元勇者提督   作:無し

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記録 VS川内

Link基地 

駆逐艦 朧

 

朧「データの方はどう?」

 

狭霧「解析は終わってるんです、問題なのは…このデータで何をしているかが未だ掴めない…それと、戦闘ログの解析をしていたら…」

 

狭霧が画面に何かを写す

たくさんの顔写真が並んでいる

 

朧「…みんな艦娘?」

 

狭霧「ええ、それも…横須賀の育成施設の候補生が大部分を占めています、どなたも基本高いスコアを出している優秀な人たちです」

 

朧「……それで?」

 

狭霧「どうやら、彼女達の戦闘ログを使われていた様です…さて、しかし…未だに掴み切れません、このログの中身が分かっても、意図がわからない」

 

朧「…戦闘ログだけじゃどうにもならないもんね」

 

狭霧「ええ、あの仮面の下にいるのがこの戦闘ログの持ち主なら話は単純です、しかし画面の中は空洞……いや、まさか…」

 

朧「狭霧?」

 

狭霧「…仮面の下には何もない、そしてあの全身を包む防護服の様な衣装……まさか、あの中にはデータが詰め込まれて…」

 

朧「……前の世界の艦娘システムに近いもの?」

 

狭霧「その可能性があります…もしそうなら、なんてことをしているのか…!」

 

朧「まだわからないよ、焦る必要はない…」

 

狭霧「世界の境界が崩れますよ…!前の世界の出来事全てが無駄になる!!」

 

朧「…もう繰り返したりしない、繰り返させない…だから焦らないで」

 

狭霧「…ええ」

 

しかし、狭霧の焦りももっともだ、今直面してるのは世界の崩壊の危機とも言える…

 

朧(…あれ、なんだか良い匂い…)

 

ザラ「失礼しまーす」

 

グラーフ「差し入れだ、コーヒーと、ブルスケッタ、美味いぞ」

 

狭霧「……そこはワインが欲しいです…白ワイン…」

 

ザラ「狭霧さんは未成年なのでダメでーす」

 

グラーフ「クローンだし、なんなら0歳だろう?」

 

狭霧「だからこそ法律無視でいきたいところなんですけど」

 

ザラが差し出したブルスケッタを一つつまむ

 

朧「…バゲットに…ニンニクを塗って、オイルで和えたトマトとチーズ……あとはアンチョビ?」

 

ザラ「それにバジルですね、ちなみにこっちはキノコのマリネ、コッチはチキンのマスタードソース…どれも最高に美味しいですよ!Bon appétit(召し上がれ)!」

 

狭霧「コレは完璧に白ワインですね…スパークリングワインも合うでしょうね…」

 

ザラ「…わかってますね、狭霧さん…実は、リシュリューさんにシャンパンを…」

 

狭霧「……す、少しなら…」

 

グラーフ「何を言っている、今はまだ昼の一時だろう」

 

朧「それに狭霧はまだ仕事あるでしょ……」

 

狭霧「だって!これ完全に軽食じゃなくておつまみじゃないですか!絶対に白ワイン!ワインのみたい飲みたい飲みたい!!」

 

グラーフ「…狭霧が壊れたぞ」

 

朧「…最近頑張ってたからね、今日はもう終わりにしようか…」

 

グラーフ「…だな、せっかくだ、私もいいビールを仕入れた、どうだ?狭霧」

 

狭霧「頂きます…!」

 

ザラ「綾波さんはお酒には厳しい人でしたけど…狭霧さんは違いますねえ」

 

狭霧「せっかく生きてるのに、誰かに迷惑をかけるわけじゃない楽しみすら制限するのは私は好きじゃありませんね」

 

朧「未成年飲酒も?」

 

狭霧「……私は成人です、多分」

 

グラーフ「まあ、今日くらいはいいだろう、ビールとソーセージを用意してくる」

 

朧(タシュケントやリシュリューが知ったら……酒宴になるんだろうなぁ…いや、もう手遅れか…神鷹達が帰ってきた時にはすでに酒瓶で散らかってそう)

 

 

 

 

 

神鷹「ただいま、です」

 

神風「……あれ?誰もいないのでしょうか?」

 

朧「あ、おかえり、待ってたよ」

 

神鷹と神風はいつもより少し遅く帰ってきた

おかげでこちらも用意をする時間があったわけだけど…

 

朧「2人とも、少し手を貸して?」

 

神風「へ?」

 

神鷹「…朧さん、それより…」

 

朧(あれ、神鷹についてる匂い…)

 

2人の肩越しに、匂いの元となる人を見つける

 

