私達も対多数の戦闘訓練を積んでおきたいので…」
徳岡「……それはいいんだが…アンタらここでウチを除いて3回も戦うんだろ…?」
狭霧「私たちの戦場は基本的には国外です、そうなると補給をしながらの戦闘とは行きません、継戦し続けられるように日頃から体力をつけておかなくてはなりませんので」
綾波(カンペ通り…ですね)
狭霧「さて、始めましょう」
天霧「…私も参加するのですか、本当に…」
狭霧「いいえ、大湊では必要ありません、天霧さんは対多数戦闘に慣れすぎています、呉と佐世保で起用します」
天霧「ホントに戦わされるのか…ああ…もう…」
狭霧「大湊は駆逐隊としての運用が多い、今回は前みたいな無様を晒してくれないんじゃないですか?」
天霧「そうですね、おそらくは前の夕立さんや白露さんのような甘えた動きはないでしょう」
狭霧「作戦も私が決めますか?」
天霧「いいえ、もう出してます、各々の判断で動けと」
狭霧「わかりました、それで進めましょう」
天霧「編成は」
狭霧「旗艦リシュリューさん、そしてガングートさん、グラーフさん、ザラさん、ポーラさん、朧さん、タシュケントさん、ユーさん」
天霧「勝たせるつもりないんですね」
狭霧「当たり前です、最初は肝心ですから、絶対に勝ちましょう?」
天霧(…ユーさんはかなり弱気な戦い方をするけど、チームとして動くなら問題はないはず…)
狭霧「さあ、始まりますよ…それと、天霧さんも持っておいてください」
刀を渡される
綾波(…軽い…竹光か)
狭霧「刀身が竹なので斬ることはできませんが…演習なので、今回は川内さん達にもこれを配るつもりです」
綾波「なるほど、わかりました」
狭霧「皆さんにも持たせていますし、今回は近接戦闘の練習でもあります、CQBテストは常日頃からしていても近接武器の扱いには慣れていませんから…」
天霧「……始まった」
演習自体はとっくに始まっている、要するに…会敵した
天霧「五月雨さんの射程です、ガングートさんは何発耐えられるか…」
狙撃を得意とする五月雨さん相手にガングートさんは何発を受け止められるか、どれくらい艦隊を推し進められるか…今回一番気にするべき敵は…
狭霧「今回一番警戒するべきはだれだと思いますか?」
天霧「勿論…睦月さんです」
駆逐艦 睦月
睦月「五月雨!敵の位置報告!」
五月雨「南南西!狙撃開始!行きます!」
雷のような音ともに弾丸が艦隊の間をすり抜ける
五月雨「防がれた…!有効打になってません!」
睦月「戦艦相手は仕方なし!第一艦隊!前へ!睦月達は大回り!白露!夕立!五月雨の援護!」
全体に指示を通してから動き始める
睦月「皐月と文月はついてきて!魚雷準備は!」
皐月「大丈だよ!」
文月「おっけ〜」
睦月「第一艦隊の戦闘中に最後尾の旗艦だけを狙い撃ちにするよ!」
睦月(時雨達がうまくやってくれれば…大金星だにゃ)
駆逐艦 朧
ガングート「ぐっ!!…装甲が吹き飛んだぞ…!」
着弾の音がまるで爆発のようにあたりに響く
朧「五月雨の狙撃、キツイね…ガングート!次アタシが受ける!」
ガングート「なっ…冗談だろ!?演習とはいえ死ぬぞ!」
朧「いいから!」
脚部艤装を起動し、ガングートの前に出る
脚を振るい、意識を集中して迫る弾丸を探す
朧「はぁッ!!」
脚に若干痺れる感覚を残すものの、弾丸が砕け散る
ガングート「なっ……?」
タシュケント「ガングート…キミが挑もうとしてたのはこういう相手なんだよ」
ガングート「…あの時戦った相手がタシュで良かった…」
朧「前方!6人来るよ!」
朧(時雨、村雨、涼風、長月、菊月、望月……やっぱり弥生は居ない!これならアタシ1人でも…)
朧「っ!!」
咄嗟で避けたが…頬を弾丸が掠める
風圧で頬が裂ける
朧(これ!ホントに当たっても防いでくれるんだよね!?死なないんだよね!?)
ガングート「朧!」
朧(1人でやろうとしたら五月雨に持ってかれるな…!それなら、おとなしくみんなでやる!)
