元勇者提督 作:無し
The・World R:X
Δサーバー 忘刻の都 マク・アヌ
「久々にログインしたが…マク・アヌも随分様変わりしちまったなぁ…」
マク・アヌの風景を眺めながら歩く
「…お?これは……石像か?…ふむ、見たことないキャラだ…おっと、これは…俺か?…まさか石像になっちまってるなんてな…だが、作りが甘いな、ここの所とかが微妙に…いや、同じか?」
タウンを一通り練り歩く
「…しっかし、ショップも何もない、他に誰もいない…活気が無くなったな……お?…あそこだけ明るい…何かあるのか、それとも祭りがあるからみんなあそこにいるのか?」
とりあえず、行ってみる事にしよう
グランホエール 艦内
がしゃん
入った途端に入り口が音を立てて閉まる
「む……閉じ込められたか?……いや、明るいし、ショップもある、だが…どこにも誰も見当たらない…」
そんな事、あるのか?普通…
The・WorldはMMORPGだ、だがNPCの1人や2人はいるはずだ
昔はショップ
こうも人がいないのは初めてだ、モンスターすらいないとなるとここはエリアでもない
「む…」
ごうんごうんと音を立て、艦が大きく揺れる
「……動いたか?…エリアにでも送られるのか」
何にせよ、目的は調査だ、いろいろなところを回るしかないだろう
「…ついたか?」
いつの間にか止まっている
それに…入ってきた時に閉じた入り口が開いている
つまり、移動は終わったのだろう
とにかく、外に出てみよう
The・World R:2
Δサーバー 悠久の古都 マク・アヌ
「…おお、人がたくさんいるな……さっきまでのマク・アヌは…古いバージョンのものだったのか?俺はそこに取り残されていたのか」
先ほどまでとは大違いだ、街は人で溢れかえっている
誰かにものを尋ねようにも…
(…あっちの赤毛の少年にするか、それとも…向こうの桃色の髪の女性にするべきか)
ロールプレイをしているため、丁寧な口調とは言い難い
それを万人が受け入れてくれるわけではない
「…おお…あの売り子、PCか…丁度いい」
噴水の前で売り子をしてる少年のPCに近づく
「すまん、少しいいか」
ハセヲ「いらっしゃいませ!」
貼り付けたような笑顔でPCがこちらを向く
「やあ、すまない、人探しをしているんだが」
ハセヲ「…んだよ、客じゃねぇのか…」
「…そうだな…物を尋ねるのに何も買わないというのも不味いか…すまない、これと…これを貰おう」
回復アイテムらしき物を買う
ハセヲ「…あー…お買い上げありがとうございました!」
「いや、それより…カイトというキャラを知らないか」
ハセヲ「カイト…?そんなありふれた名前そこら中に居るんじゃねェのか」
「…確かに、それではオルカやバルムンク、ブラックローズ…この辺りの名前は?聞き覚えはないか」
ハセヲ「…聞いたことねえな…」
「そうか…では、.hackersも?」
ハセヲ「んだそれ」
「…いや、すまん、有難う」
.hackers自体知らないとなれば、カイト達を知らないのは無理がない話だ
しかし…どうやって探すか
ハセヲ「……オッサン」
「なんだ」
ハセヲ「メンバーアドレスは?」
「ん?ああ…」
メンバーアドレスを交換する
ハセヲ「一応、他に客が来たら聞いてみる、何もわかんねえかもしれねえけど、それで良いか?」
「本当か!恩に着る!」
ハセヲ「あと、BBSとか書き込んだか?」
「ああ、それは盲点だった」
BBSなんて昔刀を探す時に使ったくらいだ
思えばカイトとの出会いその時だ、BBSで見つかるか試してみよう
ハセヲ「そういや聞いてなかったけど…アンタ、名前は?」
砂嵐三十郎「砂嵐三十郎だ」
ハセヲ「…なんか、随分変わった名前だな」
砂嵐三十郎「時代劇が好きでな」
ハセヲ「…三十郎……椿三十郎か?」
砂嵐三十郎「おお!いけるクチだな!だが少し違う、おれの名前の由来は用心棒の桑畑三十郎だ」
ハセヲ「また古い映画を…」
砂嵐三十郎「む…古い映画は嫌いだったか…」
ハセヲ「そうじゃねえよ、なんつーか…いや、なんでもねえ、人探し、頑張れよ」
砂嵐三十郎「ああ!ええと…何というんだったか、そうだ、商いだ、商いが上手くいくと良いな」
ハセヲ「おう…」
砂嵐三十郎「それじゃあ!」
ハセヲ(にしても、ゴツいやつだったな…眼帯に顔半分緑のフェイスペイントに袴に…サムライのロールにしちゃ派手じゃねえか?)
