元勇者提督 作:無し
The・World
ワイズマン
「不味いな、プロテクトを破壊しても依然データドレインが無くては倒し切れん」
「お前碑文高いってやつじゃなかったか!?」
「残念ながら今は使えない」
フィドヘルは予言を告げ、どこかへと消失した
何が理由かは知らんがな
「カイトの方は?」
「大丈夫そうだ、スケィスを退けたらしい、タイミングを見てこちらにくると」
「ふむ…せめてこの形だけでも返してやらねばな」
「できるのか?」
「アテはあるが…確証はない」
アウラは朝潮に憑依していたという
ならば朝潮の姉妹に情があってもおかしくない筈だが
「…ならば頼れん…こっちに来るぞ」
「分かっている、前衛を頼む」
「任せておけ、月長石!お前もだ!」
…まさか状況は私の思う以上に悪いのか?
アウラはセグメントになったとはいえ、カケラほどの力もないのか?
嫌な予感がしてきたな
海上
連合艦隊
駆逐艦 曙
「いいわ!そのまま!」
「下から斬り込む!」
「狙いはいいわね!撃ちなさい!」
「っらぁぁ!」
危なげながらも連携をとり
メイガスと戦う
「摩耶!攻撃が始まった!退いて!」
「おう!」
「よし!いいわ!弾薬は!?」
「それが…こっちは残りわずかで…!」
「早く仕留めないと不味そうね!全員もう一踏ん張りしなさい!」
腕輪は展開済み、いつでもデータドレインを叩き込める
万が一があればネットへ送り込めばいい
勇者 カイト
「……」
スケィスは少しずつ下がってる、ここで僕はメイガス戦に合流してもいい、だけどなんでこんなにゆっくりと?
誘われてる
そしてその背後にチラつく影
「モルガナ、その誘いに乗るつもりはないよ」
『あら、そっちが来ないのであれば、他の八相をけしかけましょうか』
それだけは避けなくてはならないか
メイガスの方は確実にダメージを与えている
あのまま行けば倒せるだろうが…第三艦隊は誰が助ける?一刻の猶予もない
続け様に八相が来たとしたら?
「…曙、摩耶、君たちにそっちを任せる!僕はスケィスを追わなきゃいけなくなった!」
『はぁ!?冗談でしょ!?』
『提督!逃すんじゃなかったのか!?』
「そうできなくなった…摩耶!君ならネットに潜り込める、戦闘が終わったら第三艦隊を頼むよ!」
言い切ったあたりで通信を切る
「お前の考えは、正直わからなくなってる、でも話す必要があるのは間違いないからね」
スケィスの後を追う
思考を止めず、周囲を深く警戒する
可能ならば、今、ここで話し合い、全て終わらせたい
重巡 摩耶
「ふざけんな!クソがっ!」
「荒れてる暇はありません、全門用意!てー!!」
「オラァァッ!」
手応え
さっきまでとは違う何かを感じる
「来たかっ!?」
「プロテクトの破壊を確認!データドレイン!行くわよ!」
「任せた!やってくれ!」
「データドレイン!」
アオボノから発せられたデータドレインはメイガスの姿を骨組みへと変える
「良し!続けて叩き込むぞ!」
「弾薬尽きた艦は鎮守府へ行って!速く!」
「金剛補給に戻りマース!すぐ戻ってきマース!」
「その前に終わってるっての!!漣!曙!紋章砲用意!空母はいけるの!?」
「展開確認しました!こちらからも紋章砲を叩き込みます!」
「摩耶!先に第三艦隊の方に行きなさい!」
「おう!任せたぞ!」
海に剣を突き立て、空間を切り裂きネットに入り込む
The・World
「っと!何処だここは…」
「ブラックローズ?いや、確か」
晶良を知ってる、ってことは、提督の仲間か
「アタシは摩耶だ、アンタは!?」
「私はいい、彼女達を」
「マジか!めちゃくちゃ重症じゃねぇか!サンキューな!そっちの戦いは!?」
「もう仕留めたよ、データドレインが無くとも、倒すことは不可能ではないからな、それに秘策もあった」
「そうなのか?」
「とんでもなく時間がかかる上に危険だがね、その橋を我々は渡り切った、其方は?」
