元勇者提督   作:無し

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真反対

The・World R:X

Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック

トキオ

 

トキオ「このタウンが司のお気に入り?」

 

ミミル「そ、この辺の原っぱで座ってることが多いかな…人気ないでしょ?この辺」

 

トキオ(人気がないっていうか…下には雲が広がってるし、山と山の間を吊り橋が繋いでるだけで心許ないし、落ちそうで怖くて近寄れないというか…)

 

ミミル「ん?どしたのトキオ」

 

トキオ「…危なくない?」

 

ミミル「ああ、もしかして…怖いんだ?高所恐怖症?」

 

トキオ「いや…誰でも怖くない?こんなの…雲海が下に広がってる高さなんて…」

 

ミミル「ゲームなんだから、平気だって!」

 

トキオ「ええ…?」

 

それにしても、司らしいキャラはいないな…

 

ベア「お、ミミルじゃないか」

 

ガタイの良い剣士が話しかけてくる

 

ミミル「ベアじゃん、どうしたの?こんなとこで」

 

ベア「エリアでの冒険が終わったらタウンに戻される、当たり前のことだろう?それよりそっちは、見ない顔だが」

 

ミミル「ん?ああ、トキオだよ、司のこと調べるの手伝ってくれてるんだ」

 

トキオ「よろしく!」

 

ベア「司か…」

 

ミミル「どうかした?」

 

ベア「…いや、最近のThe・Worldは随分とおかしくなってる気がしてな」

 

ミミル「あー、たしかに」

 

トキオ「おかしい?」

 

ベア「…トキオ、お前は何かに巻き込まれてたりするのか?」

 

トキオ「えっ?!」

 

ベア「…最近、妙なPCが増えたらしい、未来から来た、という奴もいれば仕様外の謎のPCもいる、なにか…」

 

トキオ(た、たしかにオレもリアルに帰れないけど…でも、この時代で言ってもなぁ…)

 

トキオ「ううん、オレは特に」

 

ベア「そうか」

 

ミミル「青葉だっけ、紅衣に追われてた子」

 

ベア「そっちもそうだが、敷波とか言う名前じゃなかったか」

 

ミミル「2人とも、忽然と姿消しちゃったけど…大丈夫かなぁ」

 

トキオ「青葉と…敷波、なんだかその2人ともゲームのキャラクターっぽくない名前だな…」

 

ベア「ファンタジーのオンラインゲームには向いていない名前だな、特に敷波という名前…確か、昔の軍艦の名前だったはずだ」

 

ミミル「おじさんくっわし〜い!」

 

ベア「…調べた事があるだけだ、青葉の方も一応該当はするが、こっちは本名なのかもしれん」

 

トキオ「へー…2人とも、どんな見た目なんだ…?」

 

ベア「青葉の方は重槍士だ、先端に斧のついた戦斧バトルアックスタイプの珍しい槍を持っていた」

 

トキオ「へー…結構特徴的な…槍……あれ?青葉?」

 

…この前やり合ったあのシックザール…そんな槍を持っていたような

というか、アルビレオがそう呼んでいたような…!

 

トキオ(アイツだ!!)

 

つまり、この時代にシックザールが侵入しているという事…

 

もう一度戦う事になるのか…

 

ミミル「知ってる?」

 

トキオ「ああ!戦った事もある!…すごく、強かった…」

 

ベア「戦った?…何故だ?」

 

トキオ「え…?それは…襲われたから…」

 

トキオ(というか、よく思い出せばオレを襲ってるというより…周りにいるアルビレオやカイト達を狙われてたような…)

 

ベア「襲った?……ミミルは、会ったことがあったか?」

 

ミミル「うん、あるよ…人を襲うようなタイプじゃないと思う、紅衣の連中相手に反論してたり、かなりしっかりした子だったと思うけど」

 

トキオ「え…?」

 

ベア「おれも襲ったというのは、中々…本当に青葉なのか?それは」

 

トキオ(な、なんか…急にアウェイに…)

 

ベア「…おれが知っている限り、青葉というキャラのプレイヤーは無意味にPK行為をするタイプではない、本当にあんたが見たのは青葉なのか?」

 

