元勇者提督 作:無し
大湊警備府
駆逐艦 天霧
天霧「相手が動くのは理由があるからなんですよ、わかりますか?この行動をした意味を考えなきゃいけない、読み違えても良いですから」
ガングート「…対空が徹底されてるくらいでそこまで読めというのはいささか無理難題ではないか」
天霧「そうでしょうね、でも今はそれで納得してください、時間押してるので、もう呉の人達ついてるんですよ、早く準備してくれませんか?」
ザラ「まだ10分あるじゃないですか…」
天霧「5分前行動!…完全に準備できて、点呼も終わった状態で5分前に集合、挨拶とこれが徹底できないと日本じゃ生きていけませんよ」
朧(大袈裟だなぁ…)
天霧「早くしてください!」
ガングート「…綾波ってこんなに時間にうるさいやつだったか?」
朧「んー…いや、陽が沈むのを嫌ってるんじゃないかな…川内さんいるし」
ガングート「…川内…か、早くもリベンジマッチというわけか、だがそれが何故急ぐことに繋がる」
朧「川内さんは夜が苦手なんだよ、夜だと実力を発揮できないというか…」
ガングート「なんだそれは…」
朧「まあ、色々あるんだよ…と言っても、昔よりはずっとマシになったみたいだけど」
朧(アタシは呉で過ごした事ないからどんなものかはわからないけど、かなりの夜嫌いだし)
狭霧「それでは、よろしくお願いします」
天霧「向こうの編成は」
狭霧「全員出るそうです」
天霧「…9人…?」
狭霧「はい、9人編成、呉は少数精鋭ながらに高い戦果、そして互いを深く理解しあった連携が戦果に現れてますし…何らおかしい事じゃないですよね?」
天霧「……そうですね、しかし…9人か…」
手が、足りない…誰かが2人を相手になくては…いや、それでも、まず足りない
球磨型はともかく、川内型は2人で1人を狙わないと…勝てない
天霧「……おや」
狭霧「あら」
曙「…アンタらが、他の綾波型?」
狭霧「はい、狭霧と申します、よろしくお願いしますね、曙ちゃん」
天霧「…天霧です」
曙「綾波は」
狭霧「本日外しております」
曙「そ…」
…落ち着いてる、なんていうか…
すごく、良い状態だ…何かに焦る様子もない、ギラギラとした感じではないけど…
曙「ま、よろしく」
天霧「こちらこそ」
曙「それじゃ」
狭霧「……強そうですね?」
天霧「…艤装は感情が乗るほど性能が向上します、しかし…」
感情じゃない、今までの曙さんとは違う…
落ち着いた感じ…それであの雰囲気…
天霧「…川内さん達と過ごしたことが何かを変えたんでしょうね」
狭霧「それは良い変化ですか、悪い変化ですか」
天霧「どちらとも取れる…曙さんの強さは感情を乗せた時に発揮される、だから…その強みを殺して何かを得た…と言うことになる…」
天霧「基本戦術は変えず、仕掛けるのは朧さんからです、CQB…つまり、閉所での近接格闘…これを仕掛ける戦術自体は変えませんが…絶対に川内型を巻き込まないように、アレは遠距離のみで仕留めます」
朧「うん、でも誰が仕掛けるの?」
天霧「ユーさん、レーベさん、マックスさん、魚雷での攻撃を徹底すること…レーダーで補足したら長距離の雷撃を狙い続けてください」
ガングート「川内はやらせてもらうぞ」
天霧「構いません、が…奥の手は伏せたままに…それは味方に向けるものじゃない」
ガングート「わかっている、だが充分に勝てるはずだ」
綾波(一番問題視するべきは神通さんですね…演習とはいえメイガスを起動して能力を底上げしてくるかもしれない、お遊びで済めば良いですが)
天霧「じゃ、行きましょうか…先ずは川内型を徹底して叩きますよ」
演習開始の信号弾を横目に確認して航行開始する
ヨーイ、ドンで始まるなんて、随分お優しい話だ
天霧「…レーダーに反応は」
ガングート「まだない」
プリンツ「こっちもありません」
天霧「……ま…レーダーを信用してたらどうなるかと言う勉強にもなるでしょう」
