元勇者提督   作:無し

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仕掛け

大湊警備府

駆逐艦 天霧

 

天霧「ラストは、佐世保か…」

 

ガングート「2回も戦うことになるわけだが、問題無いのか?」

 

狭霧「一切ありません、だって自分で組んだスケジュールですもんね?」

 

天霧「ええ、まあ…強いて言えばこんな予定では…」

 

狭霧「何か言いましたか?」

 

天霧「……」

 

まあ良い、気になるのは青葉さんが来るのかだ、佐世保に在籍はしていないものの律儀な青葉さんならついてくるだろう

 

青葉さんに会えば何があるというわけでは無いが…

The・Worldを、ネットの内側を任せきりにしているせいで少し気にはなる…

 

狭霧「佐世保の方達、さっきの演習も観戦してらっしゃいましたし、情報を取られてる分不利ですので…」

 

ガングート「何?…いつ到着してたんだ?」

 

狭霧「日本の真反対ですから、午前には出発してもうとっくに着いてるそうです」

 

天霧「…ではあのわちゃわちゃも?」

 

狭霧「まあ、聴こえてるんじゃないですか?」

 

頭を抱える、私の正体だけじゃなく…あんまり嬉しく無い呼び名まで伝わっているのだとしたら…

 

天霧「……はぁ…」

 

川内(うわ、ほんとに嫌そう)

 

天霧「もう…私次出ませんからね、私は絶対」

 

狭霧「もともと次は観戦の予定ですよ、次は特殊な戦い方を目指すので」

 

川内「特殊?」

 

狭霧「旗艦だけを狙います、私達の作戦では目的を達成してそのあとは逃げに回ることもありますし…その訓練です」

 

ガングート「具体的には」

 

狭霧「全戦力を使い、旗艦を徹底して狙います…そして撃破後、演習の制限時間である3時間、逃げ続けます…まあ、つまりは判定勝ちを狙う訳です」

 

川内(やられたらイライラしちゃうやつだ)

 

天霧「私は佐世保と険悪になりたいわけじゃ無いんですが?」

 

狭霧「ええ、わかっています…なので事前にその旨は伝えるつもりです、その方が難しくて良いでしょう?」

 

天霧「……まあ、良いですけど…」

 

狭霧「では、さっさと始めましょう…ああ、天霧さん、青葉さんに会わなくていいんですか?」

 

天霧「やはり来てましたか」

 

狭霧「はい、今のうちに話しておくほうがいいですよ」

 

天霧「そうします」

 

 

 

 

 

天霧「ああ、よかった、青葉さん」

 

青葉「あ、は、はい!…ええと…大湊の?」

 

天霧「いいえ…私です、綾波ですよ」

 

青葉「え」

 

青葉(色々マッドな人だとは思ってたけど…まさか自分の顔を改造するなんて…)

 

天霧「最近どうですか、その…調子というか、調査?」

 

青葉「…あ、そうだ!私の携帯とかパソコン、綾波さんに直してもらいたくて持って来たんです!」

 

天霧「壊したんですか?」

 

青葉「いえ、その.…私の所属してるチームのメンバーにだけ連絡がつかなくて…いろんな人に診てもらったのに直らないんです、だから調査もちゃんと進まなくて…」

 

天霧「わかりました、パソコンと携帯、お預かりしても?1時間もあれば原因はわかるでしょうから」

 

綾波(まあ、何かウイルスを踏んだんだろうな…)

 

 

 

 

天霧「…なるほど、原因が全く分かりません、これは…何をしたんですか?いや、誰に何をされたかわかりますか?」

 

青葉「わからないです…」

 

天霧「…あ…これ、アドレスにロックをかけられてるようですね…それとPCボディにも変なデータ…The・World経由で仕掛けられてるようですね?……妙なのもありますけど…悪さをしてるのはこれか?.cyl…」

 

青葉「あー!!それはダメ!ダメです!!」

 

天霧「え?」

 

青葉「と、とにかくそれは"だいじなもの"なんです!それに、不具合はそれをインストールする前からあって…」

 

青葉(というか、リコリスさんは私のPCに宿ってる?)