トキオ「…そう言われると、自信ないけど…」

 

とりあえずここで不用意なことを言うのは避けたほうがいいかな…

 

ベア「もしかしたらアカウントをハッキングされたのかもしれない、最近姿を見ないのもそのせいかもな」

 

ミミル「心配だね…」

 

トキオ(…2人とも、本当に心配してるみたいだ…)

 

ミミル「司もそうだけど、気になってきちゃった…よし、エリア回って探してみるよ!」

 

ベア「おれも付き合おう」

 

ミミル「トキオ、アンタはどうする?」

 

トキオ「オレも行くよ!」

 

 

 

 

 

双剣士 カイト

 

カイト「…うーん、変なキャラ…か」

 

カイト(青葉や敷波以外に、このバージョンに似つかわしくない変なエディットのキャラ…)

 

ハセヲ「居ねえな」

 

ブラックローズ「どうすんだ?」

 

カイト「…あ!昴だ!」

 

遠くを1人で歩いている、天使の羽を生やした重斧使いヘビーアックス

 

ハセヲ「たしか…紅衣の騎士団の団長…知り合いか?」

 

カイト「うん、それに紅衣の騎士団ならいろんな情報を知ってるはず…!」

 

 

 

カイト「やあ、昴」

 

昴「カイトさん、どうも」

 

カイト「昴、アレ以来司はどう?」

 

昴「司…?司がどうか、しましたか?」

 

カイト「え?…大聖堂で…」

 

昴「大聖堂…?」

 

カイト(待てよ…)

 

僕が転移する前、昴は司のガーディアンが暴走した事によってBTやミミル、ベアがキルされ、司自身も心を病んでしまったと言っていた

 

…それが未だ起きていない?

そんな中間の時代に入ってしまった?

 

カイト(だとしたら、まだ司に会える、司のガーディアンの暴走を止めたらどうなる…?いや…それよりも…なにか、みんなを救う手がかりを…)

 

どうしたら、いいんだろう

やらなければいけないことが見えてこない

 

昴「…どうかしましたか?」

 

カイト「いや…」

 

ハセヲ「どうする、カイト」

 

カイト「…司を探そう、きっと、何かを知っているはずだよ」

 

ハセヲ「司か」

 

ブラックローズ「誰だそれ」

 

カイト「…The・Worldに取り込まれた、最初の未帰還者だ」

 

 

 

 

 

リアル

Link基地

駆逐艦 狭霧

 

狭霧「え?…あの仮面の深海棲艦らしき敵に貴方は関わってない?」

 

神風「そう、アレは別枠」

 

狭霧「…そんな…いや、そう一気に解決してくれるとは思ってませんでしたが、となると…やはり、未だこの戦いは終わらない…」

 

神風「…毒も、何もかも、私は何もかも与えられて研究していただけ、今思えば…私なんてなんて矮小なことか…」

 

狭霧「…そんな事はありません、環境が整っていようと、アレほどの成果を出せるのは一握り……貴方は優秀な人です、差し当たって解毒剤の作成をですね…」

 

神風「…多分、無意味…毒の種類は、無数にある…私が綾波に対して使った毒も、一つじゃない…毒を喰らっても簡単に解毒できたら意味が無い、だから…」

 

狭霧「…でも、綾波さんは死ななかった」

 

神風「……えーーっ…と………何言っても怒らない?」

 

狭霧「…だいたい察しましたので、どうぞ」

 

神風さんがお茶を一息に飲み干す

 

神風「なんであの毒で死なないの!?あれなら鯨でも象でも10分と経たずに死ぬのに!というか何故アレで生き延びて、その上私の部下も全滅させて…もう、何、なんなの?綾波って…」

 

狭霧「…毒に関しては、解毒剤を使ったんです、不完全ながら毒を分解してくれて、即死を免れました…そして、私の手当てや…まあ、様々な手段で回復した結果、ですね」

 

神風「…何よりも、不満なのは……何?あの力…心が折れちゃった…もうアレとは戦いたくない…」

 