朧「せ、川内さんに那珂さん!?」

 

神風「あの…Linkに案内してほしいって…」

 

川内「やっ!」

 

那珂「神通姉さん、お邪魔してない?」

 

朧(あー、どうしよう……き、綺麗な部屋…)

 

朧「とりあえず、どうぞ…」

 

 

 

 

応接室

 

朧(全く使ってないから全然掃除が行き届いてないけど…)

 

川内「別に玄関先でいいのに」

 

神鷹「Grober Tee(お茶です)…。」

 

那珂「え、え?なんて?」

 

川内「お茶じゃない?ティーって言ってたし…多分」

 

朧「…ええと、神通さんは来たのは来ましたけど、ウチでは雇えないって言ったらどこかに…」

 

那珂「えー…無駄骨だった…?」

 

川内「…ま、仕方ないよ、神通無しでやるしかない」

 

朧「神通さん、帰ってないんですね…」

 

川内「うん、まあ…考えなしってことは無いだろうけど…」

 

那珂「そういえば、綾波ちゃんは?」

 

朧「ええと…今居なくて…」

 

川内「そっか……んー…にしても、なんだか…」

 

朧(…酔っ払いの騒ぎがここまで聞こえてきてる気がする……)

 

那珂「……お酒の味?」

 

朧「……はい、その…一部メンバーが休暇なので、飲み会してるみたいです」

 

川内「おー、いいね、自由っぽくて」

 

那珂「ウチじゃ絶対怒られるよね」

 

川内「クソうるさいからね、大井とか特に」

 

朧「あはは…」

 

しかし、川内さん達の目的も果たしたし、さっさと帰ってもらうべきか、それとも…いや、それともどうしたいのか私にはまだ…

 

川内「あ、そうだ、青葉いる?」

 

朧「あ、居ますよ、でも多分今は…」

 

川内「なんかやってるの?」

 

朧「The・Worldやってると思います」

 

那珂「The・Worldかあ…なんだか懐かしいってくらい触ってないなあ」

 

川内「せっかくだし、見に行こうよ」

 

朧「え…大丈夫かなぁ…」

 

川内「なんか不味い?」

 

朧「仕事の一環みたいな感じなので…」

 

川内「…そういやそうだっけ、未帰還者助けようとしてるんだっけ?」

 

朧「はい」

 

那珂「なら、尚更レッツゴー!」

 

朧「えっ」

 

那珂「ほら、行くよ!」

 

朧「……はい」

 

朧(那珂さんには未だに逆らえないなぁ…)

 

 

 

 

 

 

朧「青葉さーん」

 

扉をノックする

返事はない

 

川内「…カチャカチャやってるね」

 

那珂「中にいるのはわかるんだけど…熱中してるのかな」

 

朧「ほぼ1日中プレイしてるみたいで…この前チラ見した時、レベル90くらいでした」

 

那珂「90…私のメインアカウントより高いよ…」

 

川内「The・Worldってレベル上がりにくいのに…っていうか、数ヶ月前に始めたばっかでしょ?90レベルまで上げるには……2.3ヶ月かけて大体30レベルが普通かそこらなのに…」

 

朧「異様にやり込んでますよね…」

 

那珂「…あ、鍵空いてる」

 

川内「…入ってみる?」

 

朧「え?まずいと思いますけど…」

 

那珂「大丈夫大丈夫、気配消すから!」

 

川内「簡単には気づかれないって!」

 

 

 

 

川内「お邪魔しまーす…うわっ…空き缶だらけ…しかも全部エナドリだ…」

 

那珂「戦闘中?…というか、入力早っ…」

 

青葉さんの実際にプレイしてる画面は初めて見たけど…確かに、入力が滅茶苦茶早い…!

 

朧「戦ってるの、PC?」

 

川内「PK戦に見えるね…相手は……撃剣士にみえるけど」

 

那珂「それより、なんで一人称でプレイしてるんだろ、三人称の方が視界広くて有利だし、プレイしやすいのに…」

 

朧「あ、それは没入感が高いからって言ってました」

 

青葉「…どこが私の方が強いですか…!……このままじゃ勝てませんね….hackersのメンバーを名乗るだけはある…」

 

川内「ドットハッカーズ?」

 

那珂「姉さんは知らない?最後のThe・Worldの謎を解き明かした集団…ほら、倉持司令達のチーム」

 

川内「あ、そんなすごかったの?」

 

朧「すごいです、たぶん」

 

那珂「こっちもすごいことになってるけどね」

 

一瞬目を離した隙に激しい斬り合いに画面が移り変わる

何が起きてるのか把握し切れない

当然だ、The・Worldは本来3人称でプレイするゲーム、だからエフェクトも派手で、一人称では画面を覆い尽くす様なシーンもある

 

つまり、一人称ではエフェクトで画面が見えなくる様な事もある…なのに、それをものともせず戦っている…

 

青葉「く…!」

 

でも、やはり押されている…!

