元勇者提督   作:無し

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作戦計画

ペナン基地

駆逐艦 曙

 

曙「で?」

 

亮「「で?」ってなんだよ、俺に言われても知らねーよ」

 

曙「わざわざ呉空けてきたのに、もう何も考えがないの?」

 

亮「ベンガル海を一回の出撃で行って帰ってくる予定なんてなかったんだよ、横須賀も手を焼いた海域だ、1発で向こう岸まで行けるなんて誰が思うよ」

 

神通「私たちを甘く見ていましたね」

 

亮「かもな…だが、次はインドの協力なしだと苦しいな」

 

那珂「なんで?」

 

亮「スリランカへ補給物資を送る、ついでに可能な限りの人間の避難もある…次の作戦はかなり重いぞ」

 

神通「行きはともかく帰りは護衛ですか…インドまで?」

 

亮「で、済めばいいが」

 

那珂「ここまでつれこなきゃいけないの!?スリランカってインドの目と鼻の先でしょ!?」

 

亮「どこの国も裕福じゃねえ、それに輸出で財政を持たせてたような国は軒並み苦しんでる、仕方ないとはいえ避難先に何も差し出せない奴らは避難民を受け入れる代わりに最終的に国土を要求される」

 

神通「成る程…しかし、それも納得いきませんが」

 

亮「一つの国になることで得られるメリットを選ぶか、深海棲艦に滅ぼされるか、島国に迫られる宿命だ、軍艦なんてあの速度でチョロチョロしやがる深海棲艦相手にはろくに役に立たない以上な…」

 

神通「…待ってください、提督、その話を聞くに…私達はどこかの国の利益を阻害しようとしていることになります」

 

亮「正解だ、そのどこぞの国は黙ってねえだろうな」

 

那珂「…人とやるって事?」

 

狭霧「いいえ、その心配はありません」

 

神通「貴方は…てっきり帰ったのかと」

 

狭霧「帰っても良かったのですが、お仕事がまだありまして…あれ、ザラさん?居ない…あの人が資料持ってるのに…」

 

神通「資料?」

 

狭霧「海賊というものを知っていますか?」

 

那珂「漫画とかでなら」

 

狭霧「結構、私たちはそれに対する戦力です、古来より海賊という存在は有りました、深海棲艦の登場により一時的になりを潜めました…が、以前健在です、彼らは常に獲物を狙っている」

 

曙「そんなの出てきたら深海棲艦にやられるんじゃないの?」

 

狭霧「意外と生き残ってるんですよね、しかも不正入手した艤装を使っているという情報もありました、それもあって雑魚には対処できているのでしょう」

 

曙「へぇ…海賊になってる艦娘ねぇ…」

 

狭霧「え?違いますよ、ただのむさいオジサンが使ってるんですよ」

 

神通「艦娘以外もつけられるんですか?」

 

狭霧「適性がないのでシステムの性能は大幅に落ちますけどね、しかも重いので、普通なら楽に動けないでしょう」

 

神通「でも、深海棲艦を退ける程度にはできる…か」

 

那珂「というか、なんで海賊の話?」

 

神通「利益を邪魔された人たちが正面から仕掛けては戦争になります」

 

狭霧「それならば失敗しても良い部外者を使う方が、都合がいい…」

 

那珂「え、失敗前提?」

 

狭霧「今の状況でよその国に見捨てられ、陸で孤立するならば…と言うところでしょうか」

 

亮「ダメでもともと、当たれば大勝利…か」

 

狭霧「スリランカは紅茶の生産が盛んですが、輸出を封じられている、世の言うセイロンティーは価格高騰の一途を辿ってる、それに対してインドで作られる紅茶は需要も供給も高まる一方」

 

神通「…この状況に乗じた商いもあるのですね」

 

狭霧「当然です、もっとややこしい事を言えば陣営の話にもなります、しかしそんなもの私たちには関係ありません…助けを求める人を助ける、それが私達の仕事です」

 

亮「ま、海賊は任せるとして…」 

 

狭霧「南から行きましょう、北は陸地に近いし海賊の拠点があるかもしれませんよ」

 

亮「だな、じゃあ…どうする?編成だが…」

 

神通「提督、この海域、目立った敵はありません、問題は水面下に隠れ、奇襲を狙う知能のある敵達です、となると…遊撃隊を編成することを提言します」

 

亮「遊撃か」

 

神通「私と…活動時間の限られる姉さんはLinkと共に行動させていただく方が有用なのではないでしょうか」

 

狭霧(…私達のはらわたを見たいんだな…まだ信用しきられていないというか、監視しておきたいというか)