砂嵐三十郎「BBSには書き込んだ、が…」
わずか数分で返信なんて来る物ではない
致し方ない、待つしかないか
しかし、ただ待つのも性に合わない
砂嵐三十郎「…エリアにでも、行くか」
Θサーバー 果てなき 滅天の 麒麟児
砂嵐三十郎「ふっ……」
モンスターを一刀両断にし、辺りを見る
砂嵐三十郎「悪くはないが…1人は随分久しぶりだ、いかんせん寂しいな…誰か、パーティの空いていそうなプレイヤー…と?」
先ほどタウンで見かけた桃色の髪の…
砂嵐三十郎「なあ、ちょっと良いか」
青葉「ひゃあっ!?な、何ですか!?」
砂嵐三十郎「おっと…驚かせてすまん、1人だったもんだから、良ければパーティはどうかと思ってな」
桃色の髪に、両目が違う色…得物は大槍…
さっきちらりと見ただけでも腕が立つのはわかる…
青葉「え、ええと…私、ソロなので…」
砂嵐三十郎「そうか、そいつはすまん」
青葉(うーん…あ!み、見失った…さっきまであそこにいたのに…)
砂嵐三十郎「…探し物か?良ければ手伝うが」
青葉「…いえ、それと…急に近づくとPKだと思われて攻撃されますよ」
砂嵐三十郎「プレイヤーキラーか…随分と殺伐としちまったなぁ……」
砂嵐三十郎「ベタベタした付き合いは苦手だったんだが…歳を取ったせいか、1人が寂しくて敵わん…」
かといって、誰かがいる訳でも…
砂嵐三十郎「む」
これまた先程見かけた赤毛の少年か…今度は別の重槍使いもいる…
砂嵐三十郎「……ピンチか?」
ボスらしきモンスターに手こずっている…ように見える
とくに赤い髪のキャラは逃げ腰だ
それならば…いや、しかし…
邪魔をするわけにもいかない…
砂嵐三十郎「うぉっと」
モンスターの攻撃がこちらまで飛んでくる…
となれば、先にコナをかけたのは向こうだ
砂嵐三十郎「おおい!!邪魔するぜ!!」
トキオ「な、なんだ!?」
アルビレオ「侍…?」
モンスターに向かって駆け、腰の刀に手を置き…
砂嵐三十郎「叢雲!」
居合でモンスターの腕を切り落とし…
砂嵐三十郎「雲耀之太刀!」
雷を纏った斬撃がモンスターを大きく3つに刻む
砂嵐三十郎「…ま、こんなとこか」
トキオ「つ、強え…」
砂嵐三十郎「……おっと!邪魔したか?コイツがこっちまで攻撃しやがるもんでな、つい」
アルビレオ「いや、構わない…よな、トキオ」
トキオ「あ、うん、助かったよ、ありがとう!」
砂嵐三十郎「そうか、そいつは良かったぜ」
アルビレオ「…良い刀だな」
砂嵐三十郎「コイツか?だろうな、最上級品だ…アンタ、名前は?」
アルビレオ「アルビレオだ」
砂嵐三十郎「おれは砂嵐三十郎だ、良ければ何だが、アンタらのパーティに入れてくれないか?少し1人に飽きてきた頃でな」
トキオ「え?…オッケー!大歓迎だよ!」
アルビレオ「…あんたは人間としてのレベルも高そうだな」
砂嵐三十郎「人間としてのレベル?なんだ、それ」
アルビレオ「なんでもない」
トキオ「ええと、オレたちこれからいくつかエリアを回るつもりなんだけど…」
砂嵐三十郎「おれもそのつもりだ、楽しくやろうぜ」
幾つかのエリアを回って分かったが、トキオは初心者らしい
アルビレオはかなりの強さだが…どうやって知り合って、何のために共に活動してるのだろうか
砂嵐三十郎「…む」
トキオ「…あ、アイツは…!」
アルビレオ「……青葉?」
青葉「なぜ、アルビレオさんがその人と一緒にいるんですか?」
アルビレオ「…カイトに頼まれたからだ、シックザールを撃破し、アカシャ盤の頂上を目指す為に」
砂嵐三十郎(…カイトだと?何の話だ?)
