元勇者提督   作:無し

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愚信正義

神奈川 某所

提督 倉持海斗

 

狭霧「すみません、わざわざ来て頂きまして」

 

海斗「此方こそ、僕も綾波について少し気になる事はあったんだ」

 

狭霧「……倉持司令官はどう思っておられるのですか」

 

海斗「東雲は綾波だ、と考えている…昨日の通話での君の反応から…綾波はいないんだと思ったんだ…綾波じゃなく君が協力を求めてきたことも含めて、いろいろ違和感はあったんだけど…」

 

狭霧「御明察恐れ入ります、全くもってその通りです、そして私も同じ考えです」

 

海斗「……綾波は何故君たちの元を去ったの?」

 

狭霧「…綾波さんは今、脳に重度の障害を負っており、普段は廃人のような状態です…先日倉持司令官が訪ねてきた時のように、わずかな時間の対応はできるようですが…」

 

海斗「ちょっと待って?…その話が本当なら、東雲と綾波は…」

 

狭霧「そうなんです、私もそこは腑に落ちませんでした…綾波さんが東雲なら、戦えるはずがないんです、もし戦えても僅かな時間…改二は使えないでしょう…もし使えても、すぐに脳を破壊してしまいます」

 

海斗「……じゃあ、綾波じゃない…のかな」

 

狭霧「ええ…それに、綾波さんは…自分自身に絶望していた、何もできないことに…」

 

海斗「何もできない?」

 

狭霧「…設計も、料理も、何もできないんです…今の綾波さんは脳の障害をどうにかして克服しない限り…」

 

海斗「…可能性は、思ったより薄いのかな…」

 

綾波がそうだったとしたら、殲滅して自己紹介までする余裕があるとはとても思えないな…

 

海斗「もし綾波だったとしたら何かあるね」

 

狭霧「はい、私もそう考えています」

 

 

 

 

狭霧「本日はお時間をとっていただきありがとうございました」

 

海斗「こちらこそ、それより、ずっと聞きたかったんだけど…君たちのところにはいろんな国から仕事の依頼が来るんじゃないの?」

 

狭霧「私は…綾波さんとは違います、その質問の答えとしては"はい"ですが、殆どは裏の目的があります、私たちを利用しようとする輩は多い、綾波さんがいないと知れ渡ればもっと増えるでしょう…表と裏を見極めずに仕事を受けるわけにはいきません」

 

海斗「そっか、だから僕達を?」

 

狭霧「ええ、貴方はまだ…いえ、きっとその様な邪な考えで私たちを動かそうとはしていないと判断しました」

 

海斗「…どうして?」

 

狭霧「……言葉が悪いですが、そのままの言葉を使わせていただきます、愚かだからです」

 

海斗「愚か?」

 

狭霧「綾波さんはこんなことを言っていました、「正義の味方は愚か者だ」と…自身にメリットのない戦いをする事もある、そしてその為に命をかけられる人……とても清い人ですが、見方を変えれば愚か者…」

 

海斗「…そっか、愚か者か…」

 

綾波らしくはある

 

狭霧「綾波さんが放った言葉を、私は全て知っている…貴方は愚かな勇者です、ですから…私は貴方を信じましょう」

 

海斗「…人は変わるよ」

 

狭霧「良くも悪くもですね」

 

海斗「僕はもう、勇者だなんてものじゃない…もとよりそんなつもりはなかったしね」

 

狭霧「…望んでなるものじゃありませんから、そんなもの…過程、意思、そんなものを無視して呼ばれるのです、称号とは…」

 

 

 

 

 

ネット

The・World R:1

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

双剣士 カイト

 

カイト「……」

 

ハセヲ「どうしたんだよ、カイト」

 

カイト「いや、なんでもないよ」

 

過程や意思を無視して呼ばれるのが称号、か

 

カイト(なら、何度だって勇者になってみせる…それでみんなを助けられるなら)

 

ハセヲ「で?今日はブラックローズはどうしたよ」

 

カイト「家庭の用事でお休みだって」

 

ハセヲ「ふーん…」

 

カイト「…居た!」

 

司だ…!カーキ色の衣の呪紋使い…

すぐに追いかける

 

カイト「ねえ!君、ちょっといいかな」

 

司「……何?」

 

カイト「…少し探し物をしてるんだ、クロノコアって言うんだけど」

 

カイト(あの時、司はクロノコアという何かを知っていた、それについてわかれば、きっと何かの手がかりに…)

 

司「くろの…コア?何それ…黒い何かのコアって事?」

 

カイト(知らない…?どうなって……)

 

司「…もういい?」

 

カイト「あ、うん…ごめん」

 

司を見送る

 

ハセヲ「なんか掴めたか」

 

カイト「いや……逆に謎が深まっただけだったよ」

 

クロノコアって、一体何なんだろう…

きっと何かの核心に触れる物なのに、それが掴めない

 