朧「大丈夫!ガングート!タシュケント!換装しつつ戦闘!行くよ!CQB!!」
艤装を起動して海を蹴り砕く
周囲に衝撃を飛ばし、大きく波を立たせる
朧「グラーフ!!」
グラーフ「わかってるが…!なんだ、こいつら…艦載機が、落とされて…!」
朧(対空を徹底してる…!グラーフの艦載機でも落とされるなんて…)
グラーフ「ダメだ!まともな支援は期待するな!」
朧「大丈夫…!タシュケント!ガングート!」
荒波が視界を遮り、遮蔽物を作り出す
海面をかけ、敵を嗅覚を頼りに探し当て、迫る…!
朧「ガングート!会敵するよ!」
ガングート『ああ…!』
ガングートが波を突っ切り、砲撃しながら時雨達に迫る
タシュケント「朧!」
朧「タシュケント!行くよ!」
波に乗り、頂点から跳び、撃ち下ろす
上下、下は一方向だが上は二方向…
これに対応できるなら…
朧(やって見て欲しいもんだね…!!)
砲撃をとことん打ち込む
朧「座標マーク!レーダー砲撃開始!」
ザラ『フレンドリーファイアに気をつけて!』
ポーラ『撃ちますよぉ〜』
タシュケントの襟を掴み射線から外れる
徹底的な火力の集中…完全に叩き潰す…!
朧「…よし、艦隊撃破…かな?」
時雨「…っ…たた…これ、ホントに怪我はしないんだ…」
朧「立てる?手を貸そうか」
時雨「……随分余裕だね?まだ演習は終わってないよ?確かにこの荒波で五月雨の耳までちゃんと音が入らないから狙撃は難しいだろうさ、でも…」
リシュリュー『朧!戻ってきて!』
朧「えっ?」
時雨「何のために徹底的に空を潰したと思ってるんだい…?」
リシュリュー『保たない…!朧!背後からくるわ!』
朧(第一艦隊はまるまる陽動に使った!?…不味い!全部崩される!)
グラーフ『朧!ザラとポーラがやられた!ユーには敵の狙撃隊を狙わせている!』
朧「…それしか、ないか…!タシュケント!ガングート!反転して攻撃…!」
タシュケント「ぁがっ…!背中…!?」
朧「狙撃…!波が収まり始めてるから…いや、違う……まだ1人…!」
至近距離から砲撃を受ける
時雨「…あと、大破判定、僕はまだ貰ってないよ」
朧「…してやられた…か…」
ガングート「クソッ!囲まれたか!」
ガングートが包囲され、攻撃を受けて大破、ユーは五月雨を道連れにするも大破で全滅…
正直、負けるとは思ってなかった…慢心があったのも間違いない
だけど…睦月は同じ作戦に出た、戦艦を大量の魚雷で攻撃し、即座に倒す
大物狙いの大味な戦術だけど、駆逐艦のみの艦隊が危険海域を何度も通るためには必要な戦術…
それを完璧に、そして無傷でやり遂げられた…
大湊は五月雨1人の鎮守府じゃないことを改めて理解させられた…
駆逐艦 天霧
天霧「…でしょうね、そうでしょう…あの徹底した対空を見て何とも思わないのがおかしいんです、朧さん達には本当にわからなかったのか」
狭霧「それを識る為の演習です、ここでしたミスを実戦でしないために今するんですよ…朧さんやガングートさんなら、このミスを糧にできます」
天霧「……わかってますよ、とりあえず…軽い休憩を挟んだら呉の人達に対しての対策と編成を」
狭霧「もう決まってます、グラーフさんとザラさん、ポーラさん、リシュリューさんを外してプリンツさん、レーベさんとマックスさん、それから…天霧さん、あなたにも出て貰います」
天霧「……いいでしょうそれで基本戦術は」
狭霧「現場の判断に任せます」
天霧「…わかりました、後悔しないでくださいよ」
狭霧「Linkのトップとして…負けは許されませんよ?」
天霧「わかっています…が、誰が出てくるか」
川内型軽巡洋艦3名、球磨型5名…そして綾波型駆逐艦1名
天霧「…9人か、本気で勝ちに来るなら、川内型3人と曙さん、球磨さんと木曾さん…ですかね…雷巡は1人でいいし、球磨さんのテスト結果はかなり良いし」
狭霧「ですよね…私もそう思いした……どうなるんでしょうね」
天霧「さあ、とりあえず…朧さんたちを迎えに行きますよ」