元勇者提督   作:無し

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臆病勇者

The・World R:1

Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック

双剣士 カイト

 

カイト「あ、やあ!ブラックローズ!」

 

ブラックローズ「「やあ!」じゃねえよ!なんでここ最近ログインできなかったんだよ、なんか…ヤバかったのか?」

 

カイト「まあ、ヤバいかやばくないかで言えばヤバいけど、大丈夫、みんな頑張ってくれてるからね」

 

ブラックローズ「…まあいいや、それより、例の猫PCの居所を掴んだんだ、ついて来てくれよ」

 

カイト「わかった」

 

…あの猫の、獣人のPCは間違いなく仕様外のキャラクターだ、NPCかPCかはまだわからない、でも…あの時、間違いなく僕を、僕達を…

 

カイト「…行こう」

 

僕はこの時代を、この世界を知らない

あのキャラクターを知らない、でも、唯一わかるのは、アレは危険だって事だけだ

 

 

 

 

 

 

Θサーバー 隠されし 真実の 虚無

 

カイト「…居ないね」

 

ダンジョンをくまなく探しながら進む

 

ブラックローズ「昨日はここにいたんだ、間違いない」

 

カイト(…見つけても、話ができるかどうか…いや、それよりもしもの時に摩耶を逃すことだけ考えよう)

 

前の様に仕掛けてきたのなら…最悪、腕輪の行使も視野に…

 

ブラックローズ「…アイツは…」

 

カイト「司だ」

 

…摩耶の情報は正しかったらしい

緑衣の呪紋使い、司…

 

カイト「少しだけ、様子を見てみよう…」

 

ブラックローズ「わかった」

 

…ギリギリ、聞き取れる距離まで近づく

 

司「…そうだね、でも…あの女の子はずっと寝てるから、まだ先になるかもしれない」

 

司1人が喋る

しかし、会話が成立しているかの様な素振り…

 

まるで、司には誰かの声が聞こえている様な

 

カイト(女の子…?一体誰と喋って…)

 

司「うん、でも、先に君にこれをあげるよ」

 

司がエノコロ草を手に持ち、掲げる

 

ダンジョンの障害物の影から猫のPCが現れ、エノコロ草を受け取る

後ろ姿からでも、あの猫のキャラが喜んでいることがわかる

 

カイト(…まるで、ミアとエルクみたいだ…)

 

司「ねえ、マハ、母さんはミミル達をあそこに連れて行ったら怒るかな?」

 

カイト「マハ…!?」

 

…マハ、第六相誘惑の恋人マハ、六相の碑文にして、もう一つの姿を持つ…

 

その持つ一つの姿こそが、僕のかつての仲間、同じ様にネコをモチーフとした獣人のPC、ミアだった

 

マハ「…!」

 

司「どうか、したの?」

 

カイト(しまった、気づかれた…!)

 

急いでエリアから摩耶と脱出する

 

 

 

 

 

Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック

 

ブラックローズ「おいおい、なんでいきなりエリアを出るんだよ、目的のやつはみつけたのに…また振り出しに戻るじゃねえか」

 

摩耶が剣を地面に突き立て、寄りかかる

 

カイト「…ごめん、でも、あのキャラは特殊なモンスターを呼び出すんだ、そのモンスターにキルされると…」

 

ブラックローズ「ただのゲームバトルじゃ済まないってことか…で?アタシを外そうって?」

 

摩耶の目線がキツくなる

 

カイト「いや、そういう訳じゃ…」

 

ブラックローズ「…カイト、あんまりこの摩耶様を舐めんなよな…!」

 

カイト「……そうじゃない、怖かったんだ、また目の前であんな事が起きるのが」

 

…ただ、怖かった

 

カイト(…青葉みたいな目に合わせたくない、あんなことになって欲しくない…でも、まだ、探索できたかも)

 

…焦りが産んだ判断ミスとも取れる行動

そんなつもりはない、もちろんアレの危険性を踏まえれば退いて良かったと思ってる、でも…

 