ハセヲ「……そういや、この時代…いや、俺がやれる事…」

 

ハセヲがカオスゲートの前に立つ

 

カイト「どうしたの、ハセヲ」

 

ハセヲ「今が"いつ"なのか、それさえわかれば…俺にできる事もあるだろうぜ」

 

カイト「いつ?」

 

ハセヲ「…過去の時代、それに俺たちみたいなイレギュラー…何かが変わっちまってるんだ、色んなゲームであるだろ?過去を正しく導くってな」

 

カイト「正しく、か…そういえば、この時代でプレイしてたんだっけ」

 

ハセヲ「ああ、あんまり…思い出したくはねえけど…それに、もしかしたら直接モルガナを叩くチャンスがあるかもしれねえ…過去で何かをするなら、改変を阻止するか、黒幕の陰謀を止める…ゲームのお決まりだろ」

 

カイト「…よし、そうだね、大雑把な目標は決まったし、行こうか」

 

ハセヲ「何処にだ?アテはあんのか?」

 

カイト「…いや…」

 

ハセヲ「俺はあるぜ、この時代の紅衣の騎士団の動向さえわかれば多少の状況はわかる」

 

カイト「…じゃあ、昴に会わなきゃ…か……とりあえず、探して話を聞かないとね」

 

ハセヲ「ああ……ぁ…?ま、待て!揺らすな!誰だ!」

 

カイト「ハセヲ?」

 

ハセヲ「おい川内!……悪いカイト、落ちるわ」

 

カイト「あ、うん…じゃあ、僕は聞き込みでもしておくよ」

 

ハセヲ「ああ、頼んだ…」

 

ハセヲがログアウトする

 

カイト「…さて、と…昴に会うには…あれ?あそこにいるのは…青葉だ…!」

 

間違いない、青葉がいる…

でも、何故?……いや

 

カイト(過去に来てると言うことは…その時代に居た敷波や青葉もいる事になるのかな、BTも敷波と青葉のことを知っていた…つまり、僕を助けに来てた時の青葉…)

 

カイト「…なら、組めるかも…」

 

何かあった時、今の僕のレベルではまだ心許ない

情けない話だけど、1人で行動するよりは良いはずだ

 

カイト「青葉!」

 

青葉「ひゃっ!?え、え!?し、司令官?!い、いやでも……あれ?1人…だし…」

 

青葉(な、なんで過去のカイトが私を知って…いや、と言うかこれ…本人だ!…そっか、リアルデジタライズしてた時の司令官…が、この時代にはまだ居るんだ…味方だと思うと、心強いなぁ…)

 

カイト「今大丈夫?何かしてる途中だったり…」

 

青葉「いや、そんなことないですけど…」

 

カイト「ならパーティを組まない?」

 

青葉「パーティですか?……あ、いや…実は…その、私のアカウント、と言うかパソコンに変なウイルスが入ってるみたいで…メールとかも全部使えなく…」

 

カイト「え?…それは大変だね…治せるといいけど…よし、ちょっとこっちに来てくれるかな」

 

青葉を路地に連れて行く

 

青葉「え?司令官、どこに…」

 

カイト「流石にあんなところで腕輪を使うのは…」

 

カイト(見えないとはいえ、少し怖いしね…)

 

青葉「う、腕輪ですか!?」

 

カイト「…あー…やっぱり怖い?やめておこうか…」

 

青葉「い、いえ!他に頼れるものもないので!」

 

カイト「じゃあ行くよ…!」

 

青葉をデータドレインしてデータを改変する

 

カイト「……これでどうかな?…あれ?」

 

青葉、誰かと手を繋いでる…?

 

青葉「…あ、パーティ申請送れる!……ぅ…め、メールがものすごい数溜まって…」

 

青葉(というか、私やられた事になってる…確かに負けたけど…!)

 

カイト「青葉、その…手を繋いでるキャラは…?」

 

青葉「え?…あ!?み、見えてるんですか!」

 

カイト「え、うん…その…女の子のキャラ…」

 

青葉「…ええと、この子はリコリスさんと言って…その、私を助けてくれてるんです」

 

カイト「そっか、青葉を…ありがとう」

 

目を瞑った少女に話しかける

 

青葉「あ…た、多分何も聞こえてません。」

 

カイト(目を閉じてるから見えないとは思ってたけど、聞こえてもないのか…)

 

カイト「そっか、ところで…青葉はこれからどうするつもりだったの?」

 

青葉「…昴さんを頼ろうかと」

 

カイト「ちょうど僕も紅衣の騎士団に用があったんだ、一緒に行ってもいい?」

 

青葉「是非」

 

青葉(またあの騎士と衝突しかねないし…)

 

 

 

 

カイト「あ、昴!」

 

青葉「昴さん!」

 

昴「…貴方達は…ええと…」

 

カイト(そういえば、この時代はまだ僕は昴とほとんど関わってないんだったっけ)

 

青葉「昴さん!その…少しお話を…」

 

