元勇者提督 作:無し
インド 沿岸部
軽巡洋艦 川内
川内「はぁ!?こ、来られないってなんで!?」
亮『急に他国の軍事力を招き入れるのが怖くなったとか言い出したらしい、今交渉中だから安全な場所を確保してくれ』
川内「…も、もう日が暮れるんだけど?てっきり安全に夜を明かせると思ってたんだけど?」
亮『…悪い…川内、今日だけ耐えてくれ…』
川内「じょ、冗談じゃないよ!!!ああもうやだ!イムヤ!ジェットスキーは!?」
イムヤ「…岩にぶつかって、壊れました」
川内「ここから戻ったら…」
曙「どんなに早くても半日はかかるんじゃない?」
川内「こんな任務受けなきゃ良かった!!もーどーなってんの提督ー!!」
赤城「ひどい癇癪ですね」
加賀「久しぶりに見ました、最後に見たのは…年で言えば何年前ですか」
神通「お二人が今19ですので、少なくとも20年は見ていないことになりますね、前の世界と合わせて」
亮『戻ってきたらお前のやりたいようにやらせてやるから!頼むから今日だけ我慢してくれ…!』
川内「やーだー!!神通と曙もなんか言ってよ!!」
神通「何かと言われましても…」
曙「クソ提督とでも言っておけば?」
川内「クソ提督クソ提督クソ提督〜!!」
神通「姉さん、はしたないです」
川内「……はあ…虚しい…やぁぁだぁぁ!夜きちゃうよ!」
潮(もう通信切れてるのに無線機に喚いてる…)
神通「空母が2人いるのに夜を海の上で過ごすのは避けたいですね」
加賀「夜間は危険です、せめて上陸したいのですが」
イムヤ「でも話聞いてる限り…上陸したら怒られそうじゃない?」
川内「だねぇ…」
潮「あ、通信……はい…そうです…え?戻るんですか?」
赤城「…どうやらなんとかなりそうですよ」
潮「あ、あの…20分ほど戻ったあたりで二式大艇で回収してくれるそうです…」
川内「え、マジ?」
神通「良かったですね、姉さん」
川内「うんうん!最高だよ!良かったぁぁ!」
反転し、きた道を戻る
川内「にしてもよくそんな都合の良いタイミングで…」
潮「ここまでくる用事があったみたいで、そのついでだそうです」
神通「用事ですか…」
川内「どこの?二式大艇っていうと特務部だと思ってたけど…」
潮「ええと…表向きはそういう事になってるみたいです」
加賀「表向きというか、通信では特務部と言っていましたが、妙なんです」
川内「…通信の相手誰だったの?」
潮「それはこちらの提督なんですけど…」
神通「…待って、前方に敵輸送部隊を確認しました」
川内「もう一回、か」
神通「…ここは戦闘を避けるのも手です、進行が遅れます、夜になれば空母は艦載機を飛ばせない、視界も悪くなる、一撃に負うリスクが高すぎます」
確かにそうだ
でも、ここで引けば民間人への被害もあり得る
となれば、私たちの役割を考えると
川内「数は」
神通「輸送艦は5、護衛部隊は見えませんが水中にいるものと思われます」
川内(奇襲するにもなぁ…詰めてくるのを待ってるんだろうし、敵に有利なスタートを切らせるのはまずい、だったら遠距離でやるしかない)
川内「魚雷流しまくろう」
駆逐と軽巡、さらには潜水艦の遠距離といえばこれに限る
曙「…魚雷射出したけど、当たるの?これ」
神通「敵は単縦陣、五隻がきっちりと固まっている以上…この平行に放たれた魚雷を全て避けるのは難しい上、おそらく水中には護衛艦もいる」
川内「ちょーっとばかし、いたぶってから仕留めるよ」
速力を徐々に上げ、迫る
イムヤ「……そろそろ」