朧「…綾波、そこ危ないよ」
天霧「わかっています」
風を切る音が鳴る
朧さんが跳び上がり、槍を蹴り落とす
ガングート「なっ…ど、どこからだ!?」
朧「風上、南西6キロ」
タシュケント「…6キロ?え?」
マックス「…槍投げの世界記録ってどんなもんだっけ」
天霧「98メートルでしたっけ?しかも、低空を走るように飛ばしている…何とも恐ろしい」
ガングート「…相手は人間だよな?」
天霧「そんな考えは捨てなさい、化け物と対峙している自覚を持ちなさい」
朧「舐めてかかると死ぬよ」
タシュケント「死っ……イギリスの時よりヤバいんじゃないの…?」
天霧「当然です、相手はあの川内型…来ますよ!」
朧「…北西に他の匂いがある…そうか、みんなの匂いのついたもの持ってるだけで1人だ…神通さんは囮だよ!」
天霧「わかっています!」
砲撃を撃ち落とす
天霧「上昇気流を起こして匂いがこちらに流れないようにしていたんでしょうね…もう来てますよ!」
刀を抜き、振り抜く
川内「良い反応してるじゃん…!」
朧「えっ…!?匂いがなかった…!」
ガングート「な…いつの間に!?」
天霧「よく覚えておきなさい、物事には必ず対処法があるんですよ…!良い先生が来たものです…!」
川内「褒めてくれるの?嬉しいなぁ…!」
砲撃をしてこない、両手の短刀での徹底したインファイト…
綾波(砲撃によるカバーはフレンドリーファイアの恐れがあってできない、距離を取ろうとしても…絶妙だ、動けない…!)
川内(何で逃げようとしないかな…わざと隙を作ってるのに…それとも、退がった瞬間を狙ってるのがバレてる?なら…)
大振りな蹴りを受け止める
天霧「くッ…!?」
川内「なかなか…だね…うん、いい感じ…!楽しめそう…!」
天霧「…あなたは私の獲物じゃないんですよ」
川内「へぇ?」
天霧「狙え!」
ガングート「良し!」
身を伏せる
川内「!!」
川内(コイツの丁度真裏から砲撃…!?)
被弾した川内さんが吹き飛ぶ
ガングート「…先ずは一つ、借りを返したぞ、川内」
川内「……へぇ?深海棲艦どもとヨロシクやってたやつじゃん」
ガングート「今と前とでは違うさ…しかし、私は負けっぱなしは非常に嫌でな」
川内「おっ、気が合うねぇ…じゃあ絶対仲良くなれないかな」
ガングート「同感だ、リベンジマッチに付き合ってもらおうか」
川内「……こちら川内、抜けるよ」
天霧「…!」
綾波(川内さんが艦隊行動を外れた…てっきり威力偵察だと思ったのに、こうすると言うことは…指揮役は別だ!誰だ?神通さんと那珂さんはありえない…球磨型…?)
天霧「…いや、今考えるべきは…朧さん!!」
朧「わかってる!!」
朧さんが海面を踏み鳴らす
前方に水の壁ができるほどの水柱が上がる
朧「すっごい物量…!さすが重雷装艦3隻…!」
天霧「…いや、少なすぎる…!3隻分にしては少ない!」
ユー『南北から魚雷接近してます!』
天霧「魚雷接近してます!回避行動!」
バラバラに離れ、魚雷を何とか避ける
綾波(この魚雷…曲がってた!正面から来る大量の魚雷と左右から時間差で来る魚雷で前方と左右を完全に潰して一網打尽にするつもりだったのか…だけど、ここまでの魚雷操作術…呉にそんな事できる人…)
朧「来たよ!…那珂さんと神通さんが来てる!」
天霧「接近させないで!」
砲撃と雷撃で絶対に寄せ付けない…じゃないと、勝ち目は薄い…
綾波(ダメだ、2人とも砲撃を弾きながら来てる、砲撃を素手で弾くとか反則でしょう…!)
朧「2人で抑えよう!後の6人は任せて…」
天霧「それしかないか…!再集合して南に単縦陣で展開!敵本隊の攻撃を避けつつ接近して攻撃!ッ!!」
飛んできた刀を弾く
海面に突き刺さるように刀が浮き上がる
綾波(どこだ?何処から…!)
金属音が響く
細い管に高音が響くような音が鳴る
綾波(もう、遅い…!)