昴「…貴方は?」

 

青葉「え?」

 

青葉(…ああ、ようやくわかった…この時代、私が昴さんと出逢う前なんだ…だからミミルさんもベアさんも、私とあまりまだ話していない…誤解されてる…いや、認識をすり替えられてる…)

 

青葉の槍を握る手に、力がこもった感じがする

 

カイト(緊張してるのかな…)

 

青葉(…許せない、時代を改変して、そんな風に…)

 

青葉「…私は青葉と言います、私は今、この世界に起きてる異変について伺いたいんです」

 

昴「異変、ですか」

 

青葉「紅衣の騎士団の皆さんがユーザーのために戦ってくださってるのは知ってます、でも、私もただ見てるつもりはないんです」

 

昴「……司というキャラを、知っていますか」

 

青葉「司…」

 

昴「そのキャラが、猫のようなチートPCと思われるキャラと頻繁に会っていることを目撃されています、私たちは今それを調査しているのです」

 

青葉「…猫」

 

青葉(あのR:Xでみたエンデュランスさんの肩の猫?…いや、違う…何かまだ居る)

 

カイト(ミアの事…かな)

 

青葉「わかりました、私たちも調べてみます」

 

昴「そういうつもりで言ったわけではありません、あまり関わらないでください、そのプレイヤーが使役するモンスターにキルされると…危険です、リアルの身体にも影響があるそうです」

 

青葉「リアル、に…?」

 

青葉(ただのゲームバトルでダメージを負う?…今の私がダメージを受けたら…)

 

カイト「青葉、あんまり無理する必要はないよ」

 

カイト(青葉の声が震えてる…やっぱり怖いんだろうな…)

 

青葉(司令官を言い訳にするつもりはないけど、この司令官は生身、そんな状態で攻撃を受けたら…私もそうだけど、危険すぎる…ここは一度戻って、シックザールのメンバーと合わせて調査した方がいい…)

 

青葉「わかりました、あまり関わらないようにします」

 

昴「そうしてください、では、私はこれで」

 

昴を見送る

 

青葉「司令官」

 

カイト「何?」

 

青葉「司令官は絶対にリアルに帰れますから」

 

カイト(…やっぱり、この青葉は過去の青葉なんだ…僕がリアルに帰れた事、言うべきなのかな…いや、変に言えば…何が起きるかわからない)

 

カイト「うん、わかってる」

 

青葉(……私のやるべき事は決まった…!司ってキャラの調査…絶対に、やり切って見せる)

 

カイト(とりあえず、司を探そう、確かさっき見かけたのはあっちのショップの方だった…)

 

カイト「それじゃあね、青葉」

 

青葉「はい」

 

青葉(あ、そうだ…司令官にメールを送らなきゃ、過去のカイトと戦うにあたってクセとか、そういうのを把握しておかないと…あと団長にも現状報告しないと怒られる…よね)

 

カイト(…あれ?メールだ…青葉から……)

 

[from:青葉

 件名:聞きたい事が

急なメールすみません司令官。

どうしても伺いたい事がありまして…。

私は今、The・Worldの調査中なのですが、過去の時代の司令官、つまりカイトというキャラと交戦する事がありました。

 

恥ずかしながら、かなり苦戦を強いられまして、私は一度も倒せていないんです、なので、もし宜しければ司令官から見たカイトの弱点を教えて頂けませんか?

 

そのカイトが色んな所に出没して様々な物を狂わせている以上、未帰還者の人たちを助けるためにも見過ごせないんです…!]

 

カイト「青葉…頑張ってるんだね…」

 

 

 

 

 

青葉「あ、返信早い…」

 

[from :カイト

 件名 :弱点

そのカイトが僕じゃない以上確証はないんだけど、双剣士は打たれ弱いんだ。

あと火力もあんまり高くないかな、R:2の双剣士(ツインソード)は火力と手数が強みだけど、R:1の双剣士(ツインユーザー)は火力が出ないから物理職としては最低クラスの攻撃力なんだ。

 

その代わり移動速度が速いし、魔法ステータスも高い。

後衛としての立ち回りが安定してるから、剣士2と双剣士1で双剣士はヒーラーとして回復やバフを担当する事も多い。

 

メインアタッカーとして前に出る事はあんまりないかな…。

 

これぐらいしか思いつく事はないよ、役に立つといいんだけど。]

 

青葉(確かに、アルビレオさんの時代で戦ったカイトは魔法を頻繁に使ってきたし、火力も低くてサポートを優先してた……でも、R:Xで戦った時は味方よりも前に出て攻撃してきてたような…)

 

青葉「うーん…でも、アルビレオさんの時のカイトの方がキツかった気がするし、本来の動きをされてたのかな…」

 

青葉(この間見かけたカイトも仲間2人、ブラックローズとハセヲは攻撃職だから…うん、司令官の言う通りなんだ…じゃあ私は回復役を先に落とすことを考えないと)

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