ずっと逃げ続けるのか?それは、いつか限界が来る

 

カイト「……摩耶、その…ブラックローズのPCには慣れた?」

 

ブラックローズ「ああ?…まー…だいぶん、思い通り動いてくれる様にはなったけど…」

 

カイト「…よし、せっかくだし、コンビネーションの練習をしようか」

 

ブラックローズ「コンビネーション?」

 

カイト「動きをあらかじめ決めておけば、未知の敵にも有利に立ち向かえるかもしれない、お互いの意思疎通の手間を減らせるという意味でも有用じゃないかな」

 

ブラックローズ「…良いけど…「The・Worldは3人パーティが基本」じゃなかったのかよ」

 

カイト「やむを得ず2人で戦わなきゃいけないこともある…特に、行動を一番共にする相棒とは、連携技の一つくらいないとね」

 

ブラックローズ「…なるほどな、そういうことなら悪くねえ、乗った」

 

 

 

 

 

 

 

Δサーバー 水の都 マク・アヌ

トキオ

 

トキオ「はぁ…結局、カイトは帰ってこないし、ベアとは少し揉めちゃうし…散々だったなあ……ん?あれは…司!」

 

司「…アンタ、誰」

 

トキオ(そ、そういや話したことなかった…!)

 

トキオ「オレはトキオ!よろしく!」

 

司「…ふーん」

 

トキオ(め、めちゃくちゃ警戒されてる…)

 

トキオ「あれ?それって、ペット?」

 

司が抱きかかえた動物を凝視する

 

司「知らないの?プチグソ」

 

トキオ「プチグソ?」

 

彩花『The・World R:1のペットシステムね、成獣にまで進化させれば移動時に乗ることもできるわ、あの子はまだ子供みたいだけど』

 

トキオ「へー…よく見ると愛らしいなあ…」

 

司「…撫でる?」

 

トキオ「え?いいの?」

 

司が降ろしたプチグソを撫でる

 

トキオ「うわあ…なんか、柔らかいしフサフサだし、あったかいなぁ…」

 

司「……わからないくせに」

 

司がプチグソを抱き上げる

 

トキオ「ああっ…もう終わり?」

 

司「…じゃあね」

 

司がどこかへと転送されていく

 

トキオ「わからないくせに…か……わかるんだけどな、オレ」

 

彩花『普通、リアルの感覚があるなんて誰も思わないでしょう?』

 

トキオ「うーん…確かに、仕方ないのかなあ…」

 

青葉「あ!居た!」

 

トキオ「うわっ!シックザール!?」

 

シックザールから逃げ出す

 

青葉「ああ!待って!ぁゔっ!?」

 

何かに引っ張られた様に青葉が転ぶ

その隙にグランホエールへと逃げ込む

 

 

 

重槍士 青葉

 

青葉「うう…ど、どこいきました?……居ないし…リコリスさん、ついてきてくれないし…」

 

…収穫は今のところ、何もない、このままでは困る

そもそもトロンメルさんは何処だ、連絡を取っているのに全然待ち合わせにやってこないし、探しても居ない

 

青葉(まあ、人のこと言える立場じゃないけど…時間とかに良い加減な人多そうだなー…シックザール)

 

どうしたものか、今の私は時間が過ぎるのを待つしかやることが無い…

 

青葉「……あ…?」

 

砂嵐三十郎「む」

 

青葉「…出ましたね、浪人の方…」

 

砂嵐三十郎「…ああ、以前立ち会った重槍使いか…!あの時は中途半端に終わっちまったが、続きがやりたいのか?」

 

青葉「…そうですね、あなたをデリートしなくてはいけません」

 

青葉(この人も、別の時代から来てしまったコピー、それを削除するのが私の仕事…)

 

砂嵐三十郎「立ち合い…と、いくか」

 

青葉「容赦は、しません…!」

 

砂嵐三十郎「む…これは…!」

 

周囲の景色が切り替わる

 

青葉「簡易的なバトルエリアです、この中ならどんなに戦っても良い」

 

砂嵐三十郎「…なるほどな、良いじゃねえか、狼」

 

青葉「私は狼ではありません、青葉です…!」

 

砂嵐三十郎「おっと、そうなのか、そいつはすまんな、てっきり拝一刀かと思っちまった」

 

青葉(子連れ狼なんて今時誰も知りません…よ……あれ?)