「メイガスのプロテクトを砕いた、これからトドメを刺すところだ!じゃあコイツらを回収してくぜ!ありがとな!」
ワイズマン
「ふむ…」
イニスを倒した、筈なのだが、なんという胸騒ぎだ
私の中では何も解決した気がしない
「果たして、害は何方に…」
フィドヘルは応えない
となれば、やはり私の力も失ったか
だが気になるのはメイガスの碑文使いと私は無事なのに対して
なぜイニスの碑文使いは意識不明のままなのだろう
「AIDAが元凶というわけでも、碑文を開眼できないわけでもないのにな…何故だろうか」
「納得いかないか」
「…この度の協力に感謝します」
「こっちこそ、まさかこの歳になって、ここで戦うことになるとは思わなかった」
「世界は再び、求めているのです」
新たな力を求めている
「そうかも知れないな」
「神の槍…まさか今の時代にも存在するとは思いませんでしたが、そしてそれを持ち出せるとも」
「碧衣の連中は大体俺の元部下だ」
「そうでしたね、さすが騎士団長、と言ったところですか」
「元、だ」
海上
カイト
「モルガナ、一つだけ言っておく、僕はできればもう戦いたくはないんだ」
『勇者であることを捨てると?それとも、降伏ですか?』
「勇者であることにもうこだわることはやめた…モルガナ、君はなんのために戦ってるの?もう戦う必要はない、違う?」
『ふっ…ふはははは!そんな事を?何を言ってるのですか、全てを手にするために戦っている…それだけ、それ以上でもそれ以下でもない!』
「君にはもう誰も手出しできない、アウラは誕生した、それでも消えないんだ、何も心配はない筈だ」
『それで?何故私が貴方と仲直りしなくてはならないのですか?』
「君はあの時みたいに危険はないんだ、お互いに戦う理由はない」
『いいえ、私にはある…ただ憎いと言うだけで!それが戦う理由になる!』
やっぱり、一度傷つけた相手に急に納得しろ、と言うのは無理な話かな
「じゃあ僕を好きにすればいい、それで満足するのなら、僕は死ぬ覚悟をしてる、もちろんこの体じゃない、僕の命をあげる」
『死んで英雄になろうと?』
「そうじゃない…もう戦いで誰かが傷つくのは、嫌なんだ」
『ならば、貴方以外の全ての者を、目の前で縊り殺しましょう』
「なっ…」
なんだろう、この違和感は
『貴方には、最上の絶望を与えた上で死んでもらわなければならない』
モルガナがAIだから?それとも、自分の思った通りに物事が進まないから?
『そう言えば、エルク…アレのせいで、貴方を仕留め損ねた事がありましたね』
「エルク…君が意識を奪った1人だ」
『ええ、そうです、そして今は随分と幸せそう…愛すべきマハに再び逢えたのだから』
エルクは、マハをとても大事にしていた
ミアと名乗り、彼と共にずっと冒険し、共に過ごしてきたマハを
そしてそれを、この悪意がただ、マハをエルクに与えるだろうか
「………まさか」
『マハにやられたと言うのに、満足そうに受け入れていましたね、何も疑わない様子で、死を選ぶ!お前もそうなる!』
「お前は…なんのためにそんな事を…?」
『ただの復讐…お前の物語は私への復讐から始まった、ならば私も復習で返す』
何も言い返せない
仲間にそんな事をされた、その瞬間に頭に血が上り、何を考えていたかわからなくなる
目の前の悪意に憎悪を向ける
ついさっきまでの感情をシャットアウトしてしまう
「違う…だめだ…これは違う…」
何かに呑まれそうだ
『ああ…素晴らしいですね…アハハハハハ』
「…やめてくれ…」
呑まれる、違うんだ
僕はこんな事を望んでない
『これでお前も手駒ですか、心配いりません、全てが終わったら、元に戻してあげましょう…そして、絶望のままに死になさい』
AIDAに…呑まれる…
「残念ながら、そうはいかないかなぁ…」
『誰だ?お前は』
「…なん…で……」
ここにはいない筈なのに…
「ハイパー北上様参上だよー、と言っても、1人じゃないけどね」
「司令官!」
朝潮も…?違う…まだ居る…?