 

狭霧「そう言う申し出でしたら是非…貴方達の作戦がうまく行くことが私達の望みです」

 

神通「随分と献身的ですね」

 

狭霧「Linkはそう言う組織ですから」

 

神通「そうですか」

 

狭霧(今のところ、綾波さんの事は倉持司令官以外には露呈していない、綾波さんが敵対的行動を取らない限り…伏せておくべきだ、いきなり仕掛けられる事があっては協力関係を失う)

 

神通「……では、編成の話に移りましょう、護衛という事ですので空母のお二人には出ていただきたいところですね」

 

亮「まあ、そこは堅いだろ、あとは離島から借りてる戦力…盾役としての動きができる大和だな…あと、大和を出すなら指揮役をつける様に言われてる、ウチからは那珂と曙、お前らに出てもらうが…」

 

神通「指揮役としては…こちらに来ている離島の方はあとどなたが居ましたか…阿武隈さんも居ないし…」

 

曙「キタカミとか呼べば来るんじゃないの?」

 

亮「…まあ、それが安全策か…一度掛け合ってみるか?でもそうすると移動は船だ…作戦開始は延期になるな」

 

曙「……ああ、いい事思い付いた、狭霧、朧貸してくれない?」

 

狭霧「ああ、成る程…構いませんよ、朧さん1人の穴は十分に埋められます」

 

神通(朧さんに匹敵する戦略が控えているというのですか…なかなか、恐ろしいチームですね)

 

曙「これで編成は良し、あとは決行するだけ…」

 

亮「行き道はとことん時間をかけろ、できる限り殲滅しながら進め、帰りはできるだけ逃げることを最優先、そっちから回収の連絡が出たあたりで潜水艦隊を出して撤退を援護…これで良いな?」

 

神通「まず問題ないでしょう、那珂ちゃん、あまり無駄な戦闘はしない様にしてくださいね?」

 

那珂「わ、わかってるって…」

 

神通「新しい艤装を試したい、なんて言わないでくださいよ」

 

那珂「わかってるってば…で、でも敵が多かったり強かったら…」

 

神通「その時は一切の油断なく叩き潰してください」

 

那珂「オッケー…!」

 

亮「結構は明日の夜だ、明日作戦を確認して夜に出発する、輸送時はできるだけ日中になる様にする…とりあえず明日の日中はゆっくり休め」

 

那珂「了解!」

 

 

 

 

 

二式大艇 機内

駆逐艦 狭霧

 

狭霧「そういう作戦になりました、何か気になる事がある人は」

 

グラーフ「無い、私はな……ザラ、そっちのパンを取ってくれ」

 

ザラ「はい…あ、そのフリッターください」

 

リシュリュー「タシュケント、口汚れてるわよ、ほら」

 

タシュケント「ごめんごめん」

 

狭霧「…食事時に帰ってきたからって無視して食べる事ないでしょう…?」

 

グラーフ「私は無視はしていないぞ」

 

タシュケント「というか、食事時に帰ってきたとしても食後に話せばいいんじゃない?ご飯の最中に明日の仕事なんて…」

 

ザラ「考えたくないですよね…」

 

狭霧「ザラさん、私は貴方に海域の資料と海賊の資料を持ってくる様に言ってあったし、つい10分まで隣にいたはずですよね?」

 

ザラ「ご飯ができたってグラーフさんに呼ばれて…」

 

狭霧(綾波さん、無駄に食事にこだわるタイプですからね…悪習慣とは言わないけど…こんな癖がみんなについてしまってます…)

 

グラーフ「なぜそんなに焦って連絡しているんだ」

 

狭霧「言い忘れとかあると困るじゃないですか」

 

リシュリュー「どうせやる事は変わらないんでしょう?」

 

ガングート「海賊をぶちのめして、調査する」

 

タシュケント「…何をだっけ」

 

狭霧「艤装ですよ艤装!仮面の敵の艤装と海賊の艤装の類似性!それから海賊が深海棲艦を使役しているという情報の調査!」

 

タシュケント「そう、それだよ、頑張らないとね〜」

 

タシュケントさんがグラスのワインを飲み干す

 

狭霧「せ、せめてお酒飲まないで聞いて欲しいんですけど…」

 

リシュリュー「そう言えば朧は?」

 

狭霧「書類整理手伝ってくれてるんですよ…」

 

ガングート「食事もせずにか?」

 

グラーフ「それは良くないな、綾波が言っていただろう、食べるという字は人に良いと書くと、私は漢字が書けないが」

 