防戦一方の上に、体力が徐々に削られて…

 

川内(…待って、青葉の腕、あの赤いスジは何?…さっきまで無かったはず…!)

 

那珂(…血の味がする…)

 

青葉「………貰ったぁぁ!!」

 

画面いっぱいの閃光の先…それを貫いた槍が画面に映される

 

青葉「…勝った…!」

 

朧(…押されていたんじゃなくて、待ってたんだ、決定打を放つタイミングを…)

 

川内(……やっぱり、これ内出血起こしてる、よね…なんで?…よく見たらいろんなところに痕がある…)

 

川内さんと那珂さんが黙ったまま何かを確認し合う

 

那珂(…血の味、ここからしてたんだ…)

 

川内(……この首元、締め付けられたような痕は?)

 

那珂(…日常的に暴行を受けてるような…ここの人達との関係性ってそんなに悪いの?)

 

川内さんと那珂さんが顔を見合わせる

 

2人に腕を掴まれ部屋から引き摺り出される

 

朧(え?えっ?えええ?)

 

 

 

 

廊下の壁に押しやられ、2人に詰め寄られる

 

川内「…虐めてたり、しないよね?」

 

朧「いじめ?…いや、そんな事ないですけど…」

 

那珂「……首を絞められたような痕があったけど」

 

朧「え…?本当ですか…!?」

 

…全然気づかなかった

画面に見惚れてて…

 

川内「あとちゃんとご飯も食べてない感じがしたよ…」

 

朧「それは、青葉さんの活動時間が不規則で…一応作ったものは取り置いてるんですけど…」

 

那珂「……あと、機材とかすごい古いの多かったけど…」

 

朧「それは青葉さんの趣味っていうか、青葉さんが好んで使ってるんです」

 

川内「なんで?」

 

朧「提督と買いに行って揃えたとか、聞いてますけど…」

 

川内さんと那珂さんが顔を見合わせる

 

那珂「朧ちゃんは白かな」

 

川内「…ここの他のメンバーとの関係は?」

 

朧「え?それは…」

 

朧(綾波の事以来、壁があるのは間違いないけど…今言うと変な感じになりそうだし、でも誤魔化せば後がどうなるか…)

 

川内「…何かあるんだ?」

 

朧「…仲が悪い訳ではないです、気まずくはなってますけど…」

 

那珂「差し支えなければ聞かせてくれない?」

 

朧「……綾波の居場所、青葉さんは知ってたみたいなんです…それを言わなかったから…」

 

那珂「…そっか」

 

川内「一応さ、私達も青葉とはそれなりに古い仲のつもりだからさ…特に…前の世界の離島の頃からの」

 

那珂「心配なだけなんだよ、朧ちゃん達を疑っちゃうのは本当に悪いとは思うけど…友達だから、心配なの」

 

朧「……それなら私だって長い間一緒に戦った大事な仲間です、ここにいる事で青葉さんが苦しんでるなら、離島にだって送り返せる」

 

川内「…言い方キツイけど、関心は持ててないよね、他の仕事が忙しいだけかもしれないけどさ」

 

朧「…そんな事…」

 

那珂「そんな事あるんだよ…朧ちゃん青葉ちゃんの全身に傷があるの知ってる?それも全部内出血みたいだね、理由はわかんないけど…あと、首の痕も知らなかったんだよね?」

 

朧「……それは、そうですけど」

 

那珂「関心持ってたら、気づくよ」

 

朧「………ごめんなさい」

 

同じ屋根の下にいるはずなのに、来て1時間くらいの川内さん達の方が青葉さんの今をわかっている

 

…情けない事だけど

 

朧「あ…」

 

青葉さんの部屋の扉が開く

 

青葉「…お二人でしたか、部屋に来てたの…」

 

川内「え…バレてた?」

 

那珂「気配殺してたつもりなのに」

 

青葉「……私の使ってるFMD、かなり古いので…隙間があるんですよ、その隙間から人の手足が見えたら…それはもう居るなと」

 

川内「えー…あんな厳ついのに隙間あるんだ…」

 

那珂「それよりも…うん、やっぱり全身傷だらけだよ、皮膚の下を切られてるみたいな…」

 