 

天霧「なら…ううん…これ、巧妙に隠されてますね…青葉さんに対してなんらかの思惑を持ってる人が居るようです」

 

青葉(あのローブを急に装備させられたりしたのも含めて…全部誰かの思惑なら…一体誰が?)

 

天霧「…青葉さん、あなたの所属してるチーム…失礼ながら少し疑うべきかもしれません」

 

青葉「え?」

 

天霧「みつけましたよ、PCボディの中に……でも、この丁寧な隠し方…余程長い時間PCボディに接近して直接組み込んでるとしか…」

 

青葉「…そんな…」

 

天霧「詳細な思惑まで知ろうと思うと…このキャラクターを破壊して中身を見なくてはなりません…どうしますか?確認しますか?」

 

青葉「……いいえ、やはりそのままにしてください…その…大事なキャラなので」

 

青葉(…みんなと遊んだことも、リコリスさん達とのことも…全部、私の大事なもの……それを捨てたりするなんてありえない)

 

天霧「わかりました、ではその様に……おや、演習…1戦目…終わりましたか…そういえば青葉さんはでなくて良かったんですか?」

 

青葉「私は正式なメンバーじゃありませんから…」

 

天霧「…青葉さんってどんな闘い方をしてましたか?…あ、自我を持ったまま戦ってる姿は殆ど見てないもので…ぇあ…その…というか…本当に、その節は本当に…」

 

青葉「…綾波さん」

 

天霧「…ごめんなさい、私が謝るべき相手はたくさんいるのに…やっともう1人謝れた…」

 

青葉「…綾波さん、その…いいですから、私は…」

 

天霧「……」

 

青葉「私は、あなたのことを恨んでいません…その…司令官が信じたあなたを信じますから」

 

天霧「…また誰かを傷つけるかもしれない」

 

青葉「だったら、私が止めます…私じゃなくても、アケボノさんや…佐世保にも強い人はたくさん居るんですよ?龍田さんに瑞鶴さんに、日向さんに…」

 

天霧「……なら」

 

青葉「わかってます、証明して見せます…これから」

 

天霧「……私たちがこうして戦いを求めてるのは…艦娘として、AIとして生み出された本能なのかもしれませんね」

 

青葉「でも、そのおかげで分かり合える事もあります」

 

 

 

 

 

朧「あ、あや…天霧、勝てたよ」

 

天霧「ほんとうに?どうやって?」

 

狭霧「私が出撃しました、対空兵装を用意し、空を制圧したところ…圧勝できました」

 

天霧「……待ちなさい、それは新作の補助艤装と…そのカートリッジ、夕張さんが試しにと送って来た擬似的な改二の…模倣品……」

 

狭霧「ダメでしたか?」

 

天霧「ダメに決まってるでしょう!なんでそんなもの使ったんですか!」

 

狭霧「いや、向こうの空母の方がえらく殺気立ってましたので…ちょっと戦意をそごうかなと」

 

綾波(ああ、もう…瑞鶴さんにはバレてるのか…)

 

飛んできた矢を掴んで止める

 

瑞鶴「……チッ…!」

 

天霧「…私、あなたにそんなに恨まれるようなこと…ああ、いや、誰に恨まれてもおかしくないのはわかってるんですよ…あー…ほんとうに、ごめんなさい…」

 

朧「…綾波、多分実弾とか撃たれるけど…演習出る?」

 

綾波(青葉さんと約束したし、出なきゃなぁ……)

 

天霧「はい…」

 

眼鏡を外し、髪をいつものところで結び直す

 

綾波「ぷっ……ふぅ…ようやく落ちついた、もういいですよね?バレてるんですし」

 

狭霧「まあ、良いですよ」

 

綾波「よし…ああ、もう…そのうち離島にも伝わるんだろうなぁ…」

 

朧「先に言ってみる?」

 

綾波「絶対ダメです、アヤナミが居場所を失うかもしれない……だからバレたくなかったのに…」

 

まあ、手遅れなものは仕方がない

 

 