振り返りながら軽く跳び上がり、前蹴りを放つ
互いの脚をぶつけ、海面を無様に転がる
天霧「ごほっ…!ぺっ…海水が口に…」
神通「…今のを初見でかわしますか、綾波さんに聞いてたんですか?」
天霧「…そんなところです」
綾波(ワタが海水を吸ってて気持ち悪いな…ああもう…)
天霧「背後への艤装の推進力や刀と槍の遠心力を利用した高速移動、弧の中心がわかっているなら、左右どちらから来るかは関係ない…背後にだけ注意を払い、射程の外、つまりより中心に向かい、迫る槍さえかわせば大したダメージにはならない…」
神通「…ダメージになりませんでしたか?」
天霧「…いいえ、非常に効きました…」
受けた脚が痛む、痺れる…
これを演習で使うのは流石にやめてほしいな、相手に怪我をさせるばかりではないか
神通「…貴方…随分と強いですね」
天霧「それはどうも…さて、ここからはお勉強の時間です」
両手にカートリッジを持ち、起動する
神通「…貴方も?」
天霧「いいですか神通さん、戦術とは多いほど良い、たとえ付け焼き刃でも…その戦術がガッチリと状況に当てはまり…万の軍勢をたった1人が叩き潰す程の状況を作り出すかもしれない…」
綾波(…まあ、私にとってすれば、全て完全に扱える…私の戦術ですが…!)
カートリッジを艤装に挿入し、海面を蹴り、水を飛ばす
神通(目潰し…)
天霧「いいえ、本命です」
神通「ぁっ……?」
神通さんが体制を崩し、膝をつく
天霧「海って…というか塩水って電気を流すとあっという間に通してしまうんですけど…そういうことです、艤装強化じゃなく…身体強化の電撃カートリッジ…オートガード目的ですけど、こういう使い方もあるんですよ」
綾波(飛ばした海水に電気を伝わせただけだけど…充分に自由を奪う威力はあるか)
天霧「Ciao、再戦はまた今度やりましょう」
駆逐艦 朧
那珂「朧ちゃん、また強くなったね…!」
朧「どうも!」
回し蹴りを受け止められ、カウンターパンチを受けて主砲を空中に放り出す
朧(…射線、管理……タルヴォス…)
那珂(この感じ…やばっ…!)
拳銃で主砲の引き金を撃ち抜く
那珂「っ!この角度からの砲撃は…しんどいって!!」
正面からじゃない、左右の変な角度から飛んでくる砲撃を防ぎ切るのは容易じゃない…
朧(……ここだ)
ガチン 主砲を撃ち抜く
金属音が鳴る
那珂(最後の1発だけ外した…!)
那珂「よし、反撃…っ」
朧「最後の一発は、コレです」
艤装が周囲の海水を吸い込む
那珂(脚部艤装を起動した…!?そっか!主砲のハンドガードの中にレバーが…!)
空を蹴り、海水のカッターを放つ
艤装の内部の水を全て射出し、その分軽くなった脚を振り上げ
朧「せいっ!やぁぁぁぁッ!!」
飛び蹴りとの二段攻撃で、仕留める
那珂「ッ…!!っ痛ぁ…!」
朧「…耐えられた…!?」
2撃とも…正面から受け止められた…?
那珂「今度は…那珂ちゃんの番だって言ったよね?」
ボクシングスタイルの攻撃を何とかいなし、距離を取ろうと必死に下がる
那珂「パンチだけじゃ、ないんだよねぇ…!」
ボディブローを防いだところにハイキック…
こめかみを撃ち抜かれる
朧(ローとハイをほぼ同時って…どんな身体の作りして…!)
那珂「あはっ!やっちゃうよ?」
天霧「待ちなさい」
那珂さんがぐるりと宙で一回転して海面に叩きつけられる
那珂「ぷあっ!顔はやめてよ!」
天霧「…朧さんを落とされるわけにはいきません、朧さん、曙さんをやってください」
朧「えっ?神通さんは?!」
天霧「仕留めました、早く行ってください、曙さんに対抗できるのは私かあなただけです」
朧「…わかった…!」
那珂「……んー…今の、痛かったし…本気で行くよ?」
天霧「どうぞ、私も立ち技は得意ですので」