青葉「…まあ、あの、実際に斬られてはないので…」

 

川内「……ここに居るの、辛いんじゃないの?」

 

青葉「…どうでしょう、人間関係なんて…そんなものですから…」

 

朧(…青葉さん、こんなこと言う人だっけ…)

 

…私の中にあるイメージ、臆病な青葉さんから随分とかけ離れてしまった気がする

…改めて向かい合ってみると、やつれたような…

 

青葉「…どうかしましたか?」

 

朧「……帰りましょう、離島鎮守府に」

 

青葉「え?」

 

朧「…青葉さんにとってここの環境は良くないんだと思います…いや、アタシたちが良くない環境に追い込んだんだ…」

 

青葉さんが私の肩に手を置く

膝を折り、私に目線を合わせて言う

 

青葉「……そんな事ありませんよ、ここはすごく良いところです…ここの人達は、仲間としてお互いを信頼し、心の底から大事に思ってる…素敵な場所ですよ」

 

川内「…それはあくまで仲間になれば、じゃないの?」

 

那珂「青葉ちゃんにとってはどうなの?」

 

青葉「……優しい人たちが多いな、とは思います…私は隠してはいけない事を隠した、なのに未だ叩き出されすらしていないのは、本当にありがたい限りです」

 

川内「……全身の傷、首元に絞められたような痕…説明できる?」

 

青葉「え?」

 

青葉さんが首に手を当てる

 

青葉(ヒリヒリするなぁ…とは思ってたけど、まさか傷になってるなんて…)

 

青葉「説明するのは難しいんですけど……どうやら、碑文の力に影響されてるんだと思います、その…実は弥生さんとやり合っちゃって…その時なんて首を切られたから首が内出血を…」

 

川内「え、頸動脈斬られて生きてんの?」

 

青葉「ゲームの中でですよ…でも、その時以来、斬られた箇所に血が滲むんです、本当に斬られてる訳じゃないのに…」

 

那珂「……The・Worldやめよう、命に関わるよ」

 

青葉「みなさんは、私が言えば戦争から手を引きますか?」

 

川内「…それとは話が違う」

 

青葉「いいえ、一緒です……今も苦しんでる人がネットに囚われている…それを助けたい……それにこっちの方があってるんです、私は艦娘としての適正は高い方では無かったんだと思います、だって…砲撃なんてみんなにすぐ追い抜かれちゃったし…」

 

那珂(白兵戦なら化け物じみた強さだけどね…)

 

川内「演習での立ち回りはすごく良かったと思うけど」

 

青葉「あんなの、瑞鶴さんの力がなければできませんよ」

 

朧「……なら、試してみますか?地下の演習用のプールを使っていいので」

 

青葉「えっ…い、いや、やめておきます…だって体なんて殆ど動かしてないし、最近体力落ちてるんじゃないかなって…」

 

川内(…神通がやられた事もある、あの動きを研究したい…)

 

川内「青葉、少しだけ相手してよ」

 

青葉(よ、よりによって川内さん…いや、一番強い分…加減してくれる、かなあ…)

 

 

 

 

地下プール

 

青葉(うう…そう言えば2日食べてないからお腹減ったなあ…)

 

川内「行くよ」

 

朧「あれ?川内さんの艤装ってあんなのでしたっけ」

 

那珂「戦闘スタイルに合わせて新調したんだよ、3種の近接武器にあわせて、遠距離は呪符と砲雷撃、一応小道具としてワイヤー付きのクナイなんかも仕込んであるし」

 

朧(完全に忍者装備だ…)

 

川内(まずは、青葉の射程に合わせて 大鎌から!!)

 

大鎌が召喚され、青葉さんの槍と打ち合う

 

青葉(ま、間合いが取りにくい!しかも先端で貫くように振るってくるから防ぎにくい…!)

 

那珂(巧いなあ青葉ちゃん…持ち手を叩く事で振り抜けないように…お互いに戦い辛そうだなぁ…)

 

朧「…川内さんの鎌、軽いんですか?身長よりも大きいのに難なく振って…」

 

那珂「扱いが1番難しい分1番練習してるんだよ、だから今では1番得意な武器」

 

川内(そろそろ、仕掛けようかな)

 

川内さんが一歩踏み込み、槍を振るう

 

青葉(…近い!このままだと柄が直撃するけど刃は当たらない、ならばこの隙に直接攻撃で…!いや!)

 

青葉さんが振り返り、槍を縦に構えて防御姿勢をとる

 

川内(ぐ…殺ったとおもったのに…!)