狭霧「それが一番良いと思います、あの力に関しては…私たちも把握しきれませんから……少なくとも、現代の物理学では到底…届かない領域でしょうね」

 

神風「…だと思うわ、私も」

 

狭霧「……その綾波さんも、今は…」

 

神風「……この姿の綾波を、私に見せる意味って?」

 

目を覚ました綾波さんは、虚ろな表情で何処かをずっと眺め続けている

半開きの口からは唾液が垂れ流し、食事は理解できないのか摂ることはない為、栄養を点滴している

…かつての姿は、何処にもない

 

狭霧「貴方なら、未だショックは少ないでしょうから」

 

神風「……いや、かなりのもの…それでも未だマシなのかな…」

 

…当然だろう

自身を呆気なく打ち倒した最強の敵がこの有様

老人のようになっている

 

でも、みんなは…他のメンバーは比ではないショックを受けるだろう

 

綾波さんを再び立たせることは、もはや不可能だ

なら、私たちはどうすれば…

 

神風「これから、どうするの?」

 

狭霧「このまま…長い時間を稼ぐことはできませんからね、致し方無いとは思います、いつかは話さなくてはならない…でも、私から話すのもあまりにも重い」

 

神風「私にやれって?」

 

狭霧「そんなこと、冗談でもあの人達の前で言えば貴方殺されますよ?」

 

…神鷹さんは最近特に元気がない

周りが励ましてはいるものの…後どれだけ騙し騙しでやっていけるか

 

神風「もう、元には戻らないの?」

 

狭霧「わかりません」

 

瑞鶴さんで治せないのなら、私たちにはどうすることもできない

いや、私の体を明け渡すことができたら或いは…

しかし、それも拒否されるだろうし…

 

狭霧「綾波さん、もう少し休んでいて良いですからね」

 

…Linkを再起動するには、いや、まず…Linkは何をすればいいのだろうか

私にはわからない…

 

神風「……貴方は、私に相談したくて、呼んだの?」

 

狭霧「そうかもしれません…私は、綾波さんほど自身を理解できていない、でも…そうなんでしょうね、他に誰に相談していいのかもわからない」

 

神風「…つい昨日まで、私は敵だった」

 

狭霧「今は味方です」

 

神風「…今、敵がいないのなら…ただ守りを固めればいいんじゃないの?」

 

狭霧「……そうですね」

 

あの仮面の敵にここの存在はほぼ割れていると言っても過言ではない

 

狭霧(拠点を移す事も考えないと)

 

 

 

 

 

離島鎮守府

アヤナミ

 

朝霜「…なあ、アンタ…脚なかったよな?」

 

清霜「目も見えなかったよね?」

 

アヤナミ「ええと…訳あって、完治しました」

 

朝霜「どういう訳だよ…」

 

アヤナミ「その…まあ、色々…」

 

清霜「へー…」

 

アヤナミ「…清霜さん」

 

清霜「ん、なあに?」

 

アヤナミ「…いつでも良いですよ」

 

清霜「…!」

 

朝霜「なんの話だ?」

 

アヤナミ「遊びたそうにしてたので、追いかけっこでもしますか?」

 

清霜(な、なめられてる?それとも本当に殺していいって事?)

 

朝霜「そんなガキの遊びなんか誰がやるんだよ」

 

清霜「えー、いいじゃん、私はやるよ!待てー!!」

 

アヤナミ「簡単には捕まりませんよ!」

 

朝霜「……え?…は、2人ともくそ速えんだけど…」

 

 

 

 

アヤナミ「ごほっ…はー…げほっげほっ…つ、疲れた…」

 

清霜「…まだ200メートル位しか走ってないよ…?」

 

アヤナミ「た、体力おちてるんです…はー…ひー……」

 

清霜「…アレさ、殺してもいいって意味?」

 

アヤナミ「…はい、でも簡単には死にませんよ…敷ちゃんが悲しむし、綾ちゃんもショック受けちゃいますから」

 

清霜「……わかった、期待してるね」

 

アヤナミ「…はー……ようやく、落ち着きました…」

 

清霜「……ねえ、さっきからそこにいる人、出てきていいよ」

 

物陰からワシントンが顔を出す

 

