元勇者提督 作:無し
The・World R:1
Δサーバー 萌え立つ 過越しの 碧野
双剣士 カイト
カイト「今日はちょっと喋れないから、デフォルトの読み上げ機能を使うけど大丈夫?」
ブラックローズ「おー、なんか声ちげー…って言うかさすがThe・World、チャット読み上げなんてあったんだ」
カイト「みたいだね(笑)」
ブラックローズ「カッコ笑いってちゃんと読むのか、それ、面白いな!」
カイト「うん、ところで、武器換装についてはどう?」
ブラックローズ「あー……試してみてるけど、うまくショートカットを割り当てられてなくて…」
カイト「このゲームの属性武器はどれも強力だし、属性の扱いをマスターしないとこのゲームは難しい、ゆっくり慣れていこう、そうすれば自然と連携も繋がってくる」
ブラックローズ「…でも、カイト、どうするんだ?このまま未帰還者達のこと後回しにするより…」
カイト「いや……後回しではないんだ、どうやら、少しずつ進んでいる…僕たちは進んでる事を認識していないだけで、少しずつ進んでる…」
そう、この時代に起きている、司というPCに起きている異常は…少しずつ、進んで行っていた
昨日
Δサーバー 水の都 マク・アヌ
重槍士 青葉
青葉「え、ええ!?…あの、プチグソって…」
あの司が連れているプチグソ…間違いない、敷波さんの…!
青葉(…あのプチグソ、種類が同じだけ?それとも敷波さんの代わりに司さんが受け取った…?)
何にせよ、あのプチグソを…助けたい
青葉「あの!」
司「…青葉だっけ」
青葉「は、はい!…そのプチグソは?」
司「…預かったの」
青葉(やっぱり…!)
青葉「可愛い子ですね…」
司「うん」
プチグソを撫でる
青葉「!」
青葉(…暖かい、感触がある…うう…だから斬られる度に痛いのに…)
司「…暖かいって、感じる?」
青葉「…ええと…」
司「感じないよね、普通は」
青葉「いいえ、感じますよ」
司「…なんで」
青葉「この子は頑張って生きてる、命としての熱を持っている…だからあったかい…私はそれを感じてます」
司「……データなのに」
青葉「私はそうは思いません…この子、予防接種はしましたか?」
司「知らない、預かっただけだから」
青葉「なら…してあげたほうがいいかもしれません、どうですか?一緒にプチグソ牧場まで…」
司「考えとく」
司さんがプチグソを抱き上げる
青葉「……その子のために」
司「……」
司さんが転送される
青葉(…あんまり深刻そうに話しても、信用されないかな…なら、ホワイトチェリーを…あ、エリアワードなんだっけ…?)
青葉「あ、居た!昴さん!」
昴「…貴方は、確か…」
マク・アヌの街の中を流れる川、その川を進む手漕ぎの小舟によく昴さんは乗っている
しかし、見つけやすいのはいいが、船は勝手に止まってはくれない
青葉「あ、あの!紅衣の騎士団って!たくさん情報が…あー!待って!」
…船がいってしまった…
昴「最初からここで待っていてくだされば…」
青葉「す、すみません…降りる場所知らないもので…」
結局小舟から降りるポイントで合流することになった
青葉「そ、それで、騎士団っていろんな情報が集まるって聞いて…」
昴「それほどでは…ありませんが」
青葉「…ホワイトチェリーを探してるんです」
昴「ホワイトチェリー?」
青葉「どうか、手に入れられるエリアを教えてくれませんか?」
昴「…プチジステンパーですか…」
青葉「はい、知り合いのプチグソが罹ってしまったようで…」
昴「成る程…しかし、その…あのアイテムはかなりの高値で取引されていて、本当に欲しいという本人にのみ情報を提供しているのです」
青葉「そんな…」
青葉(先手を打ちたかったのに…)
昴「そもそも、プチジステンパーのイベントはプチグソ牧場でプチグソを診てもらった時点でホワイトチェリーが出現するようになっていて、本来は手に入らないアイテムなので…」
青葉「そういうイベントなんですね…あーもう!ど、どうしよう…」
…いや、こういう時こそ、アレが使える!
青葉「失礼します!」
ログアウト
リアル
Link基地
青葉
青葉(よーし!これで…)
ログアウトしてすぐに記事を書き込む
ホワイトチェリーについて、プチジステンパーについて
そして、最後にこう付け加える
[ホワイトチェリーの出るエリア名を覚えてる人、居ませんか?]