 

綾波「瑞鶴さん」

 

瑞鶴「なに」

 

綾波「…殺せるなら、私を殺してくださって構いません…けど、この演習、私たちが勝ったら私の存在を口外しないでくれませんか?」

 

瑞鶴「何の為に」

 

綾波「…死人は死人らしく、していたいんです」

 

瑞鶴「……殺して恨まれるのはごめんだから」

 

綾波「問題ありません、みんな…自立して生きていける基盤を持っているし…その…私はまず、まだ死ねませんから」

 

瑞鶴「…一度吐いた言葉、取り消せないのわかってるんだよね?」

 

綾波「勿論です」

 

瑞鶴「……覚悟しときなよ」

 

 

 

 

 

綾波「今回は6人編成です、狭霧さん、朧さん、タシュケントさん、グラーフさん、ガングートさん、今名を呼ばれた人は前に」

 

リシュリュー「私は?」

 

綾波「遠距離攻撃は通じませんよ、向こうも全力で来るでしょう…陽炎さんと秋雲さんがいるし、龍田さんと日向さん、青葉さん、瑞鶴さん…この六名のようですね、そうなると…空はまず使えません」

 

グラーフ「堕とされる前提か?」

 

綾波「いいえ、これは練習です、相手は一線級の駆逐艦ですそれも対空、精密砲撃に特化している……さあ、グラーフさん…真剣に」

 

グラーフ「……ああ」

 

綾波「それと、ガングートさんは日向さんを、あの人も前に出て戦う、そうですね…所謂タンクタイプの戦艦です、射程を活かすよりも味方の盾となることを…というのはもう見ましたか」

 

ガングート「ああ、アイツの太刀筋は恐ろしかった、実戦なら両手がもう無かった…」

 

顔色に怯えが見える

 

綾波「……なら、龍田さんを狙いましょう、近距離戦闘の練習だと思ってください、まあ槍と刀では間合いが違います、特に間合いを測ることを意識するように」

 

ガングート「わかった…」

 

綾波「気に病まないでください、良い変化です、タシュケントさんと朧さんは敵主力駆逐艦を、狭霧さんは瑞鶴さんの艦載機を仕留めてから本体を…そして私は、青葉さんを獲ります」

 

朧「狼狩り?」

 

綾波「…ああ、ソロモンの狼…青葉さんのイメージじゃないですよ…多分本人もそう思ってるでしょう」

 

朧「そうかな」

 

綾波「そうですよ、勝手に付けられた通り名なんて…」

 

狭霧「それより、早く行きましょう?」

 

綾波「……ええ」

 

 

ガングートさんを最前方に置いた単縦陣で進行する

私の読み通りなら、向こうの戦闘は日向さんであるもののほとんど同じ配置…

 

ガングート「レーダーに感あり…撃つぞ!!」

 

綾波「戦闘開始です」

 

グラーフ「待て!………5人だ」

 

綾波「え?」

 

朧「見間違いじゃない?」

 

グラーフさんがいうには敵は5人…誰がいない?

 

グラーフ「間違いなく居ない!……名前がわからないが…空母はいた、あと…小さいのも2人いる…」

 

瑞鶴さん、秋雲さん、陽炎さんはいる…

つまり、ほかの3人のうち…そんな突出した行動…

 

グラーフ「くそっ!見つかった瞬間堕とされた…!」

 

綾波「追加で出して、情報を取りつつ攻撃」

 

グラーフ「わかった!」

 

誰だ?龍田さんか?それとも日向さん…いや、だとすると隊列が…

日向さんは天龍に換装ができる、だからそれで1人仕留めにきたか?でも…

 

朧「…北には誰も居ない、匂いがしない……いるなら、南…!」

 

南から砲音がする

 

綾波「この音、口径は小さくない…!龍田さんでもない!…まさか、青葉さんが…?」

 

朧「…綾波は知らないかもしれないけど…青葉さん、そんなにおとなしいタイプじゃないよ…!」

 

砲撃が飛んで来た方へ撃ち返す

 

綾波「…楽しめそうですね…!」

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