アヤナミ「こんにちは」

 

ワシントン「…随分、元気そうね」

 

アヤナミ「全身が治癒しましたから」

 

ワシントン「…記憶も?」

 

アヤナミ「ええ」

 

ワシントン「っ!」

 

ワシントンさんが艤装を展開する

 

アヤナミ「撃ちますか?……その程度では私は殺せませんよ」

 

ワシントン「冗談…!人間が砲弾を受けて死なない訳…」

 

アヤナミ「完治したと言うことは、私が完全な状態になったということは…そう軽い意味ではないんです、それに、私はもう誰かと戦いたくはない」

 

ワシントンさんの方に歩いて近寄り、手を差し出す

 

アヤナミ「…どうか、友好的にお願いできませんか」

 

ワシントンさんに握手を求める

…無理だろうということはわかっている

ワシントンさんは私が記憶喪失だから

私が何もできないから見逃していただけ

 

私が完治しているなら、手を出さない理由はないだろう

 

そういう世界のためという勝手な正義を振りかざすタイプ…

 

ワシントン「友好的?貴方が?」

 

突きつけられた主砲を掴む

 

アヤナミ「…今の私は、改レベルの力を何も無しに扱うことができます

 

主砲を握りつぶす

 

ワシントン「なっ!?」

 

清霜「うわっ!?」

 

アヤナミ「それが何を意味するかはわからないでしょう、しかし…私も脅しは好きではありませんが、話し合うつもりがないのなら戦意を削がせてもらいます」

 

ワシントン(す、素手でこの主砲を…?握手なんてしたら、手が潰されてたんじゃ…)

 

アヤナミ「清霜さん、手を借りられますか?」

 

清霜「えっ」

 

アヤナミ「大丈夫、力加減は間違えません」

 

清霜さんと握手してみせる

 

清霜(…うわ、普通に握手できてる…)

 

アヤナミ「どうですか、私は貴方ともこうして友好関係を築きたいんです」

 

ワシントン「…え、遠慮するわ」

 

アヤナミ「…そうですよね……出過ぎたことを言いました」

 

やはり、私はたくさんの人を傷つけすぎた

いきなり仲良くしようなんて無理だ

むしろ私としては、早く地獄に堕ちられればそれでもいい

 

なのに、今更仲良くだの、握手だのと…

 

ワシントン(清霜の手、大丈夫…?わ、私…殺されない?)

 

アヤナミ「…清霜さん、疲れてますね?…もう片方の手も出してください」

 

清霜「へっ?」

 

アヤナミ「実は私、ハンドマッサージ得意なんです」

 

清霜(い、いや…こわいこわいこわい!え?手、握りつぶされないよね?)

 

ワシントン(わ、わかっててやってるの?それとも本当に善意?こ、こわい…見てるだけで怖い!)

 

アヤナミ「疲れ目に効くのはここ、後結構促進とか…」

 

清霜「…ぅ…あ…」

 

清霜(い、痛気持ちいい……でも、怖い…)

 

ワシントン(清霜のあの表情…それにあの脂汗……ど、どんな痛みなの…恐ろしい…)

 

アヤナミ「…凄い手汗ですね、代謝が良いんですね」

 

清霜(怖いんだよ!!)

 

ワシントン「…なんで代謝に繋がるのか、わからないんだけど」

 

アヤナミ「あれ?…ああ、そうだ、たしかに…手の汗は体温低下には繋がらない、恐怖ですか…?…ああ…そう、ですか…」

 

清霜さんの手を離す

 

清霜(め、めっちゃ落ち込んでる…)

 

清霜「あ、あれー、なんか、身体少し楽かも!」

 

ワシントン「え、本当に?」

 

清霜(多分気のせいだけど…)

 

アヤナミ「…少しでもお役に立てたなら良かったです」

 

清霜「う、うん!すごく助かりました!ありがとうございました!」

 

清霜(波風立てずに終わらないと、後が怖い…)

 

アヤナミ「…そうですか、良かったです」

 

アヤナミ(ものすごく気を使われてる…相手の心理が見て取れるのも…不便ですね…)

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