前方で深海棲艦が打ち上げられる
川内「うわ、魚雷の水柱って切断するくらい威力あるんじゃなかったっけ?よく壊れないなあ、あの輸送級」
神通「いや、表面だけですね、裏面はズタズタですよ」
曙「そんな冷静に解説しなくていいから」
潮「き、来ます!!」
護衛部隊が浮上し、攻撃を仕掛けてくる
川内(戦艦2、空母と軽巡と駆逐…5か)
神通「舐められたものですね」
神通からAIDAの腕が伸び、戦艦球を掴み、引き寄せ…
曙「うわ…」
ぐちゃり
嫌な音を立てながら、じっくりと時間をかけて戦艦級が真っ二つになっていく
川内「神通、潜水艦の子達が凄い顔してるからやめな」
神通「別に楽しんでいるわけではありませんよ」
神通が死体を投げ捨てる
神通「確実に仕留めたいだけで」
川内「…おっと…鉄崩水の呪符!!」
前方に水の壁を作る
曙「何?何やってんのよ」
川内「敵!攻撃してきてるよ!!」
水の壁に敵の砲弾がぶつかり、激しく波が立つ
川内「うわっ!?」
潮「あ、足元が!?」
思っていた以上に大きな波でバランスを崩す
神通「…!姉さん!どうやら敵の輸送しているものは…艤装です」
川内「え!?何!聞こえない!」
神通「だーかーら!艤装を運んでるようです!!」
川内「な、なに?艤装?!」
先刻倒した仮面の敵は艤装を残して消滅
もしそれを今回収しているのだとしたら?
川内(…あり得る、嫌な感じがする)
頭の中で組み上がった仮説を肯定する
川内「それ…全部頂いちゃおうか…!!」
神通「は、はい!?」
艤装が残るなら、それを調べてみれば何かわかる!
神通「では!残り4体を…いや…」
神通が遠くを見据える
川内「神通?」
神通「…成る程、私達の仕事は終わりですね」
二式大艇
駆逐艦 朧
朧「1班降下用意!」
タシュケント「あああもう!無茶だって!なんで飛び降りて戦うの!?ゆっくり二式大艇を着水させてからでいいでしょ!」
ガングート「諦めろ、朧は言い出したら聞かん」
朧「喋ってる暇あるなら…行くよ!!」
二式大艇のハッチが開く
ロープを艤装に繋ぐ
狭霧『高度よし、風はありますが問題ありません!減速します!』
朧「行くよ!」
タシュケント(な、なんで落下さんじゃなくて振り込みたいな方式にするかなぁ…)
ガングート「練習はしたが、これは足腰を痛めるんだよな」
グラーフ「行け!」
ハッチから飛び降りる
二式大艇の進む勢いに引っ張られながら、徐々に降下していく
タシュケント「さ、寒い!!」
グラーフ「空冷はなかなか堪えるな!」
朧「もうすぐ海面だよ!ロープ切断するよ!…3‥2…1…今!」
ロープをひきちぎり、海面に転がり着水する
タシュケント「わぷっ!?」
ガングート「よし、完璧な着地だ…いや、着水なのか?」
朧「前方敵深海棲艦4発見!!」
即座に主砲を構え、撃ちながら迫る
ガングート「続け!!」
タシュケント「ま、まって!まだ立ててない!」
朧「置いてくよ!?もう良いや!」
タシュケント「良くないよ!?」
ガングート「アレは空母か!!狙い撃ちだ!!」
ガングートの砲撃が空母級の側に着弾する
朧「狙えてない!いや、ブレを抑え切れてないのか…止まっても良いから一回当てて!」
此方に差し向けられた艦載機を全て撃ち落とす
ガングート(飛んだら跳ねたりしながらアレより小さく速いやつを落とすとは、本当にバケモノだな…)
朧「軽巡と…駆逐!!」
砲撃を叩き込む
朧「それから空母!!」
空母級に砲撃する…も、ダメージとしては軽微…
朧(なら…これのお披露目かな!!)