…これで、誰かが教えてくれればいいのだけれども
青葉(待ってる間に、昨日の剣士の記事…)
こちらも情報収集目的だが…いろいろなことが書かれていた
[確か、小さい呪紋使いとよくいたのを見たなぁ…すごく強かったっけ]
[ショップのNPCをPCだと勘違いして話しかけてるのを見たことあるぞ]
[.hackersの初期メンバーだよ、コテツソードを一緒に取りに行ったって話を聞いたことがある、かなり初心者向けの武器だから、始めたての時に仲間になったんじゃないかな]
[BBSの話?確かそんな書き込みあったような、刀探しの人?]
[そうそれ、刀を探してますってやつ]
青葉(…欲しい情報では無いけど、初心者時代からの仲なのかな…)
バトルスタイルやら、その辺りの情報が欲しいのに…
[昔PKやってた時に戦った事あるけど、真っ正面からの斬り合いスキルしかないから搦手を使えばいいとこまでは行けたなぁ…でも、結局正面から叩き潰されちゃったw]
青葉(搦手…そういえば、この前戦った時はうまく呪符を絡めて戦えば引いてくれた…)
戦闘スタイルを見直そう
ヴォータンに頼ったスタイルが多いが、呪符を使いながらスキルを…
青葉(でも、アイテム使用も動きが止まるしなあ…スキルのタイミングと合わせるとなると…うーん……上手くやらなきゃ)
青葉「あ、新しい記事にも…この人…というか、このハンドルネームは…」
司[Δサーバー 拒絶する 彼女の 進軍 で見かけた事がある、でも、あのイベントは好きじゃない…何でロストする仕様になってるんだろう]
青葉(…そうか、私は勘違いしてたんだ…敷波さんがあのプチグソを預かるのが正しい歴史なわけがない、だって本来居なかったんだから…司さんが受け取るはずのプチグソを受け取っていたんだ…!)
…このエリアに行けば、ホワイトチェリーがある!
青葉(…一応、ドゥナ・ロリヤックの牧場に行こう、まだ生成されてないかも)
The・World R:1
Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック
トキオ
トキオ「あ、司だ!」
司「…トキオ」
…司が抱えてるプチグソ…何だか元気ないな…
トキオ「プチグソ、元気なさそうだけど…大丈夫?」
司「わからない…けど、何だか元気なくて…だから、プチグソ牧場に…」
トキオ「プチグソ牧場?」
彩花『プチグソを貰ったり、診せたりする場所よ』
トキオ「そっか、オレも行くよ!」
プチグソ牧場
プチグソ屋「いらっしゃい、ここはプチグソ牧場だよ」
司「あの、この子…」
司がプチグソをNPCに差し出す
プチグソ屋「…おおっ!?こ、これはプチジステンパーじゃないか!」
司「プチ、ジステンパー…?」
プチグソ屋「名前よりずっと恐ろしい病気だよ…予防接種はしなかったのかい?」
司「予防接種…?……あの時、行けば…」
トキオ「な、治す方法はないの?」
プチグソ屋「特効薬はホワイトチェリーだね、早く与えないと手遅れになる…」
トキオ「ホワイトチェリー?ど、どこで手に入るの?」
彩花『知らないわよ!それより、早くクロノコアを探さないと…』
プチグソが小さい声で鳴く
トキオ「彩花ちゃん…!」
彩花『…ああ!もう!わかったわよ!』
司「どうしよう…」
青葉「居た!…そんな、発症してる!!」
司「青葉…!」
トキオ「し、ししっ…シックザール!?」
青葉「邪魔です!」
シックザールに押しのけられる
青葉は司とプチグソにすぐに駆け寄る
司「ぼ、僕…あの…」
青葉「予防接種しなかったんですね……でも、まだ間に合うはず、ホワイトチェリーを取りに行きましょう!」
司「…何処にあるのか…」
青葉「調べてあります!Δサーバー拒絶する彼女の進軍、一緒に来ますか…!?」
司「う、うん…行くよ…!」
トキオ「な、なんでシックザールがプチグソを助けようとしてるんだ…?」
彩花『…事情は知らないけど、ついて行きなさい、あのプチグソに何かあるのかもしれないわ』
トキオ「…うん、わかった、オレもプチグソを助けたいし……オレも行くよ!」
青葉「貴方は…!いや、今はいいか…わかりました!急ぎますよ!」
トキオ(あ、あれ?オレだって気づかれてなかったの?)
Δサーバー 拒絶する 彼女の 進軍
大雪の積もった森のエリアに転送される
青葉「すみません、パーティを組んでください」
司「これでいい?」
トキオ「あ、うん……あれ?」
青葉「行きますよ!」
トキオ(な、何で青葉は女の子と手を繋いでるんだ…?)
雪を踏みしめながら進む
トキオ「…なんでシックザールがプチグソを助ける為に…」
青葉「私は命を大切にしてるだけです、それに貴方は私たちを誤解してる…」
トキオ「…その子は?」
青葉「あとです!とにかく今は先を急ぎます!」
青葉(…リコリスさんの事は後!…とにかく今は急いで……いや、誰かいる!)