 

…チラリとリコリスさんの方を見る

相変わらず私の手を握っている、何も変わらない

 

青葉「…あの、見えてます?」

 

砂嵐三十郎「なんの事だ?見えてるってのは…」

 

青葉「…子連れ狼なんていうものだから、焦った…」

 

砂嵐三十郎「しかし、手を握るモーションなんてあったかな、そっちの子はこのエリアにいて大丈夫なのか」

 

青葉「やっぱり見えてるじゃ無いですかーっ!!」

 

砂嵐三十郎「おおっ…な、なんだ?」

 

青葉「え、なんで?なんでリコリスさんが見えて…!」

 

砂嵐三十郎「リコリスって言うのか?…なんだ、なんか訳ありに見えるが…」

 

青葉(うーん…どうしよう、言うべきか言わざるべきか…)

 

砂嵐三十郎「で、やるのかい」

 

青葉「…とりあえず、あなたが生き残ったなら、聞きたいことを聞かせてもらいます」

 

砂嵐三十郎「ほお」

 

青葉「私が勝ったら、そこまでです」

 

槍を両手で構え、踏み込む

突き、薙ぎ払い

素早く手数の多い攻撃で様子見する

 

砂嵐三十郎(く…この前やった時より技のキレが良い…)

 

青葉(槍に集中した…それは命取りです!)

 

呪符を投げつけ、発動する

 

青葉「火炎太鼓の召喚符!!」

 

浪人のやや後方にダメージエリアを作り、逃げ場を限定し…

 

砂嵐三十郎(誘い込まれてるな…いや!あえて乗るか…)

 

互いに一撃、浅いが一撃ずつ攻撃がヒットする

 

青葉(削られたダメージは…この程度なら普通にやりあえる、でも…)

 

斬られた感覚が頭に流れ込む

斬られた錯覚の痛みでおかしくなりそうだ

 

砂嵐三十郎(このダメージ…油断は元よりない、しかし…巧い…!)

 

青葉「そういえば、名前を書いてませんでしたね…!」

 

砂嵐三十郎「砂嵐三十郎だ」

 

青葉「…青葉です」

 

一合、二合…

 

小手調べをしてるわけでは無い

だというのに、互いに下手な踏み込みを恐れ、戦えない

 

砂嵐三十郎!!」

 

ここで重要なのは射程差

槍とに本当なら槍の方が長い

 

青葉「はああぁぁぁッ!!」

 

砂嵐三十郎「ぐっ…」

 

リーチを生かした一方的な攻撃

斬撃を狙わない、もはや打撃のみの軽い攻撃で徐々にダメージを蓄積させる

 

砂嵐三十郎「やるじゃねえか…!」

 

青葉「それはどうも!!」

 

槍が刀とぶつかり、刀を弾き飛ばす

 

青葉「ダブルスィーブ!!」

 

砂嵐三十郎に大技叩き込む

そして間髪いれずに乱撃を叩き込むら

 

青葉「……トドメ!」

 

振り上げた槍を斬撃で受け止められる

 

砂嵐三十郎「こいつは、思ったより強いな…まいったまいった」

 

青葉「え?まいった?……なんで?」

 

砂嵐三十郎「お前さんの方が強い、それだけだ」

 

青葉「…」

 

油断はない、変な動きをするなら貫く

 

砂嵐三十郎「どうやってここからでればいいんだ?」

 

青葉「あ?ああ、なら送り出しますけど…」

 

砂嵐三十郎「悪いな」

 

バトルエリアが消滅する

 

青葉「……なーんだか、少し違和感あるんですよね」

 

砂嵐三十郎、この人についても少し調べないと

 

.hackbrsであることくらいしか分かってないのに

 

青葉「私も出直します」

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