狭霧「ああもう!そうですね!」

 

タシュケント(拗ねた…)

 

ガングート(綾波を持ち出すと本当に弱いな、狭霧は)

 

グラーフ「どうた、朧を呼んできてみんなで食べる気になったか?」

 

狭霧「…わかりましたよ、呼んでくれば良いんでしょう…!」

 

リシュリュー(狭霧って綾波とはとことん違うタイプ…これがクローンだって言っても誰も信じないわね)

 

 

 

朧「うーん…仕事残したままっていうのも気持ち悪くない?」

 

グラーフ「だとしても、出来立ての食事を食べないのは作ったやつに対する冒涜だろう」

 

朧「…そうかも、でも、アタシに調理当番が回ってこないのはなんで?」

 

タシュケント「え?…つ、疲れてそうだからじゃない?みんなより働くしさ」

 

ガングート「ああ、そうだ、そういう事だ」

 

狭霧(素直に魚介づくしが嫌だと言えば良いのに)

 

グラーフ「ま、まあ、そんな事は気にしなくていいんじゃないか?」

 

リシュリュー「そうね…別に朧の料理が独創的だとは…思ってないから…」

 

狭霧(リシュリューさんでもダメか…)

 

朧「独創的?…昔から日本で食べられてるものだよ?酢〆のお魚なんて」

 

タシュケント(そ、それじゃないんだけどなぁ…いや、それもなんだけど…)

 

ガングート(一食全て魚介に染まる事を恐れてるんだがな、メインだけじゃなくサラダも魚介、小鉢も皮の和物、汁物は骨が丸ごと入ってたり……特にライスに魚を入れる発想には脱帽した)

 

朧「そろそろ、お魚が食べたいんだけど…」

 

狭霧「朧さん、貴方の魚介好きは病的ですよ」

 

朧「え?そんな事ないでしょ…?」

 

狭霧「今朝何を食べましたか」

 

朧「焼き鮭定食…かな、狭霧が作ってくれたよね」

 

狭霧「今朝食べましたよね、魚」

 

朧「うん、でもお昼は食べてないよ」

 

狭霧「毎食食べないと気が済まないんですか…?」

 

朧「身体に良いよ」

 

狭霧「ならいりこでも食べてなさい…!」

 

タシュケント「…ガングート」

 

ガングート「ああ、カルシウムが必要なのは狭霧の方だな」

 

狭霧「聞こえてますよ!!」

 

ザラ(め、メチャクチャ怒ってる……)

 

ポーラ「ザラ姉様、怖い…」

 

ザラ「私もです…」

 

グラーフ「カルシウム…くっ…ふふっ……」

 

朧(あのグラーフがツボってる…!なら…)

 

グラーフ「ぶっ!?…ふっ…ハハハハハ!!」

 

タシュケント「くっ…ふふ…や、やめて…!」

 

ガングート「それは、卑怯だ…!」

 

リシュリュー(ふっ……わ、私は知らない、と…)

 

狭霧「みなさん何笑って…」

 

グラスの水の反射を確認し、即座に振り返る

 

朧「あ」

 

狭霧「…私の頭にツノを生やして、何だと言いたいんですか?」

 

朧「…オニ、とかかな…」

 

狭霧「なら、鬼らしく雷を落としてあげましょう」

 

朧「い、いや、ごめんって…」

 

狭霧「問答無用!!」

 

雷のカートリッジを起動する

 

朧「いや本物じゃん!?」

 

 

 

 

 

狭霧「…はぁ…無駄な体力使いましたね」

 

グラーフ「なあ、狭霧…朧はわかるが…なんで私たちが片付けなんだ」

 

狭霧「私を笑いましたよね?」

 

朧(神通さんみたいな事言ってる…)

 

リシュリュー「わ、私は笑ってないんだけど…」

 

狭霧「心の中で笑いましたよね?」

 

リシュリュー(…め、メチャクチャな事言ってるわ…)

 

タシュケント「その理論でいくとザラ達は?」

 

狭霧「ザラさん達は笑ってませんよ、怯えてただけで」

 

リシュリュー(確かに怯えてた気はするけど…)

 

狭霧「何か文句でも?」

 

リシュリュー「…ないです」

 

ガングート「戦艦が駆逐艦に脅される図」

 

タシュケント「ぶふっ…や、やめてよ…」

 

朧「お酒入ってるから笑いのツボがおかしくなってるね」

 

狭霧「貴方が笑わせたんでしょう」

 

朧「そーでした」

 

狭霧「…はぁ……頭が痛くなってきました」

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