脚部艤装の魚雷発射管が海面を向いたのを確認し、空母級をしっかりと狙う
朧「くらえ…!」
艤装のブーストつきの回し蹴りが空を切る
そしてその勢いのまま、魚雷が射出される
朧「3本とも、刺さった!」
ガングート「…オーバーキルがすぎるだろう」
空母級が爆散する
タシュケント「まだ終わってないよ!!」
ガングート「いや、終わりだ!」
ガングートが戦艦級に迫り、艤装を掴む
ガングート「この距離なら外しようもない!!」
ゼロ距離砲撃と刀でのめった斬り…
タシュケント(オーバーキルはどっちなんだか…)
川内「成る程ね、特務部のガワを借りてるんだ?」
朧「表立っては動けないので…」
神通「しかし、あの降下…いきなり至近距離に敵が現れることを考えると…恐ろしいですね」
ガングート「簡単じゃないぞ?リシュリューとプリンツは脚を折ったからな」
川内(Linkってどういう場所だっけ?特殊部隊か何か?)
朧「さて、狭霧!早く降りてきて!」
二式大艇がすぐ側に着水し、ハッチを開く
川内「夜になる前に帰れる!」
朧「あー、はい、そうですね…」
二式大艇 機内
狭霧「なるほど、これが仮面の敵の艤装…」
朧「川内さんに言われて回収したけど、見れば見るほど…普通の艦娘の艤装だよね」
狭霧「ええ、深海棲艦のものとはまるで違う、これを使っているとなると…」
狭霧が何かを取り外す
狭霧「あった、戦闘ログ」
朧「そんなのあるの?」
狭霧「皆さんのものにもありますよ」
朧(知らなかった…)
狭霧「と言っても、元は特務部の管理システムの名残ですけどね」
朧「帰って解析かー…」
狭霧「時間がかかりますが、そうする他ありません、艤装の出所も探らないと」
朧「綾波、帰って来れば良いのにね」
狭霧「帰ってきても無理はさせられません、無事であることをただ祈るばかりです…というか、綾波さんを探しにきたんですよ?鼻に何も感じませんか?」
朧「ううん、ペナン基地の方が何かあるんじゃないかなぁ…」
狭霧「神鷹さんの夜中がひどいので早く帰ってきて欲しいところです」
朧「夜泣きって…」
東雲「っくしゅん!!…か、風邪…?」
ペナン基地
朧「…!…するよ、綾波の匂い…それも、血液の匂いが」
狭霧「本当ですか!?」
朧「海の方に続いてて、追えないけど」
狭霧「確定ですね」
朧「うん、東雲ってのは…綾波だ」
これで確証に変わった
ここに綾波はいた
足跡をたどり、見つけたとして
アタシ達は綾波と何を話し、何を求めれば良いのだろうか
駆逐艦 東雲
東雲「…ゔ……は、鼻が…ムズムズしますね…」
今日は些か調子が悪い
東雲(帰って来れないかな…)
私を探し、この小島を何人もの敵に囲まれている
この島の地形は把握した
何もかも理解した
竹林の場所、崖の場所、何もかも
そして、罠を張った
東雲「…まあ、仕方ないですね…でも、篭城戦をするときの私は…強いですよ?」
細く張った竹の糸が切れる音
そしてそれに反応して
反対側で落とし穴に何かが落ちた音
向こうで竹槍に貫かれた音
私が数えるのをやめるほど居た敵は、自ら数を減らし続ける
賢くない
確かに巧妙な罠の貼り方だが、ここまで悉くかかるのもまたすごいことだ
東雲「……ああ、最後か」
私の正面に、とうとうやってきた敵達
一歩踏み込んだが最後、いつのまにか前後なんて入れ替わり、私が敵の背後から斬りかかり、始末する
東雲「…生半可…いや、中途半端…とも違う」
どう形容して良いかわからない
東雲「まあ、"この程度"が1番近いか…これでは、私の首はおろか…血の一滴すらも私を汚すことはない」
守るのは容易い事だ
私の城を攻めるのは、私を知っている敵でなくては、不可能だ
私が守るのは、我が身だけ
そして、その我が身が明日を守る…
東雲「…疲れちゃいました……ああ…皆さん、お疲れ様でした…」
また、今日を乗り切った
目を瞑り、あすをまつ