元勇者提督 作:無し
The・World R:1
Λサーバー 文明都市 カルミナ・ガデリカ
重槍士 青葉
青葉「…こ、ここは…?」
前回の戦いの後、即座にログアウトを選んでしまったため、ここが何処かわからない…
でも、このグラフィック…R:1?
ファンタジー世界のR:1にしては…
暗い夜に聳え立つビル、星空に負けない程の多数の明かりが道を照らしている
そして、空に浮かぶ飛空挺、タウンの外に何処までも広がるビル群
青葉(ここが本当にR:1?…世界観が少しあってないのか、それともそう言う場所なのか……いや、ええと…そうだ、世界観のページ…)
青葉「ここだ、Λサーバーの、文明都市、カルミナ・ガデリカ…世界の最先端の文明を持つ軍事都市…あの飛空艇も熱気球を利用したもの…へえ…決して世界観を壊す場所ではない…のかな?」
神に届くための力、科学を追い求めた都市…か
青葉「…あ…」
少し脇を見る、伸びる手先に視線を落とせば、やはりリコリスさんと手を握っていた
青葉「…戦闘中は離してたと思うけど…いつのまにかまた手を繋いでる」
リコリスさんは私とあの人を…エンデュランスさんを戦わせてどうしたかったのか
いや、勝てなかったのがダメなのだろう
力をつけろということなのだろう
青葉(…勝たなきゃ)
神の槍に誓い、私は…戦う
青葉「……っ!!」
何か、嫌な感じがした
振り向いて、その視線の先にいた人を睨みつける
楚良「うっひゃ〜…怖っえ」
青葉「…貴方は…!PKの…楚良さん」
楚良「そ、楚良さん……ま、さん付けはこそばゆいけど」
青葉「…何か用ですか」
楚良「カオスゲートの前に立ってそれ言う?そんなとこ居たら、みんなの邪魔だと思うケド」
青葉「えっ?あ!ご、ごめんなさい!」
慌てて退がる
楚良「んー…やっぱ、キミ…おっもしれ〜…メンバーアドレス、ちょ〜だいっ!」
青葉「お、お断りします…」
楚良「え〜?なんで?ねぇ〜なろうよ、お友達♪」
青葉「け、結構です!」
楚良「オレと仲良くなるとお得だよ〜…ま、裏切るケド♪」
青葉(ど、どこにもお得な要素がない…)
楚良「ね、なろうよ、お友達♪」
青葉(と言うか、前に渡したような…気の所為だっけ…まあ、いいや…)
青葉「はい…これ」
楚良「おっ…メンバーアドレス、ゲ〜ット♪」
青葉「そんなにメンバーアドレス欲しがってどうするんですか…?」
楚良「ん〜?お友達100人…なんつって!」
青葉「じゃあ、富士山でおにぎり食べる時は呼んでください」
楚良「ワォ、まさか乗ってくるとはねン♪」
青葉(まあ、それでPKに付け狙われないなら…)
青葉「じゃ、じゃあ、私はこれで」
楚良「お…何処行くの?」
青葉「…ええと、ランダム生成…」
Λ にじり寄る 裏切りの 虚無
青葉(な、なんか不穏な…)
青葉「にじり寄る、裏切りの、虚無です」
楚良「決ぃめっ!いっち抜けた~っと!」
青葉(さ、誘ってないんですけどね…?)
楚良「んじゃ、さいなら〜」
楚良さんが転送される
青葉(な、なんか…不穏な名前だし、やめておこうかな…)
っていうか……
青葉「ああああっ!?」
こ、この時代に楚良さんがいると言う事は…
わ、私は…てっきりアルビレオさんの時代に戻ってきたと思ってたのに…!
青葉(…そういえば、さっきの楚良さんを含めて誰もリコリスさんに反応してない…やっぱり見えてないんだ…!)
だからどうと言うわけではないけど、それならリコリスさんのことを気にする必要はない
青葉(それより、この時代で動きやすいように昴さんに会おう、騎士団に捕まるとめんどくさいし)
Δサーバー 水の都 マク・アヌ
青葉「わあ…!ちょっと離れてただけなのに、このマク・アヌがすごく懐かしく感じる…!」
こういう現象なんて言ったか覚えてないけど…
青葉(見てるだけで1日過ごせそうなくらい…不思議な気持ち………んん…?!)
…なんだか、あの白と黒のストライプの、PC…見たことある…
この時代には居ないはずの、三階宮王者で、死の恐怖のハセヲさんに見えるんだけど…
青葉(プレイヤーは確か今は呉にいる三崎さんのはず…というか、何故ここに?……いや、あそこには、カイトとブラックローズも……)
ニセモノ…か
あのハセヲも、アカシャ盤の乱れで時代を転移させられたニセモノ…
青葉(アカシャ盤の運航を守る者として、倒さなきゃ…)
でも、間違いなく、今戦っても勝てない
青葉(…レベル上げと、技術を磨かないと…!)
今、無謀に挑んではいけない
少なくとも早く他のシックザールの人に会わないと
青葉(…R:Xに戻るにも、あの斬刀士が彷徨いてるし…ホームには戻れない…うう…)
こんな思いをしないためにも
私が、頑張っていると証明するためにも
絶対に、負けない
リアル
ペナン基地
??? ???
「…ふう…」
大きく息をつく、高鳴る心臓を押さえ込む
仮面を被った敵を見据える
ここはもう奴らに奪われた基地
上手くやらないと
ゆっくりと、ただ、歩いて近づく
隠れるわけでもない、堂々と歩いて近寄る
こちらに気づいた敵が何かを叫ぶ
止まれ、近づくなという意味か?