青葉「デュアルスィーブ!!」
青葉が森の木を真っ二つに斬り倒す
青葉「…かわしましたか、誰ですか!姿を見せてください!」
楚良「ばみょんっ…と」
青葉「貴方、楚良さん…!」
楚良「そ、楚良さん…ねえキミ」
トキオ「お、オレ?」
楚良「メンバーアドレス、ちょーだいっ」
トキオ「い、いや、今急いでて…」
楚良「くれないなら…」
楚良が籠手から刃を出す
青葉「相手、しましょうか」
楚良「…えー?」
青葉「私が相手になりましょうかと言っているんです…!今急いでるんですよ!!」
青葉の槍が周囲の雪を吹き飛ばす
楚良「うわ、なんか怒ってんじゃーん……ん?」
青葉(まだ何が来る!)
クリム「待て待て待てェーーーいッ!!」
成体のプチグソに乗った赤い衣装の男が此方へと近づいてくる
青葉「クリムさん!」
楚良「げぇっ…クリムかよ…」
クリム「とおっ!」
プチグソから飛び降り、青葉と楚良の間に降り立つ
クリム「よお、相変わらず…悪いのか?」
楚良「何、オッサンがオレの相手してくれるわけ?」
クリム「遊び相手になるつもりはないが…」
クリムが槍を振り回す
クリム「説教するつもりは満々だ!!青葉!ここは任せて先に行け!」
青葉「ありがとうございます!2人とも早く!」
司「う、うん!」
楚良「ちぇっ…司くん達逃げちゃった…」
クリム「さあ、悪い子供は説教だ!」
楚良「そういうのウザすぎ」
青葉「何処にあるの…ホワイトチェリー…!」
司「…ねえ、The・Worldって、こんなマップだったっけ」
青葉「え?」
トキオ「な、なんのこと?」
司「……変なんだ、このエリア、ダンジョンが見当たらない、それに、向こうのほうに、変な扉があるんだ」
青葉(…何あの扉、まるで…ボス部屋みたいな無駄に凝ってる作り…)
トキオ「ボス部屋っぽいし…きっとあの中にあるんじゃない?」
司「…とにかく、行って…」
ずうぅぅぅん…
地面の揺れについ尻もちを着く
トキオ「な、なんだぁ!?」
舞い上がった雪の中から、巨体が現れる
トロンメル「ヘーイ…ヘーイヘーイヘーイ!!T様の登場ダゼ!」
トキオ「こ、こいつ…!」
青葉「なんで…さっきから邪魔ばかり!!」
青葉がトロンメルに槍を振り下ろす
トロンメル「おうっ!いきなりデンジャーな挨拶しやがるぜ…!」
青葉「先に行ってください!ここは私に任せて!!」
トキオ(シックザールとシックザールが、戦ってる…?な、なんで…)
彩花『シックザールで潰しあってくれるなんて、ツイてるわ…!』
青葉「早く進んで!!」
青葉が呪符を使いながら炎で辺りを包む
トキオ「い、急ごう!」
司「わかってる…!」
重槍士 青葉
トロンメル「ヘーイ…中々タフな事しやがるじゃねーか、このT様相手に、やる気かガール?」
青葉「TだかYだか知りませんが!何で邪魔するんですか!プチグソの命がかかってるんですよ!!」
トロンメル「ワーッツ?…ペットモブ一匹にベリーホットなヤツだ」
青葉「……」
槍の先端が床に触れる
片手はリコリスさんの手をしっかりと握ったまま、トロンメルを睨みつける
青葉「貴方は、シックザールNo.7、怪力男のトロンメル…」
トロンメル「ワーオ!オレ様も有名になったもんだぜ!」
青葉「私はシックザールNo.9、青葉です!…味方です…どうかここは引いてください」
トロンメル「なにィ?ニューフェイスってのは…」
青葉「私です」
トロンメル「ならなんであのPCと」
青葉「……今は特別です!私は何としてもあのプチグソを助けたい…!」
…綾波さんの事で、何も言わずに居たことを後悔した
何もしなかった事を後悔する、人生に於いては…何度も、何度も繰り返す事だ…
だから、次こそはなんて言いたくない
手を伸ばしたのに、届かなかったなんて…絶対に嫌だ
プチグソは助けられるはずだ
だから、この反逆は、取り返しのつくものだと信じて
青葉「今は追わせません…コレが終わったら、トキオを捕まえます…だから!」
トロンメル「ヘーイ…そういうンじゃねぇんだぜ…バタフライエフェクトって知ってるか?オレ達はアカシャ盤の正常な運航を守るだけでいい」
青葉「……なら、倒させてもらいます…!」
トロンメル「ヒュー!シンプルなのは、嫌いじゃネーッ!!」
青葉「!」
トロンメルが両腕を振り下ろす
地面から岩が一直線に隆起する
青葉(危なかった!後一瞬遅れてたらくらってた…)
リコリスさんは、手を離さない
青葉(いつも戦闘になったら離すのに……私を信じてる、って事?)