アレは…
あぁ…駄目だ、安心しちゃった…
「ごめん…」
意識が呑まれた…
雷巡 北上
「ごめんねー、提督、信じてくれて嬉しいけどそれはちょっと怒りたいな」
なんとなく、こうなるって知ってたんだ、私はさ
戦いが始まる頃に朝潮を呼び出して、帰ってきたばかりの摩耶を捕まえて、3人で最大速度で海を走った
「ったく…どうすんだ!?この状況!」
「大丈夫でしょ、勝てばいいんだよ」
「…勝てるのか?」
「勝つしかないです」
なんでこうなるのかも、なんで動いたのかも私にはハッキリわからないけど
一つわかるのは、今1番助けを求めてるのは、目の前の提督
「んじゃ、やるよー」
「お助けいたします」
真っ黒に染まった目でこちらを睨まれる
心臓を貫くようなその視線
胸が痛くなる
「提督、そう言う目は今向けて欲しくないかなぁ!」
魚雷をとことん沈める
「アタシが肉弾戦を仕掛ける!頼むぜ!」
「朝潮、行くよー!」
「分かっています!」
朝潮を連れてきたのは単純に、アウラっていうやつの残滓に期待した
摩耶にもブラックローズってやつに期待した
私は私で、自分に期待した
「摩耶、押されてない?」
「無茶いうなよ!クソッ!早すぎてガードも間に合わねぇ!頼む!」
「機銃で薙ぎ払います!」
「魚雷上がるよー、朝潮、今」
「はい!」
海面に飛び出た魚雷の爆風で提督が吹き飛ぶ
「今、いくよー!」
AIDAで作り出した刃を向け、放つ
「撃ちます!」
提督を貫いくはずなのに
両手の剣でそれをいなし、それを伝うようにして距離を詰められる
「二の矢は用意OKってね」
提督に向けてパンチ
もちろんただ殴るつもりじゃない、0距離からの大量の魚雷を叩き込む為に
「どかーん」
AIDAで自分を守ってるとは言え、熱い
そして感じ取る
コイツは違う、AIDAじゃない…吸収出来ない
「提督…なんなのさ、それ」
全くの無傷、そして黒い泡
「………」
AIDAは感情を暴走させる、なのに、提督からそんなもの感じない
むしろ、感情を失ったみたいな
「痺れるねぇ……」
汗が頬を伝う感覚
「北上!捕まえとけよ!」
「無理!今にも逃げられる!」
両手で掴み直し、海面に叩きつけ、魚雷をとことん叩き込む
「摩耶ー!はやくー!」
「っしゃぁぁ!」
大剣を叩きつけられる
若干私も痛い、データドレインで焼かれているような感じだろう
「今治してやるからな…!」
違う、無理だ
何か違う
「摩耶…逃げ…」
青い炎の爆発
避ける暇もなく吹き飛ばされる
「ったー…いつつ…冗談でしょ…?」
青い炎に包まれた提督か
「本番は今からな訳?本気?私もう疲れたんだけど」
容赦無く剣を振り抜かれる
魚雷発射管を一つお釈迦にされただけで済んだのは幸いか
「ま、でも時間は稼いだかな」
爆雷が提督に落ちる
艦載機が来たようだ
「あと少しかな、艦載機だけ来たってことはもう少し戦えば、みんなと会えるよ、提督…殺してでも連れて帰るから!」
「殺すのはやりすぎですが!こっちからも行きましょう!」
「そうだな!諦めてやらねぇ…ありがたく思えよ!?」
「んじゃ、改めて…行くからねー!」