青葉「…つまり、貴方もコピーなんですね……よかった、戦う事に躊躇わなくて済みますから」
桃色の髪の
砂嵐三十郎「待て、やるつもりなのか」
トキオ「アイツはシックザールって言う悪いヤツなんだ!」
青葉「アカシャ盤を守っているだけです!人を悪人扱いしないでください!!」
砂嵐三十郎「……どうしたものか」
人数が有利な方から一方的に攻撃するような真似はあまり好きではない
アルビレオ「穿天衝!」
青葉(これはR:2のアーツ!)
青葉「トリプルドゥーム!!」
アルビレオが2段突きに吹き飛ばされる
青葉「地獄蟲の召喚符!」
アルビレオ「ぐっ…!」
青葉(弱い…やはり、ニセモノだ!)
青葉「終わりです、リパルケイジ!!」
アルビレオに向けて振るわれた槍を刀で抑え込む
青葉「……何のつもりですか…!」
砂嵐三十郎「すまねえな、多勢に無勢は好きじゃねえが…一党の仲間がやられてるのをただ眺めるのはもっと好きじゃねえ」
槍を刀で押し返し、構え直す
青葉「……そうですか」
砂嵐三十郎「それに聞かなきゃいけねえ事もできたしな…!」
青葉(油断したら前みたいにやられる、初撃で決める…!)
こちらを睨む目に力が籠る
まるで獲物を狩るような…
砂嵐三十郎「良い眼をしてやがる…ビリビリきやがるぜ…!まるで狼みてえな眼だ…」
青葉「…それは、どうも…!」
その言葉を発し終わるが早いか、こちらへと踏み込み…深く構えた突き…
砂嵐三十郎(速い…
砂嵐三十郎「反隼!!」
最速の居合
これなら…
砂嵐三十郎「ぐっ…!!重い…!」
青葉(速い!…止められた上に…ダメージも受けて…)
青葉が飛び退き、槍を構え直す
こちらの居合は直撃にはならなかった…だが、相手を威圧する効果は十二分に有ったのだろう、敵方は一歩下がったのだがら
砂嵐三十郎「……」
青葉(この人に、後の2人がサポートにつくとなると…分が悪いか)
青葉「ここは退かせてもらいます」
砂嵐三十郎「…ふう…何とかなったか…」
2人の方に向き直る
砂嵐三十郎「すまないな、アルビレオ、知り合いだったんだろう」
アルビレオ「いや…問題ない」
砂嵐三十郎「そうか…なら、カイトについて聞かせてくれ、おれも探してるんだ、カイトを」
グラン・ホエール 艦内
砂嵐三十郎「するってえと…カイトは本当に石にされたのか」
トキオ「そ、そうなんだけど…砂嵐三十郎は…黄昏の騎士団なんだよな?生き残り…?」
砂嵐三十郎「黄昏の騎士団…?なんだ、それは」
トキオ「え?」
砂嵐三十郎(…以前のカイトの招集に集まったメンバーはそういう組織になったのか?…だとしても、カイトが名付けたとは思えない…)
砂嵐三十郎「おれは.hackersだ、黄昏のなんたらではない」
トキオ「.hackersはわかるんだけ…ど…え?マジ?カイト達と一緒にThe・World最後の謎を解いた?」
砂嵐三十郎「そういう事になっている」
トキオ(だ、だからメチャクチャ強かったのか…!)
トキオ「す、スッゲー!」
砂嵐三十郎「…さっきのやつについて聞きたいんだが」
アルビレオ「青葉だ、かなり強い…いい重槍士だ」
砂嵐三十郎「パルチザン?ロングアームは今はそう呼ぶのか…」
アルビレオ「…レベルを上げに行こう、このままではまた戦っても勝ち目はない」
トキオ「わ、わかった」
砂嵐三十郎「おれも微力だが、手を貸すぜ!」