槍を地面に突き刺し、呪符を握る
青葉「火焔太鼓の召喚符!!」
トロンメル「ワーオ!ベリーにホットじゃねェか!!なら!
炎に焼かれながらの突進…!
青葉(こちらの攻撃を利用して…!いや!そんなの…)
槍を引き抜き、強く握る
青葉(…やらせない!!)
いろいろな手段が頭を駆け巡る
回転系の攻撃はリコリスさんの移動制限で使えない
呪符を使ってもおそらくそのまま突っ込んでくる
なら、この筋肉の塊と正面からやりあうしかない
考えているうちに顔が熱くなる
熱がこもったような感覚…
青葉「トリプルドゥーム!!」
上下段の攻撃がトロンメルに先にヒットする
そして、その攻撃二撃が、トロンメルを退け反らせる
トロンメル「なん…っ…!」
青葉「リパルケイジ!!」
槍を縦回転で振り回し、連続で斬りつける
トロンメル「ぐううぅ…!!ヘーイ…やるじゃねえか…ニュービーの癖にぃぃ…!」
青葉「申し訳ありませんが…倒させていただきます!!」
トロンメル「…コレで吹き飛ばして……」
トロンメルが飛び上がる
即座に、接近する
トロンメル「
青葉(もらった)
拳を地面へと振り下ろす前に、その浮き上がった体の下に潜り込み、槍を突き立てる
トロンメル「ぁがあッ!?」
青葉「オマケです!!」
槍を手放し、呪符を使う
青葉「地獄蟲の召喚符!!」
闇の蟲の足に掴まれ、トロンメルが喰らわれる
青葉「…団長には後で謝らないと……追おう」
トロンメル「…クソ…スト、ロング……」
トキオ
トキオ「ぼ、ボスだ!」
司「…倒せばホワイトチェリー…!」
司の攻撃に合わせながら斬りかかる
トキオ「連牙・昇旋風!」
司「アンゾット!」
トキオ(ダメージが低すぎる、全然倒せる気がしない!)
司「…このままじゃ、勝てない」
連続で斬り続ける
司「……トキオ、離れてて…!」
トキオ「え?」
司の声に反応して振り向いた時にはすでに遅く、司のすぐそばにいる鉄アレイ型のモンスターから触手がこちらへと伸びていた
トキオ「のわあぁぁぁぁっ!?」
間一髪避けたものの、とんでもない威力の余波に巻き込まれ、地面を転がる
司「…大丈夫?」
トキオ「あ、危ないだろ!?」
司「避けてって…言ったじゃん」
トキオ「そうだけど!!…いや、それより!」
司「…あった、ホワイトチェリー…!」
トキオ「これで良くなるな…!」
司「うん…治ったらまたトキオにも撫でさせてあげる…!」
トキオ「よっしゃ!早く戻ろう!!」
Θサーバー 高山都市 ドゥナ・ロリヤック
プチグソ牧場
司「…よし、これをお食べ、元気になるよ…」
プチグソ「…ぷぃ…」
プチグソは食べる様子を見せない
トキオ「な、なんで?」
司「た、食べてよ!…あ…」
プチグソがどんどん光になって消えていく
青葉「2人とも!……そんな…」
青葉がプチグソを見た途端崩れ落ちる
青葉(…間に合わなかった……?なんで…歴史は変えられない?本当に、どうしようもないの?)
トキオ「…司」
プチグソは光になり、消えた
青葉(…光が、少し、槍の方に…?)
司「……少し、1人にして」
青葉「司さん…」
トキオ「司……」
青葉「……トキオさん」
トキオ「…何」
青葉「貴方に用事がありましたが、また今度にします…」
リアル
Link基地
青葉
青葉「…司令官、私どうすればいいのか…」
頭がいっぱいいっぱいだった
堪らなく、誰かを頼りたかった、だから司令官を頼った、何かを解決する為に
海斗『…今は、流れに身を任せるしかないんじゃないかな…The・Worldはネットゲームだ、たくさんのプレイヤーがいる、時間が経てば、ストーリーが勝手に進んでいくんだと思う』
青葉「……長く待たされた末がこのイベントなんて……最低ですよ…」
海斗『…そうかもしれないけど、でも…歯車は動き出した』
青葉「……もし、またアウラが誕生できなかったら…」
海斗『それは……最悪の結末だね』
青葉「…私は最悪を防ぐ…!私がアウラを目覚めさせる…そして、未帰還者を救ってみせます」
海斗『僕もいる、1人で無茶はしないでね』
青葉「はい…!」