微笑み、どうかそのまま通してくれることを願う
(…近づいてきた?できるだけ殺すつもりはないのかな…確かにこの基地の外に進出してる様子はないし…)
肩に手を触れようとした所を、隠し持っていたナイフで首を斬る
敵は驚きからか、一歩、二歩と退がる
「…キッチンナイフでは、致命傷になりませんか…では」
敵が帯刀していた刀を抜き、斬りつける
「……安らかなる事を…できる限り…苦しまず」
死んだ敵が消失する
まるで、何も居なかったかのように…
艤装だけを残して消え去る
「…重巡級…ですか」
艤装を拾い上げ、装備する
そして、再び基地の中を歩く
もう敵も容赦しないだろう
どんどんこちらを撃ってくるし、斬りかかってくる
誤射も恐れない攻撃には…少々手を焼く
(…簡単に撃ち倒せるなら楽なのに…)
向かってくる敵に砲撃しながら進む
「1人倒すのに、3発もいる…?効率が悪すぎる…」
艤装を外す
ゴトゴトと音を立てて艤装が落ちる
「…いきますよ」
刀を大きく振りまわし、構え直す
走り、詰め寄り、一閃、そして手を返して…さらに一閃
「これの方が効率的…!……っ…!」
敵の攻撃の仕方がどんどん変化していく
愚鈍に砲撃してくる敵はもう居ない
機銃による、とりあえず1発当てるという戦法に切り替わっている
(生身だからか…!有効ですね…!)
斬った敵を盾にしながら別の敵に近寄り、斬る
徹底した機銃での攻撃、それも包囲されての…
(…っ…被弾してる…擦り傷だけど、このままじゃ…いや…!)
「私は、やるんだ…!」
盾にしていた死体を捨てる
死体が倒れると同時に消滅する
「…これでどうですか!!」
死体の艤装から転がった砲弾を蹴る
それに銃弾が当たり、炸裂する
(一瞬視界を奪えればそれで良い!!)
爆風の中を駆け抜け…
「2つ!!」
二連撃
「4つ!!」
そして立て続けに二連撃
全て致命傷のみを狙う
体がヒリヒリする、焦りでどうにかなりそうになる
一瞬の判断ミスが死につながる
「こっちです!!」
挑発し、撃たせながら物陰に滑り込む
自身の負った傷を確認しながら待つ
(…そろそろだ…)
そろそろ、弾が切れる
銃声が止み始めたタイミングを見て、飛び出す
「やあぁぁぁぁッ!!」
2人組に向かい、走る
1人に刀を突き刺し、もう1人にはたいあたり
刀を抜き、体勢を崩したもう1人の首を斬り落とす
多勢に無勢で、圧倒的な人数差がある
だから、1人ずつ殺す
全員を同時には殺せない
もし敵が2人なら体当たりで1人の行動を制限する
そしてその先にもう1人を
「取る!!」
「…はぁ…っ…はぁ…!」
倒した、のか…
全部、死んだ?
わからない、私はやり切ったのか?それとも、まだ潰し残しがあるのか
ジャリッ
足音がした方向に振り向き、刀を差し向ける
士官「ま、まて!敵じゃない!」
「……人間…」
士官「こ、ここの残存部隊だ!奴らに襲われて、それ以来抵抗を続けていた…」
「…そうですか…」
士官「……日本人か?」
「…答える義務はありません」
士官「…名前は」
「名前?……名前は…」
東雲「東雲です」
離島鎮守府
提督 倉持海斗
海斗「敵に奪われた基地が…たった1人によって取り返された?」
アケボノ「ええ…そのように報告が入ったと」
海斗「……本当に…?そんなことってあり得るのかな…」
アケボノ「…基地を取り返した者は、東雲と名乗ったそうです」
海斗「……東雲か」
アケボノ「忌々しい名前です」
海斗「アケボノ、僕たちも西方海域に出よう」
アケボノ「…はい、しかし、火野提督の話によればかなり強力な敵だとか」
海斗「うん…わかってる、それについても対策をしっかりするよ」
アケボノ「…提督、西方海域に出撃する際、どうか必ずキタカミさんか私を編成していただけませんか」
海斗「キタカミは首を縦に振るかな」
アケボノ「振らせます、アヤナミも、なんでも使います…私がなんとかして見せます…!」
海斗「アケボノ、焦る必要はないよ」
アケボノ「しかし…!」
海斗「アケボノ、僕を気遣ってくれてるのはわかってる、僕はどっちもやると決めたんだ、だから…どちらかの為に焦って、みんなに無理を強いたり、傷つけるような事はしない」
アケボノ「……出過ぎた真似をしました、申し訳ありません」
海斗「ううん、気遣いは嬉しかったよ、でも…西方海域に行くのは少し気が早かったのかもね…離島鎮守府はその役割を今果たしている」
ここの役目は、国防と遠くに出撃せざるを得ない、それこそ先の横須賀艦隊のように撤退をする際の援護
一時的に逃げこめる安全な場所
海斗(西方海域に直接向かうのは間違いだ……うん、仕方ない…必要な戦力を同行させる形にしよう)
海斗「アケボノ、横須賀と呉に連絡を取っておいて、西方に出るのはウチとその二つになるだろうから、詳しく話しておかなきゃ」
アケボノ「はい」