 

青葉「…大鎌使いとは戦った事ありませんけど、この内側の刃で刈り取る様な攻撃もできるんですね…!」

 

青葉(わざわざ近づいてきたのは柄を防がれても私の背中にある刃が本命だから…か)

 

鎌を引く事で擬似的に背後をとる…

相手が防ぐ事を知っている前提の戦術…

 

朧(仮面の敵みたいな…知能のある相手と戦うための作戦、か…)

 

青葉(……この膠着状況は、マズイ…)

 

川内(お互いに動けない…手を緩めたら武器を弾き飛ばされて一撃もらう…それで決着……)

 

青葉/川内((なら、やる事は…おそらく同じ!))

 

青葉「火焔太鼓の召喚符!」

 

川内「粋竜演舞の召喚符!」

 

炎と水がぶつかり合い、あたりを水蒸気の煙が包む

 

青葉(何も見えない…!でもそれは向こうも同じ、探知系の艤装でもない限り…いや!)

 

煙の中、何度も火花が散り、金属音が鳴り響く

 

青葉「見えないはずですよね…!」

 

川内「見えないね…でも気配はダダ漏れだよ…!」

 

那珂(気配って…)

 

朧(アタシは匂いでわかるけど…いや、川内さんもおかしいけどそれを防ぐ青葉さんも大概おかしい…)

 

青葉(でも、釣れた)

 

青葉「斬風姫の召喚符!」

 

川内(風!?…この距離!まさか自分ごと…!)

 

川内さんが突風に吹き飛ばされる

 

青葉「演習じゃなければ、お互い血塗れでしたね」

 

那珂「…あの手際の良さ、絶対実戦でもやってるね…自分ごと巻き込む攻撃…」

 

川内「っ…たた…」

 

青葉「動くと追撃しますよ」

 

川内「やってみなよ」

 

川内さんが飛び起きる

 

青葉「閃矢の呪符」

 

青葉さんが紙を投げたのを見て、川内さんが飛び退く

 

川内(…呪符が発動しない…ブラフ…?)

 

川内「ぁが…!?」

 

川内さんが突如倒れる

 

青葉「先程、煙の中接近してきた時に貼り付けておきました…」

 

那珂「あの斬り合いの中で…!?」

 

朧「呪符の扱いに手慣れてる…」

 

青葉「…降参してくれますよね…?」

 

川内「……いいよ、もうやめとく…殺傷能力ないにしてもこれ以上は怪我するし」

 

青葉「それはよかったです」

 

川内(……1対1なら誰まで倒せるんだろうね…アケボノにも勝てるんじゃない…?いや、命懸けになれば…私もわからないか)

 

朧(…青葉さん、また攻撃のキレが増してる様な気がする…謙遜してたけど、やっぱり強い…砲撃とかのセンスは人並みなんだろうけど…)

 

那珂「間合いの管理がずば抜けてうまい、自分の射程の内側に入られるリスクを分かってるから、入ってきたら手痛いカウンターをいつも構えてる…距離を取るためなら自分がダメージを受ける事も躊躇わない…か」

 

川内「…そう、まさにその通り…青葉の強さはそう言うとこにあるね」

 

青葉「ありがとうございます」

 

川内(…他対一やスピードアタッカーは多分苦手な分野かな、でも中途半端な速さや耐久自慢じゃ勝てないよこれは…!)

 

川内「…どうやって鍛えたの?動いてないにしては普通に筋力も私と同じくらいあるでしょ」

 

青葉「え?絶対ありませんよ、ここ数ヶ月まともに走る事もしてませんし」

 

川内「へ?」

 

青葉「え?」

 

川内(…まさか、弱っててコレ?…元はどんだけマキシマム…いや、違うな…筋力が落ちてないんだ…鍛えはしてないけど、筋力が落ちなかった…何が理由かまではわからないけど)

 

青葉(…お腹減った…)

 

川内(…多分、マハの触覚に影響されたんだろうけど…ゲームバトルで斬られたと細胞レベルの勘違いを起こすくらいなら…トレーニングしてると勘違いしてる可能性も…)

 

ぐうと腹の音が鳴る

 

青葉「あ……」

 

朧「…ご飯、食べます?」

 

青葉「…はい」

 

川内「せっかくだし食べに行かない?何でも奢るよ」

 

青葉「なんでも…?…いいんですか!?」

 

川内「え、うん…すごい食いつくね…まあ、負けたし、ご褒美という事で…」

 

青葉「じゃあお肉が食べたいです…!」

 

那珂「…美味しい焼肉屋さんあるって」

 

川内「じゃあ、そこで」

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